<博士論文>
S1PはPI3K/Akt/GSK-3β及びWnt/β-カテニンシグナル伝達経路を介してOPG遺伝子発現・骨芽細胞分化を促進する

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概要 スフィンゴシン-1-リン酸(S1P)は、主に血漿中に存在する脂質メディエーターで、血管内皮細胞、リンパ球を始め様々な細胞に対して、増殖、運動、形態調節、分化など多彩な作用を及ぼし、シグナル分子としても注目されている。骨組織は、骨芽細胞による骨新生と破骨細胞による骨吸収のバランスによって恒常性が維持されている。近年、S1Pが破骨細胞の分化を抑制することが示されたが、S1Pが骨芽細胞の分化や骨形成に及...ぼす影響については解明されていない。そこで、本研究では、S1Pが骨芽細胞の分化及びOPG遺伝子発現に及ぼす影響と、そのシグナル伝達経路として、phosphatidylinositol 3-kinase(PI3K)/Akt/glycogen synthase kinase-3β(GSK-3β)と、Wnt/β-カテニンシグナル伝達経路との関連について検討した。実験には、ヒト骨肉腫由来の骨芽細胞様細胞株SaOS-2とマウス頭蓋冠由来の骨芽細胞様細胞株MC3T3-E1を用いた。SaOS-2、MC3T3-E1細胞ともにS1P1~S1P5の全てのS1P受容体を発現していた。Wnt/β-カテニンシグナル伝達経路の標的遺伝子であり、骨芽細胞と破骨細胞のカップリングに重要なsteoprotegerin(OPG)、receptor activator of nuclear factor-kappa B ligand(RANKL)の発現に対して、S1Pは、OPGのmRNA、タンパク質の発現を増加させ、RANKLのmRNA発現を減少させた。S1Pは、Aktのリン酸化を促進させ、GSK-3βのリン酸化を阻害した。PI3Kの特異的阻害薬である LY294002は、その作用を阻害したことから、S1PはPI3K/Akt/GSK-3βを介したシグナル伝達作用を持つことを確認した。また、OPGタンパク質発現は、LY294002の添加により減少した。一方、GSK-3βの特異的阻害薬SB2167632の添加により、OPGタンパク質発現は増加した。LY294002及びSB2167632の添加により、OPGのタンパク質発現は増加した。以上の結果から、S1PによるWnt/β-カテニンシグナル伝達経路の標的遺伝子OPG発現の増加には、PI3K/Akt/GSK-3βが関与することが示唆された。次に、S1PがWnt/β-カテニンシグナル伝達経路に及ぼす影響についてさらに検討を行った。S1Pは、Wnt/β-カテニンシグナル伝達経路における転写因子であるTCFの転写活性ならびにTCF7L2(TCF4)のタンパク質発現を増加させた。一方、LY294002は、TCF7L2 のタンパク質発現を減少させた。以上の結果から、S1Pは PI3K/Akt/GSK-3βを介してWnt/β-カテニンシグナル伝達経路を活性化させ、OPGの遺伝子発現を増加させる可能性が示唆された。また、S1Pが骨芽細胞分化に及ぼす影響についても検討した。S1Pは、細胞増殖には影響を与えなかったが、骨芽細胞分化のマーカーであり、Wnt/β-カテニンシグナル伝達経路の標的遺伝子でもあるアルカリホスファターゼの活性を増加させた。さらに、S1P が骨芽細胞の石灰化に及ぼす影響について、von Kossa 染色、アリザリンレッド染色を行い検討したところ、S1Pは石灰化を促進させた。すなわち、S1P は骨芽細胞の分化を促進させることが明らかとなった。この研究は、S1Pが、PI3K/Akt/GSK-3β及びWnt/β-カテニンシグナル伝達経路を介して、骨芽細胞におけるOPG遺伝子発現を増加させること、及びS1Pが骨芽細胞の分化を促進させることを示した初めての報告である。続きを見る
目次 要旨 緒言 材料と方法 結果 考察 謝辞 引用文献

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登録日 2013.07.10
更新日 2023.11.21