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概要 |
Behind Touchは,株式会社アイムが特許出願中のタッチセンサを利用した入力デバイスおよび画面インタフェースから構成されるシステムである。指で操作を行う入力デバイスには凸形状の押しボタンがあり,凸ボタンの触覚と画面インタフェースからの視覚情報によって操作を行う。画面には触れているボタンまたは指の位置が表示されるので,ボタンを直接見なくても,直接操作に近い操作感が得られる。アプリケーションに...よってボタンの機能が変化しても,表示を変化させて内容を確認できる。本論文では,このBehind Touchを携帯電話に応用し,従来の携帯電話と同等以上の入力効率を実現する入力デバイスおよび画面インタフェースの開発を目標とする。Behind Touch携帯電話には,文字入力で主に使用する12キーを背面に配置することにより,液晶ディスプレイを大型化できる利点がある。操作しているボタンや指の位置が画面に表示されるので,背面操作であっても操作性は保たれる。
第1章では,Behind Touchの概要と研究の目的,関連研究および関連する特許出願に関する考察を述べる。
第2章では,入力デバイスの開発について述べる。最初に制作した試作機-1の問題点から,背面操作に必要な要件を明らかにし,改良を加えた試作機-2を制作した。試作機-2を使用した操作の実験から,入力デバイスのボタン間隔の検討を行った。Behind Touch携帯電話では,人差し指で操作を行う点が従来の携帯電話の操作方法と異なる。人差し指は,親指に比べて細かな作業が得意であるが動かせる範囲が狭い。よって,実験から人差し指で快適に操作が可能である範囲を調べて,ボタン配置の範囲を決定した。
第3章では,基本的なひらがなの文字入力インタフェースの開発と,入力効率の実験結果について述べる。携帯電話入力方式とひらがな50音の行・段入力方式によるインタフェースを開発して,従来の携帯電話と文字入力効率を比較する実験を行った。実験の結果,携帯電話入力方式によるBehind Touchは,市販の携帯電話とほぼ同等の文字入力効率となり,目標に達した。行・段入力方式は,効率はよくないがわかりやすいという感想が被験者から得られた。携帯電話入力方式に慣れていないユーザ層の拡大に期待を持てる。
第4章では,Behind Touch携帯電話をさらに直接操作に近付けるために,操作を行う指を画面インタフェースに表示するアイデアを試みた結果について述べる。第3章で述べた画面インタフェースは,触れたボタンを強調表示して指の位置を確認する方法であった。ボタンとボタンの間を移動するユーザの指を見ることができれば,より直接操作に近くなり,操作性が向上する。小型カメラによる指の実映像表示では,表示スピードやボタン間隔が狭く見える問題があった。入力デバイスに使用したタッチパッドから得られる指の座標データを基に,疑似的なグラフィックの指を表示して改善を行った。指の表示あり/なしを比較する文字入力実験では,指の表示がある画面インタフェースの入力効率がよいことが分かった。
第5章では,背面触覚入力デバイスと音声インタフェースから構成される視覚障害者のためのBehind Touch携帯電話の開発について述べる。Behind Touchは,操作ボタンを直接見ないで操作を行なう方法であり,ディスプレイに表示される視覚情報を音声フィードバックに置き換えることによって,全盲者に対応が可能である。タッチセンサを活用した入力デバイスにより,ボタンを押す前に触れたボタンの機能を音声により確認が可能なTouch & Voice機能を実現した。Behind TouchおよびTouch & Voiceによる試作機を使用して,視覚障害者によるフィールドテストを行った。フィールドテストの結果,2つの問題点が判明した。1つは,速い操作を行うと短時間に多くの音声フィードバックが行われてしまい,音声による確認が困難になる問題である。確実な操作のみに反応させるために,ボタンに0.25秒触れ続けた場合に音声フィードバックを行う改善を行った。もう一つは,全盲の障害者がボタン配列を逆であると感じる問題である。視覚障害者の場合,背面操作ではボタン配列の左右反転機能が必要であることが分かった。a)従来の携帯電話,b)Behind Touch・Touch & Voice改善前,c)Behind Touch・Touch & Voice改善後による文字入力の時間とエラーを比較する実験を行った。入力時間については有意な差が認められなかったが,入力エラーついては改善が見られた。
第6章では,各章のまとめと今後の展望を述べる。Behind Touchの「入力デバイスを見なくても直接操作に近い操作感が得られる。」「入力デバイスが小型化できる。」などの特徴を活かせば,携帯端末だけではなく,ウェアラブル端末や情報家電のリモコンなどにも応用が可能である。続きを見る
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目次 |
目次
第1章 序論
第2章 Behind Touch入力デバイスの開発
第3章 Behind Touch 1:携帯電話のための文字入力インタフェースの開発
第4章 Behind Touch 1:画面インタフェースにおける指の表示
第5章 Behind Touch2:視覚障害者のための触覚・音声による携帯電話インタフェースの開発
第6章 総括と今後の展望
謝辞
引用および参考文献
特許公開資料
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