<紀要論文>
東日本大震災の地域金融に及ぼす影響

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概要 平成23年3月11日に発生した東日本大震災(気象庁は東北地方太平洋沖地震と命名) は、地震の直接的な被害に留まらず、津波による冠水や原子力発電所の事故が大きく深刻な影響を及ぼした。この地震は、日本経済が緩やかながらも回復途上に乗りつつあるなかで発生しており、今後需要・供給の両面から経済活動の下押し要因として作用していくとみられる。内閣府の資料(内閣府[2011]) 等によれば資本ストックでみた被災...地域の推定毀損額は、ストック全体との対比では関東大震災時の約四分の一であるが、阪神・淡路大震災と比較するとその2倍前後に達すると推察される。こうした震災による資本ストック毀損の影響は、直接的な被害を強く被った農業・漁業のほか、製造業等にも波及している。生産活動への影響は、部品供給能力の低下等を通じて東北を中心とする東日本のみに留まらず、日本経済全体にマイナスの影響を及ぼしていくのである。それでは、対象をやや限定して被害の大きかった東北・関東地方の太平洋側地域について、地震の直接的な影響はどの程度生じたのであろうか。この場合、地震による建物の倒壊等に伴う被害も大きく、その早急な復旧は重要な課題である。しかし、影響のインパクトが大きく対応が極めて難しいのは、津波による毀損および原発事故の影響である。これらは、短期間では現状復旧が出来ないだけに、地域経済自体の崩壊を惹き起こす惧れも大きい。また金融面については、これまでのところ地震により誘発された津波および津波に伴う原子力発電所の事故の被害に関する分析は行われていない。地域金融機関が直接的な被害をどの程度受け、また地震による企業活動の落ち込み等に伴う営業地盤の劣化度合いはどのように生じているのか、そうしたなかで存続が可能であるのか等といった問題についても、早急に考えていく必要がある。本稿の分析の特徴は、①地理情報処理の手法を用いた津波の被害地域の特定、②金融機関毎の被害状況に関する狭義・広義両面からの算定、③それらを用いた金融機関毎の営業地盤面の被害・その劣化度合いについて推定したところにある。そうした分析結果を基に、対応すべき課題を検討する。本稿は、2011年3月末時点に於ける被害状況を基準としており、被災地域の多くは既に立ち直り傾向にあるとみられる。しかし、災害の規模や金融面への影響については未だに必ずしも明確ではない面が多いだけに、それらの把握が重要であることを考慮し、取り敢えず次のような考え方の下で進めた分析結果を示すこととした。続きを見る

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登録日 2012.12.05
更新日 2022.02.10

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