<学術雑誌論文>
在日外国人の身体的・精神的健康 : 保健学・看護学的視点から

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概要 人と物の国際化が進むにつれ, 来日し滞在する外国人の数が急増し, 2002年末には, 日本の総人口の1.4%を占めるまでになっている. 外国人をめぐる最近の傾向としては, 歴史的背景を持つ在日コリアンなど, いわゆるオールドカマーに代わって, ニューカマーが増加していることがある. ニューカマーとは, 1970年代後半から外国人労働者として, 発展途上国から「強い円」を稼ぐために, 日本国内の若年...労働力の減少の結果空洞化した製造業やサービス業セクターに大規模な流入を開始した人々のことである. 今日では, 留学生や日本人の配偶者等の在留資格を持つ者も増え, 在日外国人の属性は多様化している. 在日外国人の内訳を出身地域別に見ると, アジア系の人々が6割を占めている. また, 在留資格を持たない非正規滞在者も27万人ほどいると言われている. 彼らは定住する生活者としての色彩を強めながら今や100万人を越える多数に達し, 日本社会がいまだかつて経験したことのない問題領域を提示している. このような定住型外国人の増加に伴い, 医療機関における外国人患者の受診数も急増するなど, 在日外国人の保健医療ニードは高くなっている. それにつれて, 医療専門家が医療の現場で来診した外国人患者に接する時, 日本人患者とは異なる言語や生活習慣を持つ外国人患者への対応に苦慮していることが最近しばしば取り上げられるようになってきた. 医療というのはきわめて社会的な行為であるから, 外国人患者に対しては, 日本人患者に対する時より,医療行為一つ一つの文化的社会的文脈が目に見えるかたちで現れやすい. また, 日本において在日外国人として暮らすということは, 法的に日本人とは異なる地位を持ち-従って,社会保障制度の適用が日本人とは異なる-, マイノリティとしての生活-すなわち, 在日外国人に特異な社会的事情が日常生活に影響しうる-を送りつつ, 医療を受けることを意味する. しかしながら, これまでわが国の医療現場では, 在日外国人の抱える特異な社会的事情や, 彼らの持ち込む文化的な価値観を考慮した, よりQOLの高い医療を提供することに対する議論がほとんどなされてこなかったといってよい. これは, 医療現場において, 生物医学的レベルの研究が中心に展開される傾向にある現代医学の限界と言えるかもしれない. それに対し, 保健学・看護学においては, 人々の健康状態を, 健康障害の発生から対処行動のとり方, そして, その結果としての治療に至る一連の過程を包括的に把握する傾向がある. 言い換えれば, 予防的な見地から, 健康障害を発生させうるような環境要因を解明し, それを軽減したり除去したりすることに関心を持つ. また, 万が一健康障害に陥ってしまったとしても, 患者の症状やQOLを改善させるための, 患者自身や周囲の人々がとるあらゆる行動に着眼する. 本稿では, わが国におけるニューカマーとしての在日外国人(以下「在日外国人」)の健康障害に関連する要因を保健学・看護学的視点から明らかにすることを通して, わが国の対外国人医療のあり方を再検討することを試みる.続きを見る

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登録日 2010.12.22
更新日 2021.07.28

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