<博士論文>
線形手法による特徴点対応付けと3次元復元に関する研究

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概要  コンピュータビジョンにおける主要な研究テーマの一つとして,2次元(2D)画像から3D情報を認識する問題がある.この問題を解くため,これまでに様々な手法が提案されてきた.その手法は,観測対象となる3D物体モデルの情報を事前に用意するモデルベースビジョンと,モデルを用いないものとに分けることができる.モデルベースビジョンでは,2D画像と3Dモデル間の特徴点同士を対応付けることが重要な問題となる.同様...に,モデルを用いない場合においても複数の画像間で特徴点の対応付けを求めることは重要な問題であり,その対応付けを用いた3D復元により3D物体を認識できる.また,3D復元では誤差の少ない形状を復元することが重要な問題となる.
 本論文は,線形な手法による特徴点対応付けと3D復元に関する研究をまとめたもので,3部・15章で構成される.第1部と第2部ではそれぞれ,モデルベースビジョンにおける場合とモデルを用いない場合における特徴点の対応付け問題に関する研究について述べる.第3部では,複数画像間の特徴点対応を用いた3D形状復元に関する研究を示す.
 第1部では,モデルベースビジョンにおける特徴点対応付け問題の効率的な解決法であるアスペクト(物体の見え)の判定行列を拡張する手法を提案している.この判定行列は3D物体の2D画像が作る4D部分空間のカーネルおよびその補空間に着目し,そこへ観測誤差を考慮した最適な斜交系を導入することによりアスペクト判定の誤り率を下げている.
 第1章では,第1部における研究の背景と目的,および概要を示す.
 第2章では,アスペクトと特徴点対応を判定する従来の行列(縦横座標別の構成)を次の3点について拡張する手法を提案する.
 ①観測誤差の持つ縦横座標間の強い相関を利用した縦横座標の同時判定行列,
 ②従来のアスペクトの境界上で起こる特徴点の抽出失敗に対応した判定行列,
 ③一般の多面体へと適用範囲を拡張した判定行列.
ここで,②と③は共に物体の自己遮蔽問題の解決法を提供するものである.
 第3章では,対象物体の3Dモデルからすべてのアスペクトを解析する手法を説明する.
 第4章では6種類の対象物体に対する合成画像と実画像による実験から,本手法のアスペクト判定の誤りが従来よりも大幅に低下することを示し,本研究の有効性を明らかにしている.
 第5章で第1部をまとめ,今後の課題を示す.
 第2部では,複数画像間における特徴点追跡問題について述べ,追跡結果から正しく追跡できたものを選択する手法を提案している.本研究では,Kanade‐Lucas‐Tomasiらの手法(KLT法)により特徴点を追跡し,4D部分空間とRANSAC(Random Sample Consensus)に基づく手法を利用して,正しい追跡結果を選択する.
 第6章では,第2部の研究の背景と目的,および概要を示す.
 第7章では特徴点追跡に用いるKLT法を説明し,その長所と短所を明確にする.
 第8章では,KLT法において正しく追跡できた特徴点を選択する手法を提案する.まず,RANSACに準じた特徴点のランダムサンプリングを行い,それを並べた計測行列の特異値の比を用いて,できるだけまとまりの良い4D部分空間を与える特徴点の集合を求める.そして,この4D部分空間のカーネルおよび補空間を利用して正しい追跡結果を選択する.本手法では,補空間に対して従来の直交基底ではなく,新たに斜交基底を導入する.
 第9章では,本手法は従来法よりも効率よく特徴点の張る空間に4D部分空間を当てはめることができ,正しい追跡結果が選択できることを実験により示し,本研究の有効性を明らかにしている.
 第10章で第2部をまとめ,今後の課題を示す.
 第3部では,多数の画像から反復的に3D形状を復元する手法を提案する.本手法では周知の因子分解法やMoore‐Penrose(MP)の一般逆行列による復元結果を初期形状として,その形状における透視投影の非線形歪等の影響を重み付け行列や第12章のカメラモデルを用いて反復的に補正することにより,復元誤差を従来よりも大きく低減できることを明らかにする.
 第11章では,第3部における研究の背景と目的,および概要を示す.
 第12章では,実際のカメラの画像(非線形な画像)に対してMMSE(最小平均2乗誤差)を与える線形なカメラモデルを提案する.
 第13章ではまず,従来の因子分解法とMP一般逆行列による復元法を説明する.そして,本研究における反復的な3D形状の復元法とそのアルゴリズムを提案する.
 第14章では,本手法は従来法よりも少ない誤差で3D復元が行えることを多数の実画像と合成画像による実験により示し,本研究の有効性を明らかにしている.
 第15章で第3部をまとめ,今後の課題を述べる.
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レコードID
報告番号
学位記番号
授与日(学位/助成/特許)
部局
登録日 2009.08.13
更新日 2020.11.16