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1.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 組み立て方式遮音壁の性能評価に関する研究 — A Study on the Performance Evaluation of an Assembled Noise Barrier
堀内, 章司 ; Horiuchi, Takashi
学位授与年度: 2008
学位授与大学: 九州大学
学位: 博士(芸術工学)
学位種別: 課程博士
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概要: 遮音壁は、わが国における道路交通騒音の一般的な伝播経路対策であり、一般的に現地組み立てによって設置される。その構成部材として、殆どは面材として分割された遮音パネルであり、遮音壁の減音性能を左右するのは遮音パネルによるところが多い。次に現行の遮音壁における問題点を挙げる。1つ目は音響性能とその評価方法の問題点である。遮音パネルの性能評価基準値として音響透過損失が設定されている。しかし測定時には、パネル間の継ぎ目に粘土等を覆って設置するのが通例となっている。また、ポリカーボネイト板(板厚5mm)など旧型の透光板は低剛性で音響透過損失も小さいため、高い壁に採用される場合では、パネル放射(音響透過)の影響が懸念される。2つ目は遮音壁構造の問題点である。遮音壁の必要性能を満足するためには、遮音パネルが隙間無く設置されていることが前提だが、その継ぎ目には隙間埋めなど特別な処理は施していない。その結果、遮音壁の現地設置構造は隙間からの漏洩音が懸念される。さらには、性能評価時と現地施工時の設置状態は合致しているとは言いがたく、性能評価結果が現地施工時に期待できるか疑問である。3つ目は設置に対する問題点である。一般的に遮音壁の設置は建設工事と変わりなく、施工業者も音響の専門家では無い工事業者が行うことになる。結果として、遮音壁の音響性能を無視した施工をされる可能性は否めない。これら問題解決の第一段階として、問題の根本となる組み立て方式の遮音壁構造による性能劣化要因について着目し、要因に対する影響を検討する必要がある。そこで本論文では、組み立て方式遮音壁の主な性能劣化要因として、性能劣化の影響が大きいと想定される a)隙間からの漏洩、b)パネル放射に着目する。本論文では2つの性能劣化要因について、フィールド調査・数値解析・模型実験といった観点から検討を行い、性能劣化が生じる場合の性能評価について検討を行うことを目的とする。次に本論文の構成を示す。第2章では、既設の遮音壁に設置された遮音パネルを対象としたフィールド調査を行い、既設遮音壁における隙間と音響性能の関連性を考察する。第3章では、数値解析で適用する2次元境界要素法(BEM)と、BEMと有限要素法(FEM)の結合解法について定式化を説明する。第4章では、遮音壁構造を対象とした2次元BEMを用いて、パネル間に発生した隙間による性能劣化を検討する。第5章では、結合解法を用いて、隙間に加えてパネル放射音も考慮した場合の遮音壁の性能劣化を検討する。また模型実験を行い、数値解析手法の妥当性を示す。さらに、道路交通騒音に対して遮音壁の性能劣化について示す。最後に、パネル放射に対する遮音壁の性能改善について、一手法を提案する。第6章では、これまでの内容をまとめ、今後の課題と展望を示す。 続きを見る
2.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 大臼歯の萌出と石灰化に関する研究
平野, 克枝 ; Hirano, Katsue
学位授与年度: 2009
学位授与大学: 九州大学
学位: 博士(歯学)
学位種別: 課程博士
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概要: 本研究は,大臼歯の萌出と石灰化に関するものである。第一章では「咬合の鍵」である第一大臼歯に着目し,その石灰化と萌出の左右差について検討を行った。また第二章では,第二大臼歯の石灰化遅延と第一大臼歯との関連について検討を行った。いずれも,1998年~2006年の9年間に九州大学病院小児歯科を受診し,パノラマエックス線写真上で上下顎とも両側の第二乳臼歯が完全萌出している小児476名を対象とした。資料はパノラマX線写真のみとし,今回独自に設定した萌出位置の判定基準と,Gleiser & Huntが設定した石灰化段階を指標に解析を行った。歯胚位置の左右差は,萌出の促進あるいは遅延が片側性に生じたものといえる。また,歯の萌出は歯根の石灰化とともに進行していくことから,一般に萌出の遅れは石灰化の遅れに起因すると考えられている。第一章より,第一大臼歯の歯胚位置の左右差は全体の13.2%で認められ,最も差が認められたのは萌出期である6歳の21.3%であった。しかし第一大臼歯の石灰化の左右差は全体の7.4%に過ぎず,最も差が認められたのは同じく萌出期の6歳で12.4%であった。この結果は,第一大臼歯の萌出遅延は,石灰化遅延以外の要因によっても生じうることを示唆している。本研究ではその要因を明らかにすることはできなかった。しかし今回の結果から,たとえ第一大臼歯歯胚の石灰化に左右差が認められない場合であっても,左右どちらかの萌出が遅延する可能性を念頭に,経過観察を行う必要があるといえる。また,萌出位置に左右差を認めた年齢は上顎では8歳まで,下顎では7歳までであった。小児歯科臨床では 第一大臼歯の萌出が片側性に遅延し,位置に左右差が認められる症例をしばしば経験する。その原因が臨床的に特定できない場合,病的な遅延か,あるいは一過性の遅延かの判断は難しい。明らかな異常所見を認めない症例を対象とした本研究結果から,上顎では9歳まで,下顎では8歳までを経過観察の時期とし,その時点で左右差が解消されない場合は,積極的な萌出誘導も検討するという基準を提示することができた。第二章より,第二大臼歯の石灰化遅延は,上顎で3.9%,下顎で2.0%,全体で4.6%の症例で認められることが明らかとなった。このうち,第一大臼歯にも萌出や石灰化の左右差が認められるものは半数であった。これまで第一大臼歯の石灰化遅延の頻度に関してはいくつか報告がなされてきたが,第二大臼歯に関しては不明であり,本研究で得られた第二大臼歯の石灰化遅延の発生頻度は,第一大臼歯のそれと近似していた。以上のことより,同じ大臼歯群である第一大臼歯と第二大臼歯の石灰化遅延歯ほぼ同じ頻度で発生すると考えられ,両者の間には発生過程で何らかの関連性があることが示唆された。 続きを見る
3.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of A Study on Non-Photorealistic Rendering Technique for Visualization of Dyeing Cloth — 布染色系ノンフォトリアリスティックレンダリングに関する研究
森本, 有紀 ; Morimoto, Yuki
学位授与年度: 2007
学位授与大学: 九州大学
学位: 博士(芸術工学)
学位種別: 課程博士
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概要: コンピュータグラフィックス(Computer Graphics: CG)の研究分野ではこれまでに写実的な表現ばかりでなく、非写実的な表現(Non-Photorealistic Rendering: NPR)も様々な目的に応じて研究されている。このNPRでは水墨画や水彩画、油絵などの絵画調表現が行われている。染め物を題材とした研究としては2004年にろうけつ染めの表現手法が提案されているのみである。本研究は、NPRにおいて画材としての布染色モデルを確立することを目的としている。 布への染料拡散の視覚的特長としては糸毎に現れるすじや場所は隣り合っていても色の濃淡がまだらに現れているものなどがあげられる。これらは糸内での拡散が糸の材質や縒り方、繊維の方向などによって影響を受けるために起こると考えられる。このように様々な物理的要因によって染色の視覚的特長が引き起こされている。本研究では実際の染色過程、染色技法、布の織構造などの機能を、appearanceベース、physicsベース、そして染色理論ベースの三つの異なるモデルとして提案する。appearanceベースのモデルでは、布繊維内での染料量をセルオートマトンによって時間軸に沿って平均化していくことによって拡散のシミュレーションをしている。このモデルはシンプルであるため、比較的処理が高速にできるという特徴がある。physicsベースのモデルでは織布中での染料の拡散をFickの法則に基づき表現している。更にphysicsベースによるモデルを染色理論に基づきパラメータ化したモデルでは、織構造や染料の種類などが染料の拡散に影響を与えるモデルへと発展している。このモデルでは布内のパラメータとして繊維の空隙率を表した多孔度や繊維のねじれを表す屈曲度などを用いており、このようなパラメータを操作することによって染色の視覚的特徴を表現することができる。他に、染色表現に重要な因子として、布の織り構造、布の一部に糊や蝋を置いたり糸で縛ったりすることによって染料の拡散を防ぐことで模様を表現する防染技法、染料の布への吸着などの要素をモデル化する方法を提案している。実験結果によると本研究で提案する染料拡散手法が模様を生成するための染色技法を柔軟に考慮できることができることがわかる。 続きを見る
4.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of Ergonomics of human land locomotion with load carriage — 重量負荷を用いたヒトの陸上移動運動に関する人間工学的研究
安陪, 大治郎 ; Abe, Daijiro
学位授与年度: 2007
学位授与大学: 九州大学
学位: 博士(芸術工学)
学位種別: 課程博士
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概要: 重量物を運搬歩行するときのエネルギーコスト(Cw; ml/kg/meter)を単位距離当たりで評価した場合、エネルギーコストは必ずしも運搬物の重量に比例して増大するわけではなく、体重の約10-20%程度の重量が代謝に反映されない場合があり、これまでそのような現象はfree-rideと呼ばれてきた。本研究の前半部では、free-rideの発生メカニズム解明のために、負荷重量、付加部位、歩行速度、傾斜の影響について検討した。また、ランニングでもfree-rideが観察できるかどうかについては諸説ある。ランニングでは重量物を身体に付加することによって、下肢筋群の筋・腱複合体が適度に引き伸ばされ、「弾性エネルギー」と呼ばれるバネ作用の恩恵を受けることが出来る。つまり重量物を身体に付けてランニングすると、弾性エネルギーをより多く利用できるため、無負荷の場合に比べて走行中のエネルギーコストが低下し、結果的にfree-rideが発生するという説と、重量物による下肢筋群への過剰負担のために、free-rideは発生しないとする説が対立していた。そこで本研究の後半部では、筋電図法を用いてランニング中の弾性エネルギー利用度を測定する方法を確立すると共に、ランニングにおけるfree-rideの有無とメカニズムについて検討した。本研究で得られた主な結果は、1) free-rideは背中に重量物を配置し、低速度で歩行した場合に観察された。2) 歩行において最もfree-ride効果が高いのは、体重の15%に相当する重量物を背中に配置した場合であった。3) 背中の上部と下部に体重の15%相当の重量物を配置した場合、60-80 m/minで後背上部に配置した方が下部に配置した場合に比べて有意にCw値が低かった。4) ランニングでもfree-rideを観察することができた。5)弾性エネルギーの再利用がエネルギーコストと有意な負相関を示した。これらの結果から、歩行におけるfree-rideは、身体重心と付加重量物の相対的位置関係に起因する「身体重心周りの回転トルク」によって発生するが、同時に重量負荷による下肢への過剰負担によってその効果は漸減し、およそ80m/min付近で消滅すると結論した。また、本研究では平地および下り坂ランニングにおいてfree-rideが観察できることを確認した。このメカニズムは重心周りの回転トルクではなく、弾性エネルギーの再利用に起因することが示唆された。 続きを見る
5.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 映像編集におけるショット間の継時的群化の要因 — The Factor of Grouping Shots in Time Series about Movie Editing
井上, 貢一 ; Inoue, Koichi
学位授与年度: 2007
学位授与大学: 九州大学
学位: 博士(芸術工学)
学位種別: 課程博士
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概要: 本論文は、映像情報のデザインという観点から、ショット(映像断片)の「つながり」、すなわち「継時的群化」について、その要因を整理するとともに、主要な要因に関する実験的な検証を行ったものである。 その結果、解釈のレベルにおけるショット間の継時的群化に関する議論は、大きく以下の3点に集約された。1)情報量を小さくするようなショットの構成が認知的負荷を下げ、ショット間の「つながり」に貢献すること。2)「他動詞」の喚起を伴う「アクションとリアクション」の接続がショット間の関係理解(情報処理)を効率化すること。3)映像上に現れる「人・顔(目)・手」といった素材が、「他動詞」を喚起する契機として重要であること。 先行ショットの文脈効果(プライミング)によって後続ショットの範列を制限し、エントロピーを下げること、そして、後続ショットを予測の範囲内に送りだすことで結果的に情報量を下げること。ショット間の継時的群化には、認知的負荷の少ない、より簡潔な解釈を可能にするショット間の構成が重要であることがわかった。 特に、「古典的ハリウッド」における編集の基本といわれる「アクションとリアクション」の構成は、因果印象という効率的な解釈を生起させる点で、ショット間の継時的群化に貢献する重要な要因のひとつであると考えられる。 「見る」、「撃つ」、「照らす」は 後続ショットを目的語としてつながり、「開ける」、「出す」、「振る」などはその行為を契機として後続の出来事に結びつく。ショット間に強固なつながりの印象を与える「アクションとリアクション」の関係には、そのような「他動詞」の喚起が不可欠である。そして、そのためには、人間の顔(目)や手が生み出す「(意識の)動き」を映像化することが重要な要件となる。 そこに「人」がいて「(意識の)動き」がある。この最も日常的な現象の映像化が、「因果印象」という、やはり最も日常的な時空間の「つながり」に貢献する。 続きを見る
6.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of A Study on the Design Development of Electric Fan for Home Use in Japan — 我が国における家庭用電気扇風機のデザインの変遷に関する研究
平野, 聖 ; Hirano, Kiyoshi
学位授与年度: 2007
学位授与大学: 九州大学
学位: 博士(芸術工学)
学位種別: 課程博士
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概要: 明治時代,先進諸国から一般家庭用の電気扇風機を導入するに当って,我が国メーカーは卓上型を選択した。既に欧米では主流であった天井扇については,気候・風土や家屋の構造上の相違によって,当初より我が国一般家庭に定着する兆しはなかった。まず,輸入された卓上型を手本に開発を進めた大企業の存在があった。それとは別に,江戸時代以来の職人技をもって独自の開発を試みた町工場がかなりあった。手動扇風機を含めたこれらの製品が明らかにしている職人の技術力が,「モノ作り日本」の潜在的な能力を表している。大正時代及び昭和の戦前期には,扇風機が富裕層を中心に普及を遂げる。ただし,普及当初は扇風機の貸付制度を利用する市民が多かった。これが,扇風機をステイタスシンボルとして機能させることとなり,富裕層の所有欲をますます掻き立て,さらには庶民にとっては「文化生活」を代表するあこがれの製品としての地位を占めることとなり,やがて家電ブームの牽引力となる。大正時代半ばには扇風機の基本形,すなわち「黒色,四枚羽根,ガード付き,首振り機能付き」が完成している。それとともに,当時の我が国扇風機のデザイン開発における特徴は,ガードが独立化を果たしたことである。当初は危険防止の機能上必要とされたガードが,やがてモデルチェンジをアピールする役割を担うこととなる。形態上は,エトラ扇(幅広三枚羽根)の採用を例外として,扇風機の大きな変化は見られない。機能的には細かな改良を頻繁に行い,扇風機から自然に近い風を引き出すかに意を砕いている。戦後の1,950年代までは,扇風機が一般市民層にも幅広く普及した時代に相当する。戦前と大きく変化したのは,その色彩についてである。戦前までは,「黒色」以外存在しなかったと言っても過言ではなかった。それが,進駐軍のデペンデントハウス導入を機に,一転してカラフルなものに変わった。一方,この時代機能的には首の伸縮が追加され,応接間では床上にフロア扇として,茶の間では畳の上で卓上扇として使用する,一台二役の「お座敷扇」が登場する。扇風機用ガードを独立させてデザイン開発を行うことは,我が国特有の現象であるように見受けられる。戦後には極めて多数のガードが意匠登録出願され,各社の扇風機のデザインにおけるバリエーション展開の豊富さや,モデルチェンジの頻度についての示唆を与えるものとなっている。 続きを見る
7.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of Research on design evaluation system that pays attention to value of Kansei — 感性価値に着目したデザイン評価システム構築に関する研究
曽我部, 春香 ; Sogabe, Haruka
学位授与年度: 2008
学位授与大学: 九州大学
学位: 博士(芸術工学)
学位種別: 論文博士
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8.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of A Study on the Classification of Moving Units for Facial Expression Robot : Proposal of Moving-Unit for Animatronics — 顔表情ロボットにおける駆動ユニットの分類に関する研究 : アニマトロニクスのためのムービングユニットの提案
權, 泰錫 ; Kwon, Taisuck
学位授与年度: 2008
学位授与大学: 九州大学
学位: 博士(芸術工学)
学位種別: 課程博士
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概要: 本研究はアニマトロニクスという映画やテーマパークなどで用いられるエンターテイメント用のロボット(アニマトロニクス)の顔表情の表現に関する研究である。ここでは、人間のように、顔表情の表現のできるロボットを、数少ない駆動ユニットを効果的に制御することにより、豊かな顔表情を実現するために、MU(Moving Unit;ムービングユニット)とその記述方法を提案し、実際の人間の表情と物理的及び心理的な測定を通して有効性について考察したものである。本研究では既存のエンターテイメント型のロボットの制作•制御等に使われている駆動ユニットやその記述方法等について分析し、その結果、Action Unit(AU;人間表情の記述方法の最小単位)の適用や表情筋を含む筋肉名称、動作部位、動作の描写などが混用して用いられていることがわかった。さらに被験者たちにAUで示される17種の基本的な動作をさせ、白黒濃度差法(Intensity Differences Method)によって顔の可動域分析の実験を行い、筋肉の動きに連動関係があることや一つの筋肉でも、複数のAUの組み合わせによるものがあることがわかった。これらの結果を踏まえ、人間の表情研究に用いられるAUやFACSをロボットの顔表情の制御に関連させてロボットのアクチュエータ制御のために新たにMUを提案した。MUは機械的な筋肉構造を考慮し、アクチュエータの作動を基盤にしたアニマトロニクスの顔表情及び、動作表現のための基本ユニットである。MUは全部で26個のMUグループで構成されるが、主要な19個のMUグループを用いて、62個のAUの表現が可能である。ここで提案するMUの有効性を検証するため、被験者(Aモデル)とこの被験者の顔を用いて制作したアニマトロニクス(Bモデル)の可動域を比較分析し、この提案した19のMUグループが効果的に作動していることがわかった。Aモデル、Bモデル、Cモデル(MUを用いて製作した顔筋肉アニマトロニクス)の代表的な基本表情(無表情、喜び、悲しみ、怒り、嫌悪、驚き、恐れ)に対してSD法による印象評価を行った。印象評価において人間の表情にほぼ近い形で物理的なMU制御の妥当性は見られるが、細部にわたっての制御に対してより繊細なムービングポイントの配置やロボットの表情の持つ記号的な意味解釈について更なる検討が必要であることがわかった。 続きを見る
9.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 日本における鉄骨構造建築の導入と発展過程に関する研究 : 官営八幡製鐵所の創設期から昭和初期における工場建築の設計と建設 — A Study on the Introduction and Development process of the Steel structure building in Japan : On the Design and Construction of Factory building in The Imperial Steel Works, Japan (The Japanese Government-controlled Yawata Steel Works )from the Period of the Foundation to the early Showa era
開田, 一博 ; Hirakida, Kazuhiro
学位授与年度: 2008
学位授与大学: 九州大学
学位: 博士(芸術工学)
学位種別: 論文博士
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概要: 明治34年(1901)に官営八幡製鐵所が福岡県遠賀郡八幡村(現在の北九州市八幡東区)で操業を開始したが、操業に先立って、官営八幡製鐵所では本格的な大規模鉄骨工場が建設された。本研究は①官営八幡製鐵所の操業開始時における鉄骨工場建築の建設の背景、②ドイツから導入した鉄骨構造建設技術、③その後の欧米からの鉄骨構造設計技術の移入、そして④わが国の技術者が国産第一号の鉄骨工場建築を設計し発展させた過程を明らかにするものである。なお、研究対象とした年代は明治34年(1901)から昭和初期までである。明治34年(1901)の官営八幡製鐵所の操業に先立って竣工した工場建築には現存する尾倉修繕工場などがあり、わが国における本格的な大規模鉄骨構造建築としては最初のものであった。しかし明治34年(1901)当時はわが国では鉄骨構造の設計能力および経験が不足していたので、工場建築の設計は、当時ドイツの有数の企業であったGUTEHOFFNUNGSH?TTE(グーテホフヌンクスヒュッテ)社(以下、G・H・Hと言う)に依頼された。そしてわが国では、この工場の建設にはドイツ人技術者に建設現場での現地指導を受けながら、機械技術者が工場建築の建設を担当した。以降、官営八幡製鐵所の鋼材生産も順調に推移するに従って、八幡製鐵所の自家鋼材を使用し、自分たちの設計、すなわち、国産による工場建設の気運が高まり、明治42年(1909)に官営八幡製鐵所職員「景山齊」によって、国産第一号となる「ロール旋削工場」が竣工した。この工場建築設計者の「景山齊」は京都帝国大学理工科大学機械工学科を卒業して間もない日本人機械技術者であったことが注目されるが、国産第一号の工場誕生の背景には、大学における鋼構造設計技術教育の充実があったことがうかがわれる。具体的には、明治42年(1909)頃は京都帝国大学理工科大学土木工学科教授の日比忠彦などが「建築雑誌」へ鉄骨構造に関する論文を掲載し、わが国の鋼構造設計技術を大きく発展させた時期であった。国産第一号の「ロール旋削工場」が製鐵所内外に与えた影響は大きく、国内での設計が可能と認められ、軍の工廠建築の設計などを依頼されるまでに発展していった。その後、国内の鉄鋼需要の高まりに伴って、官営八幡製鐵所では拡張計画が進められ、大正5年(1916)には鋼構造設計技術者の不足を補うため、国内技術力の向上に連動して、民間の横河橋梁製作所から鋼構造設計技術を有した建築技術者の招聘を行った。その結果、製鐵所内の多くの工場建築の設計は機械技術者に代わって、民間から招聘された建築技術者によって行われるようになった。大正10年(1921)には民間から招聘された建築技術者は退社し、以後、官営八幡製鐵所における工場建築設計は、建築技術者から土木技術者に移り、昭和9年(1934)の日本製鐵株式会社の設立まで土木技術者による設計が続いた。以上のことから、わが国の鉄骨構造建築の発展に関して次のことが明らかになった。第一に、官営八幡製鐵所において、明治34年(1901)の操業開始に先立つG・H・H設計の工場建築は、わが国最初の本格的な大規模鉄骨構造建築の始まりであった。そしてこれらの工場から始まって、明治42年(1909)の国産第一号工場の誕生に至るまでの鉄骨構造工場建築に関する主導的役割は機械技術者であった。第二に、明治42年(1909)の国産第一号工場の設計者は機械技術者である「景山齊」であった。彼が設計した時期は京都帝国大学土木工学科教授「日比忠彦」が建築雑誌に、当時最新の鉄骨構造の設計技術を掲載した時期と一致する。さらに国産第一号工場の竣工が軍関係の工場建築設計に至ったという事実があり、製鐵所内の技術が国内技術へと広がったことを示している。第三に、大正5年(1916)になると、鉄骨構造建築の設計が民間建築技術者の招聘によって、建築技術者に委ねられることになった。これは民間技術の普及の場ともなり、以後の土木技術者が担当したことも含めて、わが国の鉄骨構造技術発展に大きく寄与した。以上、本研究によって、官営八幡製鐵所における日本の鉄骨構造建築の設計・建設技術が欧米から移入され日本に定着していった発展過程について詳細な知見が得られた。 続きを見る
10.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 我が国における中等建築教育の確立に関する基礎的研究 : 大正末、昭和初期の文部省内と建築学会の検討活動を通じて — A Study on the Establishment of Middle Level Education on Architecture in Japan : Through the Activities by the Ministry of Education and Architectural Institute of Japan, the Later Taisho-era and the Early Showa-era
松永, 文雄 ; Matsunaga, Fumio
学位授与年度: 2008
学位授与大学: 九州大学
学位: 博士(工学)
学位種別: 課程博士
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概要: 本研究は我が国の建築教育、特に中等教育がどのような過程で確立したかを明らかにするもので、その対象を大正末に行われた文部省内の建築教育に係る委員会と昭和初期に建築学会内に設置された「実業学校程度ノ標準教科書」編纂委員会の審議(過程と内容)に求め、ここでの議論(調査を含む)をとおして、個別科目の実態でなく、総体としての建築教育に求められる姿を明らかにするものである。第1章では、研究の目的と方法を示し、研究の独自性を説明するだけでなく、技術の発展と社会の変貌が、必然的に新しい教育システムを要求し、これが技術の普及であるとの見解を示した。第2章では、社会の要請に応えるためには先端技術は一般化する必要がある。本章では明治の初期から末に至るまに刊行された代表的な書籍を取り上げ、その発刊の意図を導き出した。研究目的は、文部省と建築学会内で総括的に取り組まれた建築教育のあり方が検討される前の状況を明らかにすることにある。第3章では、今日と異なる教育体制が、明治期から誕生していたことを踏まえて、義務教育以降の職業教育を中心とする学校制度の実態を明らかにした。そして本章の統計資料の分析によれば、実際のところは実務中心の教育が数の上では絶対的多数を占め、この実務教育の需要からも一定のレベルの教育を教授する方法(標準教授要綱や教科書)の整備が焦眉の急であったといえる。また、生徒数の絶対的な増加により、実業学校の改正が行われ、教員資格が、当初の「学士」レベルに加え「検定試験」合格者を含むことを明らかになった。この結果は、誰が何処でも何時でも一定の教育を教授できる教科書及び標準教授要綱の存在を必然としたことを指摘した。第4章では、建築学会が教科書(案)編纂作業に取り組む前の時点での文部省内で検討された実業教育の具体的内容を明らかにした。実業学校は、本来設置される地域条件と連携して産業・経済条件に貢献することが目的であった(明治32年の実業学校令)。しかしながら、余りにも区々な教育システムは、効率性と新しい知識の教授に不都合を生じ、根本的な見直しが行われた。これが、大正9年の実業学校令の改正であり、建築教育について言及すれば、職業教育から技術者に変貌した時期に一致する。本章では、文部省内の委員会の活動と文献資料を通じて、それまでの工業学校規程類の変遷から、建築学における様々な科目名が集約され、今日の科目につながる過程も明らかにした。第5章では、学理追求機関である建築学会が、実業学校程度の教科書を刊行するために編纂委員会を設置した背景とそのカリキュラムの内容と確立過程を明らかにした。建築学会が中等建築教育の改善に関与した功績は、以下のようにまとめられる。・委員会の作業をとおして多大な分野に及ぶ建築教育のコンセンサスが得られた。・この時期に建築学の基礎(科目の種類とそれぞれの内容)が学会関係者の合意のもとに確立された。・学会での審議は、中等教育における建築教育の対象を技能者(クラフトマン)から技術者(フォアマン)、別の言い方をすれば、木工科から建築科への変化を確実なものにした。第6章では、建築学会が編纂した「標準教科書」の内容に準拠した書籍の発刊状況と内容及び著者について明らかにした。発刊の時期は学会が案を建築雑誌に発表した翌年の昭和5年から始まるが、これらを紹介している「図書紹介」では、昭和13年まで存在していた。また、建築学会の教科書案に準拠したとの説明以外に、実業(工業)学校卒業検定試験、(実業)工業学校教員検定試験問題を例題としたものがあり、教科書の機能だけでなく受験参考書の役割も持たされていた。資格化と教育の関係はこの時代から始まっていた。最後に、本研究の成果を今日の建築教育と関連付ける。・総合的視点からの建築教育建築学会が提案した標準教科書は、実業学校を前提としているために、時間数において普通・専門科目のバランス、枠の決められた中での各専門科目の配置(開設時期と開設時問)を前提としていた。したがって個々の科目の内容のみならず、所謂ソフトからハードに及ぶ多様な建築専門分野を等しい尺度で計り、各科目のあり方を捉えた点・姿勢は参考にされるべきであろう。現在、建築士の受験資格要件で教育の見直しが迫っており、この際、本研究で扱ったように、少なくとも我が国の建築教育は如何にあるべきかという高所からの視点が求められる。・最新技術の普及化技術は一般化することにより社会貢献できる。この命題は建築においても然りといえる。本研究知見は、高等建築学あるいは技術を如何に中等レベルへ移行させるかが関係し、「高度な内容を平易に教授する」に集約できる。今後どのような展開、換言すれば、複雑化した建築学全体を俯瞰し、建築教育のレベルをきちんと体系化する必要がある。その体系の中から、中等・高等教育機関が教授すべき科目とその内容を整備するべきであろうと考える。 続きを見る