<博士論文>
住宅統計における「居住水準」等の集計に関する基礎的・実証的研究 : 集計処理方法の違いによる差の実態を対策
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| 論文調査委員 | |
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| 学位授与年度 | |
| 学位授与大学 | |
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| JaLC DOI | |
| 概要 | 統計は数値を扱うため、一般に客観的なものと観念されがちであるが、集計の処理方法により結果は大きく異なる。しかし統計資料は、集計処理方法など軽視あるいは無視され、ただ結果のみ引用されて独り歩きをし、政策にも影響を与えている。本研究は、この統計における集計処理方法を取上げ、集計処理方法の違いによる集計結果の差について検討したものである。検討対象は住宅統計であり、その中でも主要な集計項目である「居住水準...」について、具体的な住宅集団を対象として検討している。既往研究に、「居住水準」指標の内容と居住者の評価や住まい方とのずれを検討したものはあるが、「居住水準」の集計処理方法を問題とした研究はない。第1章の序論では、以上のような本研究の問題の所在、目的および方法ならびに既往の研究概要について述べ、本研究の位置づけと構成を示した。 第2章では、住宅統計に関する調査報告書及び解説書、並びに住宅政策あるいは住居基準等に関する文献・年表等を基礎資料とし、我が国における近代以降の全国規模の住宅統計と住宅政策の相互関係を概観し、第3章以降で検討対象とする「居住水準」指標の住宅統計における位置付けを行った。居住水準に関わる調査項目、集計処理方法等の変遷を検討した結果、第1期・住宅統計の始まり及び確立期、第2期・「居住水準」の揺藍期、第3期・「居住水準」の形成・充実期・の3つの時期に大きく区分が可能であり、住宅建設五箇年計画設定の「居住水準」が、現在に至る重要な居住水準の計測尺度であることが明らかとなった。 第3章では、第三期住宅建設五箇年計画設定の「居住水準」の規模基準および設備基準による計量結果と、住宅統計調査報告(住調)、住宅需要実態調査結果報告(住需調)で使用された尺度による計量結果の違い、即ち、集計処理方法の違いによる判定結果の違いが、どの様に異なって現れるかを検討した。対象は福岡県下の公営住宅約18、000戸で、そこに住む世帯の世帯構成と空間構成との関係に基づき分析を行った。 「最低居住水準」未満世帯の比率は、本来の五箇年計画設定尺度の方が、住調方式や、住需調方式による計量結果より、10~20%多く判定された。すなわち、新聞や雑誌の記事では、住調や住需調の「最低居住水準」未満世帯比率が用いられているが、現実には本来の「居住水準」とは乖離した尺度で計量された、かなり少な目の比率であることが明らかとなった。 第4章では、住宅建設五箇年計画設定「居住水準」の「住宅規模の目標」において、住戸型別に設定されている「居住室面積」と「住戸専有面積」を計測尺度とし、設定値の充足状況等を検討した。分析対象は、福岡市において昭和46~61年の16年聞に実際に供給、販売された民間分譲集合住宅1、208タイプ・8、032戸の住戸平面である。 住調結果に基づき、昭和60年までに半数の世帯が確保するという目標はほぼ達成されたとされる「平均居住水準」の、居住室面積と住戸専有面積の両設定値を共に充足するのは戸数比でわずか7%であった。住調の判定方式には「住戸専有面積」は考慮されていないが、これを加味すれば、「平均居住水準」を確保する世帯数は半数を著しく下回ることが分かった。 「平均居住水準」や「都市居住型誘導居住水準」の、居住室面積と住戸専有面積の両設定値を充足する住戸タイプは、棟の角部や妻部に位置するものが多く、共同住宅の住戸平面計画上、好条件下で計画されたものが多い。 第5章では、「居住水準」ではなく住宅統計全体に関わる集計処理方法の問題を採り上げた。 「国勢調査」(国調)は悉皆調査「住宅統計調査」は標本調査で行われている。住宅統計を代表する両調査の結果は、標本調査による標準誤差を考慮しても整合性がないことを明らかにし、住調で「住宅の所有関係」の「不詳」が多い地域においては、補定処理など集計処理方法の影響で国調と住調の差が大きいとの仮説を立て、12大都市を対象に、その「差の比率」と「不詳率」の相関状況に基づき仮説の検証を行った。都市により、住宅所有関係別「差の比率」の平均値はO.9%~8.3%と異なり、また、「不詳率」もO.3%~6.7%と異なるが、両者にはかなり強い相関(相関係数:O.68)があり、仮説を裏付ける結果を得た。 第6章では以上の分析結果を踏まえ、現実的対策として次のことを提案した。「居住水準」については、五箇年計画設定の計測尺度を忠実に適用するには、各住戸の間取りの採集が必要で、全国規模の調査では不可能。従って、居住する世帯の世帯構成(年齢、性別、続柄)に応じて必要な居住室の総畳数で判定する住調方式が妥当であり、それに設備基準及び従来から住調で調査されている住戸専有面積を計測尺度に組入れること。国勢調査と住宅統計調査の差については、両調査結果の乖離を縮め、より統一性のある統計資料にするために、補定処理等を行った住宅の所有関係別調査票数を考慮した『主要項目別誤差率』を、住調の各報告書に掲載すること。 また、基本的事項として、各報告書に集計処理方法の忠実・平易な記載を必須すべきことを指摘した。調査項目の単なる単純集計に留まらず、調査項目を高度に組合わせて指標を設定し、それを計測尺度として使用することが増加する現代において、集計処理方法は統計の本質に関わる問題であり、集計処理方法の公表は厳守すべきことである。続きを見る |
| 目次 | 目次 第1章 序論 第2章 我が国における近代以降の住宅統計の概観 第3章 住宅建設五箇年計画の「居住水準」判定方式と、「住調」方式、「住需調」方式との比較検討 第4章 「居住水準」の「住戸型別面積基準」による判定 第5章 「国勢調査報告」と「住宅統計調査報告」の比較検討―住宅の所有関係別住宅数の比較― 第6章 結論(各章の要約、及び対策) 謝辞 研究発表等の記録 |
本文ファイル
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なし | 185 KB | 198 | 目次 | |
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なし | 3.80 MB | 163 | 第1章 | |
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なし | 10.3 MB | 194 | 第2章 | |
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なし | 4.40 MB | 301 | 第3章 | |
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なし | 5.24 MB | 283 | 第4章 | |
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なし | 3.73 MB | 126 | 第5章 | |
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なし | 2.33 MB | 158 | 第6章 | |
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なし | 104 KB | 106 | 謝辞 | |
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なし | 1.99 MB | 138 | 研究発表等の記録 |
詳細
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| 授与日(学位/助成/特許) | |
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| 登録日 | 2014.01.24 |
| 更新日 | 2020.10.06 |
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