<博士論文>
Er:YAGレーザーと知覚過敏抑制剤を併用した象牙細管封鎖効果に関する研究

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論文調査委員
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概要 象牙質知覚過敏症(Dentinhypersensitivity,以下DH)は一過性の鋭い疼痛を特徴とし,日常の臨床で遭遇する機会の多い疾患の1つである.その治療法は,一般的に歯磨剤や塗布用の知覚過敏抑制剤が使用されているが,簡便性に優れる反面,効果が一時的で不確実な傾向がある.近年,DHの改善にレーザーを応用する治療法が期待され,臨床における有効性も報告されている.その作用機序として,象牙細管の封...鎖作用や歯髄神経の鈍麻作用などが考えられている.しかしながら,生体への為害作用が少ないEr:YAG(エルビウムヤグ)レーザーを用いたDH治療への応用例や,レーザーと知覚過敏抑制剤を併用した報告はほとんど見られない.本研究では,象牙細管を開口させた試料に,Er:YAGレーザーを低出力照射した場合,またはレーザー照射と知覚過敏抑制剤(シュウ酸製剤)を併用した場合の象牙質表層部の形態および組成変化を解析し,象牙細管の封鎖効果を検証した.15%EDTA溶液に30秒間浸漬することで象牙細管を開口させたウシ象牙質プレートに,Er:YAGレーザーを30mJ・10ppsの条件で3cmの距離からデフォーカス照射した.走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ,象牙細管内に不定形の物質が観察された.また,照射時間が長いほど象牙細管径は減少し,閉塞された象牙細管の割合が多く認められた.SEMとレーザー顕微鏡による観察結果より,象牙細管の封鎖には象牙質表面に形成された熔融(melting)層が影響していることが分かった.エネルギー分散型X線分析装置を用いた元素分析では,レーザー照射群では表層のPとCaの重量比が有意に増加していた.一方,Er:YAGレーザーと知覚過敏抑制剤の併用群では,象牙細管内の結晶様構造物および表層での熔融層の形成が認められ,レーザー単独使用群と比べ有意に象牙細管の開口面積が低下していた.すなわち,併用群では象牙細管開口部が2段階に封鎖されていた.なお,照射部位には炭化・亀裂などの熱傷害は認められなかった.以上の結果より,象牙細管が開口した象牙質表面にEr:YAGレーザーを照射すると,照射時間に応じて象牙細管の封鎖が亢進すること,並びに,レーザーと知覚過敏抑制剤の併用で,象牙細管の封鎖効果が増強されることが明らかとなった.本研究により,DHの効果的治療法の1つとしてEr:YAGレーザーを応用する可能性を示すことができた.続きを見る
目次 1 要旨 2 緒言 3 材料と方法 4 結果 5 考察 6 総括 7 謝辞 8 参考文献

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登録日 2013.06.28
更新日 2023.11.21

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