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1.
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Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 環境汚染物質の効率的無害化を目指した吸着性光触媒無機シートの開発 — Preparation and Environmental Applications of Paper-like Photocatalyst Composites
北岡 卓也 ; KITAOKA Takuya
研究期間: 2001-2003
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概要: 地球圏全体から身近な生活環境に至る種々の汚染環境の改善に向け、酸化チタン光触媒の活用が注目されている。しかし、粉末状の無機触媒は取り扱いや実効性能の点で問題が多く、固定化法のイノベーションが希求されている。そこで、紙抄きの技術を応用し、粉末触媒を紙状成型した新規触媒材料「ペーパー触媒」の開発を試みた。 1.ペーパーの触媒の調整 (1)無機粉体を均質なシート状に成型する技術の確立(デュアルファイバー/デュアルポリマーシステム)、(2)アルミナゾルバインダーと焼成処理による100%無機シートの調製と実用強度の発現、(3)光触媒・吸着剤など無機粉末の種類を問わないペーパー設計(均質性・多孔性・2次加工性)を達成した。 2.室内・大気・水循環浄化 (1)ホルムアルデヒドなど種々のシックハウス物質の高効率・連続分解、(2)ppbオーダーの窒素酸化物の光触媒酸化除去、(3)水系環境ホルモン物質ビスフェノールAの光触媒分解が可能であった。ペーパー触媒は粉末と比べて格段に取り扱い易く、回収が容易で繰り返し利用も可能、また繊維ネットワーク構造を保つことで見かけの光触媒効果を高い水準で維持など、種々の実用機能に秀でている。 3.繊維ネットワーク反応場の効果 (1)ゼオライト吸着剤の分子ふるい効果を利用した汚染物質の局所的濃縮・分解促進効果の発現、(2)吸着剤・金属酸化物の配合による触媒被毒物質除去・中和効果、(3)反応中間体捕捉効果による安全・安心な局所的分解、(4)元の触媒性能を上回るネットワーク担持触媒の空隙構造効果など、光触媒単独あるいは粉末混合では得られない、ペーパー構造特有の効果を見出した。ペーパー構造が固体触媒の好適な反応場を提供していると考えられる。 4.今後の展開 粉末状固体触媒のペーパー成型と光浄化に関する成果は、物質・エネルギー生産プロセスなどの触媒工業への展開が期待される。 続きを見る
2.
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Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of DnaAドメインIVを用いた新規抗菌剤の探索開発プロセスの研究 — STUDY ON RATIONAL DEVELOPMENT OF NOVEL ANTIBIOTICS TAGRETING DnaA DOMAIN IV
片山 勉 ; KATAYAMA Tsutomu
研究期間: 2001-2004
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概要: 多剤耐性菌の出現や、新興感染症が次々と発生するなど、新規抗菌剤への社会的需要は高い。DnaA蛋白質は細菌類に広く保存されており、染色体の複製に必須である。DnaA蛋白質(52kDa)のC末端10kDa断片に、この特異的DNA結合能が担われていて、ドメインIVと呼ばれる。DnaA機能阻害剤開発のため、本研究計画前半では、このドメインIV蛋白断片を用いて、活性スクリーニング系の開発、3次元構造解析をまず目指すことにしている。実際、大量生産株を作成し、このドメインのみからなる蛋白断片の精製に成功し、かつ、このドメインIV蛋白には、特異的DNA結合能があることを証明した。さらに初めて、NMRによる構造解析を行い、DnaAドメインIVの^1H,^<13>C,^<15>Nの化学シフトを同定し各アミノ酸残基の帰属も決定した。この成果に基づき、DnaAドメインIVの溶液中での2次構造の決定に成功した。さらに並行して、X線結晶解析による構造解析を行うため、この蛋白ドメインとDNAとの複合体の結晶化を進めて、共結晶の2.5Å解像度での放射光回折データを得、さらに、重元素置換型結晶解析と構造計算を進め、3次元構造を解くことに成功した。この成果により、DnaAタンパク質とDNAとの相互作用機構が分子原子レベルで解明された。以上のような研究進展にあわせて、阻害剤のスクリーニングを行い、新規薬剤候補となる分子を見出した。以上のことから、本研究ではDnaAドメインIVの機能構造解析に基づき理論的に薬剤を選別し、新規抗菌剤の開発研究へと展開するシステムの確立に成功した。 続きを見る
3.
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Cover image of アポトーシス抵抗性神経幹細胞の分化・増殖および神経機能再生能への応用に関する研究 — Study of differentiation of apoptosis-resistant nerve stem cells and their application to neuroregeneration
吉田 裕樹 ; YOSHIDA Hiroki
研究期間: 2001-2002
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概要: 本研究の目的は、アポトーシス抵抗性神経幹細胞による神経機能再生を念頭に置き、Apaf1欠損神経上皮細胞の分化を解析することである。ニューロンの分化過程における細胞死の制御機構を解析する目的でApaf1、Bcl-xl両分子を欠損するマウスを作成した。両遺伝子欠損胎仔においては、Apaf1単独欠損マウスと同様に脳の変形やアポトーシスの低下が見られ、分化過程における神経幹細胞のアポトーシスはBcl-xlには影響を受けずApaf1により制御されていることが明らかにされた。 一方、我々は神経幹細胞を含む胎生期マウス未分化神経上皮細胞の培養系において、BMP2がLIFと相乗的に作用してアストロサイトへの分化を促進することを示してきたが、本研究ではBMP2が単独で神経上皮細胞の分化をアストロサイトへと運命付けることを明らかにした。すなわち、BMP2は抑制性HLH因子の発現を誘導し、ニューロン分化に促進的に働くbHLH転写因子の機能を阻害することによって神経上皮細胞のニューロンへの分化を抑制することを示した。 損傷脊髄などでは内在性あるいは移植された外来性神経幹細胞の分化は、グリア系細胞へと誘導されることが示されており神経機能再生における大きな問題点となっている。さらに、移植された神経幹細胞生着率が低いことも問題点となっている。Apaf1欠損胎仔より得た神経幹細胞は、さまざまなアポトーシス誘導刺激に対して細胞死抵抗性を示した。しかしながら、遺伝子欠損胎仔において神経の分化は正常に生じることが確認されている。今回得られた結果は、アポトーシス耐性の細胞を用いて生着率を高め、さらにニューロン分化抑制性因子のシグナルを阻害する因子を用いて、神経幹細胞の分化のバランスをニューロン側へと傾けることによって損傷したニューロンの再生を図るという新規治療法開発へとつながる可能性をもつと考えられる。 続きを見る
4.
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Cover image of 民族文化の境界領域に関する文化力学的研究--中国西域少数民族の場合 — Cultural Dynamics of Ethnic Boundaries-a case of minority peoples in Chinese West
丸山 孝一 ; MARUYAMA Koichi
研究期間: 2001-2004
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概要: 本研究の目的は次の5点に集約することが出来る。 1.民族研究の文化力学的理論化 2.文化力学の基礎的エスノグラフィックな研究 3.中国民族関係の実体論的研究 4.家庭内における民族教育の通文化的研究 5.変貌期における民族間関係論の研究 1.および2.において「文化力学」とは、近年中国において台頭してきた中華民族概念を中心として諸少数民族文化の関係性を問題とする。すなわち、56の民族を包括する概念としての「中華民族」が中国ナショナリズムの求心力によって統合的に顕在化するようになった。その一方では、一部の少数民族が伝統的多様性を遠心的に保持しようとしている。このような中国における漢民族あるいはナショナリズムの文化指向性は部分的に少数民族の文化のベクトルを相反する方向性を持ち、そこに文化のダイナミックスが見られる。3.については、より具体的にシボ族について記述分析した。4.については、国民教育と少数民族教育とを対比しつつ通文化的に考察しようとする今後の研究意図から、本研究でその基礎的資料を収集することが目的であった。今後発展させたい研究領域である。最後に5.は民族主義とナショナリズムの関係を、社会経済的変換期における葛藤状況の中で捉えた。少数民族文化の持続可能性は、国家政策により国語教育を強制して困難に陥るのみならず、漢民族との通婚増加傾向によっても徐々に、しかも確実に危機化しつつある。 続きを見る
5.
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Cover image of 中南米の民主国家建設における先住民文化運動の役割 — The Role of Indigenous Peoples in Rebuilding Democratic Nations in Latin America
太田 好信 ; OTA Yoshinobu
研究期間: 2001-2003
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概要: 本研究では、グアテマラ、ニカラグア、メキシコ、ならびにボリビアにおける国家と先住民社会との関係が、それぞれどのように変貌をとげているのか、具体的に実地調査をとおして明らかにした。まず、研究代表者と研究分担者は、中米のグアテマラ共和国で集中調査をおこなった。1996年末に和平合意が達成され、内戦が「軍による民族虐殺(ジェノサイド)」であったという判断がくだされた。ここでの課題は、過去の記憶-マヤ民族の虐殺-をどう対処し、民主国家へと向かうかという問題である。政治と文化の境界領域でも、過去の記憶を回腹する実践があった。たとえば、秘密墓地の発掘が一例である。 飯島と狐崎は、そのような文化と政治の境界線に注目した調査をニカラグア、メキシコ、ボリビアでおこなった。具体的には、飯島はニカラグアの法令445号が大西洋岸の先住民に与える影響を調査した。さらに、飯島はメキシコのサパティスタ運動は、政府との交渉が頓挫しているが、これまで以上に「政治的自立」が彼らの主張の大きな部分を占めるようになったことを明らかにしている。狐崎はボリビアで、政府の対外政策に敵対する先住民運動がボリビアのナショナリズムに回収局面について注意を喚起している。とくに、グアテマラから報告されたケースと比較し、ボリビアではいまだに先住民運動が対外政策に利用される歴史が不変であることに驚きを覚える。 本研究では、これらの4か国における先住民運動の展開を比較検討したが、共通点として人権や内戦被害の補償という政治的主張が文化により正当化される傾向がより顕著に見られることである。これは、近年地球規模で見受けられる傾向として注目に値する。イスラムという政治的アイデンティティも、目的や方向は異なるものの、きわめて類似した傾向である。 続きを見る
6.
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Cover image of ベトナムにおける攪乱をうけたマングローブ林の更新動態の分子集団遺伝学的研究 — Molecular population genetic study on regeneration processes of disturbed mangrove forests in Vietnam
舘田 英典 ; TACHIDA Hidenori
研究期間: 2001-2003
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概要: マングローブは熱帯、亜熱帯の感潮帯に生育する樹木群で、その森林面積は世界全体で2億ヘクタールを占めるとされる。本調査ではベトナム戦争による攪乱後、天然更新によって回復しつつあるベトナムのマングローブ林において、その生態系の構造を調べ、更に分子集団遺伝学的方法を用いて構成樹木集団の遺伝的変異を解析し、環境適応の様子と、更新の動態を解明する。これにより、天然更新のメカニズムを最大限に利用したマングローブ林生態系の再生修復の方法を検討した。 1.マングローブの更新動態については特にマングローブ根系の炭素蓄積の過程に注目し、北部Nam dinhおよびThai binhに調査区をもうけ、マングローブ林の土壌中の炭素量を測定した。その結果マンゴローブ林では多量の炭素が土壌中に蓄積されており、その量は潮汐頻度および林齢に大きく依存することが明らかになった。 2.遺伝的変異量については北部Don rui, Xuan thuy、中部、Canh duong,南部Can Gio, Vinh loi, Ngoc hienでヒルギダマシおよびメヒルギの葉のサンプルを採集し、AFLPおよびマイクロサテライトマーカーを用いて遺伝的変異を解析した。ヒルギダマシについては変異量は他の地域と比較して少なかったが集団間の遺伝的分化の程度は大きかった。メヒルギは南部と北部で遺伝的に大きく異なり、北部の集団は西表島のメヒルギとの関連が見られた。また南部のものはボルネオのものと関連しており、それぞれ別種であると見なすのが妥当であると考えられた。遺伝的変異量は北部では大きく、南部では小さかった。 また葉緑体にコードされるMatKを含む領域(全長3kb)の配列を、系統が離れておりまた移動に関する形質等が異なる三種(上記二種とヒルギモドキ)で、北部、中部、南部の集団について解析した。その結果、種によって集団間分化の状態や変異量に大きな違いがあることを明らかにした。 続きを見る
7.
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Cover image of 東南アジア熱帯樹木種の遺伝学的研究のためのDNAデータベース作成 — Internet based DNA database for genetic studies on tropical species from South Eastern Asia
SZMIDT Alfred Edward ; SZMIDT Alfred edward
研究期間: 2001-2003
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概要: このプロジェクトの目的は、アジアに分布する生態的・経済的に有用な樹木の自然集団のDNAサンプルに関し、データベースを構築し、インターネット上で公開することである。データベースには分類、採集地、サンプルの状態などが明記してある。インターネットを介した通信販売のように、検索と注文ができるシステムになっている。データベースに登録してあるDNAサンプルは、利益が目的でない科学者であれば規定の信任状を確認の上、誰にでも送料のみで配っている。データベースは私達の研究室で管理している以下のウェブサイトからアクセスできる。 http://genetics.biology.kyushn-u.ac.jp. アジアには莫大な数の樹種が現存している。そのため全ての樹種について研究することは不可能であるし、また不必要である。そこで私たちは、材木、燃料、繊維、果実として特に生態的・経済的に有用な樹木に焦点を当てている。これまで、このような樹木はアジアのそれぞれの国で同定されてきた。特に私達はBambusa、Calamus、Rhizophora、Dipterocarpus、Shorea、Tectona属の収集に力を注いだ。またサンプルは日本、マレーシア、タイ、中国、インド、スリランカ、ベトナム、セイシェル諸島、マダガスカルから採集されたものである。これまでデータベースにはアジアとマダガスカルからの200種2000個体以上のサンプルが登録されている。最近、スウェーデンとロシアの科学者との協力で、アジアに分布するカラマツ属の全種の唯一のサンプルコレクションを手に入れた。これらのサンプルについて、現在データベースに入力中であり、今年の後半に公開する予定である。 このプロジェクトについて3人の修士課程の学生と2人の学部生が研究した。 続きを見る
8.
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Cover image of 東アジア(中国・朝鮮・日本)における血栓症発症要因の探索と血栓症の治療 — Risk Factors for Asian Thrombophilia
濱崎 直孝 ; HAMASAKI Naotaka
研究期間: 2001-2002
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概要: 本研究期間はH13-14年度で本年度は最終年度であった。非常に良い成果が出たので、下記に成果を列挙する。 1.我々は1994年から今日まで、約1000名の血栓症を疑われる患者の凝固関連諸因子の機能を網羅的・系統的に検索し機能異常分子の全遺伝子配列を解析しその遺伝子背景を明らかにしている。H13-14年度では約100症例について解析した。 2.その結果を分析してみると、日本人ではProtein S凝固制御系因子の分子異常が血栓症の非常に強い危険因子であることが判明した。 3.中国、タイの両国から約50名づつの健常人の血液サンプルとDNAを入手解析したところ、凝固制御因子に関連した遺伝子多系の種類、発生頻度が日本人の場合と同様であり、欧米人とは明らかに違うことが判明した。 4.韓国からのサンプルは諸般の事情で入手不可能であった。また、中国、タイの両国の血栓症患者の検体の解析は結論を出すには少々数が少なかったので、継続して調査することにした。 5.凝固制御因子に関連した遺伝子多系の種類、発生頻度の罰査から、日本人を含むアジア人では、欧米人の血栓性素因とは全く違い、日本人ではProtein S凝固制御系因子の分子異常が血栓症の非常に強い危険因子であることを明らかにした。 現在、我々はこの結果を踏まえてProtein S分子の高次構造変化を利用した治療薬の開発を試みている。 続きを見る
9.
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Cover image of カント哲学における判断と存在の関係について — The Relationship between Judgment and Being in Kant's Philosophy
圓谷 裕二 ; TSUBURAYA Yuji
研究期間: 2001-2003
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概要: 本研究の目的は、カント哲学における判断論を、彼の超越論的哲学の全体の中に位置づけながら考察し、それを通して、判断と存在の根源的な関わりを明らかにすることである。従来のカント研究においては、カントの判断論は、『純粋理性批判』の一部門である「超越論的分析論」に限定して論じられる傾向が強かった。しかしながら、理論哲学に限定した解釈は、カントの判断論のもつ哲学的意義を捉え損なうものである。本研究においては、「分析論」に偏向したカントの判断論の解釈の限界を次の二つの視点から批判することによって、カントの判断論のもつ存在論的意義を際立たせることにしたい。 第一の視点は、判断論を「分析論」にのみ位置づけるのではなく、それを、『純粋理性批判』の「弁証論」をも視野に収めながら捉え直すことによって、判断と「理性」、ないし判断と「理念」との深い関わりを明らかにする。すなわち、或る判断は、他の判断から孤立して成立しうるものではなく、判断相互の関係性において、さらには、理念的全体性との関係性においてしか成立しえないものである。カントのこの洞察を手がかりに、カントの判断論のもつ理念的ないし存在論的意義を明らかにする。 第二の視点は、『判断力批判』の趣味論や芸術論における反省的判断力の在り方に着目することによって、自然の生動性と多様性の表現としての判断の意義を浮き彫りにする。美の鑑賞や創作に関わる判断についての考察は、判断論を第一の視点における全体的理念との関係という側面のみならず、さらには、判断のもちうる創造的側面にも光を当てることになろう。 続きを見る
10.
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Cover image of 宗教とモダニティの関係についての総合的研究-世俗化論を超えるために — General Study on Religions and Modernity
竹沢 尚一郎 ; TAKEZAWA Shoichiro
研究期間: 2001-2002
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概要: 本研究は平成13年から14年まで、2年間にわたっておこなわれた。宗教とモダニティの観点から各自が研究した成果をもとに、通算で5回の研究会を組織し、問題意識の共有と相互の理解を深めた。 平成13年度には、イギリス、フランス、タイ、日本における宗教とモダニティの関係に関して研究発表をおこなった。平成14年度には、ルーマニア、ドイツ、マレーシア、中国、インド、日本の事例について、研究発表をおこなった。これにより、イギリスとフランスなどの近代化の先進諸国、日本とドイツなどの後発近代化諸国、インド、マレーシアという西洋の植民地支配とともに近代化の進行した諸国、そして中国、タイ、ルーマニアという植民地化はされなかったが、近代化の遅れた諸国の事例を集めることができた。 この比較研究により明らかになったのは、以下のことである。先進近代化社会としてのイギリスとフランスにおいては、19世紀後半には世俗と宗教の対立が深まったこと。日本とドイツ、ルーマニアといった後進近代化社会においては、近代化の過程で宗教とナショナリズム、ファシズムが密接に関係しながら社会の支配的イデオロギーを構成したこと。また、マレーシアやインドなど、西欧諸国の植民地支配を受けた国々では、本国における宗教政策と、現地における宗教運動および宗教研究の相関を考慮すべきこと。 本研究の過程で、宗教概念とモダニティの概念が、相反すると同時に相関するものであることも明らかにされた。それゆえ宗教とモダニティの関係を考察することは、これら両概念のより深い理解につながることが確認された。 また、宗教研究を深化させるために、儀礼、聖なるもの、世俗化、憑依、宗教実践、民俗と主教、植民地と宗教、宗教統制などの諸概念について、批判的な検討をおこなった。以上により、宗教研究のこれまでにない広がりと深まりが実現されたと確信している。 続きを見る
11.
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Cover image of 祭りと国家の比較宗教学的調査研究 — Field Research on Japanese Local Festivals and Nation-State
関 一敏 ; SEKI Kazutoshi
研究期間: 2001-2002
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概要: 本研究は、維新期から現在にいたる日本近現代史上の三点(明治初期、第二次大戦前後、高度成長期以後)を中心とする時系列の軸と、現代の都市と農山村、さらには島嶼部の祭の調査研究という現在時の軸からなっている。平成十三年度は、(1)対馬の民俗調査、(2)これにかかわる文献資料収集、(3)全国版図の他地域との比較を可能にする文献資料収集、の三点をおこなった。(1)ならびに(2)については、島嶼部(離島)・対馬東部の一漁村に地域を限定し、年中行事の全体像、漁業と中心とした生業全般、社会変動と過疎化、離島振興法と生活環境、教育問題、墓地問題、等々の集中調査をこころみた。主として第二次大戦以降の、法制・教育制度・流通運輸といった国家規模のシステムのなかで離島の経験してきた祭り(年中行事・先祖の祀り)の変動過程を(1)の聞き書きから、又(2)の文献資料・先行研究によってそれ以前の時代相をたどった。(3)は、明治期民俗統制(関)と戦後復興期の地域性の回復過程(竹沢)にそれぞれ焦点をあわせ、地域史資料の発掘とともに、主として神道関係の資料収集をおこなった。平成十四年度はひきつづきこれを継続し、とくに(1)の民俗調査を赤米の神事で知られる豆酘で集中的におこなった。上記の島嶼部をめぐる社会変動にともない、担い手が激減しながらもその性質上、観光化の困難な祭りの一例である。当初からの目的である九州地域内の都市・農山村部との比較はなお不十分な点があるものの、これによって以前からの博多山笠・椎葉神楽調査資料との比較検討の素地は整ったと判断している。 続きを見る
12.
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Cover image of 組織における慣行的制度の変革が成員とチーム活動に及ぼす影響に関する実証研究 — Studies on the effects of changes in traditional system in Japanese organization upon activities of member and teams
古川 久敬 ; FURUKAWA Hisataka
研究期間: 2001-2002
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概要: 1 人的資源とビジネスモデルの相互充足性原理について理論的な提案を行った 効果的な組織マネジメント、特にヒューマンマネジメントにおいて普遍性を持つ理論として、人的資源とビジネスモデルの相互充足性原理を提唱した。これによって、時代を超えて、文化を超えて、景気の良否を超えて、ヒューマンマネジメントの適切性を検討できる視点が得られる。 2 相互充足性原理について実証研究を行った この相互充足性原理について、日本企業511社の人事および経営企画責任者を対象とする調査を実施した(産業能率大学総合研究所との共同研究)。主な結果は、(1)成果主義の内容は多様であり、(2)成果重視の人事制度は、成員のモチベーションや能力には促進的であるが、対人関係には促進的と抑制的が相半ばするとみられており、そして(3)その効果性は、組織特性、職務課題特性、あるいは評価内容などと関連して大きな差異がみられることも判明した。 3 「時限性を持つチーム」の業績を左右するリーダーシップ要因を解明した 我が国の組織において時限性を持つチーム(プロジェクトチームなど)のリーダー155名を対象とする調査研究を実施した。またチームリーダーシップの測定尺度を開発した(産業能率大学研究開発部との共同研究)。チームの置かれている条件が厳しい場合、可能性を柔軟に探索し、試行や実験を積極的に行うチームほど、その活動は活性化し、業績も高いことを明らかにした。 4 新しい能力指標であるコンピテンシーの学習についても、理論的実践的まとめを行った 5 研究成果のまとめを行った 平成13年度および14年度の研究成果を報告書としてまとめた。本研究の成果は、効果的な組織変革のあり方に対して実践的な示唆を提供するものである。 続きを見る
13.
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Cover image of 高齢者サービスの整備と高齢者の地理的移動の関係についての研究 — Research on relations between services for older persons and senior migration
小川 全夫 ; OGAWA Takeo
研究期間: 2001-2003
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概要: 文献調査により、高齢者の地理的移動に関する高齢者人口移動転換仮説を検討することとした。 まず市町村レベルにおける1995年及び2000年国勢調査結果に基づいて、55歳から59歳人口が5年後60歳から64歳になった時に増えているかどうか、及び60歳から64歳人口が5年後65歳から69歳になった時に増えているかどうかを算定した結果、949市町村で増えていることが判明した。通常はコーホート人口は加齢とともに減少するので、これが増加を示すというのは、社会増があったと想定される。1990年から1995年においては、社会増と想定される市町村が559だったので、確実に向老期高齢者の流入があったと想定される市町村数は増加したといえる。 次にコーホート分析によって向老期高齢者の社会増があったと想定される市町村に対してファックスと電話によるアンケート調査を行った。回答者は市町村の企画、統計の担当者で、必要に応じて福祉担当者の協力を得た。その結果692の回答を得た。回答率は72.9%であった。その分析結果、向老期高齢者移動については、全人口の増減と必ずしも同調していないこと、農山村と郊外で生じていること、この事実についての認知度が低いこと、住宅地造成・Uターン・福祉施設や病院建設・田舎暮らしなど多様な理由が背景にあることなどが判った。 この調査結果を各市町村に配布して、調査結果の還元を図った。 市町村の地図に統計情報を描く作業を行った。 向老期高齢者の社会増があった市町村率と、社会福祉機能の整備の状況を都道府県レベルで相関分析を行い、現在は高齢者サービス機能の高いところに向けて高齢者の移動が生じている段階であると判断した。 こうした高齢者の社会増が生じる地域社会で再組織化を図る上で、参考になるアメリカのコロラド・スプリングスにあるリタイアメント・コミュニティの「入居契約書」を例示した。 続きを見る
14.
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Cover image of 病院ボランティアの実態とあり方に関する全国調査研究 — Nationwide research on Hospital Volunteers regarding status and action model
安立 清史 ; ADACHI Kiyoshi
研究期間: 2001-2002
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概要: 2001年度には、日本全体で病院ボランティア活動をしているグループがどれだけあるのかを、特定非営利活動法人日本病院ボランティア協会とともに調査した。また、先進的な活動をしているグループを訪問調査して、病院ボランティア活動受け入れシステムについての考察を行った。これをふまえて2002年度には、日本病院ボランティア協会加盟のすべての病院ボランティアグループ(162団体)を対象として、グループの実態と活動内容に関するアンケート調査を行った。第一次調査は、全国の病院ボランティアグループの概況と活動内容を把握するため2002年6月に実施し、152票(93.8%)を回収した。調査項目は、グループの設立経緯や概況、ボランティア活動内容などである。第二次調査は、第一次調査の結果をふまえて、病院ボランティアグループの機能を詳細に調査することとし、同様にして139票(87.4%)を回収した。この結果、病院ボランティア受け入れシステムに関して、次のようなことが明らかになった。(1)全国で病院ボランティア活動が、多様化しながら広がっていること。とりわけ1995年以降、国公立病院で増加傾向にある。ただし地域差も大きい。(2)ボランティアコーディネート機能が多様に果たされるようになりつつある。90年代以降、ボランティアコーディネートの重要性が認識され65%の病院にコーディネーターがいる。しかしまだ兼任も多くコーディネートに関しては課題も多い。(3)ボランティアグループとしての自覚や意識が形成されてきている。ボランティアが病院で活動する個々のままではなく、ボランティアグループとしての自己形成しはじめている。その中から病院を地域社会に開かれたものにしていきたいというような、ボランティアとしての新たな自覚や意識、目的や方向性などが現れてきている。病院ボランティアの全国への普及発展のためには、各地の病院ボランティアの連携・連帯を進めるネットワーク組織が必要である。 続きを見る
15.
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Cover image of 「文化」のグローバリゼーションとアジア地域主義:大衆文化と若者文化を中心に — THE GLOBALIZATION OF CULTURE AND ASIAN REGIONALISM FOCUSING ON POPULAR YOUTH (SUB)CULTURE
上野 俊哉 ; UENO Toshiya ; 毛利 嘉孝
研究期間: 2001-2002
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概要: 本研究は、当初、九州大学の毛利を代表とし、上野を分担者として韓国などアジアの大学(院)と連携したワークショップや会議、香港における現代美術やサブカルチャーの調査、日本におけるアジア美術、フットボール文化、ダンス・テクノ文化やミニコミなど若者大衆文化の状況を「心理地理学」的フィールドワークを通して展開した。次年度は毛利がロンドン滞在のため、上野が研究代表者となり、研究を進めた。基本的に、前年度までの人脈やネットワーク、問題意識をいかす方向で研究は継続された。 グローバリゼーションやアジア地域主義を文化研究が問題にする場合、最近の研究動向では「国民国家批判」、つまり「サブカルチャーのナショナルなものへの回収・動員」の批判的検討が主要な方法的視点となっている。これに対して、本ブロジェクトでは、より若者文化、大衆文化、若者文化のシーン(現場)の細部や雰囲気(アトモスフェア)に意識的にも無意識的にも密着したアプローチをとっている。フットボールの日韓共催ワールドカップや、アニメやマンガなど日本の大衆文化のアジア諸地域における消費行動、日本からオセアニアまでを巻き込みつつある野外パーティの文化、写真や建築における都市論的関心の広がり、フィリビンにおける実験映画製作と先住民文化教育のつながり、といった一見雑多で広範な対象に向かっているのはこのためである。こうした方法論的視座によって、サブカルチャーや大衆文化を政治的、イデオロギー的枠組みであらかじめ裁断するのではなく、むしろ、それぞれの文化の現場に内在する「政治的なもの」や係争のポイントを複数の領域で確認することができた。 ただし、このことは、われわれがサブカルチャーや大衆文化を単に美学的、趣味的、感覚的にセレブレートし、批判的に見つめるのを怠っていることを意味しない。ここでも逆に、それぞれのシーンの内側/ただなかに様々な抵抗や政治的、イデオロギー的葛藤がひそんでおり、これを直視することの困難もまた、本研究の記述や方法に反映していることに注意されたい。 続きを見る
16.
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Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 現代日本の「子ども観」に関する実証的研究 — A Study of the Japanese Views of Children in the Present day
住田 正樹 ; SUMIDA Masaki
研究期間: 2001-2003
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概要: 本研究の目的は、人々が子どもについて抱いている観念、すなわち「子ども観」の現代的様相をとくに世代差を分析軸として明らかにすることにある。変動の激しい現代社会にあっては、世代によって「子ども観」は大きく異なっているだろう。 これまでの予備調査の結果を踏まえ、今年度は本調査としてK都市圏(1市2町)を調査対象地として層化2段階サンプリングを行い、2503名の対象者を抽出して郵送調査を実施した。調査結果から主要な知見を述べれば、以下のようである。 (1)若い成人世代は,「子ども期」を長く捉える傾向があり、そして子どもらしさを純粋性に求める傾向があるが、高年世代は子どもらしさを従順性に求めている。 (2)若い世代は子どもの発達にとって環境を重視しているが、高年世代は素質を重視している。しかし若年世代は個性を重視した発達を、高年世代は社会の一員としての社会性を重視した発達を是としている。しかしいずれの世代も協調型よりも自己主張型の子ども像を肯定的に評価している。 (3)いずれの世代の成人も、子どもの生活環境の利便性については評価しているが、安全性、快適性については相当に否定的である。 (4)総じて言えることは、いずれの世代も性善説的な「子ども観」を抱いているものの、今日の子どもたちに対する評価となると否定的である。そして否定的評価にならざるを得ない背景としてテレビゲームを初めとする遊びの変化と勉強に追いまくられるという子どもを取り巻く環境をあげている。 続きを見る
17.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 教育哲学的意味における〈子ども〉〈大人〉とその現代的諸相の研究 —
土戸 敏彦 ; TSUCHIDO Toshihiko
研究期間: 2001-2002
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概要: 本研究費補助金によって得られた研究成果を、以下の4点に集約する。 第一に、研究課題に示されている「教育哲学」という概念について吟味し、従来の概念の曖味さを払拭すべく、独創的な定義を試みた。すなわち、「教育哲学」の任務とは、「教育」がもつ前提を受容することなく、かつ「教育」なる事象およびそれがはらむ前提を根本から吟味することである。 第二に、これに基づいて<子ども>および<大人>なる概念の精緻化を行なった。この作業は、見田・河合・谷川『子どもと大人』(岩波書店)で交わされている議論を基底に、子ども性ないし子ども原理としての<子ども>(およびその対照的存在としての<大人>)を析出させている。そのうえで、一人の人間のなかに<子ども>と<大人>が生き、さまざまに活動しており、この均衡および葛藤がその時代や社会特有の諸現象を生み出すと推論している。 すなわち第三に、現代という時代および社会の特徴は、<子ども>の顕著な残存傾向にあり、したがってまた<大人>に対する<子ども>の比率が肥大・漸増していることであり、この見地に立って種々の現象について概括的なレビューを行なった。たとえば、「フリーター」「援助交際」「学級崩壊」などである。 第四の成果として、「共生」という問題をこの<子ども>との関連で追究した点を挙げておく。共生のパートナーは、,同化しえない異質な存在であるが、<子ども>こそが「教育」にとってそのような共生のパートナーではないか。なぜなら、「教育」は徹頭徹尾、<大人>原理に基づいているからである-以上のような問題提起を行なっている。 続きを見る
18.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 民俗神や民族神との関係分析を通した近世武家権力神の基礎的研究 — Research on deification of the samurai through the relation between God of folk customs or racial God
高野 信治 ; TAKANO Nobuharu
研究期間: 2001-2004
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概要: 本研究は日本近世の宗教世界を近世的「神」観念としてとらえ、民俗神・権力神・民族神という範疇を措定し、とくに申請者の研究履歴に照らし、権力神を中心にすえながら三者の関係性と変容の検討を目的とした。具体的には以下の二点に目的とその成果は要約できる。 第一の目的は、民俗神と武家権力神との関係性の解明である。権力神とは藩主(藩祖)や夫人、家中、さらに新田義貞等南朝方武将など、神格化された武家領主に関わる人物を想定している。民俗神の集団神的側面との関連では神格化された武家領主(権力神)の地域社会におけるシンボルとしての可能性が浮かび上がってきた。これは地域社会集団の成り立ち・歴史性と武家領主の関係性の指摘につながる。また「仁政」を展開した藩主・家中の民衆による神格化の事例収拾とその解析を行った。領主権力の政治支配は民衆の生活のあり方に直接関係し、生活に利益をおよぼす領主(藩主・代官など)が人神となるパターンの検出を通じて近世民衆の領主像がある程度明らかになったのではないかと考える。 第二の目的はかかる第一の目的をうけ、さらに権力神という視角からみた武家集団のアイデンティティのあり方と民族神・民俗神との関わりの考察であった。ここでは各藩における藩主(祖)神の事例をできるだけ収拾しながら、その成立の契機や性格などを、具体的な政治のあり方と相即させ分析した。藩主神の措定は藩の危機的状況下で、家臣団の統合イデオロギーの再生産装置としてなされるとの見方があるが、そこには武家領主集団・藩の自己認識・歴史意識が検出できた。そしてそのような武家領主の神格を民衆側が地域社会の精神的な核としてとらえ返す動向が、とくに近代都市形成のなかで顕著にあらわれてくる、つまり武士階層が歴史的に解消したのちに武士神格の意味が大きくなっていく見通しを得るにいたった。 続きを見る
19.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of カイロの墓地区「死者の街」のデータベース化による歴史研究 — A Historical Study on the Cairo Cemeteries of the City of the Dead Using A Database
大稔 哲也 ; OHTOSHI Tetsuya
研究期間: 2001-2003
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概要: まず第1に、エジプト死者の街や、その『参詣の書』に関連する史料・研究書について調査し、蒐集することが出来た。特にエジプトでは、国立図書館などにおいて貴重な資料のマイクロ複写を行った。次いで、イスラーム初期以来、エジプトの広大な墓地区「死者の街」に埋葬されてきた人々に関するデータベース作成に従事した。特に死者の街『参詣書』のデータを、情報の項目を整理したシートへ被葬者・参詣所ごとに入力した。項目としては、参詣所名、被葬者氏名(通称、尊称、添え名など)、性別、生没年、家系・家族全般の情報、身体的特徴、職業、空間移動、知的背景(ハディースの系譜、法学派、神学派、師弟、学歴、著作、スーフィーか、所属教団他)、被葬者の奇蹟譚、逸話、墓に関する情報(位置、形状・素材、縁起、参詣対象か、参詣慣行、祈願内容他)などが挙げられる。総数や全体の輪郭を把握すると共にかなりのデータを蓄積出来たため、今後につながる基礎的な作業はほぼ終了した。 第3にデータベース化された資料をもとに分析を行い、その中の特にスーフィズム関連の情報を事例研究として検討した。それによって、中世エジプト社会におけるスーフィズムの展開と呼応する、史料上に現れたスーフィー関連の呼称の増加や、スーフィー関連の修道施設の激増とその意味などが具体的に詳らかにされた。第4に、参詣の書に示された墓と参詣路路を、現地踏査した。加えて、墓地居住者などからも聞き取りを行うことが出来た。そして、墓地のトポグラフィーの再構成や変遷過程を跡づける作業を通じて、史料と歴史的な空間構成との対応を問う論文の作成が可能となった。さらに、本研究の成果は2004年春にカイロより出版予定のLe developpement du soufisme en Egypte a l'epoque mameloukeにも英文論文として収録される。 続きを見る
20.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 集落・墓地・祭祀・土器から見た弥生時代社会の変容過程の研究 — A study of the transformation process of the social atructure during Yayoi period as seen from settlement, cemetery, ritual and pottery.
岩永 省三 ; IWANAGA Shozo
研究期間: 2001-2004
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概要: 本研究は、弥生時代を主対象とし、集落や墓地の構造に反映される人間集団の編成原理、土器様式の構造や伝播現象に反映される集団間関係、祭祀に反映される価値観のあり方に着目し、それらの時間的・空間的変化を事象ごとに細かく分析した上で、その成果を総合することによって、当該期の社会全体の構造変化や集団間の政治的・文化的関係の変化相を明らかにする事を目的とした。 弥生時代の大規模環濠集落の評価について検討し、農耕市民都市・集住・多職種共生・農閑期分業・専業工人などの概念の再検討から、近年盛んな弥生都市論が妥当ではないと結論付けた。 一つの土器様式の様式構造に反映される人間集団の価値体系、土器様式間の空間的関係の時間的変化、土器の伝播現象から伺われる集団間関係の変化とその原因について分析し、それらを、集落や墓地の構造に反映される人間集団の編成原理とその変動と総合することによって、当該期の社会全体の構造変化や集団間の政治的・文化的関係の変化相を明らかにする見通しを立てた。 弥生時代後期から古墳時代初頭にかけて、社会の変化とりわけ階層化と地域的統合と信仰形態の変化が急速に進行した理由を、前段階すなわち弥生時代社会が稲作農耕を主生業とする社会として安定して以来、後期後半に至るまでの内的要因・外的要因にまで遡ることによって解明する基礎作業を行った。 さらに、婚姻制度・社会集団形態・社会組織の発展段階における大きな画期と政治組織の画期とが大枠で対応すると言うエンゲルスの『家族・私有財産・国家の起源』モデルの妥当性を検討し、首長制、擬制的同族関係、部族同盟、「世帯共同体」などの概念を検討し、日本古代における基層社会の出自原理、家族形態とその発展系列、世帯共同体の存否、家父長制の成立、などの問題について検討を加えた。 続きを見る
21.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 新出本による古活字版『源氏物語』本文の研究 — Research on the text of
今西 裕一郎 ; IMANISHI Yuichiro
研究期間: 2001-2003
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概要: 本研究は、川瀬一馬『古活字版之研究』(増補版)における古活字版『現時物語』の成果を踏まえ、その後に新たに出現した2点の古活字版『現時物語』を取り上げ、江戸時代における版本『源氏物語』本文の形成過程の追求を試みた。 古活字版『源氏物語』は川瀬氏等の研究によって、従来、慶長初期刊本、伝嵯峨本、元和九年刊本、寛永中刊本、同異植字版の5種が知られていたが、昭和40年代後半に相次いで2点の新出本が出現した。九州大学文学部蔵本と久邇宮家旧蔵本とである。 久邇宮家本は反町茂雄氏によって紹介された当初、九大本と酷似もしくは同一かと思われる写真版一葉のみの提示であったが、その後、全丁の写真版が学習院大学文学部に蔵されていることがわかった。その写真を得て九大・久邇宮両本の精密な比較検討を行ったところ、九大本に即していえば全2000余丁のうち600丁が久邇宮本と同版であるという結果を得、従ってこの両者が密接の関連する制作であったらしいこと、が判明した。 のみならず、久邇宮家本における九大本と一致しない残りの約七割の丁は、ことごとく寛永中異植字版と一致することも調査の結果判明した。この事実を単純に解釈すれば、久邇宮家本は、寛永異植字版を基にし、その足らざる部分を九大本と同版で補って出来た本、ということになる。古活字による出版活動においてこのような事があり得るのかについては、さらに慎重に検証しなければならない。 なお、本研究においては研究の基礎として整版本をも併せた版本源氏物語の本文総覧を作成した。研究成果報告書にはその一部を併載した。 続きを見る
22.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 散逸物語研究データ・ベースの構築と散逸物語を組み込んだ〈新しい物語史〉の構想 — Make of Data-base of Research of Lost Monogatari and Conception of the New
辛島 正雄 ; KARASHIMA Masao
研究期間: 2001-2003
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概要: 研究課題の第一である「散逸物語研究データ・ベースの構築」に関しては、特殊なソフトによることなく、広く普及している「マイクロソフト・エクセル」を用いることで、使用者の目的に応じて自在なアレンジが可能なようにとの配慮のもと、目録のデータ入力を3年間継続して行い、最終的に、3種類の目録を相互に検索できる環境を整えることができた。ただし、広く研究者の使用に堪えるようにするためには、さらに大掛かりな周辺情報・派生情報とのリンクが是非とも望まれるところであり、研究の規模として、今回はとうていそこまで及ばなかったため、その点は今後の課題である。 第二の課題である「散逸物語を組み込んだ<新しい物語史>の構想」については、平成14年度の熊本大学文学部、平成15年度の鹿児島大学法文学部における、二度の集中講義の機会をとらえて、その講義資料を作成するなかで、さまざまにアイディアを練ることができた。今後は、これを基礎としながら、より発展させたかたちで、論文ないし著書として公にすることを目指したい。 第二の課題と関わる個別論文は、三年間に四本を発表することができた。そこでは、『よそふるこひの一巻』『とりかへばや』『ひとりごと』などを取り扱っているが、いずれも、限られた資料をより精密に読み込みつつ、広く周辺の関連資料にも目を向けることで、従来にない新知見を提出しており、こうした地道な研究の蓄積が、「<新しい物語史>の構想」にとっても重要であること、言を埃たない。 続きを見る
23.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of ヘンリー・ソローの人と作品における宇宙意識 — Henry Thoneau's Consciousness of the Cosmic Universe in his Life and Works
小野 和人 ; ONO Kazuto
研究期間: 2001-2002
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概要: アメリカ・ルネッサンス期(19世紀前半期)における世界の主な天文学上の発見や成果について調査し、それらが当時のアメリカの文化・文学思潮に及ぼした種々の影響を考察し、分析した。即ち、当時の合衆国の主要な文人・文化人たち(エマスン、ポー、ホイットマン等)の作品や伝記を参照し、天文現象や天文学に関する描写と言及を抽出し、それらを検討することによって彼らが抱いた宇宙についての意識や宇宙観を概観し、その成果をまとめて論文化した。 次にこのような文人たちの中で特にヘンリー・ソローを選び、ソローの代表作『ウオールデン』を中心にして、ソローの宇宙や天文学に関する種々の表現と言及を抽出し、この方面における彼の意識を考察した。その結果、それらが彼の人生上の悟りを表す表現に使用され、また他者に対して人生の見直しを提唱する際にも比喩的に活用されていることが判明した。さらに、我々現代人たちの一般的な宇宙観も参照し、ソローの場合と比較した。ソローが人間を宇宙の中心的な存在と見なしたのに対し、現代人は、人間を宇宙の周辺に位置する孤児というように受け止めているという。このような両者の決定的な見解の相違を指摘した。以上の成果を集約し、論文として発表した。なお、ソローのエッセイ「月」は、彼の夜の散策と自然や天体の観察を主な内容とする作品であり、今回の研究に深い関わりを持つものであるので、作品全体を翻訳し、大学の紀要に発表した。 続きを見る
24.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 補文タイプのマーキングとCP構造の研究 — A Study of Complement Types and CP-Structures
稲田 俊明 ; INADA Toshiaki
研究期間: 2001-2003
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概要: 文タイプと法性に関わる問題(平叙文、疑問文、命令文等の表示)と極性に関わる問題(肯定文、否定文の表示)を節構造と意味との相関性に焦点をあてて総合的に研究した。これらの問題は、従来は、構文研究の問題として、あるいは否定文の諸特性の研究として、別個の課題のもとに研究されていたので、それらを統合してその統語的・意味的諸特性を関連付けて研究することは、新しい試みであった。またこのような統合的研究によって得られた知見は意義ある研究成果であると言える。 具体的には、埋め込み構造と英語の間接疑問文の多様性に関する理論的研究について、従来のCP構造に関する仮定には問題があることを指摘し、その解決法として日本語、英語をはじめとする諸言語の疑問文の類型化と問い返し疑問文の構造に関する詳細な研究に基づいて、普遍文法の理論の構成に関する新しい分析を示唆した。また、日・英語の否定対極表現の認可に関する従来の研究の問題点を指摘し、否定に関する2種類の機能範疇(PolP, NegP)の役割について、日・英語には非対称性が存在することを指摘した。また、強交差現象に関する理論的考察、再構築効果の統語的・意味的特性の研究において大きな成果をあげた。 これらの研究成果については、関連学会講演会、日本英語学会、日本英文学会九州支部大会シンポジウム、福岡言語学会等において発表し、また出版物で公表した。 続きを見る
25.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 19世紀アメリカ文学におけるピューリタニズムの変容-ディキンスンを中心に — Transformation of Puritanism in the 19th Century American Literature, Concerning Emily Dickinson
原口 三郎 ; HARAGUCHI Saburo
研究期間: 2001-2003
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概要: 1.広くピューリタニズムの変容を調べるに当たり、ディキンスンが当時書き送った手紙を翻訳することで、彼女の自然観・宗教観・社会観を検討した。それらの手紙とは、(1)文芸評論家T.W.Higginsonへの手紙、(2)親友であった新聞社主筆Samuel Bowlesへの手紙、(3)晩年の恋人であったLord判事への手紙、(4)学校時代の友達、兄、妹や従妹たちへの手紙である。 2.フルブライト研究員に選ばれ、ブラウン大で2001年に学んだ時の、St.Armand教授の助言を得て、Paul Ferlazzo, Emily Dickinsonの翻訳を進めて来た。 3.近い将来、ディキンスンの伝記を書く目的で、ディキンスンに関する年譜を整備した。 4.難解なディキンスン詩の翻訳がまだ十分でないわが国の事情に鑑み、秀詩100を翻訳し、発表した。また詩の特徴とその読み方例を示すことで、D詩への案内の役を果たした。 5.アマースト大学のカリキュラムを調べることで、当時の教育が地学や農政学等実利的科学に重きを置く反面、正統的キリスト教を重視した宗教的な色彩の強いものであることを確認した。 6.今後は19世紀アメリカと同時代のイギリスの文化・宗教との連続性の研究の必要性を痛感し、現在、伝統と反伝統の立場から研究中である。 続きを見る
26.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of アンドレ・ジッド草稿研究 — A STUDY OF ANDRE GIDE'S MANUSCRIPTS
吉井 亮雄 ; YOSHII Akio
研究期間: 2001-2003
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概要: 研究期間における成果としては,アンドレ・ジッド『狭き門』の本文・異文の精密な一覧を作成したことと,同作品にかんする書評類の分析および関連書簡の具体的調査との2つに大別される。 まず前者としては,パリ大学附属ジャック・ドゥーセ文庫所蔵の初期草稿やパリ国立図書館所蔵の自筆断片稿・タイプ完全稿等にもとづき作成していた『狭き門』の本文および異文の暫定的な一覧を,新発見の雑誌初出テクストの校正刷を参照・調査することで,さらにいっそう精密なものとした。これによって『狭き門』のテクストがどのように生成し変化していったかが,いっそう容易にとらえられるようになった。 また初年度・第2年度に収集した書評類の分析によって『狭き門』にたいする初期の受容傾向を大まかに把握するとともに,関連未完書簡の具体的調査にかんしては,各年度ともフランスで実地調査をおこない,ドゥーセ文庫所蔵の書簡数百通の筆写を完了した。現在はこれらの書簡に付注するための文献的・実証的調査を進めている。 いずれの資料体も『狭き門』の生成や受容にかんする第一次資料として決定的な重要性をもつものであり,すでに少なからぬ新事実が発見・解明されている。 続きを見る
27.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of Webベースのドイツ語マルチメディア教材開発に関する研究 — On Development of Web-based Multimeia Teaching Materials of German
田畑 義之 ; TABATA Yoshiyuki
研究期間: 2001-2002
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概要: 13年度に撮影したドイツ人教員1名のインタビューのビデオ映像をPCに取り込み、ノンリニア編集して、Web上で公開できる形に加工した。さらにこのビデオ素材をWebベースの教材プラットフォームであるWeb Exerciseに組み込んでドイツ語の聴き取り訓練用の教材を作成した。作成した教材は、我々が担当するドイツ語の授業で実際に使いながらその効果を検証した。授業での検証結果をふまえて教材を改良し、さらに全体を統一の取れた内容にするためにはもう少し時間が必要であるが、なるべく早い時期に完成させ、Web上で公開する予定である。 また上記の教材開発と平行して、ドイツ語読解力訓練用の教材作成システムも自然言語処理の研究者の協力を得て開発した。これは辞書を引かずに多読ができるように、Webブラウザーの画面上で未知語にマウスポインターを置くとその単語の意味が表示される「注釈付きテクスト」が簡単に作成できるシステムで、Web上での簡単な加工作業で適切な訳語を付与できる。フリーウェアとして公開できるように、自前の独和辞書を使いながら拡充していくので、テクストを加工することによって、同時に辞書を鍛えることができるようになっている。こちらも現在辞書を整備している段階であるが、近い内に公開できる見通しである。 続きを見る
28.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 「身体部位・身ぶり」に関わるドイツ語連語関係記述のための基礎的研究 — A fundamental study on collocational expressions including parts of the body in German
恒川 元行 ; TSUNEKAWA Motoyuki
研究期間: 2001-2004
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概要: 1.「電子化の対象とした文学作品」リストの作成 身体部位表現を収集するためにこれまで電子化してきた約100冊のドイツ語文学テキスト(過去約30年間に「ドイツ青少年文学賞」を受賞、またはその候補となった作品)を整理し、リストにまとめた。 2.「からだことば(一般)」リストの作成 本研究において事例収集の対象とした「身体部位・身ぶり表現」のドイツ語キーワードを整理し、リストにまとめた。 3.「Herr der Diebeのからだことば」リストの作成 電子化した文学作品(上記1)のうち、身体部位語が極めて多量に含まれている作品としてFunke, Cornelia : Herr der Diebe. Hamburg, 2000を選び、この作品に含まれる本研究の対象となった身体部位語、およびその出現頻度をリストにまとめた。 4.「Herr der Diebeのからだことば」の抽出と整理 Funke, Cornelia : Herr der Diebe. Hamburg,2000に見られる身体部位語の事例をすべて拾い出し、統語的・意味的基準に基づいて配列する作業を行った。この配列(および見出し語の選定)作業には、恒川(2003)、恒川(2004)で行った考察が下敷きとしてあるが、本年度の作業では記述を簡略化し、身体部位語(名詞)と動詞との統語関係に基づく配列に限定した。 5.成果報告書の作成 上記1-3のリスト、および4のデータをまとめ、最終成果報告書を作成した。 続きを見る
29.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of トーマス・マン『魔の山』の錬金術的構造―ユングの錬金術心理の観点からの考察 — The Hermetic Structure of Thomas Mann's
池田 紘一 ; IKEDA Koichi
研究期間: 2001-2002
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概要: トーマス・マンは自ら『魔の山』を錬金術的と称し、主人公ハンス・カストルプの人間的成長を錬金術的「昇華」と呼んでいる。従来単なる比楡としてさほど真剣には受けとめられなかったこの発言の意義と射程をユングの錬金術心理学との関連において明らかにする。その要点は以下のごとくである。 1)ハンス・カストルプは「原質料」としてマダム・ショーシャをはじめとする諸元素ないしは物質との「分離」と「融合」を繰り返しながら「賢者の石」への道を辿る。この「精神」と「肉体」の錬金術的・エロス的結合の試みは失敗に帰する。それは錬金術の場合と同様、ヨーロッパ近代合理主義の批判を意味し、同時にその克服による新たな人間愛の模索を意味する。 2)物語のこのプロセスは、マンの「錬金術的物語術」と表裏一体をなしている。マンの語りは、諸元素を密封して火にかけ、昼夜を分かたず繰り返される錬金術の分離・融合の試みに等しい。諸々の偶然的出会いや偶然的出来事から必然の糸(真の結合の可能性)を紡ぎ出すその錬金術的物語技法の特質を明らかにした。 3)以上の『魔の山』の特質は、その現代的装いにも拘らず、『ファウスト』と見事に照応している。『ファウスト』もいわば、現世では失敗に帰する錬金術的実験の試みである。マンの『ファウスト』の現代的パロディーの試みは、錬金術心理学的観点を導入してはじめて、より根源的な意味での「まねび」であることが判明する。 続きを見る
30.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 日本語の文理解に関する心理言語学的研究 — Psycholinguistic research on Japanese sentence comprehension
坂本 勉 ; SAKAMOTO Tsutomu
研究期間: 2001-2003
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概要: 人間の言語理解のプロセスを明らかにするためには、心理学的な実験の成果を踏まえた上で言語学の理論に基づいた説明をめざす心理言語学的研究が必要である。しかし、日本においては、言語学と心理学という2つの異なった学問領域においてそれぞれ研究が進められてきたために、互いの分野の研究成果を共有し、十分に活用することはあまりなかった。それゆえに、本研究においては、「日本語の文理解」のプロセスに注目し、言語学・心理学の分野において今までに行われて来た研究を総合的に検討するとともに、今後の研究の方向性を示すことを目指した。そのためには、日本語の文理解研究において中心となる研究者集団が結集して、各自が蓄積してきた知見を集約・整理する必要があった。具体的には、主として次のような構文の研究を行った。(1)主語が省略された「空主語文」において、文末動詞が出現する以前にどのような処理が行われているのか。(2)通常の語順ではない「かき混ぜ文」の理解は困難であるのか。(3)途中まで間違った解釈をしてしまう「袋小路文」はなぜ理解困難なのか。(4)間違った解釈を訂正する「再分析」の際にどのようなことが起こっているのか。 本研究は、言語学者と心理学者の共同研究であるということから、理論と実験とのバランスの取れた方法論に基づいていると言えるであろう。また、脳神経科学や言語障害研究との連携や、海外の研究者との交流を通して、より深くかつ広く研究が進展していく可能性がある。人間の言語理解は、高度な認知処理のひとつの典型であるから、言語理解のメカニズムを解明することにより、人間の情報処理のメカニズム一般への洞察を得ることができる。 続きを見る
31.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 中国語圏における漫画文化の研究 — Research on Manga Culture in the Chinese Speaking World
日下 みどり ; KUSAKA Midori
研究期間: 2001-2003
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概要: 日本の「マンガ」は今や世界で認められており、文化輸出としては最大の領域となっている。これらのマンガ文化が世界に出て行くとき、それは各国でどのように評価され、受け入れられているのであろうか。この問題について、中国語圏地域(中国大陸・香港・台湾)にポイントをしぼり、それぞれの地域での日本マンガの影響及び受け入れ状況を調べるのが本研究の目的である。 13度から14年度にかけては収集した資料の整理と分類を行い、とりわけ中国・台湾・香港各地域における漫画研究・漫画批評に関する文献に重点を置いて収集した。 大きな成果としては、14年度に発行した『漫画学入門』が挙げられる。これは報告者が全学教育で行っている授業でテキストとして使う為、漫画に関する総合的な研究をまとめたものである。この中では「漫画の歴史」、「漫画作家紹介」、「作品研究」、「マンガの表現」、「アメリカン・コミックについて」、「中国漫画について」等の章を設け、解説を行った。15年度はそれまでの成果をふまえ、台湾・中国での漫画批評・評論を各新聞、雑誌などから集めて翻訳し、報告書として纏めた。こういった作業は国内では初めてであり、今後の漫画文化研究に対して極めて有益であると考えている。 続きを見る
32.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 日本中世における裁判制度および裁判外紛争処理手続きに関する総合的研究 — Comprehensive Research on the Trial System and Out-of Court Conflict Resolution in Mediaeval Japan
植田 信廣 ; UEDA Nobuhiro
研究期間: 2001-2003
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概要: 本研究においては、日本中世における紛争解決のあり方を実証的かつ総合的に研究するための前提作業として、主に『鎌倉幕府裁許状集』上・下巻のスキャナ入力によるテキストファイル化作業を進め、これをほぼ完成させた。 そこで、研究代表者は、この成果を踏まえた上で、さらに、そのDBとしての総合検索システムを構築すること、および、その公開に向けて効率的な作業方法を獲得すること、などの課題を、早期に実現するべく検討作業に取りかかっている。 また、この作業と並行して研究代表者は、前近代中国における法文化の全容解明に取り組んだ意欲的な書物である、武樹臣著『中国伝統法律文化鳥瞰』の翻訳を完成させ、植田訳『中国の伝統法文化』(九州大学出版会、2003年9月)として公表した。これは本研究の重要な副産物だったと考えている。 つぎに、研究分担者は、鎌倉幕府の裁判と和与に関する実証的研究を進めることが出来た。第一に、和与関係史料の網羅的な収集を行った。第二に、裁判外の紛争処理手続において行われた和解(私和与)に関する史料についても、網羅的な蒐集を行うとともに、整理を試みた。この作業によって、裁判外において成立した和与に関するこれまでの伝統的な理解について、これを再検討するための有意な素材が提供されることになるであろう。第三に、この際に検討した「近衛家文書」については、その史料研究を行った成果を公けにしている。 以上に加えて研究分担者は、「鎌倉幕府裁許状」に関してデータを総合的に整理していく必要から、個々の裁許状に関係する裁判関係文書の網羅的整理および検討作業を開始している。また、本研究の成果として公表するには至らなかったけれども、本間美術館所蔵「市河文書」(いちかわもんじょ)および東京大学法学部法制史資料室所蔵「周防國与田保文書」(すおうのくによだのほもんじょ)についても、調査の成果を、早期に公けにする予定である。 続きを見る
33.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of ヴィーコにおける法学の構想の再検討-『弁論術構義』を中心とする総合的研究- — A review of Vico's concept ion of jurisprudence -A study of Vico's
児玉 寛 ; KODAMA Hiroshi
研究期間: 2001-2003
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概要: ヴィーコ(1688〜1744)は、『弁論術講義』のなかで「訴訟類について」と題して、推定・定義・属性という3つの争点(status)ごとに、伝統的な修辞学のトポスの応用を例解している。このかぎりではキケローやクインティリアーヌスの弁論術と大差はない。しかし、ヴィーコにおける修辞学と法学との関係は、単純ではない。その結節点は、そのような例解にではなくて、伝統的な修辞学を「個別事情を考慮した自然的衡平の実現」という法学の構想に接合した点にある。ヴィーコにおける法学は、(1)ingeniumによって適切な中名辞を帰納的に発見すること、(2)中名辞による連結をエピケイレーマによって補強すること、(3)中名辞をメタバシスによって重層的に操作すること、を通じて可能となるというのが、本研究の結論である。Ingeniumとは、「遠く離れた相異なっている事物において類似的関係を見る能力」であり、これによって、大命題と小命題を連結する中名辞を見出す。三段論法の推論形式では、キケローと同じく5分肢説によるエピケイレーマが妥当とされ、小前提を補強するための論拠や敷衍が推論の説得力を強めるために導入される。メタバシスでは、論証を三段論法の二つの前提には含まれていない論点へと移行させる手法であり、これによって、大前提の射程が個別事情に応じて制約されて、より妥当な結論に導くことが可能となる。 続きを見る
34.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 既成市街地整備における市民参加・合意形成のための自治体行政手法の研究 — Study on governmental tools for public involvement in the system of inner city planning
大橋 洋一 ; OHASHI Yoichi
研究期間: 2001-2003
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概要: 研究は、郊外における新開発ではなく、既成市街地における街作りを対象として、そのための計画策定手法・策定手続を深めたものである。既成市街地ということで、権利関係も錯綜し、居住者が既に存在するため、計画策定過程における市民参加が不可欠となる。これまでも、このテーマに関しては、都市計画の視点から、市民参加と計画策定手続を扱った研究は多数存在する。こうした中にあって、本研究の特色は、上記の計画に関しては、そうした都市計画という政策分野に限定した視点からアプローチするのでは不十分であるという点にある。 近時では、都市計画の策定主体である地方公共団体が、自治体総合計画の変革に着手している。これは都市計画、街作り計画に限定した計画ではないが、現代行政の計画手法としては、斬新な手法を多数含んでいる。この計画手続では、例えば、予め市民に計画に関する情報が極めて大量に提供されたり、早期の段階で市民は参加することができるなどの制度的工夫が尽くされている。また、計画が実現した後には、独立性を有した第三者委員会が、計画評価を行い、計画内容・計画の進行管理・計画マネージメントについて提言を行うものとされている。 本研究では総合計画に見るイノベーションに着目して、こうした新しいタイプの総合計画の法的仕組みに、本研究の考察対象である街作り計画を位置づけていくこと、それを通じて、上記の斬新的特徴を街作り計画においても活用すること、こうした計画志制度結合により計画間調整を図るべきであること、を結論とした。 研究期間の最終年度にあたるため、以下に記すような形で、折を見て研究成果の公表に努めた。 続きを見る
35.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 心療内科を受診したうつ病患者の費用対効果性のプロスペクティブ・スタディ — A prospective study of depressed outpatients who visited the internal psychosomatic medicine
野崎 剛弘 ; NOZAKI Takehiro
研究期間: 2001-2003
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概要: 1.うつ病患者の病型と治療成績との関係 九州大学心療内科を受診したうつ病またはうつ状態患者の病型と予後の関係をプロスペクティブに検討した。1999年12月1日から2000年5月31日までの間に新患外来を受診した患者で、DSM-IVの大うつ病性障害、気分変調性障害、抑うつ気分を伴う適応障害および特定不能のうつ病性障害の診断基準を満たした者は計157名であった。この中で、6ヶ月間完全に外来でフォローされた65名について、Hamiltonうつ症状評価尺度(HAM-D)およびZungうつ症状自己評価尺度(SDS)でうつ症状の改善度を経時的に評価した。抑うつ症状を呈するどの病型も治療開始3ヶ月で、良好な治療成績が得られた。その効果は6ヶ月後においてもほぼ維持された。とくに大うつ病性障害でその成果が著しかった。軽症うつ病が心療内科における治療でも、その病型にかかわりなく効果が得られることが証明された。また初回面接のみで、他院に紹介または助言を加えて前医に戻した患者45名中回答のあった29名での3ヶ月後の成績は、約半数で「改善」以上の効果が得られた。このことは、軽症うつ病においては、専門科にかかわず薬物中心の治療で対応できることを示唆する。(心身医学42:575-584,2002) 2.うつ病既治療群と未治療群の心身医学的治療による医療経済学的効果 治療費は外来通院の未治療者が既治療者より高かったが、治療効果を考慮した評価では、未治療群の方が高いcost-effectivenessが得られた。うつ病については発症早期より適切な診断と治療をすれば費用効果面においても経済的であることが明らかになった。この事実は軽症うつ病には、薬物療法に支持的心理療法を加えた心身医学的治療の医療経済学的効果が高いことを証明するものである(第42回日本心身医学会総会ワークショップにて発表)。 続きを見る
36.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of ヨード造影剤による肺障害におけるNO及びヒスタミンの関与と予防法の確立 — Involvements of NO and histamine in radiographic contrast medium-induced pulmonary dysfunction
大石 了三 ; OISHI Ryozo
研究期間: 2001-2002
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概要: 画像診断の進歩によりヨード造影剤(RCM)の使用は益々増加しているが、RCMによる肺障害及びアレルギー様症状等の副作用の発現に関する問題は依然として解決されていない。本研究ではこれらの副作用発現機序の解明と予防法の確立を目的としてラット血管透過性亢進in vivoモデル,ラット単離肥満細胞を用いて以下の成果を得ることができた。 1.RCMによるラット肺浮腫における肥満細胞由来ヒスタミン(HA)の関与 イオン性RCMであるイオキサグレートはラット肺における肥満細胞の脱顆粒を引き起こし,HAを遊離することによって血管透過性亢進作用を発現すること,また,この作用にはH_1及びH_2両HA受容体が関与することが判明した。 2.RCMによるラット単離肥満細胞からのHA遊離機構 種々のRCMは肥満細胞からのHA遊離を濃度依存的に亢進し,その作用はイオン性RCMにおいてより顕著である。さらにイオン性RCMによるHA遊離には細胞内cAMPの低下及び細胞内Ca^<2+>濃度上昇が関与することを明らかにした。 3.RCMによるラット肺血管透過性亢進機序の解明 RCMは肥満細胞からHAのみならずトリプターゼも遊離させ,トリプターゼは血管内皮細胞に存在するproteinase-activated receptor-2(PAR-2)を刺激することによりカドヘリン等の細胞間接着蛋白の構造を変化させ,透過性元進を引き起こすことを明らかにした。さらに,トリプターゼ阻害薬であるナファモスタットは,ヒトトリプターゼに対して極めて強力な阻害活性を示し,RCMの副作用に対する有用な治療薬になることが期待された。 4.培養ウシ血管内皮細胞におけるPAR-2を介したタンパク透過性亢進作用 血管内皮上にあるPAR-2は肥満細胞由来トリプターゼ等により活性化され,PLC活性化/細胞内Ca^<2+>上昇/PKC活性化により内皮細胞バリア機能に破綻を来たすと考えられ,これは造影剤による血管透過性亢進の発現機序に深く関与することを提示することができた。 5.RCMによるラット肺血管透過性亢進ならびに肺機能低下に対するカルバゾクロムスルホン酸の改善作用 カルバゾクロムスルホン酸は血管内皮細胞におけるバリア機能を強化することによってRCM誘発性血管透過性亢進を抑制することが見出され,RCMによる透過性亢進に基づく副作用の予防もしくは治療薬としての有用性を明らかにした。 続きを見る
37.
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Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 時計遺伝子に着目した時間治療法の開発 — Development of Chronotherapy Based on Clock Genes
大戸 茂弘 ; OHDO Shigehiro
研究期間: 2001-2002
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概要: 体内時計の本体は、視神経が交差する視交叉上核(SCN)に位置し、時計遺伝子により制御されている。この遺伝子は中枢のみならず末梢組織でも発現しており、ローカル時計として機能している。すなわち、生体は体内時計の階層構造をうまく利用し、生体のホメオスタシス機構を維持している。時計遺伝子の機能と役割が生理学的側面より明らかにされつつあるが、今後の重要な課題として臨床応用があげられる。本研究では、時計遺伝子に着目した時間治療法を開発することを目的とし、以下の点を明らかにした。実験1:薬物代謝酵素、レセプターの日周リズムの成因としての時計遺伝子およびステロイドの役割を明らかにした。実験2:これらの生体リズムマーカーに着目し、生体リズム(生体内環境)を操作することにより新規時間治療法を開発できることを示した。実験3:SCNの時計遣伝子の日周リズムが薬物投与中に如何に変容するかを明らかにし、新規副作用(時計遺伝子の変容)を克服するための至適投薬設計を構築できることを示した。以上の研究をとおして、時計遺伝子やステロイドなどの生体リズムマーカーのモニタリングを基盤とした最適投薬タイミングの設計が可能となり、薬物治療の個別化、薬物誘発リズム障害の防止につながるものと思われる。 続きを見る
38.
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Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 人工透析技術に関する社会史的研究 — A SOCIAL HISTORY OF HEMODIALYSIS IN JAPAN
吉岡 斉 ; YOSHIOKA Hitoshi
研究期間: 2001-2003
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概要: この研究の目的は、日本における人工透析技術の開発利用の歴史的発展について社会史的な見取り図を描くとともに、人工透析医療の現状およびその問題点について検討を行うことである。そのさい国際比較の観点を重視する。将来的には、このパイロットスタディーを土台として、医療関係者を巻き込んだ共同研究を組織する構想をもっている。 この研究は3年間にわたって実施された。その間に実施した主な作業は、次の4種類に分けられる。第1は、文献調査である。そのために、日本透析医学会および日本腎臓病学会の双方に入会し、その和文・欧文の専門雑誌について、サーベイを行った。また同時に、人工透析関係の記事が掲載される種々の医学雑誌、たとえば『腎と透析』、『メディカル・エンジニアリング』などについても、サーベイを行った。さらに図書や報告書類についても収集を進めた。第2は、日本透析医学会等の関連学会の年会・研究会等に出席し、研究課題に関連する報告を聞き、また意見交換を行った。第3は、神奈川県川崎市の虎ノ門病院分院の医師等からの聞き取りである。ただしこれは予備的な性格のものであり、アーカイブとなるような記録は作成しなかった。第4は、海外透析施設の視察である。これは国際比較のために不可欠の作業である。 以上の4種類の作業の成果を、以下に5点にわけて箇条書きとする。第1に、日本の人工透析および腎移植に関するデータを収集することができた。その一部を、冊子体の研究成果報告書に転載した。第2に、人工透析が技術面でも意識面でも、かつての実験的な高度医療から、標準的業務を中心とする一大産業へと変容している状況を把握できた。第3に、コスト削減のための種々の手法が導入され、あるいは導入が検討されている状況を把握できた。第4に、透析医療の患者リスクが高く、将来的な増加も懸念されている状況を把握できた。第5に、以上に述べたような動きは基本的に先進国共通であり、特殊日本的なものではないことが確認できた。 続きを見る
39.
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Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 抱合型カテコラミンとトレーニングおよび血圧の関係 — Relationship between the plasma concentration of sulfoconjugated catecholamines and physical training and blood pressure
大柿 哲朗 ; OGAKI Tetsuro
研究期間: 2001-2003
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概要: 身体運動トレーニングおよび血圧と抱合型カテコラミンの関係を検討した。初年度は、長距離走者・柔道選手・座業的な一般成人の安静時における抱合型カテコラミン(アドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミン)の血漿濃度の横断的比較研究を実施した。また非鍛錬成人7名に3ヶ月間の持久的トレーニングを行わせ、非運動実施群(7名)との比較およびトレーニング経過に伴う血漿の抱合型カテコラミンを測定した。血漿の抱合型カテコラミン濃度は、鍛錬度の違いによって差異が認められなかった。また持久的トレーニングによって最大酸素摂取量や高比重リポタンパクの上昇が認められたが、血漿の抱合型カテコラミンには差異が認められなかった。2年度は、初年度にトレーニングを行った被験者(6名)が、トレーニングを中止して6ヶ月経過した時点で安静時の抱合型カテコラミンを測定した。最大酸素摂取量はトレーニング前値へ低下していたが、この脱トレーニングによっても血漿の抱合型カテコラミンに変化が認められなかった。また淡水と海水へ入浴時の低刺激負荷した時の血圧と抱合型カテコラミンの関係を検討した。その結果、交感神経-副腎系への低刺激負荷は、入浴中の血圧の低下が認められたが、抱合型カテコラミンは有意な変化をしなかった。最終年度はさらにトレーニング中止者の12ヶ月後の抱合型カテコラミンを追跡測定したが、やはり血漿濃度に変化を認めなかった。以上の研究結果から、少なくともヒトにおいては、血漿抱合型カテコラミンは運動トレーニングの影響を受けないことが明らかになった。また比較的若くかつ正常血圧者においては、抱合型カテコラミンと血圧とは関係ないと結論される。 続きを見る
40.
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Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 現代フランス語圏人文地理学の学的構造をめぐる議論 — Paradigms of Contemporary Francophone Geography-?
野澤 秀樹 ; NOZAWA Hideki
研究期間: 2001-2003
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概要: 1)現代人文社会科学の多くは、60年代末から70年代前半における社会情勢の中で、68年のフランスの「5月革命」に象徴されるように、既成の制度や学問への異議申し立て経て、現在にいたっている。人文地理学においては、それは第二次戦後の地理学の方法をリードしてきた英米系の理論計量地理学=実証主義地理学に対する批判というかたちで進められてきた。フランス語圏では、現代地理学の学をめぐる論争が、理論計量地理学の導入を契機として起こり、他諸国とは異なった特色を持っている。 2)フランス語圏の地理学者は、70年代前半の時代を「危機の時代」と捉え、それに対する地理学の無力を「地理学の危機」と認識した。これが、かれらの現代地理学の出発点である。したがってかれらの地理学に対する反省は、理論計量地理学におけるような方法の革新であるよりも認識の問題にあった。 3)ジュネーヴ大学のC.ラフェスタンが地理学認識論を説き、新しい理論地理学として「領域性」の概念を提唱するのもそのためである。(報告書には、ラフェスタンの地理学認識論と「領域性」の概念に関するノート、およびブレッソとの共著『労働・空間・権力』の翻訳を付した。) 4)「地理学の危機と危機の地理学」を表題に掲げ、ミッシェル・フーコーを創刊号に登場させたイーヴ・ラコストの『ヘロドトス』の発刊は、これまでのアカデミックな枠にとらわれていた地理学のイメージを一変させた。かれは、『地理学、それはまず戦争に役立つ』という衝撃的な著書を著わし、「空間戦略」としての地理学を提唱している。(報告書には、ミッシェル・フーコーと地理学、Y.ラコストの「空間戦略」の地理学のノートをのせている。) 5)現代地理学の学的構造をめぐる議論は、「空間」をめぐる議論と言っても過言ではない。本研究では、「地理学における空間の思想史」、および「F.ブローデルの空間概念」について報告した。 続きを見る
41.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 複雑系の逆問題における人工知能を用いた非線形状態方程式の自動推定 — Automatic Derivation of Nonlinear State Equations by Using Artificial Intelligence in Inverse Problem of Complex Systems
岡本 正宏 ; OKAMOTO Masahiro
研究期間: 2001-2002
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概要: 現在、遺伝子発現量の時系列データが得られるようになっており、複数の遺伝子間の機能予測、すなわち遺伝子間相互作用ネットワークの構造を推定することが現実的なものになっている。遺伝子発現量の時系列データからこれを再現する数理モデルを推定することができれば、この数理モデルを基にして遺伝子間の相互作用ネットワークを推定することができると考えられる。しかし実際に未知のネットワークを推定するにあたって、遺伝子間相互作用ネットワークについての知見は十分でなく、どのような形式の数理モデルによって近似するかが問題となる。本研究では、時系列データを用いてそれを再現するGMA(一般質量作用則)に基づいた非線形連立微分方程式を自動導出するプログラムを設計・開発し、その有用性を明らかにすることを目的とする。数理モデルの構造それ自身を最適化するために進化的計算の位一手法である遺伝的プログラミング(Genetic Programming, GP)を採用した。さらに、GPは求める数理モデルに含まれる係数の最適化に関しては進化戦略(Evolution Strategy, ES)アルゴリズムを採用した。開発したプログラムを用いて以下の数値実験を行った。なお、使用した計算機は(Alpha21264-667Mhz,SPECfp95:75.3,SPECint95:37.0)である。まず、テストケースとして実数定数を持つ2元連立微分方程式を計算して得られるデータをサンプリングポイントとして与え、数理モデルを推定できるかどうか実験した。次に、次元数を増やし、3元連立微分方程式の探索を同様の方法で行った。その結果、GPによる連立微分方程式の探索は、次元数が増加するにつれて、1つのタイムコースから1つの数理モデルを推定することは困難で、複数の解候補を与えるため、拘束条件として複数のセットのタイムコースを与えることが解を絞り込む上で重要であることが明らかになった。今後、開発したプログラムを、さらに次元数を増加させたり、カオスのような複雑系の時系列データに適用することで有用性を明らかにする予定である。 続きを見る
42.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 不完全データに基づく数量化II類と語の共起性判定への応用 — Discriminant Analysis with Incomplete Data and its Application to Estimation of Words' Cooccurrency
冨浦 洋一 ; TOMIURA Yoichi
研究期間: 2001-2003
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概要: 語彙の共起性は自然言語処理における基本的な知識の一つであり,これを利用して自然言語文の統語的曖昧さや多義語の語義の曖昧さを解消することができる.しかし,共起し得る語の組は膨大であり,大規模な構文解析済みコーパスを用いたとしても,共起可能な語の組を網羅的に収集することは困難である.そこで,本研究では,構文解析済みのコーパスから得られる共起データを学習データとして,語の共起性を推定する手法を開発した.提案する推定法では,語を実ベクトル(ワードベクトル)に対応させ,語wが関係fで語w'に係る係りやすさの程度(共起性)を,wのワードベクトルと<f,w'>に対応した重みベクトルとの内積とする重回帰モデルで表現する.通常の重回帰分析と異なり,重みベクトルだけではなく,説明変量であるワードベクトルも同時に学習すること,モデルの学習では,学習データに存在しない語の組に対する共起を信頼度付の擬似的な負例(共起性なし)として扱っていることが,本手法の特徴である. EDRコーパスから抽出した共起データを学習データとして,名詞と助詞・動詞の共起性推定実験を行い,推定された共起性を次の2通りの方法で評価したところ,良好な結果を得た. 1.学習データには存在しないが,他のコーパスで共起が観測された語の組に対する推定された共起性の値の分布の調査による直接的な評価, 2.統語的曖昧さ解消実験による間接的な評価. 続きを見る
43.
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Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 図書目録カードイメージを用いた統合的書誌情報検索システムに関する研究
南 俊朗
研究期間: 2001-2002
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概要: 本研究は「図書館自動化&電子化(Library Automation & Digitization LA&D)」の観点から図書館蔵書の電子的検索機能を実現することが大きな狙いである特に従来の電子図書館化の流れの中で忘れられがちであった図書目録カードを画像化し,Webによる検索を可能とすることにより,遡及入力の完了を待たずに全ての蔵書の検索を実現することに重点をおいている. 本研究によって開発された目録カード検索システムにおいては,図書館内にある目録カードと同等のインターフェースを採用した.すなわち,目的の目録カードを検索するためには大きく,所蔵学部→和書・洋書の区分→目録ボックスの選択→見出しカードによる位置の見当づけ→目的カードの検索という手順を踏む.本研究においては簡単なキーワード検索機能を導入することにより,目的のカードの位置を推定し,それに近い目録カードを表示する機能を実現した. 蔵書検索の質をさらに向上させる1つの手段としてRFID(Radio Frequency Identification)技術を利用した蔵書管理手法がある.これはICチップとアンテナからなるラベル状のタグを蔵書に貼付することにより,近距離から非接触で蔵書識別を行うことを可能とする技術である.本技術と図書目録カード検索システムを統合的に用いることで,利用者は目的の蔵書の識別情報などを入手するだけではなく,その位置やその利用状況などの情報を多角的に入手できるようになる. 更に,RFIDタグによるICカードを利用者カードとして採用することにより,更に高度な検索機能が実現できる.たとえば,利用者が館内である蔵書を閲覧した際,書架に組み込まれたタグリーダが蔵書の取り出し・返却と,その利用者の識別を同時に行うことにより,蔵書の利用頻度情報のみならず利用者の興味情報なども自動的に収集できる.これらの情報を利用することにより,蔵書の利用頻度を考慮した購入ができる.また,新しく購入された蔵書に関する情報を,それに興味を抱くであろう利用者に提供することもできる. 本研究においては,このような将来の電子図書館時代における高度な蔵書検索機能や利用者支援機能に関しても基本的な考察を行った. 続きを見る
44.
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Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 長時間高周波電流駆動プラズマにおける電流駆動効率の改善に関する研究 — Study on enhancement of current drive efficiency in long RF current drive plasmas
花田 和明 ; HANADA Kazuaki
研究期間: 2001-2002
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概要: 超伝導強トロイダル磁場実験装置TRIAM-1Mでは、超伝導装置の特長を活かして、低域混成波や電子サイクロトロン波を利用した非誘導電流駆動を用いてトカマクの長時間運転を実施している。最近ではある一定値以上の低域混成波(LHW)を入射することで電流駆動効率や閉じ込めの改善が自発的に起こるECD(Enhanced Current Drive)モードが見つかり、その物理機構の解明を行うべく実験を実施している。ECDモードはバルクプラズマの閉じ込め改善とともに電流駆動効率の改善も起こっている。電流駆動効率改善の一つの可能性としてLHWと共鳴し、加速された高速電子の直接損失が減少することが考えられる。 平成13年度に高速電子の閉じ込めを調べるために弱磁場側に可動リミタを設置してがリミタへの熱入力を調べる実験を行った。リミタへの熱入力には周辺プラズマからの寄与と高速電子からの寄与があるので周辺プラズマの状態を可動リミタに設置した静電プローブによって測定し周辺プラズマからの寄与を差し引いた。この実験で以下のことが明確になった。 1)可動リミタへの熱入力は入射電力65kWに対して0.5kWと極めて小さい。 2)最外殻磁気面からの距離を変えて熱入力を測定したところその分布は周辺プラズマからの熱入力の寄与に極めて近い分布となった。定量評価にやや不確定性が残るものの高速電子からの寄与は測定範囲以下である。 平成14年度は高速電子の軌道損失を調べたが、今年度は高速電子のリップル損失について調べた。イオンドリフト側に設置されているダイバータ板への熱入力と真空容器への熱入力の比の密度依存性からリップル損失を定量的に測定する方法を考案し、定量的測定を実施した。この結果、ECDモードへの遷移に伴い、リップル損失が増加することが確認された。昨年度の結果をあわせると小型装置で電流駆動効率の低下原因の主要因と考えられていた高速電子の直接損失は効率悪化を招くほど大きくはなく効率改善や低下には別の要因を考える必要があることが明確になった。 電流駆動効率の改善に伴いリップル損失が増加することはピッチ角の大きな高速電子が効率改善に寄与している可能性を示唆している。このような現象の説明として大角散乱の増加を候補と考えている。 続きを見る
45.
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Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 長時間プラズマ・壁相互作用時の壁飽和と壁再排気の機構解明 — Investigation about The mechanism of wall saturation and refreshment in long time plasma-wall interaction
坂本 瑞樹 ; SAKAMOTO Mizuki
研究期間: 2001-2003
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概要: 今後の核融合研究においてはプラズマの長時間定常維持が重要な課題となる。長時間プラズマにおいては、放電時間の短いプラズマでは観測され得なかった時定数の長い現象が発生する。このような現象のひとつである「長時間放電中に壁が飽和と再排気(吸蔵)を繰り返す現象」の機構解明のために、プラズマのH_α線強度の空間分布を測定するための多チャンネル可視分光システムの製作及び3次元中性粒子輸送コードDEGASの導入を行い、それらを超伝導トカマクTRIAM-1Mの長時間放電に適用するとともに粒子バランスの解析を行った。 TRIAM-1Mで達成された3時間放電においては、放電開始後約30分からH_α線強度が自発的に増加し、密度制御のための外部からのガス供給が自動的に停止し、プラズマの密度が壁からのリサイクリング粒子のみにより維持される現象、いわゆる壁の飽和が観測された。この放電におけるH_α線強度のトロイダル方向分布の測定結果から、壁飽和時の中性粒子束(リサイクリング粒子束)の増加はトロイダル方向全体からの寄与であることを明らかにした。また、この放電のプラズマ対向壁(ポロイダルリミター、真空容器)の温度の時間変化を測定し、それらの温度変化の時定数から、壁の飽和は真空容器壁の温度上昇に起因する水素ガス放出によることを明らかにした。さらに、壁が飽和と再排気を繰り返す現象は、壁の持つ水素インベントリーすなわちそれまでの放電の履歴に依存することを示唆した。DEGASコードのシミュレーションにおいては、プラズマ真空容器全体から一様に水素を放出させるモデルを適用して長時間のポロイダル方向のH_α線強度分布のシミュレーションを実施し、概ね計測結果を再現する結果が得られた。 続きを見る
46.
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Cover image of 新古典テアリングモードに関する理論研究 — Theoretical Study on Neoclassical Tearing Mode
矢木 雅敏 ; YAGI Masatoshi
研究期間: 2001-2003
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概要: 高ベータトカマク実験で観測されている「新古典テアリングモード」と呼ばれる磁気島の発生原因の物理機構の解明、その制御法の確立をめざし、理論モデルの構築およびシミュレーションコードの開発研究を行った。新古典テアリングモードが非線形的に励起されるためには磁気島の幅がある閾値を超えることが必要であり(island seedの問題として注目されている)、その値を解析的に評価することが話題となっている。しかし直接シミュレーションによる検証はないので、数値シミュレーションにより解析的評価の妥当性を確認するとともに、外的要因によるトリガーの可能性を調べることを目的とする。従来の解析で用いられてきた3場モデルにはイオンの新古典粘性の効果や圧縮性の効果が考慮されていないため、これらの効果を含んだ4場モデルを構築し、線形安定性に関して3場モデルと比較を行った。その結果、バナナ領域においてはテアリングモードを駆動する自由エネルギーの項が正でも安定化が起こることを見いだした。その機構を調べた結果、イオンの新古典粘性効果とイオン・電子の反磁性ドリフト効果の競合効果により安定化が起こることを明らかにした。さらに衝突領域において単一ヘリシティの非線形シミュレーションを行った結果、短波長領域において衝突性ドリフト波不安定性が存在し、これが非線形的に2/1の磁気島を励起することを発見した。衝突性ドリフト波はバナナ領域では安定であり、このシナリオを直接新古典テアリングモードに適応できない。しかしドリフトアルフベンITGモード乱流を導入すれば同様のことが起こり得る可能性がある。このためにはモデルの拡張が必要であり今後の検討課題である。いずれにしても乱流・MHDの非線形相互作用を導入すればisland seedの問題を解決できる可能性があることを見いだした。 続きを見る
47.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 中高エネルギー領域の荷電粒子,特に重陽子が介在する原子力用核データに関する研究 — Nuclear Data for Atomic Energy related to Charged Particles in Medium- and High- Energy Region, especially, deuterons
的場 優 ; MASARU Matoba
研究期間: 2001-2002
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概要: 近年、中高エネルギー領域の荷電粒子に関わる原子核反応のデータは、イオンビーム応用、がん治療、宇宙放射線影響、放射光科学、中性子科学、核燃料廃棄物処理、新型原子力システム、基礎物理科学など極めて広く利用されるようになり、大型プロジェクトが多様に進められているが、これらを効率的に、安全に推進するためには、核データのデータベース化が不可欠である。従来の原子力発電のみを念頭に置いた核反応データと異なり、エネルギー領域においても、標的核種についても、多岐にわたり、実験のみから与えることは困難であり、理論とシミュレーションを考慮した作業が必要となる。現在、核データとして、まず重要な核子の弾性・非弾性散乱や(p,n),(n,p)など、1個の核子が関わる反応の評価は研究が進みつつあるが、次に重要となる1粒子が移行する(p,d),(n,d)反応やその逆反応に関する研究はほとんどなされていない。 本研究では、このような重陽子が介在する核データに関する実験的・理論的研究を行った。実験は、筑波大学と九州大学のタンデム加速器からの偏極陽子を使用し中重核を標的として断面積を測定し、直接反応モデルによりグローバルな解析を行って、連続スペクトルが支配的な励起エネルギー領域のスペクトルの解析法を開発することに成功した。この様な解析は、世界で初めての試みである。同時に、データが少ないため測定が必要とされる(n,d)反応について、九州大学の中性子源による測定を可能にするための多くの技術開発研究を行い、その根幹となる中性子の位置検出に関する新しい方法を編み出し、実験によってその原理を確かめることが出来、新たな研究の展開に向けた準備が整った。これらの成果は、以下に示すように、学会などにおいて、報告・公表を行っている。 続きを見る
48.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 宇宙線生成核種による森林や草原でのエアロゾル及び硫黄降下物の推定 — Estimation of the deposition rates of aerosol and sulfur compounds on forest and grassland with cosmic-ray produced radionuclides
大崎 進 ; OSAKI Susumu
研究期間: 2001-2002
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概要: 宇宙線生成核種、^7Be(半減期53.3d),^<32>P(同14.26d),^<33>P(同25.3d),^<35>S(同87.5d)は大気中で、宇宙線と空気粒子とが衝突することにより、ほぼ一定量生成され続けており、直ちに空気中のエアロゾル(主成分は細かい土壌粒子や海塩、工場排煙物質など)や硫黄化合物(工場排煙物質や海水から発生する亜硫酸ガスや硫酸塩粒子など)に結合する。したがってエアロゾルや硫黄化合物中の宇宙線生成核種を解析することにより、それらの大気中における履歴、滞留時間や起源などが明らかになる。一方地表からは放射性の気体(^<222>Rnや^<220>Rn)が放出されており、それらの壊変生成物である^<210>Pb(半減期22y),^<210>Po(同138d),^<212>Pb(同10h)も宇宙線生成核種の類似核種として使用できる。 大気中の亜硫酸ガス、エアロゾル、降雨、乾式降下物を10日毎に採取し、それらの試料中の硫黄量および上記の放射性核種を1年間測定した。それらを大気2ボックスモデルから解析し、各月ごとのエアロゾルおよび亜硫酸ガスおよび硫酸粒子の上空での移動量、地表への降下量を求めた。 一方半減時の短い^<212>Pbを利用して用種々の地表面へのエアロゾルの降下(乾式)を直接測定した。半減期が短いので3日ぐらい雨で降下した記録が消え、後は乾式で降下したエアロゾルのみ測定できる。この手法をもちいて、水面、草原、森林、舗装面など種々の地表面への乾式降下量を測定した。その結果は予測されるように起伏の多い地表面ほど乾式降下が多いことが分かった。 さらに森林系生態におけるエアロゾルの挙動を解明するため、杉林において一年間林内雨、樹幹流、および林外雨を10日毎に採取し、放射性核種を測定した。その結果、^7Beの平均滞留時間は60日程度と短く、^<210>Pbは510日と大変長いことがわかった。 続きを見る
49.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 山村の持続型社会への転換と森林保全の地域連携に関する研究 — Study on Changeover of Mountain Villages into the sustainable society and Regional Relationship for Forest Conservation
佐藤 宣子 ; SATO Noriko
研究期間: 2001-2002
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概要: ズギ人工林地帯である九州をフィールドとして、高度経済成長以降、過疎化が進行している山村の持続的な社会への転換と森林、農地、景観等の資源保全に向けた地域連携の課題を明らかにするために、主に、宮崎県諸塚村と大分県上津江村においてアンケートや聞き取り調査を実施した。特に、(1)山村問題を歴史的に概観し、(2)現段階の山村を持続可能な社会へ転換するための課題を、農林経済学、社会学、環境設計論の各立場から明らかにすること、(3)持続的な山村社会形成と森林保全にとって不可欠となっている山村と都市との連携の現況と問題点について検討をおこなった。 諸塚村での村民アンケート(1400部強)と小集落アンケート(72集落)によって、近年、道路の維持管理が困難となっており、山村コミュニティにとって、(1)山村社会を支える主体形成のあり方(男性壮年層中心から女性や高齢者、Iタ-ン者などが参加しやすい活動への転換)、(2)集落組織の再編方向(小集落組織合併、集落機能の見直し、村内NPOなど「選択縁」的組織と地縁組織の連携)、(3)地域連携・都市山村交流活動を推進するための山村側の課題(自治体による住民に対する説明責任、都市住民との対等な関係作り、住民の意識改革)といった3点が明らかとなった。 また、都市との連携に関して、産直住宅運動、草地景観保全ボランティア、農産物産直について考察を行い、活動を通じて山村住民の意識変化と同時に都市住民との意識差異が依然として存在していることが示された。 続きを見る
50.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 新規遺伝子多型解析プローブとしての環状フェロセン化インターカレータ — Cyclic ferrocenyl intercalator as a novel probe for gene polymorphism analysis
竹中 繁織 ; TAKENAKA Shigeori
研究期間: 2001-2002
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概要: ヒトゲノムプロジェクトの終結を迎え,個人レベルでのSNP(single nucleotide polymorphism一塩基多型)解析が重要となってきている.これはSNPが遺伝病などの致命的な病気を引き起こさないまでも高ストレスにより生ずる病気に関連していることが示されてきていることや,薬の投与量による副作用の有無にも関連していることが証明されてきているからである.当該年度では,ナフタレンジミドとフェロセンとからなる環状インターカレータCyNDIFcをSNP分析のための分子プローブとして発展させること目的として研究を行った.正常遺伝子と変異遺伝子とのヘテロ二本鎖はSNP領域にミスマッチ核酸(一本鎖核酸)を含むことになるので,CyNDIFcがその部位に好んで結合すればこの部位を電気化学的に検出できる可能性がある.X線構造解析によりCyNDIFcが予想どおり環状構造を取っていることが証明された。核酸のTmを用いてCyNDIFcのミスマッチ部位に対する影響を評価した。その結果ミスマッチ部位が存在することにより、大きくTmが上昇することが明らかとなった。CyNDIFcによるミスマッチの電気化学的検出のために,DNA修飾電極を用いてCyNDIFc存在下の電気学的測定を行った。電極上に固定化されたDNAの1本鎖領域の増加に伴ってCyNDIFcに由来する電流値の増大が見られた。これらの結果によりSNP解析のための分子プローブの可能性を開くことができた。今後,CyNDIFcの構造をさらに最適化すれば,選択性・感度ともに高い分子プローブが構築できるものと考えられる. 続きを見る