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助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 環境汚染物質の効率的無害化を目指した吸着性光触媒無機シートの開発 — Preparation and Environmental Applications of Paper-like Photocatalyst Composites
北岡 卓也 ; KITAOKA Takuya
研究期間: 2001-2003
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概要: 地球圏全体から身近な生活環境に至る種々の汚染環境の改善に向け、酸化チタン光触媒の活用が注目されている。しかし、粉末状の無機触媒は取り扱いや実効性能の点で問題が多く、固定化法のイノベーションが希求されている。そこで、紙抄きの技術を応用し、粉末触媒を紙状成型した新規触媒材料「ペーパー触媒」の開発を試みた。 1.ペーパーの触媒の調整 (1)無機粉体を均質なシート状に成型する技術の確立(デュアルファイバー/デュアルポリマーシステム)、(2)アルミナゾルバインダーと焼成処理による100%無機シートの調製と実用強度の発現、(3)光触媒・吸着剤など無機粉末の種類を問わないペーパー設計(均質性・多孔性・2次加工性)を達成した。 2.室内・大気・水循環浄化 (1)ホルムアルデヒドなど種々のシックハウス物質の高効率・連続分解、(2)ppbオーダーの窒素酸化物の光触媒酸化除去、(3)水系環境ホルモン物質ビスフェノールAの光触媒分解が可能であった。ペーパー触媒は粉末と比べて格段に取り扱い易く、回収が容易で繰り返し利用も可能、また繊維ネットワーク構造を保つことで見かけの光触媒効果を高い水準で維持など、種々の実用機能に秀でている。 3.繊維ネットワーク反応場の効果 (1)ゼオライト吸着剤の分子ふるい効果を利用した汚染物質の局所的濃縮・分解促進効果の発現、(2)吸着剤・金属酸化物の配合による触媒被毒物質除去・中和効果、(3)反応中間体捕捉効果による安全・安心な局所的分解、(4)元の触媒性能を上回るネットワーク担持触媒の空隙構造効果など、光触媒単独あるいは粉末混合では得られない、ペーパー構造特有の効果を見出した。ペーパー構造が固体触媒の好適な反応場を提供していると考えられる。 4.今後の展開 粉末状固体触媒のペーパー成型と光浄化に関する成果は、物質・エネルギー生産プロセスなどの触媒工業への展開が期待される。 続きを見る
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Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of DnaAドメインIVを用いた新規抗菌剤の探索開発プロセスの研究 — STUDY ON RATIONAL DEVELOPMENT OF NOVEL ANTIBIOTICS TAGRETING DnaA DOMAIN IV
片山 勉 ; KATAYAMA Tsutomu
研究期間: 2001-2004
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概要: 多剤耐性菌の出現や、新興感染症が次々と発生するなど、新規抗菌剤への社会的需要は高い。DnaA蛋白質は細菌類に広く保存されており、染色体の複製に必須である。DnaA蛋白質(52kDa)のC末端10kDa断片に、この特異的DNA結合能が担われていて、ドメインIVと呼ばれる。DnaA機能阻害剤開発のため、本研究計画前半では、このドメインIV蛋白断片を用いて、活性スクリーニング系の開発、3次元構造解析をまず目指すことにしている。実際、大量生産株を作成し、このドメインのみからなる蛋白断片の精製に成功し、かつ、このドメインIV蛋白には、特異的DNA結合能があることを証明した。さらに初めて、NMRによる構造解析を行い、DnaAドメインIVの^1H,^<13>C,^<15>Nの化学シフトを同定し各アミノ酸残基の帰属も決定した。この成果に基づき、DnaAドメインIVの溶液中での2次構造の決定に成功した。さらに並行して、X線結晶解析による構造解析を行うため、この蛋白ドメインとDNAとの複合体の結晶化を進めて、共結晶の2.5Å解像度での放射光回折データを得、さらに、重元素置換型結晶解析と構造計算を進め、3次元構造を解くことに成功した。この成果により、DnaAタンパク質とDNAとの相互作用機構が分子原子レベルで解明された。以上のような研究進展にあわせて、阻害剤のスクリーニングを行い、新規薬剤候補となる分子を見出した。以上のことから、本研究ではDnaAドメインIVの機能構造解析に基づき理論的に薬剤を選別し、新規抗菌剤の開発研究へと展開するシステムの確立に成功した。 続きを見る
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Cover image of アポトーシス抵抗性神経幹細胞の分化・増殖および神経機能再生能への応用に関する研究 — Study of differentiation of apoptosis-resistant nerve stem cells and their application to neuroregeneration
吉田 裕樹 ; YOSHIDA Hiroki
研究期間: 2001-2002
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概要: 本研究の目的は、アポトーシス抵抗性神経幹細胞による神経機能再生を念頭に置き、Apaf1欠損神経上皮細胞の分化を解析することである。ニューロンの分化過程における細胞死の制御機構を解析する目的でApaf1、Bcl-xl両分子を欠損するマウスを作成した。両遺伝子欠損胎仔においては、Apaf1単独欠損マウスと同様に脳の変形やアポトーシスの低下が見られ、分化過程における神経幹細胞のアポトーシスはBcl-xlには影響を受けずApaf1により制御されていることが明らかにされた。 一方、我々は神経幹細胞を含む胎生期マウス未分化神経上皮細胞の培養系において、BMP2がLIFと相乗的に作用してアストロサイトへの分化を促進することを示してきたが、本研究ではBMP2が単独で神経上皮細胞の分化をアストロサイトへと運命付けることを明らかにした。すなわち、BMP2は抑制性HLH因子の発現を誘導し、ニューロン分化に促進的に働くbHLH転写因子の機能を阻害することによって神経上皮細胞のニューロンへの分化を抑制することを示した。 損傷脊髄などでは内在性あるいは移植された外来性神経幹細胞の分化は、グリア系細胞へと誘導されることが示されており神経機能再生における大きな問題点となっている。さらに、移植された神経幹細胞生着率が低いことも問題点となっている。Apaf1欠損胎仔より得た神経幹細胞は、さまざまなアポトーシス誘導刺激に対して細胞死抵抗性を示した。しかしながら、遺伝子欠損胎仔において神経の分化は正常に生じることが確認されている。今回得られた結果は、アポトーシス耐性の細胞を用いて生着率を高め、さらにニューロン分化抑制性因子のシグナルを阻害する因子を用いて、神経幹細胞の分化のバランスをニューロン側へと傾けることによって損傷したニューロンの再生を図るという新規治療法開発へとつながる可能性をもつと考えられる。 続きを見る
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Cover image of 民族文化の境界領域に関する文化力学的研究--中国西域少数民族の場合 — Cultural Dynamics of Ethnic Boundaries-a case of minority peoples in Chinese West
丸山 孝一 ; MARUYAMA Koichi
研究期間: 2001-2004
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概要: 本研究の目的は次の5点に集約することが出来る。 1.民族研究の文化力学的理論化 2.文化力学の基礎的エスノグラフィックな研究 3.中国民族関係の実体論的研究 4.家庭内における民族教育の通文化的研究 5.変貌期における民族間関係論の研究 1.および2.において「文化力学」とは、近年中国において台頭してきた中華民族概念を中心として諸少数民族文化の関係性を問題とする。すなわち、56の民族を包括する概念としての「中華民族」が中国ナショナリズムの求心力によって統合的に顕在化するようになった。その一方では、一部の少数民族が伝統的多様性を遠心的に保持しようとしている。このような中国における漢民族あるいはナショナリズムの文化指向性は部分的に少数民族の文化のベクトルを相反する方向性を持ち、そこに文化のダイナミックスが見られる。3.については、より具体的にシボ族について記述分析した。4.については、国民教育と少数民族教育とを対比しつつ通文化的に考察しようとする今後の研究意図から、本研究でその基礎的資料を収集することが目的であった。今後発展させたい研究領域である。最後に5.は民族主義とナショナリズムの関係を、社会経済的変換期における葛藤状況の中で捉えた。少数民族文化の持続可能性は、国家政策により国語教育を強制して困難に陥るのみならず、漢民族との通婚増加傾向によっても徐々に、しかも確実に危機化しつつある。 続きを見る
5.
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Cover image of 中南米の民主国家建設における先住民文化運動の役割 — The Role of Indigenous Peoples in Rebuilding Democratic Nations in Latin America
太田 好信 ; OTA Yoshinobu
研究期間: 2001-2003
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概要: 本研究では、グアテマラ、ニカラグア、メキシコ、ならびにボリビアにおける国家と先住民社会との関係が、それぞれどのように変貌をとげているのか、具体的に実地調査をとおして明らかにした。まず、研究代表者と研究分担者は、中米のグアテマラ共和国で集中調査をおこなった。1996年末に和平合意が達成され、内戦が「軍による民族虐殺(ジェノサイド)」であったという判断がくだされた。ここでの課題は、過去の記憶-マヤ民族の虐殺-をどう対処し、民主国家へと向かうかという問題である。政治と文化の境界領域でも、過去の記憶を回腹する実践があった。たとえば、秘密墓地の発掘が一例である。 飯島と狐崎は、そのような文化と政治の境界線に注目した調査をニカラグア、メキシコ、ボリビアでおこなった。具体的には、飯島はニカラグアの法令445号が大西洋岸の先住民に与える影響を調査した。さらに、飯島はメキシコのサパティスタ運動は、政府との交渉が頓挫しているが、これまで以上に「政治的自立」が彼らの主張の大きな部分を占めるようになったことを明らかにしている。狐崎はボリビアで、政府の対外政策に敵対する先住民運動がボリビアのナショナリズムに回収局面について注意を喚起している。とくに、グアテマラから報告されたケースと比較し、ボリビアではいまだに先住民運動が対外政策に利用される歴史が不変であることに驚きを覚える。 本研究では、これらの4か国における先住民運動の展開を比較検討したが、共通点として人権や内戦被害の補償という政治的主張が文化により正当化される傾向がより顕著に見られることである。これは、近年地球規模で見受けられる傾向として注目に値する。イスラムという政治的アイデンティティも、目的や方向は異なるものの、きわめて類似した傾向である。 続きを見る
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Cover image of ベトナムにおける攪乱をうけたマングローブ林の更新動態の分子集団遺伝学的研究 — Molecular population genetic study on regeneration processes of disturbed mangrove forests in Vietnam
舘田 英典 ; TACHIDA Hidenori
研究期間: 2001-2003
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概要: マングローブは熱帯、亜熱帯の感潮帯に生育する樹木群で、その森林面積は世界全体で2億ヘクタールを占めるとされる。本調査ではベトナム戦争による攪乱後、天然更新によって回復しつつあるベトナムのマングローブ林において、その生態系の構造を調べ、更に分子集団遺伝学的方法を用いて構成樹木集団の遺伝的変異を解析し、環境適応の様子と、更新の動態を解明する。これにより、天然更新のメカニズムを最大限に利用したマングローブ林生態系の再生修復の方法を検討した。 1.マングローブの更新動態については特にマングローブ根系の炭素蓄積の過程に注目し、北部Nam dinhおよびThai binhに調査区をもうけ、マングローブ林の土壌中の炭素量を測定した。その結果マンゴローブ林では多量の炭素が土壌中に蓄積されており、その量は潮汐頻度および林齢に大きく依存することが明らかになった。 2.遺伝的変異量については北部Don rui, Xuan thuy、中部、Canh duong,南部Can Gio, Vinh loi, Ngoc hienでヒルギダマシおよびメヒルギの葉のサンプルを採集し、AFLPおよびマイクロサテライトマーカーを用いて遺伝的変異を解析した。ヒルギダマシについては変異量は他の地域と比較して少なかったが集団間の遺伝的分化の程度は大きかった。メヒルギは南部と北部で遺伝的に大きく異なり、北部の集団は西表島のメヒルギとの関連が見られた。また南部のものはボルネオのものと関連しており、それぞれ別種であると見なすのが妥当であると考えられた。遺伝的変異量は北部では大きく、南部では小さかった。 また葉緑体にコードされるMatKを含む領域(全長3kb)の配列を、系統が離れておりまた移動に関する形質等が異なる三種(上記二種とヒルギモドキ)で、北部、中部、南部の集団について解析した。その結果、種によって集団間分化の状態や変異量に大きな違いがあることを明らかにした。 続きを見る
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Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 東南アジア熱帯樹木種の遺伝学的研究のためのDNAデータベース作成 — Internet based DNA database for genetic studies on tropical species from South Eastern Asia
SZMIDT Alfred Edward ; SZMIDT Alfred edward
研究期間: 2001-2003
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概要: このプロジェクトの目的は、アジアに分布する生態的・経済的に有用な樹木の自然集団のDNAサンプルに関し、データベースを構築し、インターネット上で公開することである。データベースには分類、採集地、サンプルの状態などが明記してある。インターネットを介した通信販売のように、検索と注文ができるシステムになっている。データベースに登録してあるDNAサンプルは、利益が目的でない科学者であれば規定の信任状を確認の上、誰にでも送料のみで配っている。データベースは私達の研究室で管理している以下のウェブサイトからアクセスできる。 http://genetics.biology.kyushn-u.ac.jp. アジアには莫大な数の樹種が現存している。そのため全ての樹種について研究することは不可能であるし、また不必要である。そこで私たちは、材木、燃料、繊維、果実として特に生態的・経済的に有用な樹木に焦点を当てている。これまで、このような樹木はアジアのそれぞれの国で同定されてきた。特に私達はBambusa、Calamus、Rhizophora、Dipterocarpus、Shorea、Tectona属の収集に力を注いだ。またサンプルは日本、マレーシア、タイ、中国、インド、スリランカ、ベトナム、セイシェル諸島、マダガスカルから採集されたものである。これまでデータベースにはアジアとマダガスカルからの200種2000個体以上のサンプルが登録されている。最近、スウェーデンとロシアの科学者との協力で、アジアに分布するカラマツ属の全種の唯一のサンプルコレクションを手に入れた。これらのサンプルについて、現在データベースに入力中であり、今年の後半に公開する予定である。 このプロジェクトについて3人の修士課程の学生と2人の学部生が研究した。 続きを見る
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Cover image of 東アジア(中国・朝鮮・日本)における血栓症発症要因の探索と血栓症の治療 — Risk Factors for Asian Thrombophilia
濱崎 直孝 ; HAMASAKI Naotaka
研究期間: 2001-2002
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概要: 本研究期間はH13-14年度で本年度は最終年度であった。非常に良い成果が出たので、下記に成果を列挙する。 1.我々は1994年から今日まで、約1000名の血栓症を疑われる患者の凝固関連諸因子の機能を網羅的・系統的に検索し機能異常分子の全遺伝子配列を解析しその遺伝子背景を明らかにしている。H13-14年度では約100症例について解析した。 2.その結果を分析してみると、日本人ではProtein S凝固制御系因子の分子異常が血栓症の非常に強い危険因子であることが判明した。 3.中国、タイの両国から約50名づつの健常人の血液サンプルとDNAを入手解析したところ、凝固制御因子に関連した遺伝子多系の種類、発生頻度が日本人の場合と同様であり、欧米人とは明らかに違うことが判明した。 4.韓国からのサンプルは諸般の事情で入手不可能であった。また、中国、タイの両国の血栓症患者の検体の解析は結論を出すには少々数が少なかったので、継続して調査することにした。 5.凝固制御因子に関連した遺伝子多系の種類、発生頻度の罰査から、日本人を含むアジア人では、欧米人の血栓性素因とは全く違い、日本人ではProtein S凝固制御系因子の分子異常が血栓症の非常に強い危険因子であることを明らかにした。 現在、我々はこの結果を踏まえてProtein S分子の高次構造変化を利用した治療薬の開発を試みている。 続きを見る
9.
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Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of カント哲学における判断と存在の関係について — The Relationship between Judgment and Being in Kant's Philosophy
圓谷 裕二 ; TSUBURAYA Yuji
研究期間: 2001-2003
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概要: 本研究の目的は、カント哲学における判断論を、彼の超越論的哲学の全体の中に位置づけながら考察し、それを通して、判断と存在の根源的な関わりを明らかにすることである。従来のカント研究においては、カントの判断論は、『純粋理性批判』の一部門である「超越論的分析論」に限定して論じられる傾向が強かった。しかしながら、理論哲学に限定した解釈は、カントの判断論のもつ哲学的意義を捉え損なうものである。本研究においては、「分析論」に偏向したカントの判断論の解釈の限界を次の二つの視点から批判することによって、カントの判断論のもつ存在論的意義を際立たせることにしたい。 第一の視点は、判断論を「分析論」にのみ位置づけるのではなく、それを、『純粋理性批判』の「弁証論」をも視野に収めながら捉え直すことによって、判断と「理性」、ないし判断と「理念」との深い関わりを明らかにする。すなわち、或る判断は、他の判断から孤立して成立しうるものではなく、判断相互の関係性において、さらには、理念的全体性との関係性においてしか成立しえないものである。カントのこの洞察を手がかりに、カントの判断論のもつ理念的ないし存在論的意義を明らかにする。 第二の視点は、『判断力批判』の趣味論や芸術論における反省的判断力の在り方に着目することによって、自然の生動性と多様性の表現としての判断の意義を浮き彫りにする。美の鑑賞や創作に関わる判断についての考察は、判断論を第一の視点における全体的理念との関係という側面のみならず、さらには、判断のもちうる創造的側面にも光を当てることになろう。 続きを見る
10.
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Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 宗教とモダニティの関係についての総合的研究-世俗化論を超えるために — General Study on Religions and Modernity
竹沢 尚一郎 ; TAKEZAWA Shoichiro
研究期間: 2001-2002
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概要: 本研究は平成13年から14年まで、2年間にわたっておこなわれた。宗教とモダニティの観点から各自が研究した成果をもとに、通算で5回の研究会を組織し、問題意識の共有と相互の理解を深めた。 平成13年度には、イギリス、フランス、タイ、日本における宗教とモダニティの関係に関して研究発表をおこなった。平成14年度には、ルーマニア、ドイツ、マレーシア、中国、インド、日本の事例について、研究発表をおこなった。これにより、イギリスとフランスなどの近代化の先進諸国、日本とドイツなどの後発近代化諸国、インド、マレーシアという西洋の植民地支配とともに近代化の進行した諸国、そして中国、タイ、ルーマニアという植民地化はされなかったが、近代化の遅れた諸国の事例を集めることができた。 この比較研究により明らかになったのは、以下のことである。先進近代化社会としてのイギリスとフランスにおいては、19世紀後半には世俗と宗教の対立が深まったこと。日本とドイツ、ルーマニアといった後進近代化社会においては、近代化の過程で宗教とナショナリズム、ファシズムが密接に関係しながら社会の支配的イデオロギーを構成したこと。また、マレーシアやインドなど、西欧諸国の植民地支配を受けた国々では、本国における宗教政策と、現地における宗教運動および宗教研究の相関を考慮すべきこと。 本研究の過程で、宗教概念とモダニティの概念が、相反すると同時に相関するものであることも明らかにされた。それゆえ宗教とモダニティの関係を考察することは、これら両概念のより深い理解につながることが確認された。 また、宗教研究を深化させるために、儀礼、聖なるもの、世俗化、憑依、宗教実践、民俗と主教、植民地と宗教、宗教統制などの諸概念について、批判的な検討をおこなった。以上により、宗教研究のこれまでにない広がりと深まりが実現されたと確信している。 続きを見る