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概要 |
欧州連合(EU)においては,2005 年以降,EU 法が適用される規制市場への上場企業の連結財務諸表に対して国際財務報告基準(IFRS)が強制適用された。しかしながら,規制市場以外の市場,つまり取引所規制市場においてはlocal GAAP が認められるケースが存在する。例えば,ドイツ最大のフランクフルト証券取引所の2つの規制市場,Prime Standard とGeneral Standard ...への上場企業はEU 規則1606/2002 に従ってIFRS への準拠義務 があるが,取引所規制市場であるEntry Standard への登録企業は,その規則に従ってドイツ基準またはIFRS に準拠した財務諸表が求められており, IFRS は任意適用となっている。また,規制市場への上場企業であっても, 親会社でない企業および連結財務諸表の作成義務のない企業は, local GAAP によることができる。実際に,Entry Standard では,ドイツの上場企業の約6割の企業がIFRS ではなくドイツ基準を選択し,財務諸表を作成・提出している。このように,EU 加盟国の資本市場のなかには,企業に IFRS とlocal GAAP の基準間選択を許容する市場が存在しうる制度的仕組みが形成されており,そのような制度のもとで,一定数の企業がlocal GAAP に準拠している事実が観察されるのである。 本稿では,欧州資本市場におけるIFRS 適用問題を,先行研究では焦点の当てられなかった取引所規制市場をも射程に入れたうえで制度的に再検討するとともに,基準間選択に関わる企業の実務を分析し,IFRS 強制適用後のドイツ資本市場の構造変化ならびにドイツ企業の資金調達行動の変化を明らかにする。欧州資本市場においてIFRS が一律に強制適用されたのではないという本稿で明らかにされた事実は,IFRS 適用に伴う世界の会計の普遍性とそのなかに残る各国会計の固有性を明らかにすることを一つの目的とする国際会計研究に貢献するものでもある。続きを見る
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