<紀要論文>
魚礁の集魚効果に関する聞き取り調査 (1) : 北部九州沿岸漁民を対象とする調査について

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概要 天然及び人工魚礁の集魚効果について, 正確な知識をもつことが,最近とみに必要になった.然し問題が複雑多岐にわたり,且つ実物の尺度が実験室の尺度に比べて格段に大きいことから,ある仮説を提唱してそれを実験によって験証する,という通常の研究方法をそのままおし進めることは容易でないと思われる.
筆者は近年,魚礁の集魚効果について,沿岸漁民からの聞き取り調査を実施し,その際とりかわされた会話を録音するという作...業を行なっている.その目的は,集録された多くの資料の共通点として,集魚効果の一般的性質を帰納することに在る.
本報告はその第1報であり,北部九州沿岸漁民を対象とする調査について述べたものである.1. まえおきには,この調査の目的について,また2. 会話集録の方法には,会話をテープに収めるに当っての注意事項,調査対象漁民の年令別,経験年数別,使用漁具別の分布等について述べる.最後に3. 聞き取り調査の集約には,各々の設問に対して,録音テープに集録された漁民の反応を,個人単位ではなく,1回毎の調査対象グループ(漁民単独の場合も含む)単位で,イエス,ノー,ノー・コメントの3つの型に分類する方法を述べる.更に,今回の聞き取り調査の反省点として,(1)1回の面接の対象者を複数でなく,単数にすべきであったこと,(2)対話のペースを守って,各々の質問毎に,きちんとした回答を得たのち,次の質問に進むべきであったこと,を挙げる.さらに,同一の質問が全28グループ中85%以上のグループに発せられ(質問の機会を逸したグループ数が15%以下に止まること),然も質問を受けたグループのうちの85%以上のグループが,上記3つの型の回答の何れか1つに集中した場合を,全グループの合意度が高いと見倣して,その条件を満たす回答事項を列挙する.就中,魚が魚礁に関して潮流の上流(シオアゲ)側に多く集まり,潮流の方向が変れば,魚の群もそれに従って移動するという知見は,従来二,三の文献に記載されていることを裏書きするもので,注目すべきものと思われる.
付録1は聞き取り渦査における質問事項の全文である.
付録2は魚礁についての文献表で,集魚効果に対する解釈の態度その他によって8種に分類されている.これらの文献は聞き取り調査のための基礎資料として収集されたもので,年代順に排列して,研究者並びに実際家各位の御参考に供する.
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目次 1. まえおき
2. 会話集録の方法
3. 聞き取り調査の集約
3.1. 集約の方法
3.2. 集約の結果
3.3. 今回の聞き取り調査における反省点と将来に対する改良指針

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登録日 2022.01.18
更新日 2023.03.04

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