<博士論文>
可溶性ヒト・トロンボモデュリン-αの体内動態 : 解析法構築および健常時と適用疾患時の動態解析

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概要 血管内皮表在性タンパク質トロンボモジュリン(Thrombomodulin: TM)の欠失変異体である可溶性ヒト・トロンボモデュリン アルファ(TM-α)は、抗血液凝固作用での臨床使用が期待される医薬品である。TM-αは、期待作用に要する体内濃度より小過剰で副作用を惹起することが危惧されており、体内濃度の精密な制御が安全・適正使用のために必須である。しかし、本剤の体内動態、とりわけ、代表的な適用疾患...である汎発性血管内凝固症候群(Disseminated intravascular coagulation;DIC)での動態は殆ど解明されていない。そこで、本研究では、125I-標識TM-αを用いてラットでの基礎的検討を実施すると共に、サルとヒトでの動態を解析するための非標識TM-α分析方法を構築して、これら種での解析も行った。更に、基礎実験での体内動態成果を基盤として、ヒト動態におけるPopulation pharmacokinetics (PPK) 解析を行い、DIC患者でのTM-α動態の予測を行った。また、タンパク質薬創薬の隆盛を念頭に、本研究で得られた成果と照らしながらタンパク質製剤の体内動態研究における一般的留意点を整理、考察した。 サルおよびヒトでの非標識TM-α検出のため、TM-αの活性中心を認識するマウスモノクローナル抗体を作製し、サンドイッチ型のEnzyme-linked immunosorbent assay (ELISA)系を確立した。本法は、ヒト血漿中の内在性TMないしその分解物(約2 ng/mL以下)を検出すると共に、これに付加される外来TM-αの濃度も測定可能であった。また、検出されたTM-αが活性保持型か否かを確認するため、生物活性測定系も確立した。上記の両測定系を用いて、TM-αを投与したサルおよびヒトの血漿サンプルを測定し、それぞれの測定値間の相関性を調べた。その結果、ELISA系と活性測定系の測定値の相関性はr>0.98と良好であったため、ELISA系を主測定系として差し支えないことを確認した。 TM-αの全身クリアランスに対する腎と腎外のクリアランス(CL)の寄与率を調べた結果、ラットとサルでは腎CLと腎外CLがほぼ50:50で、ヒトでは60:40であった。腎CLでは、用量依存的な排出、すわなち非飽和性の排出が認められたことから、非特異的糸球体ろ過機構が、主要な役割を演じると考えられた。また、腎外CLでは、肝、肺および腎臓などに発現する非特異的なスカベンジャー受容体により取り込まれて代謝されるものと推定された。動物とヒトでのTM-α体内動態解析データを基にして、腎CLおよび腎外CLに関するアロメトリック係数を算出したところ、それぞれ0.80および0.72であった。一般に、タンパク質薬と低分子薬の別を問わず、アロメトリック係数が0.6~0.8であった場合には、当該薬物のCL機構は動物種間で同一と考えられる。従って、TM-αの腎および腎外CLに関する上述の機構はヒトにも適合するものと考えられた。 健康成人とDIC患者でのPharmacokinetics (PK)データを用いて、PPK解析を行い、健康成人とDIC患者間の違い、並びに年齢、体重および血清成分濃度などの患者背景がPK変動に相関するか否か等について解析した。その結果、TM-αの分布容積はヘマトクリット値と体重に相関し、CLの変動は腎機能、体重、ヘマトクリット値および年齢の違いに連動することが分かった。これらの因子のうち、体重が最も重要かつ安全性に影響する可能性が示唆されたことから、本剤は体重あたりの用量設定が必要であると考えられた。その他の要因については有効性・安全性への影響が小さいと考えられ、用法・用量への配慮は必要ないと判断された。続きを見る

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登録日 2013.07.10
更新日 2020.10.09