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1.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 組み立て方式遮音壁の性能評価に関する研究 — A Study on the Performance Evaluation of an Assembled Noise Barrier
堀内, 章司 ; Horiuchi, Takashi
学位授与年度: 2008
学位授与大学: 九州大学
学位: 博士(芸術工学)
学位種別: 課程博士
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概要: 遮音壁は、わが国における道路交通騒音の一般的な伝播経路対策であり、一般的に現地組み立てによって設置される。その構成部材として、殆どは面材として分割された遮音パネルであり、遮音壁の減音性能を左右するのは遮音パネルによるところが多い。次に現行の遮音壁における問題点を挙げる。1つ目は音響性能とその評価方法の問題点である。遮音パネルの性能評価基準値として音響透過損失が設定されている。しかし測定時には、パネル間の継ぎ目に粘土等を覆って設置するのが通例となっている。また、ポリカーボネイト板(板厚5mm)など旧型の透光板は低剛性で音響透過損失も小さいため、高い壁に採用される場合では、パネル放射(音響透過)の影響が懸念される。2つ目は遮音壁構造の問題点である。遮音壁の必要性能を満足するためには、遮音パネルが隙間無く設置されていることが前提だが、その継ぎ目には隙間埋めなど特別な処理は施していない。その結果、遮音壁の現地設置構造は隙間からの漏洩音が懸念される。さらには、性能評価時と現地施工時の設置状態は合致しているとは言いがたく、性能評価結果が現地施工時に期待できるか疑問である。3つ目は設置に対する問題点である。一般的に遮音壁の設置は建設工事と変わりなく、施工業者も音響の専門家では無い工事業者が行うことになる。結果として、遮音壁の音響性能を無視した施工をされる可能性は否めない。これら問題解決の第一段階として、問題の根本となる組み立て方式の遮音壁構造による性能劣化要因について着目し、要因に対する影響を検討する必要がある。そこで本論文では、組み立て方式遮音壁の主な性能劣化要因として、性能劣化の影響が大きいと想定される a)隙間からの漏洩、b)パネル放射に着目する。本論文では2つの性能劣化要因について、フィールド調査・数値解析・模型実験といった観点から検討を行い、性能劣化が生じる場合の性能評価について検討を行うことを目的とする。次に本論文の構成を示す。第2章では、既設の遮音壁に設置された遮音パネルを対象としたフィールド調査を行い、既設遮音壁における隙間と音響性能の関連性を考察する。第3章では、数値解析で適用する2次元境界要素法(BEM)と、BEMと有限要素法(FEM)の結合解法について定式化を説明する。第4章では、遮音壁構造を対象とした2次元BEMを用いて、パネル間に発生した隙間による性能劣化を検討する。第5章では、結合解法を用いて、隙間に加えてパネル放射音も考慮した場合の遮音壁の性能劣化を検討する。また模型実験を行い、数値解析手法の妥当性を示す。さらに、道路交通騒音に対して遮音壁の性能劣化について示す。最後に、パネル放射に対する遮音壁の性能改善について、一手法を提案する。第6章では、これまでの内容をまとめ、今後の課題と展望を示す。 続きを見る
2.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 大臼歯の萌出と石灰化に関する研究
平野, 克枝 ; Hirano, Katsue
学位授与年度: 2009
学位授与大学: 九州大学
学位: 博士(歯学)
学位種別: 課程博士
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概要: 本研究は,大臼歯の萌出と石灰化に関するものである。第一章では「咬合の鍵」である第一大臼歯に着目し,その石灰化と萌出の左右差について検討を行った。また第二章では,第二大臼歯の石灰化遅延と第一大臼歯との関連について検討を行った。いずれも,1998年~2006年の9年間に九州大学病院小児歯科を受診し,パノラマエックス線写真上で上下顎とも両側の第二乳臼歯が完全萌出している小児476名を対象とした。資料はパノラマX線写真のみとし,今回独自に設定した萌出位置の判定基準と,Gleiser & Huntが設定した石灰化段階を指標に解析を行った。歯胚位置の左右差は,萌出の促進あるいは遅延が片側性に生じたものといえる。また,歯の萌出は歯根の石灰化とともに進行していくことから,一般に萌出の遅れは石灰化の遅れに起因すると考えられている。第一章より,第一大臼歯の歯胚位置の左右差は全体の13.2%で認められ,最も差が認められたのは萌出期である6歳の21.3%であった。しかし第一大臼歯の石灰化の左右差は全体の7.4%に過ぎず,最も差が認められたのは同じく萌出期の6歳で12.4%であった。この結果は,第一大臼歯の萌出遅延は,石灰化遅延以外の要因によっても生じうることを示唆している。本研究ではその要因を明らかにすることはできなかった。しかし今回の結果から,たとえ第一大臼歯歯胚の石灰化に左右差が認められない場合であっても,左右どちらかの萌出が遅延する可能性を念頭に,経過観察を行う必要があるといえる。また,萌出位置に左右差を認めた年齢は上顎では8歳まで,下顎では7歳までであった。小児歯科臨床では 第一大臼歯の萌出が片側性に遅延し,位置に左右差が認められる症例をしばしば経験する。その原因が臨床的に特定できない場合,病的な遅延か,あるいは一過性の遅延かの判断は難しい。明らかな異常所見を認めない症例を対象とした本研究結果から,上顎では9歳まで,下顎では8歳までを経過観察の時期とし,その時点で左右差が解消されない場合は,積極的な萌出誘導も検討するという基準を提示することができた。第二章より,第二大臼歯の石灰化遅延は,上顎で3.9%,下顎で2.0%,全体で4.6%の症例で認められることが明らかとなった。このうち,第一大臼歯にも萌出や石灰化の左右差が認められるものは半数であった。これまで第一大臼歯の石灰化遅延の頻度に関してはいくつか報告がなされてきたが,第二大臼歯に関しては不明であり,本研究で得られた第二大臼歯の石灰化遅延の発生頻度は,第一大臼歯のそれと近似していた。以上のことより,同じ大臼歯群である第一大臼歯と第二大臼歯の石灰化遅延歯ほぼ同じ頻度で発生すると考えられ,両者の間には発生過程で何らかの関連性があることが示唆された。 続きを見る
3.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of A Study on Non-Photorealistic Rendering Technique for Visualization of Dyeing Cloth — 布染色系ノンフォトリアリスティックレンダリングに関する研究
森本, 有紀 ; Morimoto, Yuki
学位授与年度: 2007
学位授与大学: 九州大学
学位: 博士(芸術工学)
学位種別: 課程博士
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概要: コンピュータグラフィックス(Computer Graphics: CG)の研究分野ではこれまでに写実的な表現ばかりでなく、非写実的な表現(Non-Photorealistic Rendering: NPR)も様々な目的に応じて研究されている。このNPRでは水墨画や水彩画、油絵などの絵画調表現が行われている。染め物を題材とした研究としては2004年にろうけつ染めの表現手法が提案されているのみである。本研究は、NPRにおいて画材としての布染色モデルを確立することを目的としている。 布への染料拡散の視覚的特長としては糸毎に現れるすじや場所は隣り合っていても色の濃淡がまだらに現れているものなどがあげられる。これらは糸内での拡散が糸の材質や縒り方、繊維の方向などによって影響を受けるために起こると考えられる。このように様々な物理的要因によって染色の視覚的特長が引き起こされている。本研究では実際の染色過程、染色技法、布の織構造などの機能を、appearanceベース、physicsベース、そして染色理論ベースの三つの異なるモデルとして提案する。appearanceベースのモデルでは、布繊維内での染料量をセルオートマトンによって時間軸に沿って平均化していくことによって拡散のシミュレーションをしている。このモデルはシンプルであるため、比較的処理が高速にできるという特徴がある。physicsベースのモデルでは織布中での染料の拡散をFickの法則に基づき表現している。更にphysicsベースによるモデルを染色理論に基づきパラメータ化したモデルでは、織構造や染料の種類などが染料の拡散に影響を与えるモデルへと発展している。このモデルでは布内のパラメータとして繊維の空隙率を表した多孔度や繊維のねじれを表す屈曲度などを用いており、このようなパラメータを操作することによって染色の視覚的特徴を表現することができる。他に、染色表現に重要な因子として、布の織り構造、布の一部に糊や蝋を置いたり糸で縛ったりすることによって染料の拡散を防ぐことで模様を表現する防染技法、染料の布への吸着などの要素をモデル化する方法を提案している。実験結果によると本研究で提案する染料拡散手法が模様を生成するための染色技法を柔軟に考慮できることができることがわかる。 続きを見る
4.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of Ergonomics of human land locomotion with load carriage — 重量負荷を用いたヒトの陸上移動運動に関する人間工学的研究
安陪, 大治郎 ; Abe, Daijiro
学位授与年度: 2007
学位授与大学: 九州大学
学位: 博士(芸術工学)
学位種別: 課程博士
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概要: 重量物を運搬歩行するときのエネルギーコスト(Cw; ml/kg/meter)を単位距離当たりで評価した場合、エネルギーコストは必ずしも運搬物の重量に比例して増大するわけではなく、体重の約10-20%程度の重量が代謝に反映されない場合があり、これまでそのような現象はfree-rideと呼ばれてきた。本研究の前半部では、free-rideの発生メカニズム解明のために、負荷重量、付加部位、歩行速度、傾斜の影響について検討した。また、ランニングでもfree-rideが観察できるかどうかについては諸説ある。ランニングでは重量物を身体に付加することによって、下肢筋群の筋・腱複合体が適度に引き伸ばされ、「弾性エネルギー」と呼ばれるバネ作用の恩恵を受けることが出来る。つまり重量物を身体に付けてランニングすると、弾性エネルギーをより多く利用できるため、無負荷の場合に比べて走行中のエネルギーコストが低下し、結果的にfree-rideが発生するという説と、重量物による下肢筋群への過剰負担のために、free-rideは発生しないとする説が対立していた。そこで本研究の後半部では、筋電図法を用いてランニング中の弾性エネルギー利用度を測定する方法を確立すると共に、ランニングにおけるfree-rideの有無とメカニズムについて検討した。本研究で得られた主な結果は、1) free-rideは背中に重量物を配置し、低速度で歩行した場合に観察された。2) 歩行において最もfree-ride効果が高いのは、体重の15%に相当する重量物を背中に配置した場合であった。3) 背中の上部と下部に体重の15%相当の重量物を配置した場合、60-80 m/minで後背上部に配置した方が下部に配置した場合に比べて有意にCw値が低かった。4) ランニングでもfree-rideを観察することができた。5)弾性エネルギーの再利用がエネルギーコストと有意な負相関を示した。これらの結果から、歩行におけるfree-rideは、身体重心と付加重量物の相対的位置関係に起因する「身体重心周りの回転トルク」によって発生するが、同時に重量負荷による下肢への過剰負担によってその効果は漸減し、およそ80m/min付近で消滅すると結論した。また、本研究では平地および下り坂ランニングにおいてfree-rideが観察できることを確認した。このメカニズムは重心周りの回転トルクではなく、弾性エネルギーの再利用に起因することが示唆された。 続きを見る
5.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 映像編集におけるショット間の継時的群化の要因 — The Factor of Grouping Shots in Time Series about Movie Editing
井上, 貢一 ; Inoue, Koichi
学位授与年度: 2007
学位授与大学: 九州大学
学位: 博士(芸術工学)
学位種別: 課程博士
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概要: 本論文は、映像情報のデザインという観点から、ショット(映像断片)の「つながり」、すなわち「継時的群化」について、その要因を整理するとともに、主要な要因に関する実験的な検証を行ったものである。 その結果、解釈のレベルにおけるショット間の継時的群化に関する議論は、大きく以下の3点に集約された。1)情報量を小さくするようなショットの構成が認知的負荷を下げ、ショット間の「つながり」に貢献すること。2)「他動詞」の喚起を伴う「アクションとリアクション」の接続がショット間の関係理解(情報処理)を効率化すること。3)映像上に現れる「人・顔(目)・手」といった素材が、「他動詞」を喚起する契機として重要であること。 先行ショットの文脈効果(プライミング)によって後続ショットの範列を制限し、エントロピーを下げること、そして、後続ショットを予測の範囲内に送りだすことで結果的に情報量を下げること。ショット間の継時的群化には、認知的負荷の少ない、より簡潔な解釈を可能にするショット間の構成が重要であることがわかった。 特に、「古典的ハリウッド」における編集の基本といわれる「アクションとリアクション」の構成は、因果印象という効率的な解釈を生起させる点で、ショット間の継時的群化に貢献する重要な要因のひとつであると考えられる。 「見る」、「撃つ」、「照らす」は 後続ショットを目的語としてつながり、「開ける」、「出す」、「振る」などはその行為を契機として後続の出来事に結びつく。ショット間に強固なつながりの印象を与える「アクションとリアクション」の関係には、そのような「他動詞」の喚起が不可欠である。そして、そのためには、人間の顔(目)や手が生み出す「(意識の)動き」を映像化することが重要な要件となる。 そこに「人」がいて「(意識の)動き」がある。この最も日常的な現象の映像化が、「因果印象」という、やはり最も日常的な時空間の「つながり」に貢献する。 続きを見る
6.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of A Study on the Design Development of Electric Fan for Home Use in Japan — 我が国における家庭用電気扇風機のデザインの変遷に関する研究
平野, 聖 ; Hirano, Kiyoshi
学位授与年度: 2007
学位授与大学: 九州大学
学位: 博士(芸術工学)
学位種別: 課程博士
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概要: 明治時代,先進諸国から一般家庭用の電気扇風機を導入するに当って,我が国メーカーは卓上型を選択した。既に欧米では主流であった天井扇については,気候・風土や家屋の構造上の相違によって,当初より我が国一般家庭に定着する兆しはなかった。まず,輸入された卓上型を手本に開発を進めた大企業の存在があった。それとは別に,江戸時代以来の職人技をもって独自の開発を試みた町工場がかなりあった。手動扇風機を含めたこれらの製品が明らかにしている職人の技術力が,「モノ作り日本」の潜在的な能力を表している。大正時代及び昭和の戦前期には,扇風機が富裕層を中心に普及を遂げる。ただし,普及当初は扇風機の貸付制度を利用する市民が多かった。これが,扇風機をステイタスシンボルとして機能させることとなり,富裕層の所有欲をますます掻き立て,さらには庶民にとっては「文化生活」を代表するあこがれの製品としての地位を占めることとなり,やがて家電ブームの牽引力となる。大正時代半ばには扇風機の基本形,すなわち「黒色,四枚羽根,ガード付き,首振り機能付き」が完成している。それとともに,当時の我が国扇風機のデザイン開発における特徴は,ガードが独立化を果たしたことである。当初は危険防止の機能上必要とされたガードが,やがてモデルチェンジをアピールする役割を担うこととなる。形態上は,エトラ扇(幅広三枚羽根)の採用を例外として,扇風機の大きな変化は見られない。機能的には細かな改良を頻繁に行い,扇風機から自然に近い風を引き出すかに意を砕いている。戦後の1,950年代までは,扇風機が一般市民層にも幅広く普及した時代に相当する。戦前と大きく変化したのは,その色彩についてである。戦前までは,「黒色」以外存在しなかったと言っても過言ではなかった。それが,進駐軍のデペンデントハウス導入を機に,一転してカラフルなものに変わった。一方,この時代機能的には首の伸縮が追加され,応接間では床上にフロア扇として,茶の間では畳の上で卓上扇として使用する,一台二役の「お座敷扇」が登場する。扇風機用ガードを独立させてデザイン開発を行うことは,我が国特有の現象であるように見受けられる。戦後には極めて多数のガードが意匠登録出願され,各社の扇風機のデザインにおけるバリエーション展開の豊富さや,モデルチェンジの頻度についての示唆を与えるものとなっている。 続きを見る
7.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of Research on design evaluation system that pays attention to value of Kansei — 感性価値に着目したデザイン評価システム構築に関する研究
曽我部, 春香 ; Sogabe, Haruka
学位授与年度: 2008
学位授与大学: 九州大学
学位: 博士(芸術工学)
学位種別: 論文博士
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8.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of A Study on the Classification of Moving Units for Facial Expression Robot : Proposal of Moving-Unit for Animatronics — 顔表情ロボットにおける駆動ユニットの分類に関する研究 : アニマトロニクスのためのムービングユニットの提案
權, 泰錫 ; Kwon, Taisuck
学位授与年度: 2008
学位授与大学: 九州大学
学位: 博士(芸術工学)
学位種別: 課程博士
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概要: 本研究はアニマトロニクスという映画やテーマパークなどで用いられるエンターテイメント用のロボット(アニマトロニクス)の顔表情の表現に関する研究である。ここでは、人間のように、顔表情の表現のできるロボットを、数少ない駆動ユニットを効果的に制御することにより、豊かな顔表情を実現するために、MU(Moving Unit;ムービングユニット)とその記述方法を提案し、実際の人間の表情と物理的及び心理的な測定を通して有効性について考察したものである。本研究では既存のエンターテイメント型のロボットの制作•制御等に使われている駆動ユニットやその記述方法等について分析し、その結果、Action Unit(AU;人間表情の記述方法の最小単位)の適用や表情筋を含む筋肉名称、動作部位、動作の描写などが混用して用いられていることがわかった。さらに被験者たちにAUで示される17種の基本的な動作をさせ、白黒濃度差法(Intensity Differences Method)によって顔の可動域分析の実験を行い、筋肉の動きに連動関係があることや一つの筋肉でも、複数のAUの組み合わせによるものがあることがわかった。これらの結果を踏まえ、人間の表情研究に用いられるAUやFACSをロボットの顔表情の制御に関連させてロボットのアクチュエータ制御のために新たにMUを提案した。MUは機械的な筋肉構造を考慮し、アクチュエータの作動を基盤にしたアニマトロニクスの顔表情及び、動作表現のための基本ユニットである。MUは全部で26個のMUグループで構成されるが、主要な19個のMUグループを用いて、62個のAUの表現が可能である。ここで提案するMUの有効性を検証するため、被験者(Aモデル)とこの被験者の顔を用いて制作したアニマトロニクス(Bモデル)の可動域を比較分析し、この提案した19のMUグループが効果的に作動していることがわかった。Aモデル、Bモデル、Cモデル(MUを用いて製作した顔筋肉アニマトロニクス)の代表的な基本表情(無表情、喜び、悲しみ、怒り、嫌悪、驚き、恐れ)に対してSD法による印象評価を行った。印象評価において人間の表情にほぼ近い形で物理的なMU制御の妥当性は見られるが、細部にわたっての制御に対してより繊細なムービングポイントの配置やロボットの表情の持つ記号的な意味解釈について更なる検討が必要であることがわかった。 続きを見る
9.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 日本における鉄骨構造建築の導入と発展過程に関する研究 : 官営八幡製鐵所の創設期から昭和初期における工場建築の設計と建設 — A Study on the Introduction and Development process of the Steel structure building in Japan : On the Design and Construction of Factory building in The Imperial Steel Works, Japan (The Japanese Government-controlled Yawata Steel Works )from the Period of the Foundation to the early Showa era
開田, 一博 ; Hirakida, Kazuhiro
学位授与年度: 2008
学位授与大学: 九州大学
学位: 博士(芸術工学)
学位種別: 論文博士
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概要: 明治34年(1901)に官営八幡製鐵所が福岡県遠賀郡八幡村(現在の北九州市八幡東区)で操業を開始したが、操業に先立って、官営八幡製鐵所では本格的な大規模鉄骨工場が建設された。本研究は①官営八幡製鐵所の操業開始時における鉄骨工場建築の建設の背景、②ドイツから導入した鉄骨構造建設技術、③その後の欧米からの鉄骨構造設計技術の移入、そして④わが国の技術者が国産第一号の鉄骨工場建築を設計し発展させた過程を明らかにするものである。なお、研究対象とした年代は明治34年(1901)から昭和初期までである。明治34年(1901)の官営八幡製鐵所の操業に先立って竣工した工場建築には現存する尾倉修繕工場などがあり、わが国における本格的な大規模鉄骨構造建築としては最初のものであった。しかし明治34年(1901)当時はわが国では鉄骨構造の設計能力および経験が不足していたので、工場建築の設計は、当時ドイツの有数の企業であったGUTEHOFFNUNGSH?TTE(グーテホフヌンクスヒュッテ)社(以下、G・H・Hと言う)に依頼された。そしてわが国では、この工場の建設にはドイツ人技術者に建設現場での現地指導を受けながら、機械技術者が工場建築の建設を担当した。以降、官営八幡製鐵所の鋼材生産も順調に推移するに従って、八幡製鐵所の自家鋼材を使用し、自分たちの設計、すなわち、国産による工場建設の気運が高まり、明治42年(1909)に官営八幡製鐵所職員「景山齊」によって、国産第一号となる「ロール旋削工場」が竣工した。この工場建築設計者の「景山齊」は京都帝国大学理工科大学機械工学科を卒業して間もない日本人機械技術者であったことが注目されるが、国産第一号の工場誕生の背景には、大学における鋼構造設計技術教育の充実があったことがうかがわれる。具体的には、明治42年(1909)頃は京都帝国大学理工科大学土木工学科教授の日比忠彦などが「建築雑誌」へ鉄骨構造に関する論文を掲載し、わが国の鋼構造設計技術を大きく発展させた時期であった。国産第一号の「ロール旋削工場」が製鐵所内外に与えた影響は大きく、国内での設計が可能と認められ、軍の工廠建築の設計などを依頼されるまでに発展していった。その後、国内の鉄鋼需要の高まりに伴って、官営八幡製鐵所では拡張計画が進められ、大正5年(1916)には鋼構造設計技術者の不足を補うため、国内技術力の向上に連動して、民間の横河橋梁製作所から鋼構造設計技術を有した建築技術者の招聘を行った。その結果、製鐵所内の多くの工場建築の設計は機械技術者に代わって、民間から招聘された建築技術者によって行われるようになった。大正10年(1921)には民間から招聘された建築技術者は退社し、以後、官営八幡製鐵所における工場建築設計は、建築技術者から土木技術者に移り、昭和9年(1934)の日本製鐵株式会社の設立まで土木技術者による設計が続いた。以上のことから、わが国の鉄骨構造建築の発展に関して次のことが明らかになった。第一に、官営八幡製鐵所において、明治34年(1901)の操業開始に先立つG・H・H設計の工場建築は、わが国最初の本格的な大規模鉄骨構造建築の始まりであった。そしてこれらの工場から始まって、明治42年(1909)の国産第一号工場の誕生に至るまでの鉄骨構造工場建築に関する主導的役割は機械技術者であった。第二に、明治42年(1909)の国産第一号工場の設計者は機械技術者である「景山齊」であった。彼が設計した時期は京都帝国大学土木工学科教授「日比忠彦」が建築雑誌に、当時最新の鉄骨構造の設計技術を掲載した時期と一致する。さらに国産第一号工場の竣工が軍関係の工場建築設計に至ったという事実があり、製鐵所内の技術が国内技術へと広がったことを示している。第三に、大正5年(1916)になると、鉄骨構造建築の設計が民間建築技術者の招聘によって、建築技術者に委ねられることになった。これは民間技術の普及の場ともなり、以後の土木技術者が担当したことも含めて、わが国の鉄骨構造技術発展に大きく寄与した。以上、本研究によって、官営八幡製鐵所における日本の鉄骨構造建築の設計・建設技術が欧米から移入され日本に定着していった発展過程について詳細な知見が得られた。 続きを見る
10.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 我が国における中等建築教育の確立に関する基礎的研究 : 大正末、昭和初期の文部省内と建築学会の検討活動を通じて — A Study on the Establishment of Middle Level Education on Architecture in Japan : Through the Activities by the Ministry of Education and Architectural Institute of Japan, the Later Taisho-era and the Early Showa-era
松永, 文雄 ; Matsunaga, Fumio
学位授与年度: 2008
学位授与大学: 九州大学
学位: 博士(工学)
学位種別: 課程博士
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概要: 本研究は我が国の建築教育、特に中等教育がどのような過程で確立したかを明らかにするもので、その対象を大正末に行われた文部省内の建築教育に係る委員会と昭和初期に建築学会内に設置された「実業学校程度ノ標準教科書」編纂委員会の審議(過程と内容)に求め、ここでの議論(調査を含む)をとおして、個別科目の実態でなく、総体としての建築教育に求められる姿を明らかにするものである。第1章では、研究の目的と方法を示し、研究の独自性を説明するだけでなく、技術の発展と社会の変貌が、必然的に新しい教育システムを要求し、これが技術の普及であるとの見解を示した。第2章では、社会の要請に応えるためには先端技術は一般化する必要がある。本章では明治の初期から末に至るまに刊行された代表的な書籍を取り上げ、その発刊の意図を導き出した。研究目的は、文部省と建築学会内で総括的に取り組まれた建築教育のあり方が検討される前の状況を明らかにすることにある。第3章では、今日と異なる教育体制が、明治期から誕生していたことを踏まえて、義務教育以降の職業教育を中心とする学校制度の実態を明らかにした。そして本章の統計資料の分析によれば、実際のところは実務中心の教育が数の上では絶対的多数を占め、この実務教育の需要からも一定のレベルの教育を教授する方法(標準教授要綱や教科書)の整備が焦眉の急であったといえる。また、生徒数の絶対的な増加により、実業学校の改正が行われ、教員資格が、当初の「学士」レベルに加え「検定試験」合格者を含むことを明らかになった。この結果は、誰が何処でも何時でも一定の教育を教授できる教科書及び標準教授要綱の存在を必然としたことを指摘した。第4章では、建築学会が教科書(案)編纂作業に取り組む前の時点での文部省内で検討された実業教育の具体的内容を明らかにした。実業学校は、本来設置される地域条件と連携して産業・経済条件に貢献することが目的であった(明治32年の実業学校令)。しかしながら、余りにも区々な教育システムは、効率性と新しい知識の教授に不都合を生じ、根本的な見直しが行われた。これが、大正9年の実業学校令の改正であり、建築教育について言及すれば、職業教育から技術者に変貌した時期に一致する。本章では、文部省内の委員会の活動と文献資料を通じて、それまでの工業学校規程類の変遷から、建築学における様々な科目名が集約され、今日の科目につながる過程も明らかにした。第5章では、学理追求機関である建築学会が、実業学校程度の教科書を刊行するために編纂委員会を設置した背景とそのカリキュラムの内容と確立過程を明らかにした。建築学会が中等建築教育の改善に関与した功績は、以下のようにまとめられる。・委員会の作業をとおして多大な分野に及ぶ建築教育のコンセンサスが得られた。・この時期に建築学の基礎(科目の種類とそれぞれの内容)が学会関係者の合意のもとに確立された。・学会での審議は、中等教育における建築教育の対象を技能者(クラフトマン)から技術者(フォアマン)、別の言い方をすれば、木工科から建築科への変化を確実なものにした。第6章では、建築学会が編纂した「標準教科書」の内容に準拠した書籍の発刊状況と内容及び著者について明らかにした。発刊の時期は学会が案を建築雑誌に発表した翌年の昭和5年から始まるが、これらを紹介している「図書紹介」では、昭和13年まで存在していた。また、建築学会の教科書案に準拠したとの説明以外に、実業(工業)学校卒業検定試験、(実業)工業学校教員検定試験問題を例題としたものがあり、教科書の機能だけでなく受験参考書の役割も持たされていた。資格化と教育の関係はこの時代から始まっていた。最後に、本研究の成果を今日の建築教育と関連付ける。・総合的視点からの建築教育建築学会が提案した標準教科書は、実業学校を前提としているために、時間数において普通・専門科目のバランス、枠の決められた中での各専門科目の配置(開設時期と開設時問)を前提としていた。したがって個々の科目の内容のみならず、所謂ソフトからハードに及ぶ多様な建築専門分野を等しい尺度で計り、各科目のあり方を捉えた点・姿勢は参考にされるべきであろう。現在、建築士の受験資格要件で教育の見直しが迫っており、この際、本研究で扱ったように、少なくとも我が国の建築教育は如何にあるべきかという高所からの視点が求められる。・最新技術の普及化技術は一般化することにより社会貢献できる。この命題は建築においても然りといえる。本研究知見は、高等建築学あるいは技術を如何に中等レベルへ移行させるかが関係し、「高度な内容を平易に教授する」に集約できる。今後どのような展開、換言すれば、複雑化した建築学全体を俯瞰し、建築教育のレベルをきちんと体系化する必要がある。その体系の中から、中等・高等教育機関が教授すべき科目とその内容を整備するべきであろうと考える。 続きを見る
11.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of The mechanisms of adrenergic modulation of excitatory postsynaptic currents in pyramidal neurons of rat cerebral cortex — ラット大脳皮質錐体ニューロンの興奮性シナプス後電流に対するアドレナリン受容体の活性化を介する修飾
小嶋, 允郎 ; Kojima, Masao
学位授与年度: 2008
学位授与大学: 九州大学
学位: 博士(歯学)
学位種別: 課程博士
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概要: アドレナリン受容体アゴニストは,受容体サブタイプ固有の働きを介して大脳皮質における興奮伝播に対して相反する作用を及ぼすことが,光学計測による研究から明らかとなっている(Kobayashi et al., 2000)。しかし,これらの作用がどのような神経基盤によって実現されているかは,不明な点が多い。そこで本研究では,脳スライス標本を用いた電気生理学的手法によって,このメカニズムの一端を明らかにすることを目的とした。はじめに,興奮性ニューロンである錐体ニューロンから細胞内記録を行い,電気刺激によって誘発される興奮性シナプス後電位(eEPSPs)に対するノルアドレナリンとα1 アドレナリン受容体アゴニストであるphenylephrine,β アドレナリン受容体アゴニストであるisoproterenol の効果を調べた。その結果,ノルアドレナリンは,記録ニューロンがⅡ/ⅢあるいはⅤ層のいずれにあっても,eEPSPs の振幅を減少させ,同様の効果が phenylephrine の灌流投与によって観察された。一方,isoproterenol は,Ⅴ層に存在する錐体ニューロンで観察されるeEPSPs の振幅を有意に増大させたが,Ⅱ/Ⅲ層の錐体ニューロンから記録されるeEPSPs の振幅には影響を与えなかった。次に,大脳皮質Ⅴ層に存在する錐体ニューロンを対象にホールセル・パッチクランプ記録を行い,グルタミン酸作動性シナプスを介した興奮伝達に対して,phenylephrine とisoproterenol がどのように作用し,その作用点がどこに存在するかを調べた。頻回刺激(33 Hz,10 連矩形波)によって誘発されるα-amino-3-hydroxy-5-methyl-4-isoxazole-propionic acid(AMPA)受容体を介した興奮性シナプス後電流(eEPSCs)に対して,phenylephrine はその振幅を抑制した。また,1 発目のeEPSCs における振幅の変動係数(coefficient of variation; 以下,CV)および1 発目の eEPSCs に対する2 発目のeEPSCs の振幅比(paired-pulse ratio; 以下,PPR)は,phenylephrineによって変化しなかった。一方,isoproterenol は,2 発目から10 発目のeEPSCs と比較して1 発目のeEPSCs の振幅を顕著に増大させ,その結果としてPPR を減少させた。また,isoproterenol は,1 発目のeEPSCs のCV を減少させた。以上の結果は,isoproterenol がシナプス前終末におけるglutamate の放出確率を上昇させる可能性が高いのに対して,phenylephrine はシナプス前終末に影響を及ぼす可能性が低いことを示唆するものである。その仮説を検証するために,微小興奮性シナプス後電流(miniature EPSCs; 以下,mEPSCs)に対するphenylephrine とisoproterenol の作用を調べた。Phenylephrine は,mEPSCs の頻度を変化させることなく振幅を抑制し,isoproterenol は,mEPSCs の振幅に影響を及ぼすことなくmEPSCs の頻度を増加させた。これらの結果は,phenylephrine がシナプス後膜のグルタミン酸受容体に作用してmEPSCs の振幅を減少させるのに対して,isoproterenol はシナプス前終末におけるglutamate の放出確率を上昇させる仮説を支持するものである。最後に,phenylephrine とisoproterenol のシナプス後膜に存在するグルタミン酸受容体に対する効果を調べた。その結果,isoproterenol の投与は,glutamate,AMPAおよびN-methyl-D-aspartate(NMDA)のパフ投与によって惹起される内向き電流を変化させないのに対して,phenylephrine は,これらいずれの内向き電流も抑制した。以上の結果は,phenylephrine がシナプス後膜上に存在するAMPA 受容体およびNMDA 受容体を介する興奮性シナプス伝達を減弱させるのに対して,isoproterenolはシナプス後膜上のグルタミン酸受容体には影響を及ぼさず,シナプス前終末からのglutamate 放出を促進することを示すものである。これら二つの異なった興奮性シナプス伝達の調節メカニズムは,大脳皮質のノルアドレナリンの要となる機能と考えられている信号―ノイズ(SN)比の向上に寄与している可能性がある。 続きを見る
12.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of functional MRIによるヒト第一次味覚野の機能局在解析 : 刺激装置の開発 — The development of a novel automated taste stimulus delivery system for fMRI studies on the human cortical segregation of taste
西岡(加美), 由紀子; Nishioka-Kami, Yukiko; 西岡, 由紀子 ... [ほか]
学位授与年度: 2008
学位授与大学: 九州大学
学位: 博士(歯学)
学位種別: 課程博士
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概要: 機能的MRI(functional MRI: fMRI)は、脳の血流変化を捕えることによって脳活動部位を画像化する手法であり、刺激によって異なる脳の賦活部位を検出することができる。しかし、味覚に関しては、MRI装置内に横たわる被験者の口腔内で味覚刺激を行うことが難しいこと、溶液の嚥下が頭部の動きを誘発して結果が不正確になること、味覚野は味覚刺激だけではなく様々な口腔の刺激によっても活動することなどの理由で、fMRIの実験は困難であった。そこで本研究では、新たに装置を開発することで上記の問題を解決し、ヒト脳における第一次味覚野を解析した。 味覚刺激装置は口腔内と口腔外の装置から構成し、口腔外装置はコンピュータ制御により一定の条件で液体を流し出せるように作製し、口腔外と口腔内の装置の間はチューブでつないだ。口腔内装置は、まず個々の被験者の下顎歯列に合わせたマウスピースを作製し、その切歯部に舌側面を開口した楕円柱を接着し、楕円柱の前面には口腔外装置からのチューブをつなげて使用した。口腔外装置から液体を流せば、その液体は楕円柱内を通過して、側面に接続したチューブから口腔外に排出されるようにした。これらの装置を用いれば、離れた場所から一定の条件で溶液を流すことができ、被験者が楕円柱内に舌を挿入すれば、そこに流れる溶液の味を感じるという原理である。 まず、装置の再現性を確かめるために、3人の成人被験者を対象にして実験を行った。実験デザインは、味溶液(0.5 mol/l ショ糖溶液)とコントロール(純水)を30サイクル繰り返すブロックデザインとし、同一の被験者に対して同じ実験を6ヶ月間隔で2度行った。その結果、再現性のある結果が得られ、3人の 3 共通脳活動領域は2回とも第一次味覚野内の近接した部位にみられ、第二次味覚野にはみられなかった。 次に、この装置を用いて、5人の成人被験者に同様の甘味刺激を与えて脳活動領域を解析した。それぞれの被験者では、第一次味覚野の複数の部位に脳活動領域がみられ、その部位や数は多様であった。そこで、5人に共通した脳活動領域を解析してみると、第一次味覚野の島・前頭弁蓋における領域が分離検出された。 本研究では、被験者の舌に味覚刺激を一定条件下で与えるシステムを開発し、これによりヒトの第一次味覚野における甘味刺激に対する脳活動領域を同定することができた。 続きを見る
13.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 変形性顎関節症と顎顔面形態および咀嚼筋活動の関連性について
松本, 龍介 ; Matsumoto, Ryusuke
学位授与年度: 2008
学位授与大学: 九州大学
学位: 博士(歯学)
学位種別: 課程博士
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14.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 新規フロアブルグラスアイオノマー系レジンの臨床応用に関する研究
中村, 紀彦 ; Nakamura, Norihiko
学位授与年度: 2008
学位授与大学: 九州大学
学位: 博士(歯学)
学位種別: 課程博士
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15.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 非接触型三次元形状計測装置を用いた下顎後方移動術による顔面軟組織の三次元的形状変化に関する研究
角町, 鎮男 ; Tsunomachi, Shizuo
学位授与年度: 2008
学位授与大学: 九州大学
学位: 博士(歯学)
学位種別: 課程博士
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16.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of Establishment of the rat trigeminal denervation model by removal of the innervated muscles — 支配筋摘出術による三叉神経運動枝除神経モデルの創出
関, 善弘 ; Seki, Yoshihiro
学位授与年度: 2008
学位授与大学: 九州大学
学位: 博士(歯学)
学位種別: 課程博士
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概要: 緒言:近年、血管吻合を用いた再建術を行うことにより口腔外科領域における進行癌の治療が可能になったが、いまだ長期的な機能的再建(咀嚼、嚥下、構音)は困難である。その理由として、移植した筋皮弁に適切な神経支配が再生されないことが挙げられる。これを克服するためには末梢レベルにおける軸索の再生を図るとともに、中枢レベルにおける運動神経細胞死を防ぐことが必要である。そこで本研究では第一に、成体ラット三叉神経運動枝除神経モデルを作製し、免疫組織化学染色法を用いて、除神経後の三叉神経運動核の病理学的変化を解析し、三叉神経運動核の変性過程および保護応答について検討した。また、生体の脳内への遺伝子導入や薬剤送達のためにさまざまな方法が開発されているが、これらの手法には、標的細胞に特異的な送達が困難であることや、侵襲度の高い外科手術を要するという短所があり、新たな手法の開発が望まれている。近年、ミクログリアを血中投与すると血液脳関門を破壊せずに脳特異的に実質内に到達することが報告されており、さまざまな脳疾患の治療につながる可能性が示されている。そのため、本研究では第二に、新しい細胞治療の試みとしてミクログリアの細胞株を樹立し、その細胞生物学的性状について検討した。方法と結果: 雌成体ラット(体重:200 g-400 g)の左咬筋および側頭筋を摘出後、灌流固定し、三叉神経運動核の細胞病理学的変化を経時的に検索した。術後3日目で三叉神経運動核の神経細胞においてオートファジーのマーカーであるRab24 の発現亢進を認め、神経細胞周囲にはミクログリアの集簇を強く認めた。術後4週目をピークにアストロサイトの反応を認め、神経細胞におけるheatshock protein 27(HSP27)の発現が亢進していた。術後8 週目で傷害側三叉神経運動核の萎縮を認めたが、神経細胞にcentral chromatolysis やアポトーシスは観察されず、細胞死は明らかでなかった。同時期にsynaptophysin に対する免疫染色を施行したところ、傷害側三叉神経運動核に発現低下を認めたことから樹状突起およびシナプスに変性が起きていると考えられた。次に、ミクログリア細胞株を樹立するため、生後3 日のラットの脳室下帯から初代混合培養細胞を準備し、SV40 large T 抗原遺伝子を導入して不死化させた。増殖した細胞を剥離・分散し、Aclar film を浸漬してこれに付着した細胞を分離し、培養を継続した。さらに生体内での観察のために、これらの細胞にgreenfluorescent protein (GFP)およびDsRed 遺伝子を導入し、高発現細胞をクローニングすることによって蛍光標識を行った。細胞の純度を検定するために、形態学的および免疫細胞化学的に検討した。分離した細胞はほぼ均一な形態を示し、円形ないし多極性の細胞質内に多数の空胞がみられるとともに、よく発達したラッフリングメンブレンを有し、ミクログリアの形態的な特徴を示した。免疫組織学的にはほぼ全ての細胞がSV40large T 抗原およびミクログリアのマーカーであるionized calcium-binding adaptermolecule-1(Iba-1)、CD11b、MHC class I、CD45 に陽性であったが、CD68 およびアストロサイトのマーカーであるglial fibrillary acidic protein(GFAP)とglutamate aspartate transporter (GLAST)には陰性であった。考察と展望:本研究で得られた結果より、本実験モデルは手術操作による末梢7神経損傷の中枢レベルへの影響の解析に有用であり、これまでほとんど知見のない脳幹脳神経核の潜在的な再生能についての研究の材料として、将来の再生医療の開発に寄与しうると考えられた。また、我々が樹立したラットミクログリア細胞株は、脳病変部位に特定遺伝子を限局して発現させるデリバリーシステムの開発、および多様な脳疾患の治療の開発に寄与し得る可能性がある。今後は、ラット三叉神経運動枝除神経モデルを含む、さまざまな脳疾患モデル動物への適用を検討していく予定である。 続きを見る
17.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of Roles for cathepsin E and RANKL-RANK signaling system in tumor growth and invasion — 癌の増殖・浸潤におけるカテプシンEおよびRANKL-RANKシグナル伝達系の役割
進, 正史 ; Shin, Masashi
学位授与年度: 2008
学位授与大学: 九州大学
学位: 博士(歯学)
学位種別: 課程博士
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概要: 本研究は癌の増殖・浸潤機構におけるカテプシンE およびRANKL-RANK シグナルの役割について追究したもので2つの章からなる。第1章では、アスパラギン酸プロテアーゼの一つであるカテプシンE の癌細胞における役割をヒト前立腺癌ALVA101 細胞を用いて解析した。ヒトカテプシンE 遺伝子をALVA101 細胞に導入した際の性状変化を調べた結果、in vitro での細胞系では、導入細胞と導入していない細胞の間に増殖能に差異が認められないものの、それらをヌードマウスの皮下に移植したin vivo の条件下では、カテプシンE 遺伝子を導入した癌細胞の方が有意に増殖が抑制された。抗体アレイ解析から、カテプシンE 遺伝子を導入した癌細胞から成る腫瘍は、mock 導入癌細胞から成る腫瘍に比べて、エンドスタチンを含む各種血管新生抑制分子が増加していることが示された。エンドスタチンはタイプXVIII コラーゲンから産生される強力な内在性血管新生抑制因子で、カテプシンE はタイプXVIII コラーゲンから特異的にエンドスタチンを産生することがin vitro 系で証明された。組織学的には、カテプシンE 遺伝子導入癌細胞から成る腫瘍は分葉状の形態を呈しており、その周囲には肥厚した皮膚および皮下組織と発達した線維性被膜が顕著であり、これらによって腫瘍の増大が抑制されている様子が伺えた。また、腫瘍周辺部にマクロファージの浸潤増加と活性化亢進が認められた。さらにカテプシンE 遺伝子導入癌細胞は、対照細胞に比べてマクロファージの遊走を強く誘導することがわかった。以上の結果から、癌細胞に発現させたカテプシンE は、血管新生抑制と宿主免疫応答増強によって腫瘍増殖を抑制することがわかった。第2章では、口腔扁平上皮癌細胞の顎骨浸潤とRANKL-RANK シグナルシステムとの関連を検討した。口腔扁平上皮癌は舌や歯肉に好発するだけでなく、口腔底、口唇や口蓋にも発生し、進行すると顎骨へ浸潤することが多く、顎骨浸潤はその予後を規定する重要な因子となっている。口腔癌の顎骨浸潤の病理組織像を見ると、顎骨破壊部の最前線には多数の破骨細胞が存在し、活発に骨を吸収している像が見えることから、癌細胞が破骨細胞の活性化を誘導することで顎骨を吸収し、さらに深部へと浸潤することが示唆される。そこで、破骨細胞形成因子であるreceptor activator of NF-κB ligand (RANKL)とその受容体RANKからなるRANKL-RANKシステムと口腔扁平上皮癌による顎骨浸潤との関連を検討した。口腔扁平上皮癌患者の腫瘍組織はRANK を発現しており、さらにヒト口腔扁平上皮癌細胞株BHY 細胞とB88 細胞はRANK を発現し、これらの細胞をRANKL で刺激するとRANK の下流シグナルであるNF-κB やERK の活性化が認められた。in vitro においてRANKL がB88 細胞の遊走能を亢進し、この作用はRANKL とRANK の結合を妨げるデコイ受容体osteoprotegerin (OPG)を添加することで抑制された。さらに、ヌードマウスの咬筋にB88 細胞を移植すると腫瘍の増大に伴って顎骨に腫瘍細胞が浸潤したが、OPG の局所投与によりB88 細胞の顎骨浸潤が抑制された。これらの結果から、OPG の口腔扁平上皮癌顎骨浸潤の治療薬としての有用性が示唆された。 続きを見る
18.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 抗菌性蛋白質リゾチーム結合型抗菌性歯科材料の開発
辻, 礼 ; Tsuji, Rei
学位授与年度: 2008
学位授与大学: 九州大学
学位: 博士(歯学)
学位種別: 課程博士
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19.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of Development of Tissue Conditioner Capable of Binding with Antimicrobial Protein Lactoferrin — 抗菌性蛋白質ラクトフェリン結合能を有するティッシュコンディショナーの開発
山本, 大吾 ; Yamamoto, Daigo
学位授与年度: 2008
学位授与大学: 九州大学
学位: 博士(歯学)
学位種別: 課程博士
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20.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of マウスおよびヒトうま味受容体に関する行動学的および分子遺伝学的研究
城﨑, 慎也 ; Shirosaki, Shinya
学位授与年度: 2008
学位授与大学: 九州大学
学位: 博士(歯学)
学位種別: 課程博士
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概要: うま味は、グルタミン酸Na(mono sodium glutamate: MSG)などが受容体を刺激することにより起こる基本味のひとつである。受容体候補として、現在までにG-タンパク質結合型のT1r1/T1r3、mGluRs(taste-mGluR4、brain-mGluR4、 taste-mGluR1、brain-mGluR1)などが提唱されているがその機能はまだ明確ではない。T1r3-KOマウスを用いた研究では、うま味応答は消失するという報告と、低下するが消失はしないという報告に分かれており、前者はうま味受容体がT1r1/T1r3のみであると主張し、後者は複数のうま味受容体の存在を主張している。そこで、本研究では、まず、1)T1r3-KOマウスのうま味応答が残存するか、もし残存すればその応答がmGluRsに由来しているかどうかについて、条件付け味覚嫌悪学習による行動学的実験により調べた。さらに、2)ヒトにおけるT1Rsの関与について、うま味感受性とT1rsの遺伝子多型性との連関と、アミノ酸変異体の機能解析について、ヒト腎性胚細胞を用いたT1rs遺伝子導入味細胞再構築系を用い解析した。 その結果、1)T1r3-KOマウスもうま味物質に対する条件付け味覚嫌悪が獲得すること、また、うま味物質にmGluR1、mGluR4のアンタゴニストを混合させると嫌悪応答(リック数の低下)が減弱することが明らかとなり、T1r1/T1r3以外にmGluR1、mGluR4がうま味受容体として機能している可能性が示唆された。2)ヒトの実験では、T1r1では、39.2%のアレル頻度で起こるアミノ酸変異(T1r1-Thr372Ala)が、T1r3では9.0%の頻度のアミノ酸変異(T1r3-Arg757Cys)がヒトうま味感受性に影響する可能性が示唆された。またその機能解析の結果から、T1r1-372Thr変異体は-372Alaより感受性の高いうま味受容体を形成すること、T1r3-757Cys変異体は-757Argより感受性の低い受容体を形成することが明らかとなり、ヒトT1r1/T1r3はうま味受容体として機能し、そのアミノ酸変異はうま味感受性に影響することが示唆された。 続きを見る
21.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of A Study on the Securing of Safety and Sanitation in Bathing with Improved Comfort : With Particular Regard to Legionnaires' Disease — 入浴における安全・衛生の確保と快適性の向上に関する研究 : 特にレジオネラ症について
赤井, 仁志 ; Akai, Hitoshi
学位授与年度: 2008
学位授与大学: 九州大学
学位: 博士(芸術工学)
学位種別: 課程博士
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概要: 対策を採っても後の絶つことのないレジオネラ症に対して、快適性の向上を目指して、人に対する安全と衛生の確保について多角的に研究した。第1章では、入浴施設での安全・衛生と快適性に関する経緯・動向と課題について述べた。入浴施設でのレジオネラ症集団発生前後の法令、条例と行政の指導を調査した。これらの課題について言及すると共に、今後の衛生行政の在り方を考えた。この他、海外の基準等にも触れた。第2章では、入浴施設の実態調査から見る課題について述べた。2004年度と05年度に実施した社会福祉施設の実態調査を踏まえて、課題と今後の在り方等について触れた。塩素濃度の保持時間の国の基準は、2000年だと「1日2時間」であったが、02年に「通常」と変更になった。この変更の裏付けとなった行政調査と報告も詳述した。第3章では、浴槽での消毒剤の濃度管理による安全性と快適性について述べた。レジオネラ症の防止には、塩素濃度の保持が不可欠である。有効に殺菌するためには、塩素濃度の中でも遊離塩素濃度を正確に測定できることが重要である。しかし飲料水の遊離塩素濃度測定の基準はあっても、有機物を多く含む浴槽水の測定方法は確立されていなかった。そこで浴槽水の遊離残留塩素濃度の測定には、SBT試薬の方が適していることの論証を行った。また温泉水の殺菌に有効な二酸化塩素の濃度測定方法についても検証した。この他、浴槽水での塩素濃度の時系列変化、浴槽内での塩素濃度の分布等の実態調査結果から、快適性をできるだけ損なうことなく安全と衛生を保持するための塩素濃度管理の課題等を述べた。第4章では、入浴等による消毒剤の消失と入浴による汚濁について述べた。消毒剤の消失の中で、ヒトの入浴や気泡浴・超音波浴、ろ過器通過時によるものの実験して、解析して定量化をはかった。また入浴による消毒剤の消失実験に併せて、浴槽水の汚濁も同時に測定した。入浴環境の快適性を向上させるための浴槽水の必要換水量などについても述べた。第5章では、温泉の消毒と快適性について述べた。温泉の泉質の違いによって、適応する消毒剤が異なることが認められた。泉質にあった消毒剤を選定することは、温泉泉質の変化も少ないために、本来、温泉水の持つ「癒し」にとっても大切である。実際に温泉水に消毒剤を添加して、消毒剤の残留率の実験やレジオネラ属菌の不活化の実験を行ったので、結果と考察を述べた。 続きを見る
22.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of Thermal strain and its alleviation in workers wearing firefighting protective clothing — 消防用防火服着用時の暑熱ストレスとその軽減法に関する研究
周, 金枚 ; Chin-Mei, Chou
学位授与年度: 2008
学位授与大学: 九州大学
学位: 博士(芸術工学)
学位種別: 課程博士
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概要: The objectives of this study were to investigate the relationship between clothing property factors and physiological effects, and techniques of alleviating physiological strain and enhancement of performance of firefighters on physiological and subjective responses while wearing protective clothing (PC). The studies measured rectal temperature (Tre), mean skin temperature (T(-)sk,), heart rate, body weight loss and subjective responses. The first study examined the relationships between clothing properties and physiological effects on physiological/subjective responses for four types of PC, and a light work garment. Eight male firefighters performed a bicycle ergometer exercise at 30%, 45% and 60% of VO2peak for 10 minutes each at 30℃. Clothing surfaces coated with aluminized sliver (PC2) compared to other PCs were almost the same or lower in terms of clothing weight and thermal insulation (clo-value). The latent heat resistance of PC2 was the greatest. Physiological and subjective heat strain in PC2 was greater than for the other PCs. The physiological strain of firefighting protective clothing, shown in the difference between Tre and T(-)sk, depends more upon resistance to latent heat than clothing weight and clo-value, suggesting that latent heat resistance is more closely related than clothing weight or clo-value to the physiological effects. The second study examined the effectiveness of ice-packs (ICE) and phase change material (PCM) cooling devices in reducing physiological load based on subjects’ physiological/subjective responses while exercising on an ergometer and wearing protective clothing at 30℃. Eight non-firefighter subjects participated in four exposures: control (CON), ICE, PCM at 5℃ (PCM[5]) and 20℃ (PCM[20]), rested for 10 minutes, 30 minutes-exercise at 55%VO2peak ,and had a 10 minute-recovery period. An increase in Tre for PCM(5) and PCM(20) which was less than that for CON and ICE was observed. The increases in mean Tsk were depressed using cooling devices, and the cooling effects of PCMs were greater than ICE. The larger surface cooling area, higher melting temperature and softer material of PCMs, which reduce absorption capacity, caused a decrease in Tre and mean Tsk for PCM(5) and PCM(20) which was more than that for CON and ICE. Furthermore, PCM(20) does not require refrigeration. PCM(20) is more effective than other cooling devices in reducing physiological load at 30°C. The final study examined the effects of wearing trousers/shorts under firefighting protective clothing with PCMs on physiological/subjective responses with exercise on a treadmill at 4.8 km・h-1 with a 3% gradient at 30oC for 30 minutes (the average Japanese actual firefighting task time) and the mobility of firefighters. Performance was improved while wearing shorts under protective clothing with PCMs, although no significant difference in reducing thermal stress while wearing shorts instead of trousers was revealed. 続きを見る
23.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 顔画像処理による個人識別に関する研究
新谷, 洋人 ; Shingai, Hiroto
学位授与年度: 1996
学位授与大学: 九州芸術工科大学
学位: 博士(工学)
学位種別: 課程博士
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概要: 人が顔を見て如何なる認識あるいは理解をしているかは、認知科学の立場から盛んに取り上げられている。人は顔を見てそれが誰であるかを識別し、またその表情から何を考えているかまで推察することができる。認知科学は、このような顔の持つコミュニケーション機能が、脳において如何に行われているかを解明しようとするものである。  顔を視覚パターンとして捉え、その分類(個人識別)を如何に行っているかだけに限って考えても、これは興味深い研究対象である。それは、人が顔を見て個人識別を行うことは、相互に非常によく似た顔という等質なパターンを、個人の独自性を元に分類するという問題だからである。例えば、鼻は中央に1つであるが、その大小・高さ・幅・顔の中での位置などが個人の独自性であり、目は左右に2つであるが、その大小・間隔・顔の中での位置などが個人の独自性である。しかし、一重瞼を二重に整形したり、年齢を重ねしわが増えたり、あるいは髪型が変っても、その独自性は大きく損なわれることはなく、人は個人を識別することが可能であると言われている。すなわち、人が個人を識別するとき、視覚パターンをある意味で概略化し、個人の独自性を巧妙に抽出あるいは強調する過程を経て行っていると考えられる。  脳における視覚パターンの認識においては、対象となるパターンの外形的な形状・輪郭など一次元情報に基づくもの、テクスチャなど二次元情報に基づくもの、さらには奥行きをも含めた三次元情報に基づくものなどが、複合的に行なわれていると考えられる。計算機による顔画像の認識処理においても、横顔の輪郭線形状など一次元情報に基づくもの、正面顔画像など二次元情報に基づくものなど、それぞれは簡単であるが、いくつかの処理を統合することにより単独の場合よりも認識率が向上することが期待できる。  本論文は、人物の横顔と正面顔画像をそれぞれ処理し、かつそれらを統合することによる個人識別に関する研究をまとめたものであり、6章から構成されている。  第1章では、本研究の背景と扱っている問題を示し、あわせて論文の概要について述べている。  第2章では、横顔による個人識別について、横顔輪郭線のP形フーリエ記述子を特徴量とする個人識別法を提案している。P形フーリエ記述子では、輪郭線の概略形状の情報がその低域成分に良く集約されるが、低域成分だけを用いることにより、誤認識の原因となる微細な形状の違いを特徴から排除することが可能である。このP形フーリエ記述子を求めるためには、輪郭線の等辺多角形近似が前提となる。これを、ディジタル曲線上で実行する際には、画素数に基づいて距離を測るという簡便法を用いることがこれまで一般的であり、種々の不都合な減少が起きる。本章では、まずユークリッド距離の意味で厳密に等辺なる方法を提案し、その有効性を実験により示した。次に、この等辺多角形近似法を用いて求めた横顔輪郭線のP形フーリエ記述子のパワースペクトルを特徴とする個人識別の実験を行った。75人の横顔画像を辞書パターンとして用い、約85%の識別率を得た。  第3章では、正面顔による識別について、正面顔画像をプロック化して得られるモザイク画像の濃度値を特徴とする正面顔画像による個人識別法を提案している。目・鼻・口などの個々の器官の形状や位置関係を特徴パラメータとする方法では、表情の違いによりこれらの特徴パラメータが受ける影響は大きく、誤認識は避けられない。また、髪型の違いによって正面顔画像から受ける印象は異なるが、個人の独自性として髪型は本質的ではない。ここでは、これら髪の部分は除き、表情も通常の証明写真を撮影するときのようなものに限った。このような写真に対して、両目を基準点とし、正面顔画像の中心部分を照合領域として切り出した上で、矩形ブロックによるモザイク化を行い、各矩形ブロック内の濃度平均値を特徴とする方法を提案した。この方法による75人の正面顔画像を辞書パターンとして用いた個人識別の実験では、約70%の識別率を得た。  第4章では、横顔画像と正面顔画像の情報を統合して個人識別する方法を提案している。横顔画像による個人識別と正面顔画像による個人識別は、それぞれ独立した特徴を用いている。従って、横顔画像による特徴と正面顔画像による特徴とを統合して識別することにより、識別率の向上が図られることが期待できる。実際、横顔画像と正面顔画像の情報を統合して用いた個人識別の実験では、約95%の識別率を得た。  第5章では、顔画像による個人識別への応用を目的として、複数の特徴を統合するニューラルネットの構成について考察を加え、その上で、ニューラルネットの本質的な機能の1つであるクラスタリング機能について調べている。そこでは同次元層状ニューラルネットを考察の対象とし、いくつかの有用な性質を明かにした。また、その具体的応用としてノイズの加わった文字のクラスタリングの問題をとりあげ、顔画像処理への応用の可能性を示唆した。  第6章では、結論を述べ今後の課題について論ずる。 続きを見る
24.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of Lagrangeの運動方程式を用いた波動伝搬理論による固体音の建物内伝搬予測に関する研究
縄岡, 好人 ; Nawaoka, Yoshito
学位授与年度: 1996
学位授与大学: 九州芸術工科大学
学位: 博士(芸術工学)
学位種別: 課程博士
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概要: 近年、人口の都市への集中はますます加速され、都市部においては鉄道や地下鉄網の整備による輸送力の増強が図られてきた。また、音楽ホールや研究施設などに対するニーズも大きく、これらの文化施設の建設も盛んとなったが、土地の高度有効利用や交通の利便性のために、静寂が強く必要とされるこれらの諸施設が地下鉄や鉄道に近接して建設されることも増えてきている。鉄道や地下鉄は加振力として大きな振動源であるため、電車から発生した振動が建物内に伝搬して生じる固体音問題が固体音に関する新しい問題としてクローズアップされるようになってきた。建物を設計するに当たっては、これらの振動および固体音の影響を事前に予測し、必要であれば適切な防音・防振対策を検討ずる必要がある。  固体音の建物内伝搬性状に関する既往の予測手法は、実験式による予測、統計的エネルギー解析法による予測、波動伝搬理論による予測、多質点系モデルによる予測、FEMによる予測がある。  実験式による予測は、計算が容易であることから、実務に最も良く用いられている。しかし、幾何学的拡散による減衰を表す定数と材料減衰他による過剰減衰を表す量が、建物構造や振動の建物への入力の仕方の違いによって、決定方法がまちまちとなっているのが現状である。また、この手法では、振動源の大きさや振動の建物への入力形態によっては建物内の減衰が距離に依存しない事例や、建物全体のモードや端部の反射による影響は表すことができない。  統計的エネルギー解析法(SEA法)は、船舶などの大型鋼構造物における固体音解析に対しては実用化も行われている。しかし、建築構造物は鋼構造物に比較して減衰が大きく要素間の結合も強いので拡散振動場となりにくいことから、SEA法の適用例は少ない。さらに、モード数が少ない周波数領域では精度が悪くなり、一般的には50Hz以下は適用範囲外となる。  波動伝搬理論による予測法は、要素交差部における変位、傾き、力およびモーメントなど系の個々の成分を別々に考える必要があり、建物全体へ適用していくときには複雑さが増してくるため、実建物に対する適用検討例は未だ発表されていない。さらに、この波動伝搬理論による予測法は、板構造について現在のところ波動の入射条件や共振状態が明確に記述されていないので、複雑な実建物へ適用し精度の良い解を得ることは難しいと思われる。  多質点系モデルによる予測は、建物全体のモデル化が可能であり計算時間も比較的少ない利点があるが、計算可能な周波数範囲が建物モデルのモード数によって決定され、モデル最高次の固有振動数以上の周波数範囲は適用外となる。一般的には、I00Hz以下が適用範囲といえるであろう。  FEMによる予測は、地震応答解析などの構造分野で良く用いられており、また体感振動(50Hz以下の周波数)領域における鉄道振動の建物内伝搬予測に対する適用例はあるが、固体音領域の振動を対象とするには要素数が膨大となるため、現在の計算機の脳力では、建物全体を三次元の立体モデルとして計算を行うことは不可能に近い。  以上、固体音の建物内伝搬性状に関する既往の予測手法について見てきたが、現時点では、地下鉄や鉄道による固体音を対象とする周波数領域(オクタープバンド中心周波数で31.5?250Hz)へ適用し、精度の良い解を得ることができる予測手法は整っておらず、このことがこれらの固体音制御を困難にしている大きな要因となっている。  本研究は、地下鉄や鉄道による固体音の建物内伝搬性状に関して、少ない要素数で高精度な解が求められる手法を開発し、これを実用化することを目的としている。 第1章においては、本研究の背景および目的について説明し、地下鉄や鉄道による固体音を対象とする周波数領域(オクターブバンド中心周波数で31.5?250Hz)へ適用し精度の良い解を得ることができる予測手法の確立が必要なことを記述している。  第2章においては、数値計算手法を導く際の基礎事項として、棒要素および平板要素内を伝搬する擬似縦波、曲げ波、剪断波、ねじれ波について説明し、それらの波動方程式を導いている。また、定式化の基礎となるLagrangeの運動方程式について解説を行っている。  第3章においては、棒要素と平板要素中を伝搬する波動について、建物を各要素の組合せでモデル化する場合に都合の良い境界条件を規定し、境界条件を満足する波動方程式の解を求めている。そして、その解とLagrangeの運動方程式を用いて波動に関する運動方程式を導いている。  第4章においては、第3章で求めた運動方程式を建物全体モデルヘ適用していく場合に必要となる座標変換と各要素の集合としての運動方程式について説明している。 第5章においては、建物模型による予測手法の検証を行っている。  検証は、先ず6層建物の骨組み構造模型について、模型実験結果と計算結果の比較を行っている。その際に、模型実験に必要となる模型相似則および材料の物性値、特に材料の損失係数の測定方法について説明を加えている。次に、11層建物の骨組み構造模型について模型実験結果と計算結果の比較を行い、オクターブバンド幅で予測結果を評価する場合には、入力波形の位相は無視しても実務的な範囲での精度は確保できる可能性があることを示した。さらに、6層の床版付き骨組み構造模型について予測手法の検証を行い、予測手法が有用であることを示している。  第6章においては、鉄骨鉄筋コンクリート造の実建物と鉄骨造の実建物における地下鉄固体音の伝搬性状予測へ本手法を適用し、予測手法が実用性を有することを検証している。  第7章においては、本研究の内容と得られた知見をまとめ、残れさた問題点を列挙し、今後の研究の展望について述べている。 続きを見る
25.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 日本近代都市における歓楽街の成立と展開に関する史的研究
大槻, 洋二 ; Otsuki, Youji
学位授与年度: 1997
学位授与大学: 九州芸術工科大学
学位: 博士(芸術工学)
学位種別: 課程博士
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概要:  近年、日本の近代都市史研究は様々な分野から多様な研究が提出される中で、とりわけ都市空間を問題の中心に据えた分析態度が共有され、近代都市施設や近代都市の制度、規範などを通して、近代都市の空間構造を主に普遍性に重点を置いて捉える「都市を支えるもの」と、都市空間を生きる人々の生活意識のありようを基点に、近代都市の空間構造を主に固有性に重点を置いて追及する「生きられた都市空間」の2点の視座を持つに至った。このうち、建築史学の立場にたつ日本近代都市史は、「都市を支えるもの」への研究に偏在し、その背景として、周辺領域と交流を深めつつ一連の体系をなす近代以前の日本都市史の流れが近代になると途絶え、一転して西洋の建築・都市思想の受容とその変容の歴史としてのみ捉えられるようになる点が挙げられる。今後、この点を解消するためには、都市を計画する主体からの視点を一旦離れ、都市空間を生きる人々の総体として物理的な都市空間そのものを捉え直す作業が求められる。  以上の問題意識を踏まえ、日本の比較的大規模な近代都市に多数存在した自律的形成をみた歓楽街に注目する。なお「盛り場」は、各時代を通じて存在する賑わいの場を全て含む広範な概念であり、歓楽街は近代に見られる「盛り場」の在り方の一つと考えられる。また、歓楽街の自律的形成の実態を解明する為には、これまで建築史の立場からの近代都市史研究に見られた計画理念の抽出とその顛末の分析ではなく、歓楽街の自律的形成から展開にかけての過程及び空間構造を、物理的な都市空間そのものに即して解明する方法をとる必要があり、先に指摘した建築史の立場からの近代都市史研究の問題点を解消する上で、妥当な研究対象及び方法である。  この結果、本研究の目的は、日本近代における自律的形成を見た歓楽街を対象に、その物理的な都市空間の成立から展開までを考察し、歓楽街の都市空間そのものが持つ特質を明かにすることにより、計画原理では捉え得なかった新たな近代都市空間像構築の一助とすることにある。  本論は2編で構成されている。第1編と第2編はそれぞれひとつの歓楽街を対象に、各編の前半、すなわち第1章、第3章では歓楽街成立の前提及び要因を、また後半、すなわち第2章、第4章では歓楽街の実態とその変容を中心に、空間に即して詳細な検討を加えた。  このうち、第1編では、近代になって主要な都市空間が形成された都市における歓楽街の事例として、神戸の新開地の採り上げた。第1章では、新開地を取り巻く緒事象に注目し、地図史料を用いた空間分析や文献史料を用いた空間の成立経緯から、新開地の空間形成要因と歓楽街成立の契機を求めた。第2章では、歓楽街としての新開地の空間構造に注目し、地図史料を中心に空間構成や諸施設の配置構成などから、新開地の歓楽街空間の実態とその変容を明かにした。  第2編では、伝統都市の近代における歓楽街の事例として、京都の新京極を採り上げた。第3章では、新京極の起源である寺町の寺社境内の歓楽的な場に注目し、この空間構成の復元作業を行い、その起源及び実態を解明し、歓楽街成立の前提を探った。第4章では、歓楽街としての新京極の空間構造に注目し、第3章の成果との比較の視点を持ちつつ、地図史料を中心に空間構成や諸施設の配置構成などから、新京極の歓楽街空間の実態とその変容を明らかにした。  結論では、第1編、第2編の成果を用いて、歓楽街の特質を明らかにし、本研究の総括を行った。まず、新開地と新京極の特質をその差異と共通点に注目しつつ整理した後、歓楽街成立における空間的成立条件として、既成の都市空間の内部に位置し、周囲の都市空間とは異質な性格を帯び、かつ自律的に成立した点(近代都市構造における空隙性)、1本の主街路と複数の従街路によって極めて指向性の強い都市空間構成をとる点(線形の都市空間)、線形の都市空間の両端において都市機能上の重要な役割を担う都市空間、都市施設と直接的に結合している点(複数の都市機能上の核の結合)の3点を指摘した。続いて、歓楽街の時間的変遷の傾向として、諸施設が主街路に直面し、かつ隙間無く連続して建ち並び、かつ景観統一が行われる傾向が見られる点(主街路に沿った『街』化)、逆に主街路から歓楽的な機能を持つ施設は漸減し、ひいては小売施設を中心とする商店街へと変質する動きが存在する点(脱歓楽街化)の2点を指摘した。  以上の結果、歓楽街はその母都市の近代化過程によって生起された「空隙性」と「核の結合」による「線形の都市空間構成」を基盤に成立するが、「『街』化」という傾向を示しつつ都市空間として充実すると同時に、「脱歓楽街化」という歓楽機能が漸減する傾向が見られた。 続きを見る
26.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 運動後の血中乳酸の消失に及ぼす高濃度酸素呼吸の影響に関する研究
前田, 享史 ; Maeda, Takafumi
学位授与年度: 1997
学位授与大学: 九州芸術工科大学
学位: 博士(芸術工学)
学位種別: 課程博士
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概要: 本論文の目的は、第一に運動後の回復処方として、高濃度酸素ガス呼吸の有効性を血中乳酸の消失に着目して検証すること、第二に血中乳酸の消失に対してさらに効果的な回復処方として、高濃度酸素ガス呼吸とクーリングダウンを組み合わせることを提案し、その有効性を検証することであった。以下に各章の要約を述べ、最後に本論文で得られた、高濃度酸素ガス呼吸による回復処方、高濃度酸素呼吸とクーリングダウンの組み合わせによる回復処方に関する知見をまとめ、さらに今後の課題を付け加えた。  第I章では、本研究の背景について言及し、健康的な生活を維持していくための一つの要因として運動後の回復に着目し、運動後の回復の評価として血中乳酸を用いることの意義について説明した。さらに、従来行われている回復処方について説明し、また、高濃度酸素呼吸による回復処方で統一した結果の得られていない原因について、血中乳酸の消失に及ぼす要因から運動能力と運動時の運動強度が関与していると推察した。また、高濃度酸素ガス呼吸とクーリングダウンの組み合わせの回復処方において、血中乳酸の消失をより促進する可能性について述べた。  第II章では、第?章で推察した運動後の高濃度酸素呼吸の血中乳酸消失への影響に関与する要因について検証するために、日頃の運動量及び持久的運動能力の指標である無酸素性作業閾値(AT)の違いによって、被験者のグループ分けを行い実験検討した。運動能力の高いグループ(AT≒60%VO2max)と低いグループ(AT≒50%VO2max)の、二つの運動能力グループにおいて、乳酸消失に及ぼす酸素呼吸の有効性を実証した。また、運動能力の高いグループでは60%O2濃度以上の呼吸条件で、運動能力の低いグループでは30%O2呼吸時で血中乳酸の有意な低下が見られたという結果から、その有効性には運動能力が関与している可能性を示した。しかし、運動終了時の乳酸値レベルが両運動能力グループで異なるという問題点を残した。  第?章では、第I章で推察した運動後の高濃度酸素呼吸の血中乳酸消失への影響に関与する要因について検証するために、第II章で考慮した運動能力に加えて運動的の運動強度を考慮して実験検討した。また、この運動強度は、第?章において血中乳酸消失に関与していると考えられた血流量や、第II章において考慮する必要があると考えられた運動終了時の乳酸値レベルとも関連しており、この事も含めて検討した。その結果、運動能力の高いグループにおいては、第II章同様、60%O2濃度以上の呼吸条件において血中乳酸の有意な低下が見られたが、運動能力の低いグループにおいては、血中乳酸の低下に有効な酸素濃度は認められなかった。この事から、運動後の高濃度酸素呼吸が血中乳酸濃度に及ぼす効果には、運動能力が関与していると考えられた。また、第II章の結果と第?章の結果をまとめて分析することにより、運動能力の高いグループでは、約70%?80%VO2maxに相当する運動時の運動強度では、その強度に関わらず60%O2濃度以上の呼吸条件において血中乳酸の消失に有効であった。一方、運動能力の低いグループでは、約60%?70%VO2maxの範囲の運動強度では、運動時の運動強度によって酸素呼吸の効果が異なり、約65%VO2max以上の強度において、30%O2、40%O2の呼吸が血中乳酸の消失に有効であり、約65%VO2max以下の強度では、酸素呼吸の効果は見られなかった。この事から、運動後の高濃度酸素ガス呼吸は、血中乳酸の消失に対して有効な回復処方であることが実証できた。また、その効果には運動能力と運動時の運動強度が関与することを実証した。  第?章では、血中乳酸の消失をさらに促進するような回復処方として、クーリングダウンと高濃度酸素呼吸という二つの回復処方の組み合わせによる効果について、運動能力の違いも考慮して実験検討した。その結果、運動能力や酸素濃度の違いに関係なく、安静回復時よりも運動回復時において血中乳酸の有意な低下が見られた。この事から回復処方としてのクーリングダウンの有効性を再確認できた。また、安静回復状態における酸素呼吸の効果に関しては、運動能力の高いグループで60%O2の呼吸条件で、運動能力の低いグループでは40%O2の呼吸条件で有意な血中乳酸の低下が確認でき、この事は第II章及び第?章の結果を支持するものであった。また、安静状態でこの最も血中乳酸の低下が見られた酸素濃度よりも、運動回復状態でのAir 呼吸時の方がより血中乳酸が低下しており、この事から高濃度酸素呼吸のみを行うよりクーリングダウンのみを行う方が、運動後の回復処方として有効であることが確認できた。運動回復状態における酸素呼吸の効果に関しては、運動能力の高いグループでは認められず、運動能力の低いグループでは安静回復時同様40%O2の呼吸条件で有意な血中乳酸の低下が確認できた。この事から、高濃度酸素呼吸とクーリングダウンの組み合わせの回復処方では、両運動能カグループ間で血中乳酸の消失に及ぼす効果が異なることが明らかとなった。  以上の結果から、血中乳酸消失に最も効果的な回復処方は、ATが約60%VO2maxである比較的運動能力の高い人ではクーリングダウンのみの処方であり、ATが約50%VO2maxである比較的運動能力の低い人では40%の酸素呼吸とクーリングダウンの組み合わせの処方であった。このように、運動能力の違いによって、最も効果的な回復処方が異なり、これにはやはり、回復時の血流量や乳酸脱水素酵素などが関与していると予測された。  最後に今後の可能性としては、高齢者を含む循環機能がさらに低下した人や、循環機能がさらに発達しているスポーツ選手において、高濃度酸素呼吸処方もしくは高濃度酸素呼吸とクーリングダウン処方との組み合わせ処方について検討する必要があると考えられる。また、回復時の運動強度と呼吸酸素濃度の組み合わせによっては、血中乳酸がさらに低下する可能性も考えられ、この事についても検討する必要があると考えられる。 続きを見る
27.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 地域産業の製品開発における問題の構造に関する研究
釜堀, 文孝 ; Kamahori, Fumitaka
学位授与年度: 1997
学位授与大学: 九州芸術工科大学
学位: 博士(工学)
学位種別: 課程博士
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概要: 戦後の日本の経済復興から高度成長、そして現在に至るまで日本を支え、地域の雇用、経済に大きな貢献を果たしてきた製造業において、製品開発力が企業を存続させるための最も重要な要因であることは多くのレポートによって指摘されているが、横断的に業種を調査分析した例は少ない。また、地域の製造業の抱える問題は時間的な制約を持ち、問題が多次元にまたがっており、これまでのような総合的かつ網羅的な問題解決の方法では、対応できにくくなっている。  本研究は、大きな転機にさしかかっている中小製造業の抱える問題の構造を明確にすることを目的として、佐賀県の主要な地域産業である機械金属、食品、衣料品、医療品、陶磁器・焼物、家具・木工業界を対象として取り上げ、地域の製造業の抱える製品開発に関する問題および現状と将来に対する問題について、因子分析等の手法を用い問題の背景にある因子を抽出すると共に、問題の関係および問題に焦点について検討した。同時に企業を評価する尺度として、利益を目的変数とする重回帰分析によって利益と問題との関係を探った。最後に、得られた結果を基に製造業全般、また業種別に問題の構造と利益の関係を総合考察し、地域の産業が抱える問題の構造を明らかにした。なお、ここでは得られた結果を現場にどの様に応用して行くかの例をあげ、その有効性の検討も併せて行った。  なお、本論文は全8章から構成され、各章の主な内容は以下のとおりである。  第1章では、地域の産業における現状の問題をあげ、従来の研究の現状を述べた後、本研究の目的・意義を明らかにすると共に本研究の位置づけを明確にした。  第2章では、佐賀県の家具産業のアンケート調査を基に問題点の分析を行い、さらに、因子分析によって企業の特性による3因子(価格、企画力、品質)を抽出し、企業をコスト志向型、企画志向型、トータル志向型、志向未確定型の4タイプに分類した後、(1)家具産業は未だ将来に対する明確な方向性を見いだせないでいること。(2)企業の持つ問題意識は企業規模によって差異が見られること。(3)4つのタイプに属する企業は、将来に対し異なった方向性を有することを確認し、同一の業種の中にも異なるタイプの企業が存在することを示した。  第3章では、調査範囲を佐賀県内全域の製造業に拡張し、製品開発に関する問題について分析し、(1)企業は業種や企業規模の違いにより製品開発に異なった意識を有している。(2)重要とされているのは製品の品質、価格、経営者のセンスであること。さらに因子分析によって5因子(マネージメント技術、作る技術、デザイン技術、品質、コストパフォーマンス)を抽出し、企業のタイプを作る技術重視型、製品開発重視型、製品開発無関心型、デザイン重視型、マネージメント重視型の5タイプに分類し、製品開発に対する考え方は、企業規模よりも業種による違いが大きい。(2)医療品業界、陶磁器・焼物業界のタイプ形成の要因には産業の成熟度が関係していると考えられることを示した。  第4章では、製造業の現状の問題点を分析すると共に、因子分析によって3因子(開発体制、販売能力、競争の激化)を抽出し、企業のタイプを開発体制と販売能力の軸によって4つのタイプに分類し、(1)現状の問題点で業種による特徴が顕著なのは食品業界と衣料品業界であり、食品では販売能力、衣料品では開発体制が問題視されている。(2)企業規模によって現状の問題点のあらわれ方が異なり、各タイプの形成は企業規模の成長によって説明できること。また、その原因は製品特性に起因していることを示した。  第5章では、将来に向かって現状の問題がどの様に変化していくかを分析した結果、「景気の動向」、「人材育成」、「販路の拡大」等に不安を感じており、因子分析から企業の将来に対する不安は3因子(組織の対応能力、競争力の低下、人的能力)によって構成されていることを明らかにした。また、将来に対する不安は業種や従業員規模には関係が少ないとの結果を得、さらに現状と将来の問題の比較によって、現状の問題は絞り込まれた形で捉えられているが、将来の問題は総括的に捉えられていることを示した。同時に、各問題の関係を問題間の相関によって表現する「問題の焦点」という考え方を提案し、「問題の焦点」によって問題間のつながりの大きさと各問題間の関係、さらには問題の中で構造上最も重要な問題を表現することが可能になることとその有効性を示した。  第6章では、問題の多くは業種別によって異なるという前章までの結果に基づき、業種ごとの製品開発、現状の問題、将来に対する不安について問題の焦点を探った。さらに、企業の利益を目的変数とする回帰式を求め、説明変数と問題の焦点の関係を探った結果、食品業界はデザインを重視するほど利益が高くなる傾向を示し、機械金属業界は食品業界と相反する傾向を示す。一方、陶磁器・焼物業界は販売に力を入れるほど利益が上り、家具・木工業界は作業環境や販売環境を含めた広い意味での職場環境が充実しているほど利益が高い傾向を示すことがわかった。  第7章では、全企業及び、利益が上がっている企業、利益が減少した企業の製品開発、現状の問題、将来に対する不安についての問題の焦点を探った。さらに、企業の利益を目的変数とする回帰式を求め、説明変数と問題の焦点の関係を探った結果、全体的な傾向として製品開発では、製品に直接関係することや技術に直接関係することを重視する企業、企業のコンセプトやブランドを重視する企業、また、労働力や情報、営業力、販売力に問題を抱えていない企業ほど利益に結びつく傾向か認められた。この回帰式と問題の焦点を併用する方法により、問題解決に当たろうとする問題と他の問題との関係を整理することが可能となった。このことは、問題をより総括的に扱うかまたはより絞り込んだ形で扱うかの選択、また解決すべき問題の優先順位と問題解決時に同時に考慮しなくてはならない問題を明確にすることが可能になることを意味しており、問題解決のための有効な方法となり得ることを示した。  第8章では、本研究で得られた結果を総括すると共に、各章で得られた結果の横断的な検討を行い、業種ごとの問題の構造、利益と問題の焦点の関係を総合考察しながら将来の方向性を示した。また、全企業を分析した結果を例として取り上げ、本研究を企業の問題解決に利用する有効性について検討を行い、本研究で示している問題の構造化の方法が企業における問題解決のための有効な方法であることを示した。  この問題の焦点と回帰式を併用することによって問題の構造を表現し、問題解決の方向性を導く方法は、中小企業の製品開発の方向性を明らかにすることになり、企業の企業戦略、製品開発の戦略のスキーム、製品開発におけるアプローチ、意志決定の支援に資するものであるといえる。 続きを見る
28.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of A study on the structure of articulations of sound environments in Japanese culture — 日本の生活文化における音環境の分節化の構造に関する基礎的研究
永幡, 幸司 ; Nagahata, Kouji
学位授与年度: 1997
学位授与大学: 九州芸術工科大学
学位: 博士(芸術工学)
学位種別: 課程博士
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概要: 本論文は、日本の生活文化における音環境の分節化の構造を明らかにする事を目的とするものである。  音環境を分節化する際の構造は、音環境を分節化する人の置かれているコンテクストに依存しているので、検討の際には個々の状況とその際の分節化の構造との関係から考察する必要がある。  本論文においては、互いに異なる3つの特徴的な状況に着目し、その状況下における音環境を分節化する構造について検討した。それらの状況は、「視覚障害者が音から場所を特定する過程」「俳句に詠み込まれた音環境における詠まれた音とその音が聞かれた季節、空間との関係性」「ある集落全体に聞こえるように鳴らされる音が騒音と見なされない事例における歴史的及び社会的背景」である。  「視覚障害者が音から場所を特定する過程」についての検討では、視覚障害者に彼らが実際に行ったことのある場所で録音した音を聞かせ、それらがどこの音であるのかを持定させ、さらに、その場所であると特定した理由について自由回答を求めた。得られた回答を分析した結果、視覚障害者が音から場所を特定する際の分節化の構造について、次のようなことが明らかとなった。視覚障害者が音から場所を特定する際に用いる音は多岐に渡っており、それらの音を用いる過程としては、ある音の存在から大雑把に場所の特徴を特定した後に、他の音の存在から詳しく場所を特定するという「階層的」な過程と、ある場所で聞かれる特徴的な音全てを総合的に判断することで場所を特定するという「並列的」な過程の2種類の過程があり、人によってそのどちらかを採用していた。また、「階層的」な過程を採用するにせよ、「並列的」な過程を採用するにせよ、音から場所を特定する際に具体的に用いている音は、人によって異なっていた。  「俳句に詠み込まれた音環境における詠まれた音とその音が聞かれた季節、空間との関係性」の検討では、江戸時代から現代までの音について詠まれた俳句3,810句を、詠まれた音、季節、空間、その句が詠まれた時代について分類し、統計的解析を行った。分析により次のことがわかった。俳句に詠み込まれた音環境は、音と空間の特性との関係によって、自然空間の音風景、居住空間の音風景、水辺の音風景、社寺仏閣の音風景の4つに分類することができ、このような音環境の分節化の構造そのものは、時代の流れに関わらず一定であった。その中で、昔は自然空間の音風景がよく詠まれていたのに対して、現代ではそれらが減少し、人の生活行為にまつわる音風景が取り上げられることが増加している。また、時代と共に、俳句の中で詠み込まれるような音環境のパターンは減少している。そして、ある季節のある空間の情景や、日常生活のある一場面を象徴するような音は、俳句に詠み込まれることが減少し、逆に、そのような象徴作用を持たない音が、多く詠み込まれるようになってきている。このことより、日本の音文化には音を季節や空間の象徴として、あるいは、日常生活の一場面の象徴として敏感に読み取り、そこに情緒を感じるという伝統があったが、そのような文化は失われつつあると考える。  「ある集落全体に聞こえるように鳴らされる音が騒音と見なされない事例における歴史的及び社会的背景」についての検討では、山口県の離島において、集落全体に響き渡るように鳴らされているサイレン及び放送が騒音としては分節化されていないという事例について、それらが鳴らされるようになった歴史的背景について聞き取り調査を行い、さらに、現在それらの音が集落の成員にどのように受け止められているかについてのアンケート調査を行った。その結果、「ある音を共有する」ということを「人によって意味が違ったとしても、その音に価値があることは誰でも共通に認めている状況」を意味することにすると、集落全体で共有されている音は、騒音とは分節化されないことが明らかとなった。逆に、集落全体で共有化されていない音は、騒音として分節化され得ることが明らかとなった。  そして、これらの結果の検討より、音環境の分節化の構造の持つ特徴として次のことを明らかにした。人間が音環境を分節化する際に、どのような音をその空間を特徴づける音として分節化するのか、そして、分節した音にどのような意味を付与するのかについての構造を規定するのは、知覚する主体のおかれている総合的状況である。そして、知覚する主体である人間のおかれている状況によっては、音環境の分節化に社会的文脈が大きな影響力を持つような状況と、個人的な文脈が大きな影響力を持つような状況の両者が存在している。そして、音環境に何らかの変更を加える際には、その場に居合わせ得る人達全てに、いかにしてその変更を共有化させるかということが、重要な課題であるということを示した。 続きを見る
29.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 混合整数計画によるパターン認識のモデル化と学習アルゴリズム
松永, 浩之 ; Matsunaga, Hiroyuki
学位授与年度: 1997
学位授与大学: 九州芸術工科大学
学位: 博士(工学)
学位種別: 課程博士
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概要: 生体における知覚は感覚入力に基づいて外界の状態を推定する情報処理過程であり、広い意味でパターン認識の問題として捉えられる。認識システムの人出力関係はノイズや遮蔽等の影響により一般に多対?写像となっているので、その逆写像の解は複数あり得る。従って、認識システムはそれらの解の候補の中から最も確からしい解を選択して出力していると考えられる。そこで最適化問題によって定式化を行なった視知覚のモデルがこれまでに数多く提案されてきた。また、一般に生体のパターン認識はある物体が何であるかというカテゴリー化を行なう離散的な処理とその物体の大きさなどの物理量を推定する連続的な処理という性質が異なる二つの処理過程が密接に関係しあって行われている。しかしこれまでに提案されたモデルのほとんどは連続的な処理か離散的な処理のどちらか一方しか扱っていない。本論文では、これら両方の処理過程を不可分に扱う視知覚の数理モデルを混合整数計画問題によって定式化する。  本論文は、知覚や学習の混合整数計画問題による数理モデル化について研究した結果をまとめたものであり、8章から構成されている。  まず第1章では、本研究の背景と扱っている問題を示し、あわせて論文の概要について述べる。  次に第2章では知覚や学習を混合整数計画問題によってモデル化する際に必要となる数学的基礎を概括し、技術的な問題を論じる。ここでは、生体の情報処理過程をパターン認識システムとして捉え、混合整数計画問題として定式化をおこない、認識システムの学習について議論し、認識や学習の具体的な定式化を最近傍識別を例にとり説明する。また混合整数計画問題の解法として勾配系を用いて解くアナログ解法を提案する。  第3章以降では、この基礎理論を知覚や学習の問題に適用する。第3章と第4章では知覚を扱い、第5章、第6章、第7章では学習を扱う。続く第8章で第3章から第7章までの結果を統合して、マルチモーダルパターンの認識モデルと学習法を提案する。  第3章ではラインプロセスを拡張した結合プロセスを提案し、画像処理への応用を示す。ラインプロセスではしきい値が絶対的な値に固定されるので、グレイレベルのスケール変化によって結果が変わるという欠点がある。結合プロセスはこの欠点を緩和し、エッジを保存して平滑化を行なうことができる。またパラメータを変化させることによってマルチスケール表現が得られる。更にインパルスノイズの除去もできるように拡張し、セグメンテーション等も容易に得られることを計算機実験により示す。  第4章では結合プロセスが生体の視知覚のモデルとして有効であることを示すために、結合プロセスを用いて幾何学的錯視のモデル化を行なう。パターンの知覚体制化には様々な要因があるが、ここではドットパターンを対象として最も基本的であると考えられる近接要因による群化のモデルを提案する。代表的な幾何学的錯視図形に対して計算機実験を行ない、錯視現象のモデルとしての結合プロセスの有効性と限界を示す。  第5章ではクラスタリング関数回帰による最近傍識別器の教師あり学習法を提案する。この方法は教師信号に基づいて定数関数への回帰を学習することによって、最近傍識別器の代表点の最適な配置を決める方法である。この方法を用いると代表点の数を多めに準備しておけば必要な分だけが割り当てられることや木探索識別器の代表点を一括して最適化する学習が行なえることを計算機実験により確認する。  第6章では第5章で提案した方法を線形射影を用いてデータベクトルの次元の圧縮を行なうように拡張し、その有効性を実験により示す。教師なし学習ではデータの復元誤差が最小となるように、教師あり学習では識別誤差が最小となるように最適化問題として定式化する。簡単なデータを用いた計算機実験により本学習法の特性を明確にするとともに、パラメータ化された顔データの分類に適用する。  第7章では教師ありのデータと教師なしのデータが混在する場合の最近傍識別器の学習法を提案する。ここでは、代表点の配置を決定するのに識別誤差と量子化誤差を共に最小化するように最適化問題として定式化する。更に教師ありデータだけで学習するよりも教師なしデータも付け加えて学習する方が識別率の期待値が向上することを、理論的な解析と顔データを用いた計算機実験とによって実証する。  第8章ではロバスト推定とベイズ則に基づく複数の入力からなる異種データの統合すなわちマルチモーダル情報による最近傍識別法を提案し画像処理への応用を示す。この統合方法は多数決をファジイ化したものであることを示し、EMアルゴリズムによる教師なし学習法を導出する。更にこの識別方の基本的な性質を簡単なデータで検証し、視覚と聴覚の統合の例としてマガーク効果を定性的に説明する。  最後に第9章では、本研究のまとめと今後の課題を述べる。 続きを見る
30.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 欧米のタイポグラフィにおけるタイムズ・ニュー・ローマンの歴史的位置付け
小野, 英志 ; Ono, Hideshi
学位授与年度: 1997
学位授与大学: 九州芸術工科大学
学位: 博士(芸術工学)
学位種別: 課程博士
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概要: タイムズ・ニュー・ローマンは、ロンドンで発行されている平日版朝刊紙『ザ・タイムズ』の専用タイプフェイス(活字書体)として、1932年にデザインされたものである。翌1933年、開発主体であるタイムズ紙がその独占的使用権を放棄して一般に解放したため、それ以降たいへん広範にわたる普及をみせ、現在では、例えばパーソナル・コソピュータのシステムに標準的に添付されるような状況にある。  この書体については、その開発経緯に関わる幾つかの研究が行われているが、いずれも開発責任者であるスタンリ・モリスンのディレクションのありかたが中心となっている。「タイプ・デザインに際して独自のラフスケッチを起こした」というモリスン自身による記述に対しては、モリスン没後、複数の研究者によって否定的見解が示されているが、ラフスケッチに代わるものは何であったのか、モデルとした書体はプランタン・モレトゥス博物館のものなのか、あるいはモノタイプ社が20年前に製品化したものか、などの未詳の部分を残しつつも、これらの諸研究は専ら書体史家でタイポグラファたるモリスンの個人的資質にタイムズ・ニュー・ローマンのデザインの契機を見い出そうとしている点で共通している。  本研究では、タイムズ・ニュー・ローマンに対するタイポグラファの評価、先行研究を概観(第2章、第3章)した後、開発を発注したタイムズ紙、それを受注した英国モノタイプ社、開発責任者モリスンの三者いずれにも、当時新聞印刷専用書体として広く普及していたレジビリティ・タイプを忌避し、オールド・フェイスの手直し向かう高い蓋然性が存在していたことを明らかにした。  第4章では、タイムズ紙について検討した。同紙は1784年に印刷所として創業されているが、創業時に於ける最新組版技術ロゴグラフィの特許買収以降、印刷技術面での同業他社に対する優位性を常に主張してきている。特に19世紀に入ってからは、印刷に関わる技術開発で世界的なリーダーシップを発揮し、1828年から1868年にかけては20年毎に自社技術として輪転機を新規開発している。 20世紀に入って経営危機を経験した後は、印刷技術を自社開発する積極的姿勢は後退したが、「スペシャル・プリンティグ・ナンバー」と称する別冊をたびたび発行し、依然として新聞印刷におけるリーダーたることを強くアピールしている。またニューズ・メディアとしての成長も著しく、タイムズ・ニュー・ローマン開発当時、タイムズ紙は自他共に認める世界で、最も権威あるニューズ・メディアであった。したがって、既に広く普及しているレジビリティ・タイプを、しかも他紙に大きく遅れて採用したのでは自己の権威の否定にこそなれ、強化にはならない。すなわちタイムズ紙には、レジビリティ・タイプを忌避する素地があった。  次に第5章では、英国モノタイプ社について検討した。同社は鋳造植字機メーカーとして、米国モノタイプ社から南北アメリカ大陸以外の地域に於ける営業権を獲得して1897年に発足し、1908年にタイムズ紙がモノタイプを導入した後は経営的にも安定した。 1912年の雑誌『インプリント』に対する新書体開発での協力を契機に、オールド・フェイスの覆刻を中心とする新書体開発に力を注ぎ、また、ウィリアム・モリスらに由来する機械の使用に対して否定的な態度を、印刷・出版界から排して徐々に書籍印刷市場に浸透していった。ケンブリッジ大学出版局やナンサッチ・プレスなどの有力出版社が、鋳造植字機としてのモノタイプのみならず、英国モノタイプ社が開発した新書体を積極的に使用する事態が手伝って、タイムズ・二ュー・ローマン開発当時には、同社は英国の書籍印刷市場に於いてほとんど独占的支配を達成する。しかし、英国モノタイプ社の競争相手であり、新聞印刷市場に強いライノタイプ社やインタータイプ社によって開発され普及をみたレジビリティ・タイプと同様のものを開発しても、英国モノタイプ社にとってはマーケットでの競争力の強化にはならないため、英国モノタイプ社にもレジビリティ・タイプを忌避し、書籍市場から歓迎されているオールド・フェイスの覆刻に重点を置く製品計画を継続する素地があった。  次に第6章では、スタンリ・モリスンについて検討した。彼には独学によって形成した書体史に関わる該博な知識と、タイポグラフィックなデザイン・ワークの実務経験はあっても、タイプフェイスそのものをデザインするタイプ・デザイナーとしての実技能力や経験はなかった。したがって、彼にとっては既存の書体の手直しが、最も迅速かつ確実な手段であった。そのためモリスンはタイムズ紙との事前の合意形成の手段として、1930年に『タイムズ紙のタイポグラフィ改訂に関するメモランダム』をタイムズ紙宛てに提出した。その中でまず彼は、より質の高い書籍印刷を新聞印刷も目指すべきことを主張し、さらにその書籍印刷においてはオールド・フェイスの使用が主流となっていることを示唆した。この『メモランダム』を根拠としてモリスンは、オールド・フェイスの採用という方針に沿ってデザイン・ワークを指揮し、タイムズ・ニュー・ローマンをタイムズ紙の専用新書体として完成させた。  第7章で、タイムズ紙、英国モノタイプ社、モリスンの三者に対する検討を総括した後、第8章では、タイムズ・ニュー・ローマンの歴史的位置付けとして、次のように結論づけた。  タイムズ・ニュー・ローマンの形態上の直接的なモデルは、ダッチ・オールド・フェイスと呼ばれる、17世紀頃のオランダのタイプフェイスのひとつであるプランタンに求めることができるが、その開発の姿勢は、19世紀中葉のイギリスに始まった印刷復興の動きと志向性を同じくするものである。この印刷復興はチジク・プレスによるキャズロン製のオールド・フェイスの復刻をもって開始されたと見るのが一般的であり、タイムズ・二ュー・ローマンもまた、英国モノタイプ社に於いて一連の古典的タイプフェイスの覆刻を指揮しつつあったスタンリ・モリスンが開発した点で、オールド・フェイス復活すなわち印刷復興以来の流れに沿うものである。しかし、このタイプフェイスの開発の直接のきっかけは、新聞印刷専用書体であるレジビリティ・タイプの急速な普及によってもたらされたもので、その点ではタイムズ・二ュー・ローマンには、レジビリティ・タイプに対する一つの対案という性格が認められる。すなわちタイムズ・ニュー・ローマンとは、継時的には、ルネサンス期のオールド・フェイスからダッチ・オールド・フェイスさらには印刷復興期の覆刻オールド・フェイスという、欧米のタイプ・デザインの主流の末端に位置するものであり、同時的には、新聞の高速大量印刷を背景としてつくられたアメリカ製レジビリティ・タイプに拮抗する、イギリス製の相対的タイプフェイスとして位置付けられるものである。 続きを見る
31.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 音響管配列を用いたソフトなT型防音壁の遮音性能に関する研究
金, 哲煥
学位授与年度: 1997
学位授与大学: 九州芸術工科大学
学位: 博士(工学)
学位種別: 課程博士
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概要: 道路交通騒音を制御することにおいて、現在最もよく用いられている手段の一つが防音壁である。しかし近年になって、交通量が増えつつ、しかもスピードの上限をアップした高速道路の建設や新幹線のような高速鉄道もさらにそのスピードを増やしている。このような状況の中、従来の防音壁では十分な遮音がとれなくなった場合が多くなり、建物の高層化などの原因で都市内を走る高速道路や鉄道沿いの防音壁もその高さが伸びる一方である。しかし、遮音量を増やす目的で、音源側の防音壁の上部の形状が道路内の方へ曲がり込み、道路を囲んでいる形になってしまって、まるでトンネルのような防音壁もできる状況になった。防音壁の高さが高くなるほど遮音量は増えるものの、建設における経済的な費用や構造上の強度、維持・管理におけるコストなどの問題だけでなく、防音壁沿いの住民への日照の欠如、運転者や乗客に与える圧迫感や退屈さ、さらに道路内部の換気を悪化させるなど、人間に直接与える被害が社会的問題にまでなっている。このような理由で、最近では防音壁の高さを変えず、より良い遮音性能を持つ防音壁を開発しようとする企画で様々な研究が盛んに行われている。本研究は、このような背景により防音壁の高さを変えず、より良い遮音性能を持つ防音壁を開発することを目的とする。  防音壁の遮音効果を向上させるための様々な形の防音壁が試されている中、T型防音壁は単純な形である割には良い遮音効果を示していることがよく知られている。そこで本研究では、藤原らによって提案された1/4波長音響管配列によるソフトな表面をT型防音壁の上端において実現し、上端がソフトな表面となるT型防音壁を提案、その遮音効果について数値計算及び模型実験によって検討を行った。  研究内容としては、まず、(1)単一深さの音響管配列の単体としての効果を検討するため、境界要素法を用いて数値解析を行い、理想的にソフトな表面の効果と比較し、藤原らによって提案された音響管配列によるソフトな表面の効果を検証した。本研究における数値解析の手段として用いた境界要素法は、防音壁が設置された散乱音場のような、開領域を含む開放音場問題を計算的方法で解析するに適した方法としてよく知られている。特に、防音壁の形状が複雑になればなるほどその効果を解析的な方法で求めることは不可能に近くなると言える。こういう面で境界要素法は優れた長所を持っている。特に、地面条件を完全反射性と仮定し、鏡像法を用いて音場をモデリングすると相当の計算容量を節約することができ、本研究全般における数値解析は鏡像法の2次元境界要素法を用いた。次に、(2)音管配列をT型防音壁の上端に設け、防音壁としての遮音効果について数値解析及び模型実験により検討を行い、その特性を調べた、その後、(3)音響管配列による効果の周波数依存性を解決するため配列の形を変形し、変形された配列の単体としての効果を数値解析及び模型実験で検討した。最後に、(4)変形された音響管配列を防音壁に取り付け、ソフトな効果は多少減少するが、効果の周波数依存性を大幅に改善した。音響管配列によるソフトなT型防音壁の遮音効果を数値解析及び模型実験によって確認した。  以上の結果により、剛なT型防音壁の上端に音響管を配列することによって、T型防音壁の遮音効果をほぼ全周波数領域で大幅に改善された。 続きを見る
32.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 画像技術を用いた畜産品及び工芸品の検査・設計支援システムの開発
白仁田, 和彦 ; Shiranita, Kazuhiko
学位授与年度: 1997
学位授与大学: 九州芸術工科大学
学位: 博士(工学)
学位種別: 課程博士
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概要: 人間には、外界の情景を見て、どこにどのような対象物があるかを素早く判断できるという機能がある。このような機能を工学的に実現することができれば、種々の機械に“視覚”を付与することができる。視覚を持った機械は、自ら外界の状況変化を知り、それに適応的な動作をし、人間の代行として様々な仕事を能率良く実行するであろう。  上述のような機械を実現するための基本技術の一つは“画像処理”であると言えるが、計算機の性能向上に伴い、画像処理の産業応用に関する研究は盛んに行われている。しかしながら、人間の視覚による作業を軽減、あるいは代行するためには、画像処理を応用した機械の、なお一層の開発が望まれている。  熟練した専門家の目視により品質評価されているものの一つに、牛枝肉の等級判定(格付け)がある。格付けは、牛枝肉の切開面を格付員と呼ばれる専門家が基準規格見本と照合する目視検査によって行われている。この格付け作業は低温の冷蔵庫中で行われており、格付員にとっては過酷な労働である。牛枝肉格付けを行う自動化技術の開発が望まれる所以である。  一方、陶磁器産業は、伝統工芸的色彩が強く、極めて付加価値性の高い産業である。この産業は多岐にわたる作業に依存している。しかしながら、熟練労働者の不足、若年労働者の雇用難は深刻な問題であり、又生産体勢の質的な高度化も求められており、陶磁器製造における自動化技術の開発は急務と言える。なかでも、陶磁器への線描き作業、絵付け作業は多数の熟練作業者を必要とし、これに関する自動化システムの開発が強く望まれている。  本論文は、画像処理技術の産業界への応用という観点から、牛枝肉等級の自動判定と陶磁器への描画の自動化についての研究をまとめたものであり6章から構成されている。  第1章では、本研究の背景と扱っている問題を示し、あわせて論文の概要と構成について述べる。  第2章では、牛枝肉の肉質のなかで最も重要とされている脂肪交雑の等級付けを、画像処理とニューラルネットワーク及び重回帰分析を用いて実現する方法について述べる。格付員は等級毎の基準画像と牛枝肉とを照合しながら等級付けを行っているので、まず等級判別のための基準を調べるために格付員への聞き取り調査を行い、この調査結果に基づいた等級付けのシステム化の方針について述べる。システムを安価で簡単なものにするために、4ビットの白黒画像を用いれば充分であることを実験を通して明らかにする。この4ビットの白黒画像は、脂肪領域を抽出するために更に2値化(脂肪領域とその他の領域)する必要がある。本論文では、3層ニューラルネットワークを用いて2値化する方法を提案する。ついで、重回帰分析を用いて格付員が目算している物理量の中から等級と相関の高い変量を求め、等級との関係式(重回帰式)を作る。重回帰式を用いて求めた等級が、格付員のものとよく一致することを示す。  第3章では、第2章で述べたシステムを更に精密にするために、牛枝肉の脂肪交雑をテクスチャパターンとして捉え、テクスチャ解析により脂肪交雑の等級付けを行う方法について述べる。テクスチャ解析手法としては、濃度共起行列を用いる。等級毎に10種の4ビット白黒画像を用意し、それに対して濃度共起行列を求める。等級毎に行列の要素を平均し、それぞれを各等級の標準テクスチャ特徴とする。入力画像のテクスチャ特徴と等級毎の標準テクスチャ特徴との類似度を求め、これを用いて入力画像の等級を決定する。この決定結果は格付員の結果とよく一致することを示す。  第4章では、陶磁器形状を3次元的に計測するシステムの開発について述べる。この計測システムでは、スリット光を陶磁器に照射し、その変化をカメラで撮像し、パソコン上のソフトウェアのみで画像処理し、高速に3次元座標値に換算する方法を提案する。陶磁器の凹部は、一般にカメラの死角になるので、2つのカメラを用いて死角への対処法についても述べる。本計測システムを用いて、コンピュータ画面上に3次元的に計測結果を表示し、陶磁器形状が正しく計測できることを示す。  第5章では、陶磁器への描写システムの開発について述べる。このシステムでは、前章の計測システムによる計測結果と、デザイン画とを3次元CADに入力し、計測結果から作成した計算機内の陶磁器に対してデザイン画を投影する。このシステムでは、投影されたデザインの線の軌跡のNC(数値制御)データをCADから出力し、NCデータにより動作す4軸描画ロボットで陶磁器への描画を自動的に行うことができる。実験では、意図したデザインを人間が写しかえるのと同じように自然なかたちで陶磁器へ描画できることを示す。  第6章では、結論を述べ今後の課題について論じる。 続きを見る
33.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of A Study of the History of Basic Design : The Basic Design Movement in Britain with Special Reference to the Teaching of Victor Pasmore and Richard Hamilton — 構成教育の史的研究 : イギリスの基礎デザイン運動 : ビクター・パスモアとリチャード・ハミルトンの教育
茂木, 一司 ; Mogi, Kazuji
学位授与年度: 1997
学位授与大学: 九州芸術工科大学
学位: 博士(芸術工学)
学位種別: 課程博士
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概要: 本論文は、1954 年から66 年までニューキャッスルのダーラム大学キングス・カレッジでビクター・パスモア(Victor Pasmore,1908-)とリチャード・ハミルトン(Richrd Hamilton,1922-)によって設立、運営された基礎コースの発展を後づけなものである。ニューキャッスルのコースは、戦後のイギリスの美術教育思考を急速に現代化した基礎デザイン運動の一つのモデルであり、コールドストリーム・レポート(1961)による美術学校への基礎教育(前ディプロマ課程)の導入という制度的な支援を明確化した基礎デザイン運動の一つ の「緩やかなモデル」を代表している。それはまた、伝統的に新しいものを拒否し続けてきたイギリスの美術をヨーロッパのモダニズムと統合する典型でもあって、同時に遅れてきたイギリスの美術教育を結果的に急速に現代化した。 本研究は、広義の美術教育における基礎教育、すなわち日本ではバウハウスの基礎教育を昭和の初期に導入した構成教育の歴史的展開という視点から検討したものである。わが国では昭和30年代以降のデザインの発展とも相まって、構成教育は小中学校の図工・美術 教育からデザインを専門する各種学校や大学まで、幅広い造形の基礎教育として定着していった。しかし、この構成教育には平面・立体構成という題材に見られるように、その抽象的な練習が冷たく、子どもの生活感情を害するという批判、あるいはバウハウスやデ・スティールの焼き直し的なものという評価がみられるが、これはイギリスの基礎デザイン教育においても共通する。現在の平面構成や立体構成がバウハウスで行われた基礎造形教育に比べて、固定化され、矮小化され、魅力のないものにされているのはなぜか。その主な理由は、「構成教育」の本質的な問題にあるのではなく、それが制度として美術教育に持ち込まれる時、すなわち教育化された時に生じる問題である。固定化が生じるのは、教育自体が持つそのような性質にもよるが、指導者の力も大きいと思われる。したがって、研 究の目的の一つに、美術家の芸術観がその教育にいかに影響するかを検討することをあげた。今回取り上げるパスモアもハミルトンも現役の芸術家であり、それが彼らの教育に深く係わっていたことは間違いない。つまり、彼らの新しいことに対する果敢な興味や関心が教育システムの改革を促すほど魅力に富んだ美術教育を生んだと言うこともできる。そして、研究目的の二つ目は、戦後のイギリスの美術と教育と美術教育の現代化におけるそれぞれの関わり合い、三つ目にはバウハウスの影響は世界的なものであると言われるが果たしてそうなのかどうか、イギリスを事例に考えることである。 論文は三部から構成さ れる。第一部は、「基礎デザイン思考の起源」と題して、ウイリアム・モリスからバウハウスヘ至る道筋を概観しながら、バウハウスの教育方法や内容、特にイッテン、カンディンスキー、クレーの基礎教育及び彼らの教育のイギリス絵画の影響について検討した。戦前のイギリスでのバウハウスの受容は、H.リードの『美術と工業』からの情報程度で、バウハウスやその基礎教育の情報がイギリスヘもたらされたのは実質的には戦後のことであり、他国に較べて非常に遅れていた。彼らの教育内容は主にその著作の翻訳出版という手段によってもたらされたものであり、直接的な接触ではないことが知られる。 第二部では「イギリスの基礎デザイン運動」に関わる基礎的な問題を検討した。はじめに「基礎デザイン運動へのパウハウスヘの影響」(第一章)、続いて「ニューキャッスルの基礎デザイン教育」(第二章)、「ビクター・パスモアの美術と教育」(第三章)、「リチャード・ハミルトンの美術と教育」(第四章)について論じている。特に、芸術家の芸術観がその教育を形成する基礎となることを示すために、パスモアとハミルトンの1960 年代までを中心とした美術活動、及び彼らが受けた美術教育と実施した美術教育を詳細に考察した。パスモアは抽象への転向者として、モダニズムを積極的に推進するカリスマ的な芸術家/教師として、ハミルトンは新しいポップという具象を皮肉っぽく知的に進めていく芸術家/教師として特徴づけられる。抽象とポップという、2人の芸術活動はこの時期のイギリス の新しい美術の一つの典型を示していた。そして、彼らの正反対の性格や活動はお互いをうまく補完し、ニューキャッスルでの教育を成功に導いた大きな要因であったことを明らかにする。 イギリスの基礎デザイン運動へのバウハウスの影響は、直接的なものというよりは「モダニズムのシンボル」として機能した。つまり、バウハウスが先鞭をつけた「造形の基礎教育」という思考はカンディンスキー、クレー、イッテンらの個性が作り上げたと同時に、当時の芸術を含めたモダニズムの教育が達成した一つの道標であった。 第三部では、「基礎デザイン教育の実際」として、リーズ校とニューキャッスル校が協力したスカーバラ・サマースクールの実践とニューキャッスル校の基礎デザイン教育の理念や方法、内容を具体的に検討した。そして、プレトン・ホール・カレッジの美術教育アーカインに保存されているパスモアとハミルトンの練習課題(学生作品の現物、写真など)を、構成教育の特徴である造形要素の観点から分析した。「線の練習」(第二節)、「点の練習」(第三節)、「かたちの練習」(第四節)、「色彩の練習」(第十節)、「分析的描画・絵画・彫刻」(第十三節)などに分類できる練習課題は、バウハウスの基礎教育と似ているが、これらのアイデアはパスモアとハミルトン自身の芸術的な興味関心から生じたものである。これらの練習は分析的な方法を特徴としていたが、その本質は異なったものが混合された時に生じるダイナミズム、及び全体を包み込む「雰囲気」のような捉えがたいものによって展開されたところに特色があった。基礎デザインは、表現主義的な美術教育の持つ魔術的な指導を科学的なものに転換した功績は大きい。しかし、それがどんなにすばらしいものであったとしても、「スタイル」が固定化された時には新たなアカデミズムに陥る。イギリスの基礎デザイン運動は、それに関わった人、そこで行われた内容も多様なことが一つ の特徴である。個人や統一された理念を持つグループの活動ではなく、美術やデザインのモダン化に興味を持ったさまざまな個性によってなされた多様な実験であり、生まれてくる作品は構成主義的、シュルレアリスム的、ポップ/オップ・アート的とバラエティに富んだものであった。基礎コースは、パスモアが定義づけたように、「発展プロセス」であり、シッスルウッドの言葉を借りれば「継続プロセス」であることによってのみ力を持ち続けられるということである。基礎がもつ総合性と運動性は芸術や教育の全体を瞬間的につかみ取るものであり、したがって、基礎デザイン運動は単なる構成主義美術の応用というレベルではなく、いわば反芸術までも範疇に入れた芸術の豊かさすべてを基礎にして展開される必要があることを示している。すなわち、基礎デザイン教育は、その基礎になる美術を常に新しくすることによって、また、それを扱う芸術家/教師の柔軟な態度に大いに依拠しながら、空間・時間を超えてその現代的意義を新たにつくり出すことが可能なことを教えてくれている。 続きを見る
34.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 音楽演奏に含まれる時間的ゆらぎ : 演奏者の制御能力の限界に起因するゆらぎと芸術表現のゆらぎ
山田, 真司 ; Yamada, Masashi
学位授与年度: 1997
学位授与大学: 九州芸術工科大学
学位: 博士(芸術工学)
学位種別: 課程博士
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概要: 音楽演奏が楽譜を忠実に再現したものではないことは、よく知られている。この、実際の音楽演奏と楽譜とのずれは、「芸術的逸脱」と名付けられ、旧来から様々な側面において研究が行われている。このような中で、時間的側面における芸術的逸脱についても、様々な角度から研究が行われてきた。しかし、音楽演奏には、演奏者が自らの音楽表現のために積極的に付加する、いわゆる「芸術的」表現によるずれだけではなく、演奏者の時間的制御能力に限界があるために、どうしても意図するタイミングからわずかにずれてしまうという、「制御能力の限界」に起因するずれも含まれている。そこで本研究では、音楽演奏における時間的側面における楽譜からのずれの様子を「ゆらぎ」として捉え、このゆらぎを、 1)演奏者の時間的制御能力の限界に起因するゆらぎ 2)演奏者が芸術表現のために付加するゆらぎ の2要因に分解し、それぞれの要因のゆらぎについて測定、検討することで、音楽演奏に含まれる時間的ゆらぎについて明らかにした。  本論文は6章で構成されており、第1章では、本研究の背景、目的などについて述べている。  第2章では、上記の第1の要因である、演奏者の時間的制御能力の限界によるゆらぎについて、等間隔タッピングの課題によって明らかにした。その結果、制御能力の限界に起因するゆらぎは、テンポにかかわらず一定の性質を持つことが示された。すなわち、このゆらぎの生成には、過去約20タップの間隔の情報が記憶され、これらの情報によって次の間隔が決定されるという機構が介在することが分かった。またこの機構によって生成されたゆらぎにおいて、時間間隔の平均値と標準偏差との間にほぼ定比的関係が成り立っており、その変動係数は約4.3%であることが分かった。  第3章では、第2章で示した制御能力の限界に起因するゆらぎが、音楽演奏経験によって変化するかどうかについて検討した。その結果、音楽演奏の熟練者と初心者の間でこの要因のゆらぎにはほとんど違いがないことが分かった。すなわち、第2章で示された制御能力の限界に起因するゆらぎの性質は、テンポだけでなく、音楽演奏経験によっても変化しない一般的性質であることが明らかになった。音楽演奏の訓練によって向上するのは、基本的な時間制御能力ではなく、むしろ、複雑な身体運動を調和させて一連の動きを形成する能力であることが分かった。  第4章では、上記の第2の要因である、演奏者が芸術表現のために付加するゆらぎについて調べた。芸術表現のゆらぎを3要因に分け、それぞれの要因のゆらぎのパワーを制御能力の限界に起因するゆらぎのパワーと比較することで、芸術表現によるゆらぎの「平均的」様相が以下のようなものであることが明らかになった。すなわち、リタルダンド表現によるゆらぎは制御能力の限界によるゆらぎの約85倍のパワーを持ち、繰り返しリズム表現によるゆらぎの成分は制御能力の限界によるゆらぎの同じ周波数成分に対し約500倍のパワーを持つ。また、リタルダンド表現、繰り返しリズム表現以外の芸術表現に起因するゆらぎは、数タップの短い周期および数百タップの長い周期においては、制御能力の限界によるゆらぎと同等、または数倍程度のパワーを持ち、数十タップの周期では、制御能力の限界によるゆらぎの数十倍のパワーを持つ。これらのゆらぎを全て包含した芸術表現によるゆらぎ全体のパワーは、制御能力の限界に起因するゆらぎの約100倍のパワーを持つ。以上が、芸術表現のゆらぎの平均的様相である。  第5章では、同じ楽曲を異なる演奏者が演奏するとき、その時間的側面における芸術表現にどのように演奏者の独自性が発揮されているのかについて、事例研究を行った。演奏から得られたゆらぎについて物理的に検討を行ったところ、演奏テンポおよびリタルダンド表現に演奏者の独自性が発揮されていることが分かった。また、時間ゆらぎを持った合成演奏を作成し、心理実験を行った結果、リタルダンド表現の違いに比して、演奏テンポの違いの方が、聴感上の演奏者の独自性に大きく寄与していることが分かった。  第6章では、以上の結果をまとめ、本研究の成果の自動演奏の制作過程への応用について考察するとともに、今後の課題について述べた。 続きを見る
35.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 調音運動に基づく音声の合成法に関する研究
鏑木, 時彦 ; Kaburagi, Tokihiko
学位授与年度: 1997
学位授与大学: 九州芸術工科大学
学位: 博士(芸術工学)
学位種別: 課程博士
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概要: 音声合成などの音声情報処理技術では、音声スペクトルの包絡特性を表すスペクトルパラメータによって、音声に内在する言語情報を効率的に表現することがおこなわれている。これらの音声合成法では、音節などの合成単位ごとにスペクトルパラメータの時間パタンを保持しておき、これらの単位パタンの連結によって連続音声が表現される。このセグメントベースのアプローチでは、音素環境や発声速度に起因した音素の変動性に対しては、コンテキストに依存したパタンを網羅的に用意することが必要となる。  音素環境などの要因によって音素の特徴が変化するのは、音声の生成が顎、唇、舌などから構成される力学系の運動特性に拘束されるため、隣接した音素の特徴が調音器官の運動パタン上で相互にオーバーラップし、時間的に広がりを持った変動性として表出するためである。したがって、音声情報処理における調音結合の問題をより本質的に解決するには、調音運動のレベルで生じる音声現象を解明し、調音器官の状態に関するパラメータを用いて音声の情報表現をおこなうことが必要である。  本論文では、顎、口唇、舌、軟口蓋などの位置を表す調音パラメータを用いた、調音運動に基づく音声の合成法について述べる。この合成法は、音素の本質的な特徴量から調音パラメータの軌道計算に基づいて連続音声を表現するものであり、固定的なスペクトルパタンの連結による従来法とは、著しい差異をなす。  本論の音声合成法では、まず、入力された音素系列に対応する調音次元での音素目標の設定がおこなわれる。これらの運動タスクに対して、軌道生成モデルによって調音運動の報道を計算し、さらに調音・音響マッピングの適用によって声道スペクトルの時系列が求められる。また、これらのモデルを構成する上では、実際の調音器官の運動に関するデータが必要となる。本研究では、したがって、(1)磁気センサシステムを用いた調音運動の観測手法、(2)調音運動の軌道生成モデル、(3)調音・音響マッピング、(4)音素調音目標からの音声合成、の4項目について検討した。  磁気センサシステムは、観測点に接着した複数の小型円筒形コイル(直経3?、幅4?)の位置を連続的に計測する手段である。このシステムの測定精度は、コイルの位置に応じた適応的な校正法を用いることにより、約0.10mmとなることが明らかになった。一方、コイルの傾きと測定面からのずれに対しては、コイルの傾きをx軸、y軸方向とも20度まで許容する場合、誤差を1mm以下とするためには、測定面からのずれを±2mm以下とする必要があることがわかった。また、舌の調音運動の観測の結果、磁気センサシステムと超音波スキャナの間の観測誤差は約1.16mmとなり、高い整合性を得ることができた。  軌道生成モデルでは、個々の音素の調音を本質的に表す声道形状(運動タスク)から、顎、口唇、舌などの調音器官全体の運動を生成する。このとき、声道形状を表す声道変数に対し、調音器官の位置を表す調音変数の自由度の方が大きいため、特定の運動タスクを満足する調音変数の値の組は無数に存在する。さらに、運動タスクは時間軸上の離散的な点でしか与えられないため、タスクとタスクの間では調音器官は任意の軌道をとり得る。本モデルでは、軌道計画上のこれらの冗長性を解消するため、軌道の滑らかさに関するコスト関数を導入し、この運動規範が最小となる最適な軌道を計算する。単語やショートフレーズについての軌道生成実験の結果、モデルによって計算された軌道の誤差は約0.90?であることが確かめられた。  調音・音響マッピングでは、顎、口唇、舌、軟口蓋、喉頭の位置に対して、声道の音響的な伝達特性を表すスペクトルパラメータの値を決定する。本法では、調音位置と声道スペクトルの間の対応関係は、調音運動と音声波形の同時観測に基づいて得られる調音・音響データ対の形で直接的に表現される。調音位置に対するスペクトルの推定は、調音・音響データ対から構成されるコードブックの検索に基づき、調音位置の近傍のコードベクトルを選択することによっておこなわれる。さらに、入力された調音位置に対する音素の識別と、コードブック中に付与された音素ラベルとの比較によって、音素の種類を基準としたコードブックの予備選択をおこなう。この予備選択は、スペクトル誤差の上では改善効果が見られないが、合成音の品質には寄与することが実験により確かめられた。  最後に、軌道生成モデルと調音・音響マッピングを結合し、音素の運動タスクから音声を合成する実験をおこなった。文章発声における運動タスクを声道変数を用いて指定した場合、軌道誤差は平均で1.44mm、スペクトル誤差は3.94dBとなった。一方、運動タスクを調音変数によって与えた場合には、これらの誤差はそれぞれ0.39mmと2.94dBであった。また、運動タスクから計算されたスペクトルを用いて音声を合成した結果、調音変数によってタスクを与えた合成音の品質は、原音声の位相等化分析合成音と同等となった。一方、タスクを声道変数によって与えた場合には、文章の了解性にはほとんど影響ないものの、自然性に関してはやや劣化が生じた。  以上より、音素の調音的特徴を表す非常に少ない情報から調音運動の軌道を計算することによって、良好な自然性を有する音声の合成が可能であるという結論が得られた。今後は、入力された音素列に対して運動タスクの値と時点を計算する手法の開発と、より高品質な合成音を得る上で最適となる運動タスクの特定が課題である。 続きを見る
36.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 車いす使用脊髄損傷者に適した道路寸法と出入口形式および寸法に関する研究
藤家, 馨 ; Fujiie, Kaoru
学位授与年度: 1996
学位授与大学: 九州芸術工科大学
学位: 博士(芸術工学)
学位種別: 論文博士
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概要: 車いす使用者のための建築指針や街づくり指針が数多く発表されているが、それらにおいては対象となる障害や障害の程度が明示されておらず、また、指針値の根拠が示されていない。本論文では、脊髄損傷者を対象者とし、その障害程度も考慮にいれて、車いす使用に適した通路および出入口の形式と寸法について、人間工学的実験手法を用いて研究した。本論文は、8章から構成されている。  第1章では、国および56都道府県市の車いす使用者のための街づくり指針値を比較し、各指針値間に統一性がないことを見いだし、本研究の必要性を示した。  第2章では、脊髄損傷者の特徴と本論文の被検者の特徴を示した。全被検者55名(頸髄損傷者31名、胸腰髄損傷者24名)が使用している車いすの大きさの平均値および標準偏差は、全幅59.0±4.7?、全長92.2±2.1cmであり、正規分布を仮定して求めた95パーセンタイル値は、全幅66.7?、全長105.5cmとたった。  また、被検者の車いず操作能力を、直線5mを車いすで層工するのに要した時間で表現することを提案し、それを用いて、日常生活における実用的な車いすの操作が可能な障害の程度を明かにすることができた。  第3章では、アンケート調査により、福岡市およびその近郊に在住する車いすを使用する脊髄損傷者の外出の状況を示し、建築物等へのアクセスにおいて通路および出入口に関する問題点が多いことを明かにした。  第4章では、車いすを基準として、車いすでの通過に適した通路幅や車いすの回転スペースを求めるために、実験室内に設けた模擬通路を車いすで通過する時間を測定する実験を行った。車いすで通路壁を意識せずに通れる通路幅は車いす幅+30cm以上、車いす相互のすれ違いに必要な通路幅は2台の車いす幅+35cm以上、車いすで90度および180度回転するのに必要な回転直径は、それぞれ車いす全長+30cm以上、車いす全長+40cm以上であった。  第5章では、実験室に設置した摸擬出入口を用いて、車いすで通過する際、扉を開けるのに必要な力および空間の大きさを求めた。扉を開けるのに必要な力は、障害程度による差が大きく、その平均値および標準偏差は、引き戸で6.0±2.9kgf、開き戸で8.7±4.8kgfであった。扉を開けるのに必要な力の5パーセンタイル値は、引き戸で1.2kgf、開き戸で0.8kgfとなり、この値以下の力で扉が開くようにすべきである。  また、出入口通過に必要な空間は、障害が重度なグループほど多くの床面積を必要とした。 95パーセンタイル値で指針値と比較すると、引き戸においても開き戸においても、指針値よりも広い空間となった。  第6章では、出入口通過時間をもとに、形式が異なる出入口の特徴を調べた。その結果、通過時間は開き戸を押して開ける場合が最も短く、引き戸、そして開き戸を引いて開ける場合の順となった。  出入口通過時間は、通路側方に扉がある出入口形式では通路幅の影響を受けるが、車いす幅+40cm以上の通路幅があれば影響を受けなかった。また、車いすで扉にアプローチするときの袖壁は、通路正面に引いて開く開き戸がある出入口形式では、40cm以上必要なことがわかった。通路正面に扉がある出入口形式の方が、通路側面に扉がある出入口形式よりも通過時間は短かった。  また、障害程度の違いによる出入口通過時間の差が小さいことで評価したとき、開き戸よりも引き戸の方が使いやすいという結果が得られた。  第7章では、建築物等で使われることが多い15種類の出入口形式の特徴を比較した。すべての通過経路を考慮して、出入口を通過するのに必要な時間で比較すると、出入口形式間に差はなかった。しかし、開き戸では通過方向の違いによる通過時間の差が大きく、また、重度の頸髄損傷者では開き戸を開けることはできても、閉めることができない場合があり、この点において引き戸の設置が推奨された。なお、非常時の扉としては、通過時間が短く、また重度の頸髄損傷者にも開くことができる、押して開く開き戸が適している。  第8章では、本研究で得られた成果を総括した。車いすを基準とした通路および出入口の形式と寸法を、人間工学的実験に基づいて客観的に示すことができた。第2章で示した車いすの大きさの95パーセンタイル値を用いて各種基準値を求め、既存の指針と比較すると、各項目とも指針値の下限に近い値となった。  本研究では5および95パーセンタイル値を基準値として採用しているが、本研究で得られた寸法の平均値と標準偏差を用いて、設計思想に応じたパーセンタイル値を求めて利用することができる。 続きを見る
37.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 都市景観イメージコントロールに関する研究
金, 英美
学位授与年度: 1996
学位授与大学: 九州芸術工科大学
学位: 博士(芸術工学)
学位種別: 論文博士
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概要: 本研究では、都市における建物と屋外広告物の色彩の実態を把握し、その中でも特に批判されることが多い屋外広告物をとりあげ、その色彩をコントロールすることが景観整備の上で有効であるのか、またその具体的な方法について検討した。なお、従来の景観コントロールの事例は、歴史的景観地区や自然資源等保護地区、ないしは新規整備地区等に偏っていたが、本研究では既存の一般的な市街地を対象として景観誘導の方法を検討した。 1.研究の方法  (1)性格の異なる地区における建物と屋外広告物の色彩の分布調査を行った。福岡市とソウルの商業地区とオフィス地区の合計4地区の色彩の分布実態を確認した。 (2)地区間のイメージの比較や、色彩の調整によるイメージの変動を把握するための調査方法を考案した。色彩の分布調査を特定地区の固有の現象だと捉えずに、できるだけ客観化して同一の条件のもとで比較実験を行えるように、正方形の背景色にポイント色を規則的に配置した色彩パレットによる刺激をつくった。  (3)その調査方法によって、2地区の色彩を現状+各3通りの方法で調整した刺激によるイメージ調査を行った。福岡の商業地区とオフィス地区の調査結果を色彩パレットに当てはめ、現状、彩度を10以下及び6以下にした場合、彩度10以上のもの面積を1/2にした場合のイメージの変動を調査した。  (4)その地区をどのようなイメージにしたいのかによって景観誘導の根拠が異なるはずであるため、天神地区を例にとって、天神地区として認知されている範囲(色彩調査地区との関係の確認)、現在のイメージ(色彩分布調査から推測できるイメージとの関係の確認)、これから望むイメージ(誘導の方針の確認)について確認するための調査を行った。  (5)具体的な現場で、推論した方法が適切であるのかどうか、シミュレーションによって確認するための検証調査を行った。天神地区の具体的な景観8点を対象とした。 2.研究の結果  (1)屋外広告物の面積は建築物の壁面面積に対して約3%を占めていて、福岡とソウルを比較して見るとその違いは少ないが、地区の類型によるイメージの違いが認められた。  (2)地区を特徴づけている要素のひとつは彩度であり、彩度を調整することによって地域の特性を誘導できる。  (3)色彩パレットによって、彩度をコントロールした場合のイメージの変動を調査した結果、彩度をコントロールすると「まとまり感」が出てくる。高彩度の面積を減ずるよりも彩度を落とす方がイメージの変動が大きい。  (4)天神地区で一般の人々のイメージを色彩と言葉で確認する調査を行った結果、色彩パレットによる調査とほぼ一致しており、色彩パレットによるイメージ調査が実態と類似していることが確認できた。  (5)一般の人々のイメージ調査と色彩パレットによる調査結果、「賑わい感」と「まとまり感」は両立できることがわかった。  (6)地元住民等の意見を要約すると、これからの天神には先進的で「まとまり感」のある景観整備が求められている。  (7)天神の街路を例にとり、実態に基づいた誘導例によってシミュレーションをし、イメージ調査を行った結果、色彩パレットによるイメージ調査、色彩と言葉によるイメージ調査、それを実態に適用させた場合のイメージ調査の3つの結果がほぼ一致していた。  (8)高彩度の屋外広告物の彩度を中彩度や低彩度に落とすべきか、面積を減ずるべきかは現場の状況によってイメージの変動が異なる場合があり、求めるイメージに対してその手法を選択する必要があることがわかった。  本研究において得られた屋外広告物の色彩の誘導の方法は、今後の都市景観計画に十分導入され得るものである。また、これまで最もあいまいでいつも重要な課題とされてきた景観誘導の根拠を明確にするものである。しかも本研究は、特定の個性ある景観地区ではなく一般的な市街地を対象にしており、普遍的な方法として活用できるものである。  ただし、本研究の趣旨は画一的な景観整備の方向を示すものではなく、彩度をコントロールすることによっていくつかの異なるイメージが導かれる点を明かにしたものである。本研究は、景観誘導の現場の問題点を理解し、景観の育成のために具体的に何をしたらいいのか、またその根拠について設計的な観点から研究したもので、今後の景観指導上の基礎研究として位置づけられる。 続きを見る
38.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 低収縮強度での静的筋収縮持続に伴う表面筋電図の変化
大箸, 純也 ; Ohashi, Jyunya
学位授与年度: 1997
学位授与大学: 九州芸術工科大学
学位: 博士(芸術工学)
学位種別: 論文博士
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概要: 生活・労働の場面における人間の筋負担は小さくなってきている。しかし低収縮強度であっても、作業姿勢の保持のように長時間筋収縮を持続することによって筋疲労が生じる。双極誘導表面筋電図は筋疲労の推定と関連づけて研究されてきた。しかし低収縮強度においては、主観的な疲憊近くまでの収縮を行っても、有効な筋疲労推定法として期待されている表面筋電図の徐波化(低周波数成分の割合が増加すること)は不明確であると考えられている。本研究では、低収縮強度での持続的収縮における筋疲労の表面筋電図による推定のための基礎的研究として、低収縮強度での筋収縮の持続に伴う表面筋電図の振幅と周波数分布の変化、およびその原因について検討した。  先ず収縮の持続に伴う表面筋電図の徐波化の程度と収縮強度の関係を調べた。また、低収縮強度での表面筋電図の徐波化が不明確である原因として、周波数分析が表面筋電図の変化を示すのには適していない可能性があると考え、表面筋電図上の平均的な波形の変化を調べるために、波のピークをトリガにして振幅レベル別平均加算波を求め、収縮持続中のその変化を調べた。筋電図の徐波化は収縮強度が強い方が大きいという傾向があり、最大随意収縮(MVC)の20%以下の収縮では徐波化とは逆の速波化が生じる例があった。トリガ近傍の振幅レベル別平均加算波の持続時間は、収縮の持続に伴って30%MVC以上の収縮強度条件では延長するのに対して、20%MVC以下の条件では短縮する傾向があった。 20%MVC以下の条件におけるこの振幅レベル別平均加算波の変化は、筋電図の徐波化とは逆方向の変化であったが、周波数分布では徐波化が見られた。以上のことから、低収縮強度では表面筋電図上の個々の波(連続した波の一部で、明確な立上りから立ち下がりまでの間)の持続時間の延長が、筋電図の徐波化の主原因ではないことが判った。  運動単位における群化活動が筋電図の徐波化の原因であれば、双極誘導よりも導出範囲の広い単極誘導の筋電図の方が、多くの運動単位の活動を反映するということで徐波化が生じやすくなると推測し、単極誘導と双極誘導とで表面筋電図の収縮持続中の変化を比較した。単極誘導の方が双極誘導よりも安定して大きな筋電図の徐波化を示した。ただし、この誘導法間の徐波化の程度の違いは簡単なモデルから推測した導出範囲の違いよりも大きなものであった。すなわち、単極誘導で徐波化が明確であった主原因は導出範囲が広いためではなかった。群化放電と表面筋電図の波形上の変化を検討するために、双極誘導筋電図をトリガとして用い、単極誘導と双極誘導の筋電図について振幅レベル別平均加算波を求めた。そして、振幅レベル別平均加算波上の各時点の値について、表面筋電図の低周波数成分の割合との相関を求めた。相関が高くなる時点、その符号および振幅レベルの関係が、群化放電が筋電図の徐波化に関与していることを示唆した。単極誘導での筋電位は不関電極の電位に対しての負の方向に発生するため、符号をそのまま用いた単純平均電位は筋放電レベルを反映する。双極誘導では導出電位は基線に 対して振幅がおよそ正負対称の波になるため、単純平均電位は筋放電レベルとは関係しない。この導出電位の極性に関する違いが、単極誘導では筋電図の徐波化が見られても双極誘導では徐波化が見られなかった主原因であるとした。  以上の結果から、単極誘導であれば表面筋電図の変化から筋疲労の推定が期待できる。しかし現場での作業は休憩、非活動期をはさんだ繰り返しであり、筋負担の評価は休憩も含めた作業全体で行うべきである。そのため、休憩を入れて疲労性の収縮を繰り返した場合にも疲労感と表面筋電図の徐波化および振幅の関係が保たれるかどうかを調べた。表面筋電図の徐波化と疲労感との関係は疲労を生じさせるような収縮を繰り返しても保たれた。また、表面筋電図の振幅と疲労感との関係には、一度疲労することにより振幅が増大するという影響があったが、その影響自体が疲労の回復が不完全であることを示していると考えれば、筋電図の振幅も作業の筋負担の評価のための情報になると考えた。  最後に、疲労性収縮中の表面筋電図の振幅の増加と徐波化の原因を考察した。表面筋電図の振幅の増加には、新たに動員された運動単位の特徴が関与していると考えた。表面筋電図の徐波化の主原因は運動単位の活動の群化であり、その群化活動の原因は脊髄よりも上位の中枢にあると推測した。  本研究は、低収縮強度であっても単極誘導であれば、収縮の持続に伴って表面筋電図は徐波化すること、および筋電図の振幅の変化も作業の筋負担の評価に有用であることを示した。ただし、表面筋電図の変化には上位中枢の影響があるため、収縮持続中の表面筋電図の変化の意味を理解するには、持続的収縮に対する運動制御における適応としての解釈も加えることが必要であると考えた。 続きを見る
39.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of コンピュータリレイテッドデザインの方法に関する研究
富松, 潔 ; Tomimatsu, Kiyoshi
学位授与年度: 1997
学位授与大学: 九州芸術工科大学
学位: 博士(芸術工学)
学位種別: 論文博士
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概要: コンピュータは情報環境に外在化した情報内容を、ユーザの選択的な求めに応じて可視化・表示することで、ユーザと情報内容の対話を可能にしたメディアであるといわれている。  CRD(Computer Related Design)は、このようなメディア的機能を備えた製品と情報内容を計画・具体化するために、ハードウェア、ソフトウェアの両面から問題をとらえて解決するデザインである。すなわち設計・生産の自動化を目的として導入されたCAD/CAMシステムに対応して、3次元形状データを作成し、有効に活用してハードウェアをデザインする方法と、情報処理機能を備えた製品ソフトウェアのデザインを行うものである。  本論文はCRDの領域で実験的研究を行い、デザインプロセスを考察することでCRDの領域におけるデザイン諸要素を抽出・分類し、デザイン諸要素の問題解決を図るデザイン作業を構造化することでCRDのデザイン方法を求めたものである。  本論文の構成は5章からなり、第1章総論では本研究の全般について述べた。  第2章は「コンピュータによるデザイン支援」に関する研究である。  CAID(Computer Aided lndustrial Design)のデザイン方法では、3次元形状データ作成を中核としたデータの利用・展開方法として図形データや画像データの利用による技術文書作成や、多面体データの利用による3次元CGのレンダリングやアニメーションおよびNCデータの利用によるモックアップの自動加工方法を明らかにした。  CGによるデザインシュミレーションでは3次元形状データをデザインの創造段階に適用する具体的方法として、3次元CGを利用して可変的に形状と属性を変化させて表示させる方法を明らかにした。  CAIDのインターフェースデザイン開発では、デザイナにとって困難とされる3次元CADによる形状データ作成を容易にするためのインターフェースのデザイン開発方法として、工業デザイナが3次元形状を作成する思考プロセスを考察し、モデル化を図り、形状を容易に作成する操作フローと必要なコマンドを導きだし、3次元CADシステムのインターフェースデザインに適用した。  以上のように3次元形状データの有効な活用によるデザイン作業の高度化と効率化、およびデザイン作業で使用する3次元CADシステムのインターフェースデザインについてデザイン方法を求めたものである。  第3章は情報内容の構成と情報環境に外在化した情報内容を検索して表示する機能を備えた製品、すなわちユーザが情報内容を利用する際のメディア(Retrieval Media )製品デザインを対象とした「HCI(Human Computer lnteraction)のデザイン」に関する研究である。  空間映像による仮想空間とユーザのインタラクションでは、ユーザの移動経路モデル(パスモデル)を空間のデザインに取り入れることで、写実的である実写映像による空間の表示方法にユーザの求めに応じて映像を表示するような情報内容に選択的表示機能を与える方法を明らかにした。  カーナビゲーションシステムの操作性評価では、HCIのデザインにおいて、ユーザが機器を操作する際の認知的問題を抽出することで、操作性を良くするためのデザイン指標を明らかにした。  以上のようにメディア製品を介してユーザが接する画像情報空間のデザインと、メディア製品のソフトウェアデザインについてデザイン方法を明らかにしたものである。  第4章考察では、「コンピュータによるデザイン支援」と「HCIのデザイン」のデザインプロセスを考察することでCRDの領域におけるデザイン諸要素の抽出・分類を行い、デザイン諸要素の問題解決を図るデザイン作業を構造化した。  メディア(Retrieval Media)製品は、人間(Human)が情報環境(Infomation Environment)を利用する際に使われるもので、コンピュータによる情報処理機能を備え、ハードウェア、ソフトウェア両面で構成されている。デザイン諸要素としては、人間の認知的要素、メディア製品の機能的要素、情報環境の構成要素が、人間を中心とした階層構造をなしている。  第5章結論では、デザイン諸要素の問題を抽出して解決を図るCRDの一方法としてHIERM(Human lnformation Environment Retrieval Media)法を提唱した。 CRDにおけるHIERM法ではハードウェアデザインに関して、デザインを支援するための方法として3次元形状データ作成を中核とし、仮説生成?制作?検証からなる創造的なプロセスにおいてデータを利用・展開するスター型のデザイン方法を明らかにした。ソフトウェアデザインではユーザがメディア製品を操作する際の行動が十分理解できていないことから、ソフトウェアの動作モデルであるプロトタイプを作成することで仮説生成?制作を行ない、プロトタイプをユーザがテストすることで検証し、仮説モデルとユーザのメンタルモデルの一致を図る方法を明らかにした。  HIERM法は人間(H)と情報環境(IE)の間に介在するメディア(RM)をデザインするための方法であり、CRDのデザインプロセスで最も重要な創造の段階において、仮説生成-制作-検証を繰り返すことで、製品のソフトウェアとハードウェアを改善するデザイン方法であると確信する。 続きを見る
40.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 視覚と聴覚の空間知覚における相互作用に関する研究
北島, 律之 ; Kitajima, Noriyuki
学位授与年度: 1997
学位授与大学: 九州芸術工科大学
学位: 博士(芸術工学)
学位種別: 論文博士
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概要: 本研究では、視覚と聴覚の空間知覚における相互作用の特性とその生起過程を解明することを第一の目的とし、5つの実験を行い、検討を重ねた。以下に本研究の概要を記述する。 (1) 音源定位への光刺激の影響における同期性の効果の空間異方性  従来行われていた、音源定位に及ぼす光刺激によるバイアスの研究は、水平面内に限られたものであり、水平面内にある音源が、水平面内にある光によって受ける影響を調べたものがほとんどであった。 そのため、音源定位能力が水平面内と異なる正中面内では、光刺激の影響がどのように現われるかが定かでなかった。さらに、定位バイアスにおいて重要な要因とされる光と音の同期性が、正中面内の定位にはどれほどの影響をもたらすかも明らかではなかった。  実験1では、水平方向と垂直方向における音源定位のパフォーマンスが、光刺激の提示タイミングが操作された条件のもとで、測定された。  実験の結果、水平方向においては、光と音が同期した条件のみで、小さなバイアスが観察された。しかしながら、このバイアスは被験者によっては、まったく見られないこともあった。一方、垂直方向でも、光と音が同期した条件のみにバイアスは観察された。ただし、バイアスの大きさは顕著なもので、音源の位置がどこであろうとも、すべての被験者が光の位置と音の位置をほとんど区別することはできなかった。このように、光刺激が音の定位に及ぼす影響は、水平方向よりも垂直方向で特に明らかになることが示された。 (2) 音源定位に及ぼす視覚的注意の効果  これまで、視覚的注意と聴覚の空間解析との関係は全く明らかにはなっておらず、実験2では、定位バイアスと視覚的注意との関係を直接的に調べることが目的であった。  実験では、まず水平方向において、注意要因によるバイアス量と同期要因によるバイアス量が測定された。その結果、注意を払った位置へ音源の定位がシフトする傾向が認められた。ただし、それはすべての音源位置に対して小さな量であった。一方、同期要因の効果は全体的に大きなものであり、音源位置に依存したものとなった。このように質と量ともに要因間で差が現れ、2つのバイアスが全く異なった過程を通して現れている可能性が示唆された。  この可能性を検証するため、次に、垂直方向で同様に注意要因と同期要因によるバイアス量を測定した。垂直方向では、実験1で、融合を生じさせるような大きなバイアスが同期要因により生じることがわかっており、もし、2つの要因による処理過程が同じものであるなら、注意要因によっても水平方向よりも大きなバイアスが得られることが期待された。しかしながら実験の結果は、同期要因ではより大きな効果が得られたものの、注意要因の効果は統計的には 見られないほど小さなものであった。  従って、2つの要因による影響は、別の過程を通って現れることが明らかとなった。  Radeau(1992)により仮定された相互作用の2つのメカニズム(データ駆動型、概念駆動型)の枠組みに従い、注意要因による効果は、概念駆動的処理あるいは判断基準の変化によって現れ、同期要因による効果は、データ駆動型の処理によって現れたと推測された。 (3) 定位バイアスと同期要因との関係  実験3では、これまでの実験で、定位バイアスに大きな効果をもつことが示された同期要因について、さらに詳細に検討した。特に、光刺激の変化自体が重要であるのか、新たな視覚対象が形成されることが大切であるのかを問題とした。  実験の結果、従来の同期条件であった、光刺激と音刺激の出現と消失の各々が同期する条件だけでなく、光刺激が出現するだけの条件や消失するだけの条件すべてにおいて、これまでの条件と同等な定位バイアスが観察された。光刺激が消失的変化のみを行った場合でも、定位バイアスが同様に観察されたことから、同期要因による効果は、新たな視対象が形成されることにより現れると考えるよりも、視野内の対象の変化自体が重要な原因であると考える方が良いことが示唆された。 (4) 三次元空間における運動光刺激が音の運動知覚に及ぼす効果  Mateeff et al. (1985)によって報告された、静止音源からの音を運動光刺激が捕捉する現象(DVC)を三次元空間において調べた。 Mateeff et al.は、この現象を水平方向のみについて調べただけであり、3次元空間内での運動については調べてはいない。垂直方向や奥行き方向に関しては、水平方向よりも空間の解析能力が劣ることが知られており、水平方向とは異なったDVCが現れることが考えられた。  実験4-1の結果から、水平方向に限らず、垂直方向でDVCが生じ、さらに垂直方向でのDVCは水平方向よりもかなり強いものであることがわかった。また、実験4-2では、音源の運動方向に水平、垂直方向に斜め方向も付加し、被験者には運動方向を二次元平面において自由に報告させた。この場合でも、被験者は音の実際の運動方向を知覚することができず、判断の多くは、光の運動方向と同一であった。さらに、実験4-3では、両眼立体視を用いて光刺激を奥行き方向に運動させるのと同時に、音源も奥行き方向に運動させ、奥行き次元でのDVCが生起するか否かを調べた。結果は、実験4-1の垂直方向と同様に、顕著なDVCが生起するものであった。 (5) 視覚仮現運動知覚に及ぼす音刺激の影響  空間知覚における視覚から聴覚への影響は、上述した実験などから明らかであるが、その逆に、聴覚から視覚への影響を調べた研究は非常に少ない。これまでに視覚の仮現運動の知覚に関して、音の影響を論じた研究がいくらか報告されているが、作用を肯定するもの(Maass,1938; Wemer,1928; Staal & Donderi,1983)と、否定するもの(Allen & Kolers,1982;Ohmura,1985)にわかれている。ただし、いずれの研究でも古典的仮現運動が取り扱われ、被験者の客観的判断が難しかったと思われる。また、音刺激に関しても、左右いずれかからの短音が視覚刺激と同期して提示されるといったものであり、その刺激に対しての運動感の有無は問題とされなった。実験5では、より客観的な判断を得るために、光刺激をランダムドット・キネマトグラムとし、音刺激として頭内運動をシュミレートしたものを用いた。  実験の結果を、従来から知られている仮現運動の2つの処理プロセス(ショートレンジ系、ロングレンジ系)のパフォーマンスと照らし合わせて検討した。それにより、仮現運動の知覚には音による影響は見られず、判断基準の変化と思われる影響のみが観察されたことが明らかとなった。また、この結果は、両刺激の提示タイミングを組織的に操作した場合においても同様に見られた。 続きを見る
41.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 都市サインの視覚的最適化と景観誘導に関する研究
佐藤, 優 ; Satou, Masaru
学位授与年度: 1998
学位授与大学: 九州芸術工科大学
学位: 博士(芸術工学)
学位種別: 論文博士
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42.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of The effect of spectral distribution on light on arousal level — 照明光の分光分布が覚醒水準に及ぼす影響に関する研究
岩切, 一幸 ; Iwakiri, Kazuyuki
学位授与年度: 1998
学位授与大学: 九州芸術工科大学
学位: 博士(工学)
学位種別: 課程博士
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概要: 我々をとりまく様々な環境要因のひとつに照明がある。この照明は、以前は明るさだけが求められてきた。しかし、技術の進歩により充分な明るさが得られる現在では、単に明るいだけでなく快適な照明が望まれる。その照明は,量と質の二つの要素から見ることができる。室内照明を考えるうえで問題となるのは、前者が照度及び輝度、後者が光源色、演色性である。照度は、光を受ける面の明るさの程度を表し、輝度は、光を受ける面をある方向から見た明るさの程度を表す。照度及び輝度は、これまで作業能率や疲労の面から様々に検討されており、現在では作業の環境や内容に応じて細かく規定されている。光源色は、光源の放つ光色のことで一般照明において色温度(K)で表される。色温度とは、完全黒体を加熱した際に発せられる光色をその温度で表現したものである。7500Kの高色温度は、涼しげな青っぽい光色を示し、3000Kの低色温度は、暖かみのある赤っぽい光色を示す。演色性は、光が物体色の見え方に及ぼす影響のことで、その程度は平均演色評価数(Ra)で表される。Raは、最高値が100を示し、この場合基準となる光源と対象となる光源のもとでみた物体色の見え方が一致することを示す。光源の色温度及び演色性は、作業の環境や内容さらには個人の好みなどにより設定が異なる。このため、照度のような設定基準はなく、さらには充分な検討もされていない。そのようななか、照明の光源色は、これまで光源の色温度のみを基準に設定されてきた。しかし、現在の照明は、様々な演色性さらには色温度では表せない光色などがあり、照明の光源色の違いを光源の色温度のみの属性だけでは表せない。本来、光色は、光の波長構成で定まり、その波長構成は分光分布で示される。このような点から、照明の光色は、光源の色温度ではなく光源の分光分布そのものへの考慮が必要であると考えた。光源の分光分布に関する過去の知見によると、単一波長形と三波長形といった光源の分光分布の違いは、覚醒水準に影響すると示されている。我々が身近に使用している様々な色温度及び演色性の光源も異なる分光分布を示す。したがって、快適な照明環境を構築するには、光源の分光分布が覚醒水準に及ぼす影響について検証し、明かにする必要があると考えた。そこで、光源の分光分布の及ぼす効果を探究することを目的に、光源の色温度及び演色性の違いが覚醒水準に及ぼす影響について実験した。さらに、その結果をもとに光源の分光分布と覚醒水準の関係について検討を加えた。  実験では、色温度及び演色性の異なる蛍光灯を用い、これら光源の分光分布の違いが覚醒水準に及ぼす影響について検討した。使用したRa88の蛍光灯は、三つの狭帯域に発光スペクトルをもつ。この蛍光灯において、高色温度の光源は、低色温度の光源に比べ高い覚醒水準を誘発した。一方、Ra72-75及びRa95-99の蛍光灯は、広帯域に発光スペクトルをもつ。これらの蛍光灯において、色温度の違いは覚醒水準に影響しなかった。さらに、広帯域波長形蛍光灯において、Ra95-99の低色温度の光源は、Ra72-75の低色温度の光源に比べ高い覚醒水準を誘発した。Ra95-99の光源は、Ra72-75の光源に比べ各色温度で短波長帯域のエネルギー放射量が少なく、長波長帯域のエネルギー放射量が多い分光分布を示す。これらの結果は、光源の分光分布の違いが覚醒水準に影響することを示す。したがって、照明の光色は、光源の分光分布の観点から検討する必要があると示唆された。 以上の結果をもとに、光源の分光分布と覚醒水準の関係について検討した。分光分布は、光色の違いを正確に表すが容易に表現できない。このことから、分光分布の違いを簡便に表せる新たな指標が必要と考えた。そこで、光源の分光分布を長波長帯域のエネルギー放射量(L)に対する短波長帯域のエネルギー放射量(S)の比率を用いて表すことを試みた。このエネルギー比率(S/L比)の各波長帯域は、以下に示す三つの条件を設けてその範囲を設定した。それらは、1)三波長形光源における三つの発光スペクトルのピークである450nm、540nm、610nmを区分できること。2)S/L比が光源の色温度及び演色性の違いを表せること。3)S/L比と覚醒水準の関係が実験で測定したFz及びCz部位のCNV及びα波率で同様の関係を示すことを条件とした。両帯域の波長範囲は、これらの条件をもとに選出した。その結果、光源の分光分布の新たな指標は、600nmから780nmのエネルギー放射量に対する380nmから500nmのエネルギー放射量の比率とした。このS/L比を用いて光源の分光分布と覚醒水準の関係を求めた結果、覚醒水準は、S/L比の増加に伴い三相性の変化を示した。このことは、覚醒水準が光の物理的特性である光源の分光分布に依存することを示唆する。 以上の研究により、光源の分光分布は、覚醒水準に影響する要因であることが明らかになった。さらに、その分光分布を示すS/L比は、覚醒水準と曲線的な関係を示した。これは、照明の光色により誘発される覚醒水準が光源の分光分布といった光の物理的特性に依存することを示唆する。つまり、照明の光色の効果は、光の物理的特性が基盤にあると示唆される。したがって、照明環境は、光源の分光分布を考慮することでより快適になると示された。 続きを見る
43.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of Studies on characteristics of communication by multiple-image — マルチ映像によるコミュニケーションの特性に関する研究
脇山, 真治 ; Wakiyama, Shinji
学位授与年度: 1998
学位授与大学: 九州芸術工科大学
学位: 博士(芸術工学)
学位種別: 課程博士
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概要: マルチ映像は、複数の映像を同時に提示する方法と構成の総称である。1960年代、すなわちコンピュータによる制御技術の進展と同時期に、マルチ映像も数多く制作されるようになったが、表現やシステムの特殊性ゆえに研究例は少ない。そこでマルチ映像の特性を、映画に代表される1画面映像との比較において明らかにすることによって、コミュニケーションメディアとしての機能と表現の可能性を体系的に考察する。 本論文は時代考査、作品分析、実験、概念提示等を統合しながら所期のテーマをまとめたもので、8章から成る。  第1章では、視覚情報の多元化、エンタテイメントの多元化、ビジュアルプレゼンテーションのマルチ化といった現代的状況を、きわめて日常化してきた現象としてとらえ、情報過多の時代性と符号した表現方法と解釈した。 マルチ映像の媒体特性は制作者と鑑賞者の2つの視点で検討しなくてはならない。  第2章では、マルチ映像の最も初期の作品であるアベル・ガンスの『ナポレオン』で採用された「トリプルエクラン」を考察対象として、制作者の立場から構成分析を試みた。分析の対象としたのは1927年の原版(既に散逸)ではなく、1981年の再編集版である。この結果、3つの要素映像の同時展開、3面連続のパノラマ構成、さらに多重露光された映像の組み合わせなど、現在のマルチ映像の多くの表現要素を取り入れていることを明らかにした。「ポリビジョン」といわれる多映像展開は文字どおり視覚的交響楽であり、マルチ映像の嚆矢である。  一方第3章は、鑑賞者の立場から、マルチ映像がどのように<見られて>いるかを実験的に検証した。マルチ映像の作品を上映し、アイマークレコーダを装着した被験者に鑑賞してもらった。この結果、①マルチ映像は鑑賞者によって注視する映像が異なり、選択される映像の順序、注視の時間、その回数などまちまちで、必ずしも同じ<見かた>がなされていない。②映像が点灯した瞬間やカット替わりなどの視覚的刺激が与えられる場合は、被験者に共通した視点の移動がみられる。③提示された映像のすべてが鑑賞の対象となっているとは限らない、等の鑑賞態度が確認された。これらは「選択的鑑賞」と「視覚的誘導」の可能性を示唆している。  第4章は、従来の映画に代表される1画面映像と、マルチ映像の視覚思考の違いを考察した。映画が<直線的集約思考>の鑑賞態度をとるとすれば、マルチ映像は<分散的拡散思考>である。同じように<知性的認知>と<直覚的認知>の違いがある。これらはマルチ映像が視覚的な文脈が同時に見とおせることで、要素映像の文脈における意味がより見えやすくなっていることに起因している。さらに<選択>というマルチ映像独特の鑑賞は、視覚的緊張から視覚的平衡状態への移行であり、ある意味では鑑賞者の本能的な行動である。一方で演出の立場から、特定の映像へ注意を向けることもある。これが視覚的誘導である。  第5章では、1画面映像との表現の違いや、鑑賞態度の特性をふまえてマルチ映像の構成法、すなわちマルチプルモンタージュの考察を試みた。マルチ映像の基本的な構成は2つある。要素映像が網目のように相互に関係しあって全体を構成する<散在映像型>と、特徴的な映像を中心にして、捕捉的な映像が結合している<中心映像型>である。またマルチ映像では映画と異なり、先行した映像と現前の映像との照合、すなわち概念形成のための映像の突き合わせは、記憶像に頼るという心理的負担が軽減される。さらにこの映像には2つのモンタージュが存在する。制作者のモンタージュと鑑賞者のモンタージュである。制作者が構成した意図どおりに、必ずしも鑑賞されるとは限らないところに、構成と解釈の難しさがある。2つのモンタージュはいうまでもなく<二重の情報構造>の存在を意味している。  第6章では、過去の作品を参考にして、時間・空間の側面からマルチ映像の構成法の抽出と分類を試みた。on-off効果、順送りの変化、中心映像だけの変化、連続パターン、アクセント映像、図と地、一部を使う、対称構成等はその代表である。  第7章は、コミュニケーションメディアとしてのマルチ映像のあるべき方向を考察して最終章とした。マルチ映像は動態性の強い構造をもった映像である。従って要素映像は、同時性の中で総合化されることによってイメージの強化がはかられていく。マルチ映像はテレビや映画の1画面映像の対極として積極的にメッセージを発信したとき、もっとも独自の効果を発揮する、表現力に富んだコミュニケーション手段として認知されるにちがいない。  第8章は、1~7章をまとめて総括した。 映画が誕生して100年がすぎた。その間論じられてきた1画面映像の構成論は、マルチ映像の出現で新しい視点からの考察を必要としている。本研究は、体系化された研究がほとんどないマルチ映像を、実験と概念提示をとおして考察してきた成果をまとめたものである。 続きを見る
44.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of A study on the experimental efficiency of threshold determination in psychoacoustics — 音響心理実験における閾値測定の効率に関する研究
寺岡, 章人 ; Teraoka, Akito
学位授与年度: 1998
学位授与大学: 九州芸術工科大学
学位: 博士(芸術工学)
学位種別: 課程博士
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概要: 心理物理学において、心理物理定数として、閾値、弁別閾、等価値などがある。このような測定値は、感覚や知覚の特性と構造を知るうえで重要であることはよく知られている。本論文は、閾値測定の効率化について、検討を行ったのもである。閾値測定をする場合、古典的な心理測定法である調整法、極限法や恒常法から、短時間で測定を行う目的で開発された適応法がある。適応法は、実験者側の視点での測定用の効率、つまり、シュミレーションの結果で効率(真値からのずれの平均値及びそのばらつきと試行数で評価し、それらの値が共に小さいほど効率が良いと定義する)を判断するという発想で開発された。効率の良い測定法を用いて測定を行うことは重要であるが、被験者側からの視点での測定のやり易さ、つまり、被験者の負担も考慮すべき問題である。その理由として、最近の測定法の研究の流れとして、最尤推定法を用いる適応法が主流となっている。しかしこの方法は主に被験者の閾値付近のみを集中的に測定を行うため、被験者は相当な集中力を必要とし、作業が非常に困難であることが予想できる。もし、測定の途中で集中力がなくなると、データが安定しなくなる可能性もあり、逆に実験では効率が悪くなることも考えられる。 これらのことを考慮に入れ、まず、従来からあるいくつかの測定法で効率及び被験者の負担などの観点から検討を行った。その結果、他の測定法に比べ、効率が良く、かつ、被験者の負担が少ないという測定法はなかった。 本研究の目的は、被験者の負担が少なく、かつ、効率の良い測定法を開発することである。そこで、新しくRASS法(Rapid Adjustment of Step Size Method)を提案し、その理論及び特徴を述べ、最後にシミュレーションと聴取実験で被験者の負担を含めた総合的な効率を検討した。  第1章では、本研究の背景及び目的を述べた。   第2章では、従来からある恒常法と適応法(PEST法、Best PEST法)の効率を振幅変調音の変調検知閾実験で比較した。聴取訓練を受けた被験者群では、測定法の違いによる閾値の差はなく、実験効率も同じであることが分かった。また、被験者毎に好みの測定法が違うことが分かった。聴取訓練を受けていない被験者群でも、測定法の違いによる閾値の差はなく、実験効率は同じであることが分かった。しかし、恒常法は適応法と比較すると、被験者毎の閾値がセッション間で大きく変動する被験者が多く、効率が悪いことが分かった。また、PEST法は、測定時間が他の測定法よりも長くなり、効率が悪く、Best PEST法の効率がよいことが分かった。一方、内観報告では、PEST法の被験者が他の測定法の被験者より、疲労感を少なく感じていることが分かった。  第3章では、Best PEST法より効率が良く、PEST法より被験者の負担が少ないRASS法(Rapid Adjustment of Step Size Method)を新たに開発し、その理論について述べた。RASS法は、刺激レベルの変化方法のアルゴリズムが非常に単純であり、測定の処理時間が速い。刺激レベルの変化がチャンスレベル付近では、起こりやすく、比較的分かりやすい刺激レベルが出やすくなっている。また、心理測定関数をロジスティック関数と仮定し、その傾きを測定値を使用することで、測定条件のパラメータが簡単に決定できるという利点がある。  第4章では、モンテ・カルロ・シミュレーションで適応法(PEST法、Best PEST法、RASS法)の効率を調べた。刺激レンジが狭い場合には、Best PEST法の効率が良いが、刺激レンジが広くなるにつれ、RASS法の効率が良くなることが分かった。このことは、実験を行う上で、閾値上の刺激レベルなら、どの刺激レベルから測定を開始しても良いという利点がある。PEST法は、測定に要する平均試行数の標準偏差が大きな値を取るが、RASS法はPEST法の約半分以下の標準偏差値を取る。従って、RASS法は、測定時間が予測しやすく、実験計画が立てやすいことが分かった。そして、robustな条件の時にRASS法が、最も効率が良いことが分かった。  第5章では、第2章と同じ変調検知閾実験を行い、3種類の適応法(PEST法、Best PEST法、RASS法)で効率を比較した。聴取訓練を受けた被験者群では、測定法の違いによる閾値の差はなく、実験効率も同じであることが分かった。総合的な判断をすると、比較的実験計画も立てやすく、内観報告からも悪い評価がなかったRASS法が最適であることが分かった。聴取訓練を受けていない被験者群では、測定法毎の被験者個人の閾値にばらつきがあったため、等分散の検定で閾値に有意な差があったが、被験者個人の閾値推移の分散は同じであることが分かった。内観報告の結果から、最も評価が良かったのはRASS法である。そのため、総合的な評価をするとRASS法が聴取訓練を受けていない被験者にも適していることが分かった。  本論文で提案したRASS法は、他の適応法と比較して、シミュレーションで効率が良く、また、聴取実験の結果からも、被験者の負担が少なく、閾値測定に最も適していることが分かった。 続きを見る
45.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 伝統的背負い梯子「背板」はどのように身体にフィットしているか — How is a traditional carrier frame
河原, 雅典 ; Kawahara, Masanori
学位授与年度: 1998
学位授与大学: 九州芸術工科大学
学位: 博士(芸術工学)
学位種別: 課程博士
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概要: 背板とは山口県玖珂郡錦町での伝統的背負い梯子の呼称である。錦町はほとんど平地が無いが、その中でも急勾配の谷間にある3集落で背板は現在も使用されている。そこで複雑な農林業を営んできた人々は、背板によってあらゆるものを運搬してきた。人間は道具によって環境に適応することができるが、そのとき道具は身体の延長であり一部である。本研究では、そうした観点から背板と身体の関係に着目し多角的な分析を試みた。本論文は6章構成である。  第1章では背負い運搬研究の背景について概説し、本研究の目的と構成を述べた。日本での背負い運搬と運搬具に関する研究は民俗学や民族学で行われてきたが、そこでは道具のみを扱っており身体との関係を論じた研究はほとんどない。一方人間工学や働態学などでは軍事的な背負い運搬に関する研究が主流であり、背負い運搬と運搬具に関する問題が数多く報告されている。しかし背板が使われてきた錦町では非常に多くものを背板によって運搬してきたにもかかわらず、背負い運搬に関する問題は皆無といってよい。そこで本研究は、背板と身体も関係をさまざまな面から明らかにすることを目的とし、調査と実験の両面から研究を行った。  第2章では、背板を作るときに大事だと考えられていることの聞き取り、これまでの生活での運搬履歴、背負い運搬に起因する傷害の履歴について調査を行った。背板を作るときにはツメ(荷台の部分)の位置、腰の当たり(背板の背面の荷重支持部がどこで身体と接触するか)等、いくつか留意点が明らかになった。背板を使っている人々は自分で体に合わせて背板を作り、これまでの生活で現在では考えられないほど多くのものを背板で運搬していたことが確認された。過度の背負い運搬はさまざまな傷害を引き起こすことが報告されているが、背負運搬に起因する傷害の有訴率は非常に低く、それらに対する特別な治療法(民間療法)や通院履歴もなかった。過酷なほどの運搬を背板によって行ってきたにもかかわらず、予想される傷害が無かった。この理由が背板と身体の関係に見いだせるのではないかと予想した。  第3章では、第2章で得られた証言をもとに、背板と身体のフィッティング法に終点を合わせた。背板寸法の実測値とその使用者の生体計測値からそれらの相関関係を示し、写真撮影から背負い姿勢の特徴を明らかにした。背板は、身体と広い面で接触するのではなく、小さな面で荷重を支持する構造であるが、荷重を身体背面のどこで支持するかが最重要課題であった。調査の結果、背板を使用するときには荷重を仙骨上で支持しており(背板フィッティング法)、決して腰椎上では支持しないことが明らかになった。背負うときに仙骨上で荷重を支持できるように、ニオ長(肩紐の長さ)と肩腰ヌキ長(背板の肩紐の上部取り付け位置から腰部接触位置までの長さ)の和を調節していることを示した。これは第2章で背板作りの留意点として得られた「腰の当たり」が重要とする証言を裏付けるものであった。  第4章では、第3章で得られた背板フィッティング法の有効性について実験的に検証した。仙骨上で荷重を支持すること(仙骨支持条件)と腰椎上で荷重を支持すること(腰椎支持条件)について、生理学的な実験によって比較した。実験の結果、仙骨支持条件での歩行は腰椎支持条件よりも酸素摂取量、心拍数、および下肢の筋活動が少ないこと、また仙骨支持条件の方がより少ない歩数であること、を示した。  第5章では、第4章に引き続き、第3章で明らかになった背板フィッティング法について、力学的な面から検証した。重心動揺の実験により、明らかに仙骨支持条件の方が腰椎支持条件よりも動揺距離が小さいことを示した。床反力測定では、鉛直方向下向きの力の最大値、前後方向後向きの最大値および積、左右方向左向きの力積において腰椎侍史条件よりも仙骨支持条件の方が大きな値を示した。鉛直、前後、左右の3方向の結果から、仙骨支持条件では床から足が離れるときに蹴る力を発揮しており通常の歩行により近いこと、腰椎支持条件では蹴る力を使っておらずすり足式歩行により近いことを述べた。また、自作した張力センサおよび腰仙部負荷荷重センサを用いた実験で、腰椎支持条件よりも仙骨支持条件の方が肩紐の張力、腰仙部負荷荷重ともに小さいことを示した。仙骨支持条件は同じ荷重を背負っていても、肩紐の締め付けも少なく、腰の圧迫も小さいことを明らかにした。  第6章では以上のことを総括した。背板を用いた背負い運搬の実態調査から、現代では信じられない物量を背板によって運搬してきたこと、しかしそれによる傷害が見られないこと、背板の荷重を仙骨上で支持するように背板を身体にフィッティングしていることを示した。さらにこの背板フィッティング法を実験的に検証し、エネルギー効率がよいこと、身体動揺も少なく安定性が高いこと、通常の歩容を保てること、そして肩紐の締め付けが少ないことなどを示し、その合理性を明らかにした。  巻末資料として、生体計測記録、背板の実測記録とハシラのトレース図を収録した。 続きを見る
46.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of A study of the housing supply policy and its realizing process after foundation in urban area of China — 建国以後の中国都市部における住宅供給政策とその実現状況に関する研究
白, 英貨
学位授与年度: 1998
学位授与大学: 九州芸術工科大学
学位: 博士(工学)
学位種別: 課程博士
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概要: 本論文は、現在混迷化している中国の住宅供給を適切なシステムに転換するための方策を明らかにするために、建国以降の住宅供給政策の推移と供給状況の関係に焦点をあて、問題点の所在を明らかにしたものである。 1.研究の背景と目的 1949年の建国以降、中国都市部において住宅は、一種の福祉として国による一元的投資と「単位」(=中国における職場の呼称)による建設・分配という体制下で、無償に近い低家賃で都市民に供給された。これにより国家財政は逼迫し、70年代末に政府は、公有住宅の家賃引上げや新旧公有住宅の払下げ、「商品住宅」の供給などを通しての、国による一元的住宅建設投資体系から「中央・地方・単位・個人」の四者による建設投資体制への方針転換を内容とする住宅制度改革をおこなった。しかし、これらの施策も一定の成果は得たもののいずれも難航、「単位」間の所有住宅の格差と建設する経済力の格差の存在は、現在に至って都市民の住宅格差を一層拡大させている。 本論文は、こうした現代中国の都市住宅問題の解決策を求めるための基礎的研究として、建国から現在に至る約半世紀間に政府が定めてきた改革以前と改革以後とで全く異なる住宅供給政策のそれぞれの策定過程と実施・実現状況を明らかにすることで、建国以降の住宅供給政策に対する総合評価をおこなうことを目的とし、その考察に基づいて、今後の都市住宅供給施策の展開に対する提案を試みたものである。 2.論文の構成と概要 本論文では序章と結章および本編3章の全5章から成る。 第2章では、建国から1978年改革までの政策に着目し、改革以前の政策の三本柱である低家賃供給体系と国による一元的投資の形成過程および「単位」による住宅建設・分配の実態とそれによって自力での住宅取得を考えず「単位」の住宅分配に頼る「等・靠・要」(とう・こう・よう)概念の形成過程を捉えることで、従来ほぼ否定されてきた改革以前の政策に対する再評価をおこなった。ここでの考察では、主に建国初期の政策内容と改革後の新たな政策方針とを比較しながら、建国初期の政策の合理的な部分を評価し、その合理的な部分が失われる過程を考察することで改革に対する政策的提言をおこなった。 第3章では、改革後の政策に着目し、改革の実施状況を捉えた上で政府が定めてきた政策全体の問題点を考察した。それによって、これまでの改革の20年間、政府は公有住宅の取得可能な都市民を偏重する政策を採ってきており、公有住宅が取得不可能な都市民については、経済力のある者だけが重視され、経済力も乏しい都市民は軽視されてきた実態を明らかにした。さらには改革以前の旧体制下はもとより、改革後の住宅供給においても「単位」が変わらず政策上で極めて重要な位置を占め続けたことが、市場経済の下で構築すべき都市民と住宅の直接商品関係を今日まで形成できていない根本的な要因となっていることが分析できた。つまり、「単位」を通じて公有住宅を取得しない限り、都市民は「福祉」政策の受益者から外れざるを得なかったということであり、改革後の政策も全ての都市民の住宅保障政策とはなり得なかったという評価を得ることができた。 第4章では、近年議論の焦点にもなった「商品住宅」の売れ残り問題に着目し、個人の自力による住宅取得の問題点と可能性を考察した。この章は、2、3章における建国以後の住宅政策の総合的検証に基づく現代における住宅問題研究の在り方を示す一例としての性格を持つと同時に、本論文の今後の発展の可能性を示すものとして位置づけられる。 3.結論 中国都市部の住宅供給において、現在なお個人の経済能力に応じた公平な住宅取得体制を形成できていない理由として、①改革による政策転換にもかかわらず住宅の直接消費者である都市民と住宅の間に「単位」が介在し続けたこと、および、②それによって「等・靠・要」という改革実現を困難にする概念が都市民の間に根強く形成されたこと、という二つの要因を明らかにできた。この考察に基づき、中国都市部の住宅供給政策における今後の課題として、(1)より公平な「社会保障型の住宅供給体制」を構築するためには、都市民と「単位」との住宅面での依存関係を断ち、これまでの「単位」ごとの住宅保障体系から社会保障体系へ徐々に転換を図る必要があること。なお住宅供給体制のなかから「単位」がまだ分離されていない現時点では、少なくとも住宅の購入時に「単位」の補助の度合いによって異なる住宅所有権を与える体制を採る必要性があること。(2)今後は都市民に住宅を持たせようとする持家政策に一方的に傾斜せず、公的補助下での安い賃貸住宅および家族形態による期限付き「社宅」的なものの供給の必要性があること、の2点を挙げることができた。 続きを見る
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学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 超音波法を用いた日本人成人における体肢筋群横断面積と筋力に関する研究 — A cross-sectional study of the size and strength of the extremities muscles in Japanese adults using ultrasonography
佐藤, 広徳 ; Sato, Hironori
学位授与年度: 1998
学位授与大学: 九州芸術工科大学
学位: 博士(工学)
学位種別: 課程博士
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概要: 本研究は、フィールド調査においても体肢の完全な横断面画像が撮影できるシステムを開発し、日本人成人男女における大腿部および上腕部の横断面画像の撮影と膝関節・肘関節の伸展・屈曲における等尺性最大筋力測定のフィールド調査を行い、加齢に伴う大腿部および上腕部筋群横断面積と筋力の変化について検討した。調査は平成8年8月から平成10年8月の間に、広島県、福岡県および宮崎県の3県のボランティア集団7団体を対象に行い、実施場所はそれぞれの団体が居住する地域の集会所などであった。被検者の総数は男女508名で、年齢は20~69歳であった。得られた結果は以下の通りである。 Ⅰ.超音波体肢横断面画像撮影システムの開発 1)市販の超音波診断装置を用いて体肢の完全な横断面画像の撮影が可能な超音波体肢横断面画像撮影システムの開発を行った。 2)本研究で開発した超音波体肢横断面画像撮影システムによって、これまでCT法やMRI法などのように高価で、しかも特定の施設でしか得ることのできなかった生体の体肢横断面画像が、比較的安価で簡便に入手することが可能となった。 3)同一被検者の同じ部位を1日以上の間隔を置いて2度撮影し、皮下脂肪、筋および骨の各組織横断面積測定の再現性について検討を行ったところ、1回目と2回目の各組織における横断面積の相関係数は、皮下脂肪がr=0.966、筋がr=0.985、骨がr=0.957と非常に高く、1回目と2回目の計測値はほぼ一致した。 4)本システムとMRIで体肢の同じ部位を同一日に撮影し、各組織横断面積について検討したところ、本システムより得られた各組織横断面積は平均で約7%大きかったが、大腿部全横断面積に対する各組織横断面積の比率において、本システムとMRIの差は、皮下脂肪で0.97%、筋で1.00%、骨で0.08%と両者はほぼ一致していた。 5)本撮影装置は、軽量でコンパクトに作製されているため、可搬性があり、測定も短時間で行うことができるので、本研究のようにフィールドで展開されるような集団を対象とした調査的な研究には有効であり、また、より広範囲な集団における体肢横断面情報の収集が可能となり、今後、体肢組成のデータの蓄積とそれに基づく現代の日本人の基準値といった新たなデータベースの構築が期待される。 Ⅱ.日本人成人における大腿部筋群横断面積と筋力の年齢変化について 1)膝関節伸筋群横断面積は、男女とも60歳代で減少する傾向を示した。膝関節屈筋群横断面積は、男性は60歳代までは加齢による変化はほとんどみられなかったが、女性は20歳代が最も小さく、その他の年齢グループはほぼ同じだった。 2)膝関節最大伸展力において男性は、60歳代で低下がみられたが、女性は年齢による変化はみられなかった。また、膝関節最大屈曲力において男性は40歳代から緩やかに減少する傾向がみられた。 3)男性の大腿部伸筋群・屈筋群における筋単位横断面積当たりの筋力は40歳代頃から低下が始まることが示された。女性は伸筋群において20歳代、30歳代がやや小さく40歳代から60歳代までは変化しなかったが、屈筋群においては加齢とともに低下する傾向がみられた。 Ⅲ.日本人成人における上腕部筋群横断面積と筋力の年齢変化について 1)肘関節屈筋群および伸筋群横断面積において、女性は20歳代が40歳代、50歳代がより有意に小さかったが、男性は年齢グループ間に有意差ほみられなかった。 2)肘関節最大屈曲力では、男性において60歳代が30歳代より有意に小さく、女性においては20歳代が50歳代より有意に小さかった。肘関節最大伸展力は、女性では20歳代が50歳代より有意に小さかったが、男性ではどの年齢グループ間にも有意な差はみられなかった。 3)上腕部屈筋群における筋単位横断面積当たりの筋力は、男性では50歳代および60歳代が、30歳代より有意に小さかったが、女性では各年齢グループ間に有意な差はみられなかった。上腕部伸筋群における筋単位横断面積当たりの筋力は、男女とも年齢グループ間に有意な差はみられなかった。 4)60歳代までは男女とも肘関節屈筋群、肘関節伸筋群、膝関節伸筋群および膝関節屈筋群のすべての筋群が同じ程度の筋単位横断面積当たりの筋力を有する可能性が示された。 本研究の結果より、本邦の男性においてはすでに50歳代頃から筋の構造・機能の低下が始まる可能性が示されたが、女性は60歳代まで大きな変化は認められなかった。今後は、高齢者のみならず、高齢者予備軍である中年者(特に男性)にも筋機能低下防止のための運動処方を示すことが必要であり、そのことが将来にわたって高齢者の自立した日常生活獲得に貢献するものと考えている。 また、今日の本邦においては急激な高齢化のために中高年者の体力レベルの把握が特に重要視されてきたが、これからは10歳代、20歳代の若者の体力レベルにも十分な注意を払う必要があるものと思われる。 続きを見る
48.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 移動体ロボットに対するヒトの個体距離に関する研究 — Personal distance against mobile robot
中島, 浩二 ; Nakashima, Kouji
学位授与年度: 1998
学位授与大学: 九州芸術工科大学
学位: 博士(芸術工学)
学位種別: 課程博士
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概要: 本研究では超高齢社会を目前に控え、介護負担増加、労働人口減少が予想される我が国において、ロボットとヒトが共存する際の大きな問題点であるロボットとヒトの親和性に注目した。ロボットがヒトと同じ空間で活動する場合に、ヒトに心理的圧迫感などを与えないようにしなければならない。 ロボットとヒトとのコミュニケーションの問題について考察する上で、ヒトとヒトとのコミュニケーションにおいて研究されているパーソナルスペースに注目し、その定義から、この概念をロボットとヒトの組み合わせにおいても応用できるものと判断し、特にヒトの正面からロボットが接近する場面を想定して、その時にヒトが不快感を感じ始めるところを申告させ、これをロボットに対するヒトの「個体距離」と定義した。ロボットの移動速度を変化させて、それぞれに対する個体距離を実験により調査した。また、立位と椅座位における個体距離を測定し、姿勢による検討も行った。これらによりロボットの移動速度と個体距離の関係を明らかにし、ロボット及びロボット使用施設の設計に利用できるデータを提案することを目的とした。  また、若年者と高齢者ではロボットに対する感じ方の違いから、個体距離が異なる可能性もあった。従って高齢者に対しても若年者と同様の実験を行った。  上記のような調査から以下に述べる知見を得た。 ロボットの移動速度と個体距離との間には正の相関があった。これは若年被検者21名を用いた場合と、高齢被検者17名を用いた場合の両方に見られた傾向であった。各個人の姿勢2条件、ロボットの移動速度4条件のそれぞれにおける4名の繰り返し試行によって、個体距離における慣れや繰り返しによる誤差は、被検者の個人差や立位と椅座位の姿勢の差、ロボットの移動速度による差に比べて充分に小さいことが判明した。これによって個体距離は信頼性の高いデータであると判断された。同じ実験によって、ロボットの移動速度と個体距離の関係でみられた全体的な傾向が4名の被検者全員にみられた。これによってほとんどの被検者がロボットの移動速度が大きくなるにつれ、個体距離が大きくなるという傾向であると判断でき、パーソナルスペースの概念がうまく当てはまるものとなった。 爪先を基準とした個体距離において、立位と椅座位の姿勢による差は、若年者においても高齢者においても見られなかった。これは設計に利用する際に便利である。目の位置を基準に補正すると、立位に比べて、すぐに逃げられない上に、視線が低いためにより圧迫感が感じられると報告されていた椅座位の方が個体距離は大きくなっていた。この傾向は一般的なパーソナルスペースの研究にみられたものと同じであった。 申告直前と直後の心拍5拍にかかった時間(4心拍間間隔)は、早いロボットの移動速度(0.8m/秒以上)のときに、申告直後の方が短くなっていた。主観的な個体距離の申告の妥当性を、客観的データによって傍証していると考えられる。 高齢者の個体距離に性差は見られなかった。これまでのパーソナルスペースに関する研究と一致する結果であった。また、高齢被検者の中で年齢による個体距離の変化はみられなかった。これらのことから個体距離に関して、今回の高齢被検者を一つのグループとみなし、これを高齢者群として、若年者群と比較を試みた。高齢者の個体距離は若年者のそれと比べて有意に大きかった。これは高齢者の運動能力の低下から、移動体ロボットに対する不安が若年者よりも大きく、これが大きめの距離をとっている一因であると推察された。 高齢者群よりも年齢の高い被検者においては、ロボットが移動を開始してから停止するまで、距離の申告がみられなかった。これは実験の趣旨の理解不足などではないことが確認されている。  以上のことからロボットに対するヒトの個体距離をロボットやロボット利用施設の設計に利用する際に参考とするデータを提案した。爪先基準の個体距離を利用すれば便利であることがわかっていた。若年者に比べ高齢者の個体距離が大きいことから、高齢者の個体距離を考慮すべきである。しかし、年齢が高ければ高いほど個体距離が大きいとは考えられない。したがって高齢者の平均個体距離が一つの提案となる。一般のロボットの移動速度は1.0m/秒以下なので、1.0m/秒の個体距離が最も大きいことが考えられる。その値は3.3mである。 続きを見る
49.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 韓国の看板デザインの歴史的変遷とその社会的文化的背景の分析 — An analysis of the historical change of Korean signboard design and its socio-cultural background
郭, 明姫
学位授与年度: 1998
学位授与大学: 九州芸術工科大学
学位: 博士(芸術工学)
学位種別: 課程博士
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概要: 本研究韓国の看板デザインの歴史的変遷とその社会的文化的背景の分析を目的とし5章で構成されている。   第1章は、序論として研究の目的、研究方法、および看板の定義を明確にした。韓国における看板の歴史的研究は全くされていないため、主に文献と絵画、写真資料、現地調査を元に分析を行った。本研究における看板は伝統的な商業標識である「目じるし」を含め、「商業のために使われている商業標識全般」と定義した。  第2章は、韓国における看板の出現と伝統的な商業形態を中心とし、看板の出現を基盤とした高麗時代の社会構造や都市の基本性格、および看板の特徴を考察した。続いて、朝鮮時代の商業と看板の特徴、市場の機能と役割、常設市場の発達過程、商業建物の特徴、開港後の都市の商業と看板の特徴について考察した。  第3章においては、絵画と写真に見られる朝鮮時代商業と看板を中心とした、ビジュアル的な資料に見られる当時の商業行為の特徴とされる男性中心の社会、酒店と旅宿、看板のない店舗について分析した。最後に韓国の看板と関連を持つ韓国の伝統的な建物標識と看板、扁額と懸板、柱聯、看板を意味する言葉の変遷について考察した。  第4章においては、韓国の近代化と植民地時代の看板を中心として分析した。主に、大都市を中心とした看板の特徴と植民地政策による日本語教育とハングル、またハングルがもつ社会的意味について考察した。また、写真にみられる植民地時代の看板の特徴を看板の文字や素材、形態、看板に書いている内容と分けて考察し、また、当時の看板の調査資料である『朝鮮人の商業』から商店名、文字、形態、素材などについて分析を行った。  第5章においては、現在の韓国の看板の成立過程と特徴において大きく影響していたハングル政策である日本式看板撤去運動とハングル専用表記運動、国語醇化運動について述べた。また、韓国の代表的な都市であるソウルの仁寺洞看板と伝統的な都市である慶州の看板文字を調査結果をもとに、ハングル看板の表記方式、文字の種類、ハングル看板の書体などの特徴を明らかにした。最後に、韓国の看板の歴史的変遷とその意味について結論を述べた。  韓国における看板の大きな特徴は「看板文字」を軸として形成され、変化、発展してきたことである。文献上では高麗時代から看板に漢字が使われてきたが、その文字表記は朝鮮時代を経て今日に至るまで、社会的変化に大きく影響され、時代別に大きな特徴を表わしてきた。 看板に関する最も早い記録である『高麗図経』には市場の坊門には永通、廣徳、興善、通商・存信・資養・孝義などの内容の看板が設置されていたと述べられている。これらの看板は全て2文字であって、商業とは直接関係のない儒教的思想や経営信条などを主に表していた。朝鮮王朝に入ってからは、官設商店や六矣廛は、基本的に一つの店には一種の商品を販売していた。このような常設商店は御用的生活を持ち、その規模や売っている品物によって「廛」、「店」、「房」、「局」、「家」など、それぞれ異なる言葉を表わした。このように朝鮮時代の看板には主に売っている商品の名が商店名となっていたが、看板という言葉は統一されておらず、「榜木」、「懸額」、「懸板」など多様な言葉で表わしていた。これらの言葉が持つ意味の関連性や一般的な建物標識との区別のため、伝統的な看板を「商業懸板」と定義した。 朝鮮時代末期からは身分制度の崩壊や日本による植民地政策が本格化されていくにつれ、ハングル教育とその使用の重要性が高まってきた。この時期は漢字だけではなく、ハングル、ひらがな、カタカナ、アルファベットなど様々な文字が各々混じって使われるなど、植民地政策による社会的な状況を著しく表わしていた。書かれている文字の内容は、主に売っている商品の種類や商号を表していたが、それだけではなく、商品の品質の説明や店の住所、電話番号、店主の名前、シンボルマーク、商標、絵など様々な情報が書き込まれるようになった。韓国における看板という言葉はこの時期につまり、植民地時代に日本から移入された言葉であったことが明らかになった。 1945年、解放と共に日本式の看板は「ハングル専用運動」によって撤去され、中国の看板を除いたすべて漢字表記の看板はハングル表記に書き直された。これらのハングル政策は「看板のハングル化」という大きな軸を形成したが、表音文字である諸問題点を抱えながら、80年代からはハングルのみの「詩的な表現」を看板に用いて、商店名を一つのイメージとして与えようとする新たな現象を生み今日に至っている。 続きを見る
50.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 聴覚心理測定における学習測度としての反応時間に関する研究 — Reaction time as a measure of learning in psychoacoustical measurement
井上, 仁郎 ; Inoue, Jinrou
学位授与年度: 1998
学位授与大学: 九州芸術工科大学
学位: 博士(工学)
学位種別: 課程博士
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概要: 聴覚心理測定に未経験の被検者、特に、認知機能、運動機能が低下し、個人差が大きな高齢者を効率良く訓練し、短時間で信頼性のある聴覚心理測定を行えるようにするには、測定方法の理解や応答機器の操作等の「応答操作」の訓練が必要である。そのためには検者が学習のレベルを把握するための客観的な学習測度が必要である。特に、臨床検査を想定すると、様々の肉体的・精神的コンディションの患者を対象にしなくてはならないため、精度重視の一般の聴覚研究と異なり、精度よりも検査のスピードが要求される。 本研究は、測定に未経験の若年成人・高齢被検者が、聴覚研究や臨床検査における聴覚心理測定に参加する場合、被検者が応答操作を理解したかどうかを訓練過程の中で見つけ出す方法として、正答率だけでなく反応時間を学習測度として用いる方法の有効性を示し、さらに、実際の聴覚心理測定中の反応時間を計測することによって被検者の肉体的・精神的コンディションを推定する糸口を掴むことを目的とするものである。 具体的な聴覚心理測定として1kHz純音の周波数弁別閾測定を取り上げて検討した。訓練方法は、「音刺激を検知したら素早く応答ボタンを押す」という単純な検知課題と、十分弁別可能と考えられる刺激対を呈示して、「初めの刺激のピッチが高ければ、スイッチボックスのボタン1を押し、2番目の刺激のピッチの方が高ければ、ボタン2を押させ、正答を被検者にフィードバックする」という周波数弁別課題の2種類の訓練を使用した。 また、周波数弁別閾測定を行い、同時に反応時間を測定し、検討を行った。   第3章では、若年成人において、測定に経験のある者と測定に経験の無い者の訓練過程においてどのような違いがあるか、正確で素早い応答を要求する教示の下で検討した。  その結果、  1)単純反応時間において、経験者の方が未経験者に比較して、有意に短かった。  2)経験者の選択反応時間はすぐに短縮され、未経験者よりも学習が速いと考えられる。一方、未経験者は特に第1ブロックが長いが、すぐに学習がなされ、4ブロック目では、経験者と差がなくなってしまうといえた。  3)反応時間と正答率は、どちらもブロック間の差を表わせたが、正答率よりも反応時間の方が良く経験の違いを出せ、応答操作の学習測度としての反応時間の有効性を示すことができた。  第4章では、未経験被検者に対する周波数弁別閾測定のための訓練を若年成人と高齢者に対して行い、3日間にわたる訓練過程での正答率と反応時間の変化を正確で素早い応答を要求される教示群と、そうでない非教示群で検討した。その結果、  4)反応時間については、若年成人では1日目の第2~3ブロックでプラトーに達し、高齢者では2日目の第1ブロックでプラトーに達し、応答操作の学習が完了したと考えられ、応答操作の学習測度として反応時間の使用が有効であるといえた。  5)正確さの学習測度である正答率については、周波数弁別に必要な知覚判断処理が心的に形成されたと考えられる学習の完了は、若年成人では2日目、高齢者では3日目であった。  6)反応時間で非教示群と教示群との間の違いが出た。教示群の反応時間は応答操作の学習のレベルが明確に出るため、学習の完了の判断が容易だった。  7)正答率については、若年成人では1日目に非教示群と教示群との間に違いがみられたが、高齢者では3日間にわたって違いがみられなかった。  8)正答率、反応時間の両方で、前日の学習結果と較べて次の日に大きな悪化がなく、学習結果が保持されている。高齢者の場合、数日間にわたる測定の方がむしろ好ましいと考えられる場合、数日にわたって測定を行い、1日の負担を軽くすることも可能であることを示唆した。  第5章では、訓練後に若年成人被検者と高齢被検者によって1kHzの周波数弁別閾を測定した。その結果、  9)周波数弁別閾は一般的には繰り返し測定することによって徐々に低下していくが、本研究でも3日間にわたって低下する傾向がみられた。  10)反応時間がプラトーに達した時点は、応答操作の訓練が完了したと考えられる。その時点の周波数弁別閾には、「応答操作に問題はない」という確証が得られるため、その弁別閾の信頼性を増すことになるといえる。特に、臨床では、様々の身体的、精神的コンディションの患者が測定に参加するため、測定回数が制限される。少ない測定回数の中で、測定値の信頼性を増すためにも、応答操作の訓練の完了を確認することは意味があるといえる。  11)訓練および実際の周波数弁別閾測定中の反応時間は、被験者の課題に対する意識の集中度(意欲)や覚醒レベルを反映する。測定パラダイムに対応する基準値が必要ではあるが、反応時間で被検者の状態をモニターすることによって、休憩を与えたり、測定の中止や延期を決定する参考資料として応用が考えられる。  12)素早い応答を要求する教示の下で、訓練の学習測度として反応時間を用いて訓練の完了を判定することによって、その弁別閾の信頼性を増すことができるため、採用されるべき閾値を取り始める時点を、応答操作訓練の完了後とすべきであると考えられる。  さらに、未経験若年成人被検者における周波数弁別閾測定中の刺激レベルと反応時間の関係を調べるために、恒常法を用いて、素早い応答を求める教示の下で、訓練無しで測定した場合は、  13)個人差は大きいが、反応時間と刺激レベルの関係が、被検者が行う判断の確信の程度と関連して変化することが分かった。  第6章では、これからの臨床聴覚検査に関する議論を行い、その結果、  14)より高度の聴覚心理測定を臨床検査で行う場合、応答操作の訓練完了を判定するために、訓練の学習測度として反応時間を用いるべきであることを提案した。 続きを見る
51.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 階層型ニューラルネットの学習とその応用に関する研究 — Studies on learning of layered neural networks and its applications
久保, 宏一郎 ; Kubo, Kouichirou
学位授与年度: 1998
学位授与大学: 九州芸術工科大学
学位: 博士(工学)
学位種別: 課程博士
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概要: より柔軟な情報処理系の合成を目指して、ニューラルネットに関する工学的研究がますます盛んになっている。工学的立場からの研究において、ニューラルネットの基本要素となる人口ニューロンは、多入力1出力の素子としてモデル化され、生体のニューロンが持つ空間的加算としきい値作用という最も単純な特性のみを取り込んだ形式ニューロンをはじめ、種々の数理モデルが提案されている。 ニューラルネットは、上記のニューロンを多数結合し、学習能力を有する情報処理回路として機能するように構成されたものであり、Rosenblatt等によるパーセプトロンの提案以来、ニューロンの入出力を決定する回路の非線形特性の拡張や、ニューロン間の結合方法、回路の学習方法についても様々な改良がなされてきた。 階層型ニューラルネットでは、その学習法としてバックプロパゲーション学習やその変形が種々提案され、パターン認識をはじめとする多くの分野の具体的な問題への応用が期待されている。しかしながら、これら階層型ニューラルネットの学習法に関する研究は、回路の構成法、ニューロンの非線形特性の決定方法とも関連して、まだ十分な検討がなされているとはいえない。例えば、ニューラルネットを構成する際、ニューロンの非線形特性をどのように考えるかはニューラルネットの振る舞いを決定する上で今後も重要な課題である。また、学習の効率化を図る上で、学習の収束性を向上させる手法や、学習で得られた解の良否についての検討も重要な課題である。これまで提案、検討されてきたニューラルネットの学習法は、必ずしも最適解に収束する保証はなく、これが局所解に収束した場合、どのようにしてそこから抜け出すか等の工夫も必要である。一方、局所解に収束する危険性の比較的少ない回路形式の検討、さらにその回路形式の制限からくる情報処理能力の低減を補う方法についても十分な検討が必要である。このようなニューラルネットの特性に関する注意深い考察は、ニューラルネットにパターン認識等の様々な情報処理を行わせ、安定した情報処理システムを構築する上で常に必要であり、そこでの基礎的な研究の進展は、ニューラルネットの情報処理回路としての普及に大きな意義を持つものと考えられる。  本論文は、階層型ニューラルネットの学習とその応用に関する研究をまとめたものであり、種々の非線形特性を持つ形式ニューロンに基づく階層型ニューラルネットを提案し、それぞれに対して有効な学習則を与え、更にそれらの画像処理・認識への応用例を述べたものであり、6章から構成されている。  第1章は、序論であり、本論文で扱っている問題の概要と論文の構成について述べる。  第2章では、第3章以下の準備として、いくつかの形式ニューロンと、ニューロンを組み合わせることによって構成されるネットワークのモデルをあげる。さらに、階層型ニューラルネットと、線形識別関数および、区分的線形識別関数との関係について説明する。  第3章では、多値ニューラルネット(Multi-Valued Neural Net;MVNN)を提案し、その学習法を与え、回路の特徴を述べる。MVNNは、パターン空間を複数の平行な超平面で分割することにより、パターンを複数のクラスに分類する特殊な区分的線形識別機械である。本章における学習は、2段階学習-PhaseⅠ学習および、PhaseⅡ学習-である。PhaseⅠ学習は、回路の外的な構造を決定するための学習であり、PhaseⅡ学習は具体的な平面の方向、および位置を決定する学習である。このMVNNを数学パターンの分類等に適用し、その有効性を示す。  第4章では、多しきい値パーセプトロン(Multi-Threshold Perceptron;MTP)を提案し、その学習法を与え、回路の特徴を述べる。MTPはMVNNと同様にパターン空間を複数の平行な超平面によって類別する2分類機として機能するものである。ここで述べるMTPの学習では、学習のためのパラメータとして、2種類のパラメータを導入し、収束を早める工夫を行っている。このMTPを論理関数合成の問題に適用し、その有効性を確かめている。  第5章では、ニューラルネットを用いた画像修復について述べる。画像修復の際、ハフ変換等を適用し、直線や円などの基本的な図形を抽出する場合が多い。また、ハフ変換の処理プロセスは、実際の神経系における処理プロセスと類似性があることが指摘されている。ファジィ・ハフ変換を用いて画像中に存在する点列に任意の曲線を当てはめる際、パラメータ空間に存在する複数の集積点から極大値を求める必要がある。本章では、極大値の検出にニューロンの非線型特性としてラジアル基底関数を用いた階層的ニューラルネットワークを適用し、この極大値を抽出する方法を提案する。この方法を用いて具体的な画像修復を行い、その有効性を示す。  第6章では結論として、本研究で得られた結果を要約するとともに、今後の課題について述べる。 続きを見る
52.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 輪郭線情報とテクスチャ情報の統合による画像識別に関する研究 — Studies on discrimination of images by unifying contour information and texture information
矢野, 啓司 ; Yano, Keiji
学位授与年度: 1998
学位授与大学: 九州芸術工科大学
学位: 博士(工学)
学位種別: 課程博士
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概要: 近年、電子技術のめざましい進展に伴い、計算機を用いた画像の識別に関する研究とその産業への応用が盛んに行われている。 画像識別を行なうには画像から特徴を抽出する必要があるが、識別結果は抽出された特徴の性質に大きく左右されるので、特徴を適切に取り出すことが重要である。画像の特徴を表す有効な情報として、その形状に関する情報及び模様に関する情報とがある。形状は多くの場合輪郭線で表され、通常閉曲線となる。画像から輪郭線を抽出・記述して、その性質を把握する方法はこれまでにも多くの研究がなされており、実用的な種々の提案もなされている。模様は多くの場合テクスチャとして捉えられる。テクスチャの解析は、画像処理の基本的なものの一つとして、これまで多くの研究がなされており、最近はリモートセンシング画像や医用画像の識別、更には3次元物体識別等において積極的に利用されている。 輪郭線やテクスチャは、それぞれ画像の識別において重要な情報である。しかしながら、更にこれら両者を統合して識別を行なえば、より良い結果を得ることができることもいくつかの例で明らかになっている。輪郭線情報とテクスチャ情報の統合にとどまらず、異質で有効な複数の情報を統合して識別を行うという研究は、今後より広く進められていく必要がある。  本論文は、輪郭線情報とテクスチャ情報との統合による画像識別に関する研究結果をとりまとめたものであり、7章から構成されている。  第1章は序論であり、本研究の背景と扱っている問題を示し、あわせて論文の概要について述べる。  第2章では、輪郭線情報の種々の記述方法に関して概説し、これらの方法の性質を詳細に分析する。この結果、P型記述子から得られるパワー・スペクトルを用いる方法が、画像の平行移動、拡大・縮小及び回転に対して不変であり、更に輪郭線の始点の位置の移動に対しても不変であることから、最も有効な方法であることを明らかにする。また、P型記述子を精度良く求めるためには輪郭線を等辺多角形で近似する必要があるので、その方法についても詳述し、特にEPACに基づく方法は、輪郭線が再生可能であり、かつディジタル化誤差の影響を受けにくいため、きわめて有用な等辺多角形近似法であることを明らかにする。  第3章では、輪郭線情報を安定して抽出する方法としてロバストエネルギー最小化による輪郭線保存平滑化法を述べる。輪郭線情報による識別において、大域的な形状の情報の方が局所的な情報よりも重要な場合が多い。また、輪郭線の等辺多角形近似において、平滑化された輪郭線の方が等辺多角形近似アルゴリズムが収束しやすい。そこで、大域的な情報を損なわず、ノイズ等の不要な局所情報を除き輪郭線を平滑化する方法として、ロバストエネルギー最小化による方法を提案し、この方法が、特に平滑化能力とアルゴリズムの扱い易さとにおいて、きわめて有効であることを明らかにする。更に、具体的なエッジ平滑化の例としてノイズの混入した波形データの平滑化実験をも行い、種々の方法と比較した結果、本法が最も有用であることを実証する。  第4章では、テクスチャ情報の種々の記述方法に関して、構造的な解析法と統計的な解析法とに大別して概説し、これらの方法の性能を詳細に分析する。この結果、濃度共起行列による方法が、平行移動や45度単位の回転に対して不変であり、更に画像の一様性やコントラスト等の多くの性質を表すことが可能であることから、最も有効な方法であることを明らかにする。  第5章では、輪郭線情報とテクスチャ情報とを統合して識別を実行するシステムとして、異種情報の統合が可能な回路である階層型ニューラルネットワークについて、その基本的な性質を示すとともにそれによる輪郭線情報とテクスチャ情報との統合方法を具体的に述べる。  第6章では、魚画像を対象として行った、輪郭線情報とテクスチャ情報との統合による画像識別実験の結果を示す。本実験では、第2章から第5章までに述べた方法をすべて適用する。輪郭線情報はP型記述子のパワースペクトルの低周波成分であり、テクスチャ情報は濃度共起行列の要素である。両者の情報は3層ニューラルネットワークで統合される。魚画像は標準画像と標準画像の回転、サイズ変換画像で構成され、それらの半分をニューラルネットワークの学習用の画像とし、残りの半分を識別テスト用の画像とする。情報の統合回路はネットワークの学習過程で形成される。輪郭線情報とテクスチャ情報とを統合して行った画像識別結果が、両者の情報を個別に用いた場合に比べて格段に良いことを明らかにし、両者の情報の統合がきわめて有用であることを実証する。  第7章では結論として、本研究で得られた結果を要約するとともに、今後の課題を述べる。 続きを見る
53.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 適応信号処理におけるブロック直交射影アルゴリズムとその性能改善に関する研究 — Studies on block orthogonal projection algorithm for adaptive signal processing and improvements of its performance
吉本, 定伸 ; Yoshimoto, Sadanobu
学位授与年度: 1998
学位授与大学: 九州芸術工科大学
学位: 博士(工学)
学位種別: 課程博士
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概要: 近年における半導体技術はめざましい発展を続けており、今後も益々その技術革新は続くものと予想される。そのような中、半導体の集積度の向上により、高速で高精度の演算が可能となり、ディジタル信号処理技術は様々な分野で不可欠なものとなっている。今日、ディジタル信号処理の対象となる環境や情報は多種多様であり、信号の統計的性質が変化するような場合、あるいは未知システムの特性が変化するような場合など、固定係数フィルタによる信号処理では期待した結果が得られないということが多い。このような状況下において有効な信号処理が適応信号処理である。適応信号処理では、システムの特性を必要に応じて変化させるために適応フィルタが用いられ、信号の先験的な情報が不十分であっても、入力される情報から未知システムの特性を逐次的に求めることにより、環境に応じたシステムの推定が可能である。この適応フィルタの係数を更新する重要な部分は適応アルゴリズムと呼ばれ、従来より様々な方式が提案されてきた。適応アルゴリズムには主に、対象となる信号に関係なく高速に収束することと、1サンプル当たりの演算量が少ないという性能が要求される。これらは一般的にトレードオフの関係にあり、現在これらの性能をバランスよく満足させる方式としてブロック直交射影アルゴリズムが提案されているが、これを更に効率よく運用する方式が期待される。また、雑音がシステムのパラメータ推定に影響を及ぼす場合においても良好な推定精度が得られることが望まれる。  本論文は、適応信号処理において適応フィルタの係数を更新するための適応アルゴリズムについて研究した結果をまとめたものであり、以下の7章から構成されている。  第1章では、まず本研究を行うに至るまでの背景について述べ、次いで本論文の概要について述べる。  第2章では、適応信号処理における未知システムのパラメータ推定の重要性について述べ、本研究の基礎となるブロック直交射影アルゴリズムに関しての説明を行う。また、適応信号処理の適用例として、適応ノイズキャンセラなどに代表されるキャンセラシステムをとりあげ、適応アルゴリズムの必要性について述べる。  第3章では、ブロック直交射影アルゴリズムの一実現法として、次数更新型UD分解を用いた方式を提案する。ブロック直交射影アルゴリズムはMoore-Penrose型一般逆行列により表されるが、この逆行列を特異値分解により計算する方法では、多くの演算量が必要となりハードウェア構成上困難になると考えられる。提案する方式はMoore-Penrose型一般逆行列が入力状態行列による自己相関行列の逆行列により生成されることに着目し、これを逐次UD分解法により効率よく計算することにより、ブロック直交射影アルゴリズムの演算量の軽減化を図っている。  第4章では、未知系出力信号に観測雑音が重畳する場合においても良好な推定精度が得られる方式を提案する。ブロック直交射影アルゴリズムは比較的収束速度と演算量のバランスがとれた方式として提案されているが未知系出力信号に観測雑音が重畳する場合、推定精度が劣化するということが指摘されている。推定精度の劣化を防ぐために、ステップゲイン、係数ベクトルの平均化などの操作により推定精度の劣化を防ぐ処置がとられるが、適用する方法によっては収束速度の劣化を招いたり、計算に雑音の分散が必要であり、また白色信号入力時の解析に基づいているなどの問題点があげられる。提案法はMoore-Penrose型一般逆行列で表される直交射影アルゴリズムの基本型を対象として、修正方向ベクトルに含まれる観測信号から構成される成分の時間平均を行うことにより、良好な推定精度を実現した方式である。提案法はブロック直交射影アルゴリズムと同等の高速な収束速度を得られる方式であり、雑音の分散や入力信号の有色性を考慮する必要がないという利点を有している。  第5章および第6章では、ブロック直交射影アルゴリズムの一実現法として提案されている勾配法に基づく高速な適応アルゴリズムの改良法を提案する。この方式はよく知られている共役勾配法を用いる方式に対しアルゴリズムの繰り返し演算処理を途中で打ち切った場合においても良好な特性が得られる方式である。従ってこの方式を個々の目的に合わせ改良することは有用であると考えられる。  まず5章では、収束速度の高速性という観点から、勾配法に基づく高速な適応アルゴリズムのデータ運用法をブロック処理ではなくアフィン射影算法と同様の逐次処理とし、この処理により増加した1サンプル当たりの演算量を、勾配ベクトルの算出法を改良することにより軽減する方式を提案する。 適応アルゴリズムには上記のような性能以外に、有色信号入力時において高速な収束特性を有することと共に、観測雑音に対してもロバストであることが要求される。そこで、第6章では、勾配法に基づく高速な適応アルゴリズムを改良し、観測雑音が存在する場合でも良好な精度が得られる方式を提案する。本提案法は勾配法に基づく高速な適応アルゴリズムの修正量に含まれる観測雑音の影響を軽減することにより、観測雑音が存在する場合において従来法よりも良好な推定精度を得ることができる方式である。  最後に第7章では、本研究のまとめを行い、今後の話題を述べる。 続きを見る
54.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of ソフトな円筒エッジを持つ防音壁の遮音性能に関する研究 — Efficiency of a noise barrier with an acoustically soft cylindrical edge
大久保, 朝直 ; Okubo, Tomonao
学位授与年度: 1998
学位授与大学: 九州芸術工科大学
学位: 博士(工学)
学位種別: 課程博士
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概要: 広く知られているように、エッジに取り付けた吸音体は防音壁の遮音性能を向上させる。防音壁背後の音場に対する仮想的な音源としてふるまうエッジ部の音圧が、吸音力によって低減されるためである。同様の方針にもとづき、本論文では音響的にソフトな円筒エッジをもつ防音壁の遮音性能について検討する。ソフトな円筒エッジの表面では音圧がゼロになる、すなわちエッジ部の音圧が極めて小さくなるため、吸音エッジ付き防音壁よりも大きな遮音性能が期待される。   最初に、水車のような断面を持つ円筒によってソフトな円筒の実現を試みた。放射状に配置された深さ1/4波長の音響管内を伝搬させることにより反射波の位相を反転させ、入射波との間に生じる干渉を利用して円筒表面の音圧を消去しようとするものである。境界要素法による数値解析、模型実験、解析解の結果を比較した結果、1/4波長が管の深さと一致する周波数よりも若干高い周波数において管端の音圧が極小になること、その周波数では水車型円筒およびソフトな円筒の周辺の散乱場が非常に似ていることから、水車型円筒はソフトな円筒を近似的に実現できることが確認された。ただし、干渉を利用するという構造上、円筒表面の性質が極端な周波数特性を持つことは避けられない。表面音圧が特殊な周波数特性を持つ原因について考察するため、水車型円筒周辺の音場について音響インテンシティ解析を行なった。円筒周辺の音響エネルギーは、表面音圧が極小になる周波数では円筒から遠ざかるように流れ、逆に表面音圧が増加する周波数では円筒の表面近傍を流れていることがわかった。 水車型円筒をエッジに取り付けた半無限障壁の遮音性能について、模型実験により検討を行った。ソフトな表面を実現する周波数において音圧分布を測定した結果、障壁背後の広い領域でかなり大きな効果が確認された。解析解との比較から、この領域の音場は円筒エッジの性質によって決定され、防音壁の直壁部の性質はほとんど影響しないことがわかった。また、効果の周波数特性は、水車型円筒単体の表面音圧の周波数特性と密接な関係があることも明らかになった。 反射性の地面に設置された防音壁に水車型円筒を取り付け、遮音性能の変化について検討した。水車型円筒の効果の周波数特性を解析した結果、半無限障壁の場合と同様、円筒の表面音圧が小さくなる帯域で遮音性能が10dB以上向上し、その帯域の幅は2/3から1オクターブにわたることがわかった。その一方で、円筒表面の音圧が大きくなる帯域ではやはり遮音性能が低下してしまうこともわかった。円筒表面の音圧が極小になる周波数において水車型円筒の効果の分布を計算すると、防音壁からある程度はなれた領域で平均10dB近い効果が確認された。水車型円筒付防音壁周辺の音響インテンシティについて解析した結果、円筒が有効な周波数ではエネルギー流が上方へと向きを変えるのに対し、遮音性能が低下する周波数では円筒や防音壁の表面沿いを流れるエネルギー流の発生が認められた。最後に、ここまでの解析結果を半無響室における縮尺模型実験および屋外における実験の結果と比較した結果、ほぼ予測通りの遮音性能が得られていることが明らかになった。  最後に、水車型円筒付防音壁の遮音性能について得られた知見をもとに、道路交通騒音の制御を目的とする減音装置の設計を行なった。設計の前に、実在の高速道路沿いで測定した結果を平均し、制御対象となる交通騒音の代表スペクトルを決定した。この代表スペクトルのオーバーオール音圧レベルの低減幅を評価値とし、最も大きな効果が得られる減音装置の断面形を探った。まず、一様な深さの音響管を配列した水車型円筒の広帯域騒音に対する効果には限界があることがわかった。そこで、水車型円筒の負の効果に対応する深さの溝を組み合わせ、効果の改善を試みた。解析の結果、数種類の溝の深さの組合せが有効であること、さらに円筒の下半分には溝を配列する必要がないことが明らかになった。この方針にもとづいて設計した新たな減音装置は、従来の一様な深さの溝を持つ水車型円筒と比べてデシベル値で2倍近い効果を持つことがわかった。装置の効果を直壁の嵩上げ分に換算すると、3mの防音壁の上に3.2mの直壁を追加した場合に相当する。この減音装置について、境界要素法などの繁雑な計算をしなくても簡便に効果を予測できる図表および算出式を示した。最後に、減音装置を取り付けた防音壁の遮音性能について実験を行なった。屋外実験では解析結果との明確な対応関係が見出せなかったものの、半無響室で行なった実験ではほぼ予測通りの遮音性能が確認された。 続きを見る
55.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of A study on the compensation for hearing impairement based on evolutionary computatoin — 進化的計算手法を用いた聴覚障害補償に関する研究
大崎, 美穂 ; Osaki, Miho
学位授与年度: 1998
学位授与大学: 九州芸術工科大学
学位: 博士(工学)
学位種別: 課程博士
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概要: 本研究は、Soft Computing技術を聴覚障害補償に応用して従来の問題を解決するとともに、新しい聴覚特性・聴覚障害補償の研究アプローチを提案することを目的としている。さらに最終目標として、本研究で示す方法論が、人間を対象問題とする知識・感性情報処理分野に広く展開されることも目指している。本研究ではこの目的に向けて、(1)人間とコンピュータの対話的操作における操作者の疲労軽減、(2)聴覚障害者の聴こえに基づく補聴器のパラメータ最適化システムの構築、(3)トップダウン的な解析アプローチによる聴覚障害補償の知見獲得、という3つの手続きを行なった。   知識・感性情報処理研究では、人間から得た多くのデータを総合し、その情報処理や認知のメカニズムをモデル化する、ボトムアップ的なアプローチが主流であった。しかし、複雑で個人差や時間変動を伴う人間のメカニズムを完全にモデル化することは、原理的に不可能である。そこでSoft Computing分野において、人間の情報処理や認知の特性をブラックボックスにしたまま、人間が与える評価情報のみでシステム最適化を行なう、対話型EC(Interactive Evolutionary Computation)が提案された。しかし、対話型ECには繰り返し評価による操作者の疲労という大きな問題がある。これは対話型ECに限らず、人間とコンピュータの対話的操作を必要とする分野に共通の問題である。そこで本研究では、(1)ヒューマンインタフェイス改善によって対話型EC操作者の疲労軽減を試みた。  高齢化社会を迎えた現在、高齢者の社会活動を支援する福祉研究への注目が集まっている。特に聴覚障害補償の分野では、ディジタル補聴器が開発され、入力音声に対して様々な信号処理を行えるようになった。しかし、補聴器使用者が十分満足できる聴こえを実現するのは、現在でも困難である。我々は、聴覚特性を個々に測定・総合することで聴こえを推定する従来のボトムアップ的なアプローチでは、聴覚障害補償における多くの問題を根本的には解決できないと考えた。そこで本研究では、(2)対話型ECを補聴器で用いられる信号処理パラメータ最適化に応用して、聴覚特性の事前測定が不要な自動フィッティングシステム(IECフィッティングシステム)の実現を試みた。  IECフィッティングシステムは、知覚・認知レベル、および感性レベルを総合した最終的な聴覚障害者の聴こえを反映して、聴覚障害補償処理のパラメータを最適化する。したがって、IECフィッティングシステムで設定されたパラメータを解析すれば、聴覚障害者の聴こえに関する新しい知見を獲得できると考えられる。さらに、このようなトップダウン的な解析アプローチは、聴覚特性・聴覚障害補償の研究だけでなく、人間の情報処理や認知のメカニズムを対象問題とする分野に広く展開できるだろう。そこで本研究では、(3)IECフィッティングシステムに基づくトップダウン的な聴覚特性の解析アプローチを提案し、聴覚障害補償の知見を得る具体的な方法論を示すことを試みた。  (1)対話型EC操作者の疲労軽減については、提示インタフェース、および入カインタフェースの改善手法を提案し、シミュレーションと心理実験を通して総合的な有効性検証を行った。提示インタフェース改善では、人間が解候補に与える評価値を予測しその順序で解候補を提示する手法を提案し、インタフェース改善への知見を得た。入カインタフェース改善では、人間が離散的な評価値を入力できる手法を提案し、有意な疲労軽減効果を示した。  (2)IECフィッティングシステムの実現については、新しい聴覚障害補償処理としてラウドネス空間構成法を提案した。そして、インタフェース改善研究で得られた成果に基づきIECフィッティングシステムを実際に構築して、その有効性を検証した。模擬難聴処理を施した健聴者と聴覚障害者に対して、提案システムの操作、および評価実験を行った結果、従来法よりも高い音声明瞭度と大幅な音質向上が見られた。さらに音声だけでなく、従来ほとんど研究がなされていない音楽聴取にも提案システムを応用し、有意な音質の向上効果を示した。   (3)トップダウン的な解析アプローチの提案と聴覚障害補償に関する知見獲得については、ラウドネス関数に関する知見、およびパラメータ設定の対象音依存性に関する知見を得る方法論を示した。まず、提案システムで得られるラウドネス空間からラウドネス関数を抽出する手法を提案し、抽出されたラウドネス関数と従来法によるラウドネス関数の違いに関する知見を得た。次に、音声の場合、音楽の場合、音声と音楽を比較した場合のそれぞれで解析実験を行い、提案システムで得られるパラメータ設定の対象音依存性に関する知見を得た。さらに、ラウドネス空間、もしくはラウドネス関数の形状の差異を、誤差によって定量的に表す方法を検討した。  本研究は、Soft Computing技術を聴覚特性・聴覚障害補償研究に応用した複合研究である。人間とコンピュータの対話的操作における疲労軽減およびSoft Computing技術の聴覚特性・聴覚障害補償研究への本格的な応用は従来ほとんど行われていないため、本研究がSoft Computing技術の応用展開に貢献できると考えられる。また、本研究で提案したlECフィッティングシステムと聴覚特性・聴覚障害補償研究の新しいアプローチは、従来の研究アプローチの根本的な問題を解決するとともに、両アプローチによる多面的な研究展開を可能にするであろう。さらに本研究から得られる成果は、Soft Computing技術、聴覚特性・聴覚障害補償研究にとどまらず、人間を扱う知識・感性情報処理分野に広く応用できると期待される。 続きを見る
56.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 電子写真プリンタの定着温度場に関する研究
醒井, 政博 ; Samei, Masahiro
学位授与年度: 1998
学位授与大学: 九州芸術工科大学
学位: 博士(工学)
学位種別: 論文博士
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概要: 電子写真プリンタは、コンピュータなどの情報処理機器の主要な出力端末機器として、その高性能化、省エネルギー化が強く求められている。電子写真プリンタの性能向上のためには、定着部の熱的性能に及ぼす種々の設計パラメータの影響を明確にする必要があるが、定着部の幅は3.5mm程度で、トナーの滞在時間も60ms程度であるため、実験的手法による解明は困難である。そのため、数値シミュレーション手法を用いて信頼性のある温度場推算手法の確立を試みた。  第1章においては、電子写真プリンタを取り巻く現状と高性能化への要求、定着器の熱的性能に関する従来の研究を概観して、性能向上のための課題とその中における本論文の位置づけを明確にしている。  第2章では、トナー定着プロセスを詳細に検討し、定着温度場を二次元温度場として、温度変化を推算する手法の基本的枠組を提案・構築した。すなわち熱伝導方程式を複数の構成要素からなる計算領域で離散化して、ADI法を用いた時間積分に対応する手法を提案し、相変化を伴なうトナーの融解現象やローラの回転に伴なうトナー・記録紙の移動をモデル化して計算可能とした。構築した計算法を用い、トナー定着過程における熱移動の定性的挙動について考察を行った。これにより、定着領域の入口近傍でトナー、記録紙に大きな温度変化が起こること、トナー、記録紙の加熱にはヒートローラに貯えられた熱を最大の供給源とすること、定着領域からの熱の持ち出しは記録紙、トナーの順に多いことなどの基礎的知見を得た。また定着領域内部で存在が想定される空気を、試みに一定の厚さの層として計算に導入した。その結果、定着領域に存在する空気の量は少なくても温度場に及ぼす影響は大きいことを明らかにした。  第3章においては、数値計算法の予測精度向上に資することを目的として、定着部内部における温度分布を赤外線放射温度計を用いて実験的に測定した。定着部内部の温度を直接測定することは極めて困難であるため、間接的に測定する方法を検討し実験的に計測を行った。すなわち定着ニップの幅を一定とし、紙送り速度を変えることにより、トナーが加熱される滞在時間を変えて、定着部出口でトナー粒子層表面温度を計測した。その結果を非定常温度場の相似則に基づいて、測定された温度に対応する定着部内部の位置を求める方法を新しく提案した。提案した計算法を用い計算した結果は、実測した温度よりも高い値となり、これを補正するためには計算領域に適当な伝熱抵抗の付加が必要であることを明らかにした。  第4章においては、第3章で導入の必要性が明らかになった付加抵抗が、記録紙表面の粗さおよび積層したトナー粒子間の隙間に起因した空気であることを、定着部構成要素の微視的観察から確認した。その上で、観察により得た粒子形状寸法と記録紙表面粗さを基に、空気の存在空間をモデル化し、定着部に存在する空気部分での伝熱の様式を検討して、伝熱においては空気の熱伝導が支配的であることを明らかにした。  次いでトナー粒子の積層状態および記録紙表面の幾何学的特性に基づいて、物理的に存在する空気の量を算定する方法を提案した。トナー層については、一定粒径の球状の粒子が六方最密状に配列した状態を基に、記録紙については、表面の粗さ形状に基づいて、存在空気の体積を算出した。この空気量を、均一厚さの等価空気層厚さとして定量化した。  第5章では、記録紙表面粗さおよびトナー積層状態に基づく等価空気層を導入して、定着部構成層をモデル化した。空気層の伝熱抵抗を検討する場合、空気層の厚さと空気層の設定位置の問題がある。モデル化する際、空気層を一つの総等価空気層とした場合、それぞれ空気存在の起因により分割した分割空気層の場合に分けて検討し、5種類のモデルを提案した。これらのモデルに基づいて、計算したトナー層表面温度を実測値と比較し、温度場を精度良く予測できる妥当性の高いモデルの検討を行った。その結果、記録紙の表面粗さに基づく空気層を、ヒートローラ表層とトナー層の境界面の位置に設定し、一方トナー粒子の積層状態に基づく空気層については、トナー粒子層の厚さ中央位置に設定するか、またはトナー層を空気を含む混合層とするモデルの場合、信頼性の高い温度場予測結果が得られることを明らかにした。  第6章においては、以上で提案したトナー定着温度場推算手法を、表面粗さの異なる2種類の記録紙に適用し、温度場推算を行って、実測結果と比較・検討した。これにより、定着部に存在する空気に起因する伝熱抵抗の導入と、計算式での取扱いの妥当性、および本温度場推算手法の有用性を明らかにした。また、本推算手法の応用として、技術的に関心の高いカラー印刷に関して、数値計算を行ってトナー定着温度場の変化を明らかにし、考察を行った。その結果、カラートナー粒子の多層化により、等価空気層厚さが厚くなり伝熱抵抗が大きくなること、一方トナー粒子の小径化は伝熱抵抗の減少を促し、小粒径化はカラー化に対し有効であることなどを、定量的指標を伴って明確化した。  第7章は本論文の総括であり、上記各章の結論をまとめている。 続きを見る
57.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 都市空間の記憶と想起に関する研究 : 建築の外部空間のイメージを形成する過程について
崎山, 徹 ; Sakiyama, Toru
学位授与年度: 1995
学位授与大学: 九州芸術工科大学
学位: 博士(工学)
学位種別: 課程博士
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概要: 近年、建築や都市計画の研究分野で、空間認知の研究が盛んに行われるようになった。この主要な目的は、人間が空間をどのように捉えているのか、その真理的な仕組みを明らかにし、現代の都市空間や景観の評価とデザインの指針を得ることにある。  これらの分野において、空間の知覚と空間のイメージは別個に研究が進められてきており、両者の関連性についてはほとんど着手されていない。 本研究では、 (1) 知覚された空間特性の記憶への統合 (2) 記憶から想起されて構築される空間のイメージ について、対象空間の物理的な特性が知覚や記憶の鮮明さやイメージにどのように反映されているかの検討により、それらの関連性を明らかにした。  本論では、まず第1部において、心理学における認知の理論と空間認知の既往研究を分析し、両分野の得られた知見の関連性と同時に、以下の研究課題を見いだした。 (1) 空間の評価と空間の記憶とが共通の要因をもっていること。 (2) 言語表現上の空間の分節形態と空間の表象形態との整合性の問題。 (3) 広域的な空間のイメージ構築の起点として、部分の関係と全体の構造の両方が存在すること。 (4) 空間の知覚やイメージ形成には、空間の機能等の非視覚的な特性が影響力を与えていること。  第2部では、以上の課題について、SD法やイメージモデル組立実験等の6種類の実験とその分析により以下の成果が得られた。 (1) SD法による空間の評価実験により、空間の評価のなかに空間の状態を説明する「具象的」な因子と、空間の総合的な価値を評価する「抽象的」な因子が存在することを明らかにした。  また「具象的」な因子の要因となる物理的な空間特性として、空間の構成要素の種類や数、また「抽象的」な因子の要因となる空間特性として、空間の構成形態が見だされた。 (2) 同一の大学キャソパスを対象にしたエレメント想起実験とイメージマップ描写テストの比較から、言語的な表現方法では空間の表象単位のうち一般的な呼称を持たないものが現れなくなることを明らかにし、空間認知の研究において、言語的な調査方法の適用範囲が限定されることが判明した。これをふまえて、描画の表現能力や言語的方法に依存しない本研究の調査方法であるイメージモデル組立実験を考案した。 (3) 大学キャンパスを対象にした空間の記憶実験を行い、空間の各部分の記憶の鮮明さと、その要因として、建物要素の場合には空間の形態的な側面、またその他の空間の場合には機能的な意味や情緒的な意味が重要であることを明らかにした。さらに、空間の「抽象的」な評価の要因と同様の空間の構成形態が見いだされ、空間の総合的な評価と空間の記憶との間に密接なつながりがあることが明らかになった。 (4) 大学キャンパスの記憶実験に継続して上述のイメージモデル組立実験を行い、その組立過程の分析から、建物モデルの特定に必要な対象空間の特徴、モデル組立の起点となる建物間の位置関係、さらに被験者が最終的に再現しようとしている対象空間の全体構造を明らかにした。これにより空間のイメージ構築が、部分の関係と全体の構造を起点にする双方向の思考活動として説明できることが明らかになった。 (5) 実験の告知により意図的に空間の特徴を憶えた被験者と、日頃の生活により無意識に空間を記憶している被験者による2種類のイメージモデル組立実験の結果を比較し、日常的な空間体験では、利用しない建物の形態をほとんど憶えていないこと、また対象空間のイメージが日頃の行動経路上の空間を起点に構築される傾向があることを明らかにした。 (6) 建物の概型のみを表現したモデルと、概型に加え開ロ部などの細部も表現したモデルによる2種類のイメージモデル組立実験の結果を比較し、細部の情報が各建物モデルの特定を確実にして早める場合と、混乱させる場合の建物の特性を把握した。特に、表象単位と建物単位が相違している場合には細部の情報により照合が困難になることなど、手掛かりとして与えられる細部の情報は、空間のイメージを鮮明にさせない場合もあることを明らかにした。  以上の結果を総括し、空間のイメージ構築は、対象空間の物理的特性以外に、対象空間を知覚し記憶を獲得するときの動機付けや、空間のイメージ構築の手掛かりとして与えられる情報に影響されることが明らかになった。 (1) 知覚における空間の総合的な評価が、空間の鮮明な記憶と密接なつながりを持ち、鮮明に記憶される空間が質の高い空間として評価されること。 (2) 空間のイメージが明快に構築されるためには、空間の部分の特徴と同時に、全体の構造が明快でなければならないこと。  これらが具体的な対象空間において明らかにされたことは、都市空間の計画や景観デザインの評価に有効な示唆を与えるものである。 続きを見る
58.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 実体顕微鏡を用いた微細領域に於ける奥行弁別作業に関する研究
四宮, 孝史 ; Shinomiya, Takashi
学位授与年度: 1995
学位授与大学: 九州芸術工科大学
学位: 博士(工学)
学位種別: 課程博士
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概要: 運動視差の影響を排除し、奥行知覚の主要因であると考えられる両眼視差に注目して、実体顕微鏡を用いた両眼視による微細領域に於ける奥行知覚に関する研究を行った。具体的には、奥行弁別に於ける視認性に影響を及ぼす要因と学習効果に関する実験を行うことで、両眼視差要因による奥行弁別機能について検討した。本論文は6章から構成されている。  第1章では、両眼視による奥行弁別作業に於ける特徴と問題点、ならびに奥行弁別機能に関するこれまでの研究動向を吟味し、本研究の目的とその対象を明確にした。即ち、運動視差と両眼視差はともに注視物体を基準とした物体間の相対距離検出であり、類似機能特性を有するが、両眼視差に注目した本研究に於いては、従来の実験研究ではあまり明確に区別されていなかった網膜上にできる像差を、両眼視差と、観察位置の移動により左右眼に生ずる網膜像の“ズレ”として検出される運動視差に明確に分けて捉える事で、両眼視差要因のみによる奥行知覚機能の研究の意義を明確にした。  第2章では、両眼視差による奥行知覚に於いて視認性に影響する観察視標の形態、輪郭線、配置の仕方について検討した。視認性の高い形の場合には、形の差や配置方法の違いによる奥行弁別への影響は認められなかった。輪郭線に関しては、視標のエッジ(端面)の機械的な精度を高めることで視認性が高まることを確認した。  尚、本研究では奥行量の表現方法として視差角度を用いたが、両眼視差による奥行弁別には両眼視差の情報が重要であり、その条件の規定方法として「眼から視標までの距離」と「視標間の奥行距離」が必要となり、両方を規定するには相対角度による表現が適切と考えた。視認性の高い形に於ける奥行弁別閾は両眼視差角41秒近傍にあることを確認した。そして、奥行を視差角で表現することの合理性と有効性を示した。  第3章では、奥行知覚に於けるテクスチュア刺激(材質感)と被験者の熟練度の差異による観察方法の相違について検討した。視標のテクスチュア刺激情報は、微細なテクスチュア刺激のときには視認性を高める効果があるが、テクスチュア刺激が相対比較視標間の奥行量と等しいかそれ以上になると急速に錯視効果を高めて、極端に視認性を悪くすることが明らかになった。  熟練者と非熟練者の観察方法の比較から、熟練者に於いては、視差角の減少に伴い途中で、視標の「部分観察」から「集群観察」へと観察方法を切り替えることにより錯視を生じ難くしていることが推察された。非熟練者の弁別能力を高める方法としてこの“観察方法の途中切り替え”の有効性を提案した。  第4章では、奥行弁別で機能していると考えられる焦点調節機能について検討した。視標が眼の焦点深度内に入った後の注視点の決め方が、奥行弁別精度に大きく影響することが明かになった。そこで、眼の焦点調節時に眼の光学的特性を活用した。奥行弁別能力を高める方法を提案した。そして、奥行弁別精度を高めるための短時間注視(7秒以下の注視作業)の有効性と、長時間注視(10秒以上の注視作業)が弁別感度ならびに弁別精度の低下をきたすことを実験により明らかにした。  次に、奥行弁別に於ける両眼視と単眼視の比較、および単眼視に於ける利き眼を考慮した右眼と左眼の比較から、単眼視より両眼視の奥行弁別が優れていることが確認された。単眼視に於いては、利き眼と関係なく、奥行弁別能力は左眼より右眼が優れていることが推察された。  第5章では、融像困難あるいは不可能な者に対する融像性輻輳機能の訓練方法について検討した。実験の結果から“融像機能の習熟訓練”は、多くの場合は単に眼筋の使い方の“きっかけ”を作る作業で、一度そのコツがつかめると急速に融像が可能になることを明らかにした。左右眼の像を融像困難な者でも“眼筋の使い方の訓練不足”を原因とする場合には、両眼に1?2Prism Diopter (Δ) づつプリズム強度を付加する眼筋訓練の方法を、短時間で速効性のある訓練方法として提案した。  第6章では、本研究で得られた成果を総括し、今後の課題について検討を加えた。そして、「調節や輻輳は生後6ヵ月前後で習熟訓練によって形成される機能である」とする輻輳に関する従来の考え方の規定や表現方法を、「大半のヒトの場合には、調節や輻輳は生後6ヵ月前後で習熟訓練によって形成される機能であり、日常生活を営む上で必要なある程度の輻輳力や開散力は、経験の程度に応じて固体差が生ずる機能である」という強度程度を条件として併記すべきではないかとの提案を行った。 続きを見る
59.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of デザイン思考過程に関する研究
李, 愚訓
学位授与年度: 1995
学位授与大学: 九州芸術工科大学
学位: 博士(工学)
学位種別: 課程博士
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概要: デザインを行うということは、それまでに作りだされたもの、存在していたものをより良くするために行う場合、またこれから人間の生活に起こるであろう様々な事象を想定して、その事象が人間生活により良く機能するようにそのものの機能、構造、生産方式などを考慮して形態を総合的に計画し提案するという意味をもっている。その中でデザイン思考過程とは、デザインの問題からそれに対する最終解決案を提示するまでのデザイナーが営むデザイン行為における一連の思考のプロセスを意味する。  製品をデザインしていく際、デザイナーが問題からどうやって解決案に対するイメージをつかみ、それを形づくっていくのか、またその中ではどのような操作を行っているのか、そのメカニズムを直接観察することはできない。しかし、経験的にいえばデザイン過程が創造的であるといって全くまとまりがなく、やみくもに行う非論理的なプロセスでもなければ、論理的であるといって決まり切った手順を踏んでいけば必ずよい答えが出るようなプロセスでもないことは明らかである。すなわち、デザイナーは創造的思考と論理的思考を常にコントロールしながら問題の解決を試みているのではないかと思われる。このように推論するとデザイン思考過程の中には問題解決のための何らかの一般性が存在していると考えられる。  本論文は、工業デザインにおけるデザイナーの思考過程をデザイン実験によって観察・分析し、その一般的な特徴を究明するとともに、実験の分析結果に基づいたデザイン思考過程のモデルの構築を試みたものであり、6章から構成されている。  第1章では、デザイナーの思考過程に関する既往の研究例を概説し、本研究の背景と目的について述べた。  第2章では、本研究の全体的構成とデザイン実験の方法について述べた。  第3章では、デザイン実験から得られたデザイナーの思考過程に関するデータを整理してその結果を示した。デザイン実験はデザイン専攻の学生を対象として携帯電話、自転車のロック装置、ホチキス、CDホルダーの設計という4つのテーマについて発話思考法を用いて行った。また、デザイン実験から得られた発話データに対してデザイン思考過程をより客観的、体系的に分析するために思考の単位化、思考単位の分類などを行った。その結果、対象、観点、デザイン要素、操作の4種類の思考の属性と全部で21種類の分類カテゴリーを抽出し、それらを用いることによって逆に思考単位の特性が記述できることを確かめた。  第4章では、デザイン実験の結果に対して各分類カテゴリー別思考単位の累積出現頻度グラフの分析、思考単位間の推移パターンの分析、創造的アイデアの生成過程の分析を行い、その結果明らかになったデザイン思考過程の一般的特徴について述べた。  デザイナーは新しい製品に対するアイデアの展開において既存の製品に関する情報や知識から多くのヒントを得ている。また、デザイン過程における観点の変化から見ると、デザイナーは一般的に「市場性→製造性→使用性」という思考の流れでデザインが行われていることが明らかになった。  一方、デザイン要素から見ると、「ニーズの発見→製品のデザインの発想→使用のパターンの予測」という基本的な思考の流れが見られる。従って、デザイナーの思考過程が与条性(与えられた設計仕様)からその一次的機能だけを満たすものを形作る過程だけでなく、生活者の潜在的なニーズを見つけて製品に対する要求条件を明らかにしたり、製品の使用のパターンを様々な角度から予測することで製品の使い心地、造形的審美性など二次的機能まで検討するという、より幅広い内容によって構成されていることが明らかになった。  さらに、操作の側面から見ると、デザイナーは「関連製品の情報や知識を探索し、それを問題化して問題点とニーズを明らかにする。また、その解決案としてアイデアを提案し、それがデザイン・テーマに適合するかを評価する。さらに、解決案や評価結果に対して再び問題化を行い、アイデアの展開を活性化していく」という基本的な思考過程によってデザインを行っていることが明らかとなった。  第5章では、デザイン思考過程に対する分析結果を総合してそれを体系的に表せるデザイン思考過程のモデルの構築を試み、デザイン要素の側面からのモデルと知識の操作の側面からのモデルを提案した。  第6章では、本研究のまとめとしてデザイン思考過程のモデルについて現実のデザイン行為及び既往の研究結果との比較検討を通じ、その妥当性と有効性を示した。   続きを見る
60.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of ディジタル図形の情報圧縮とその認識に関する研究
金子, 照之 ; Kaneko, Teruyuki
学位授与年度: 1995
学位授与大学: 九州芸術工科大学
学位: 博士(工学)
学位種別: 課程博士
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概要: 計算機の進歩によって、大量のデータを高速に処理できるようになり、様々な分野で計算機は活用されるようになった。画像処理も計算機の進歩によって急速に発展している分野である。画像処理の中でも、画像に関するパターン認識すなわち画像認識は、人工知能とも深く関って、近年益々その応用の範囲が拡がりつつある。実際、産業分野においては、手書き文字認識、顔画像検出、個人識別、魚種識別、医用画像やプリント基板の自動検査、3次元情報の自動解析に関する計算機ビジョンなど、画像認識処理は不可欠なものとなっている。  画像認識の中でも、工業部品などの比較的単純な画像の認識は、特に図形認識と呼ばれる。図形認識の際には、図形の輪郭線が認識のための重要な手がかりとなる。輪郭線には、認識に有用な多くの情報が含まれているからである。さらに輪郭線を用いれば、2次元の画像情報をそのまま処理するよりもはるかに少ない処理データを扱うだけで済むという利点もある。しかしながら多くの場合、この輪郭線データは、これにもとづく様々な計算を容易にするために、更に圧縮されることが望ましい。しかも、輪郭線による図形認識システムを構築するためには、この圧縮された輪郭線データを用いて、互いに相似な曲線の認識、つまり、シフト、スケーリング、回転に不変な曲線の認識法を確立しておく必要がある。  本論文は、上述のディジタル図形の情報圧縮とその認識に関する研究をまとめたものであり、5章から構成されている。  第1章は序論であり、本論文で扱っている問題の概要と論文の構成について述べている。  第2章では、ディジタル曲線の認識のための特徴抽出における従来法を概説し、それらの方法における問題点を示す。ここでは従来法として、フーリエ記述子、モーメント不変量、及びCSS(曲率尺度空間)を用いる3種類の方法を代表として取り上げている。フーリエ記述子とモーメント不変量とは、曲線認識の際にしばしば用いられている特徴量であるが、形の異なる曲線であっても、それらの値が同じになることがある。また、モーメント不変量は標本化誤差の影響を受け易い。一方、CSS法では、曲線を平滑化の程度を種々換えて平滑化し、それぞれの平滑化された曲線から変曲点を抽出するので多くの時間を要し、更に抽出された特徴量の比較も難しい。また、これら従来法はいずれも単連結曲線のみを扱っており、複数個の曲線を同時に処理することは困難である。これらの方法では、図形を構成する点列の順序に関する情報が必要であるが、これは一般に与えられないからである。更にこれら従来法では、特徴抽出のための入カデータとして多数の点を必要とするので、冗長な情報を含みやすい。従って、効率的なデータ表現の観点から、少数個の特徴点によって輪郭線を記述するのが望ましい。  第3章では、ディジタル曲線から特徴点を抽出するための従来の方法を概説し、それらの問題点を示すと共に一つの方法を提案する。一般に特徴点としては曲率関数の極値点や変曲点が用いられる。ディジタル曲線の曲率は、注目画素とその前後の近傍画素とを結ぶ2直線の成す角度として定義される。ところが、与えられたディジタル曲線から直接曲率を求めると、雑音や曲線抽出の誤差を受け易い。そこで、本論文では再アナログ平滑化という新しい概念を導入して、ディジタル曲線を平滑化し、それによって得られる滑らかな曲率関数によって特徴点を抽出する方法を提案する。この方法においては、ディジタル曲線の平滑化のために、各輪郭点の座標(整数値)を、その点とある近傍点とに挟まれる輪郭点列の座標の平均値(実数値)によって置き換える。 その際の近傍点は、ディジタル曲線を構成する全画素数を考慮に入れて決めている。このようにして平滑化したディジタル曲線の曲率を測ることによって、特徴点の抽出に適した滑らかな曲率関数が得られる。この曲率関数を用いて変曲点を抽出し、さらに変曲点に挟まれた区間で曲率が最も大きな点を極値点として抽出する。この方法を用いると、互いに相似なディジタル曲線から同じ個数の特徴点を安定して抽出できることを実験例によって示す。  第4章では、特徴点の座標値のみを入力情報とするディジタル曲線の認識法を提案する。ここで提案する方法は、代数方程式を利用して、与えられた特徴点から曲線の特徴量を求めるものである。ディジタル曲線の特徴点を複素平面上の点集合とみなすと、この点集合を解に持つ代数方程式が1つ定まる。この方程式をある処理にもとづいて正規化すると、互いに相似な図形は同じ係数を持つ方程式で表現することができる。また逆に、同じ係数を持つ方程式で表現される図形は互いに相似である。従って、提案している方法は、シフト、スケーリング、回転変換に対して不変な図形認識に用いることができる。また、代数方程式は点集合の順序に依存しないので、従来法で扱うことが困難な2重図形等の複数の曲線の同時処理にも適用できる。さらに、提案している方法による図形の具体的な認識法について述べ、種々の実験結果を示す。  第5章では、結論を述べ、今後の課題について論じる。 続きを見る
61.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 仮現運動における形態情報と奥行き手がかりに関する心理学的研究
西郷, 賀津雄 ; Saigou, Katsuo
学位授与年度: 1995
学位授与大学: 九州芸術工科大学
学位: 博士(芸術工学)
学位種別: 課程博士
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概要: 2つの対象(第1刺激と第2刺激)を適切な空間を隔てて、順次継時的に提示すると、あたかも単一の対象が、第1刺激の位置から第2刺激の位置へ連続的に移動するように見える。このように客観的に静止している2つの対象が、それぞれ瞬時的に出現し、消失することによって生じる主観的な運動印象は「仮現運動」と呼ばれている。これは映画やテレビ、アニメーションなどの動画像の基本原理をなすものである。  ところで、仮現運動は早くから動画像の製作に応用されてきたが、この現象生起の視覚メカニズムとなると、まだ科学的に解明されるまでには至っていない。とりわけ、運動誘導刺激の形、奥行き、色といった視覚的属性が、最終の運動事象として、いかに統合されるかという問題は心理学だけでなく光学、神経生理学、情報工学等を含めた、いわゆる認知科学全般に共通した課題でもある。その解明は、視覚系の処理課程の全体像を得る上での必須の前提である。  本論文は、このような観点のもとに、かつ、同上の課題の一翼を担うべく、「仮現運動における視覚情報、とりわけ刺激の形態情報と奥行き手がかりの役割」と題して、次の5つの具体的事項について、実験的研究を行ったものである。  (1) 仮現運動の型と刺激の幾何学的変換形式  2刺激間仮現運動の研究では、これまで、概ね、その「時間空間的条件」の分析に主たる関心が向けられてきた。このため、同一の線分や光点が刺激として用いられた。これに対して、形の異なる刺激間の形態関係が仮現運動の生起に及ぼす効果といった側面については、あまり注意が払われていなかった。2刺激間に単一対象の運動が成立するということは、2つの刺激間の同定を意味するが、いかなる視覚情報が対象同定の知覚を規定するかという問題については、これまでのところ、構成的特徴比較説(Neisser、1967)と、生態学的変換可能性説(Pittenger & Show、1975)が提唱されている。前者は、図形の静的な形態的特徴の類似性を強調し、後者は、生態学的に妥当な数学的変換のもとで不変性を保つ幾何学的抽象的特性を重視している。本論文では、この2つの説を比較検討し、いずれも、刺激の幾何学的変換形式と仮現運動の型との対応関係が考慮されていない点を指摘し、これを時間条件を介して検討した。結果は、1)視覚系が刺激形態の違いを処理する方式として、平行移動、輪郭の可塑的変形、2次元回転、3次元奥行回転の4種あることを見いたした。2)これら4種の知覚的運動の型は、用いられた刺激の幾何学的変換の形式と対応した。すなわち、刺激の恒等変換には平行移動が、合同変換ないし射影変換には可塑的変形運動と回転運動が、アフィン変換ないしトポロジー変換には可塑的変形運動がそれぞれ対応した。3)刺激の持続時間を増大すると、射影変換ないし合同変換にあっては、可塑的変形運動から2次元的ないし3次元的回転運動へと移行した。よかもこの場合、可塑的変形運動は、回転運動に比して、相対的に小さなSOAで生起した(回転運動の優位性)。 (2) マスキング抑制下の刺激の形態情報と仮現運動の知覚  仮現運動における形態情報の役割を、マスキングによる形態情報抑制条件下で検討した。得られた結果は、1)運動生起にとって2刺激のうち、少なくともいずれか一方の刺激の形態情報が必須であった。2)刺激のいずれか一方が抑制されても、なお、回転運動や可塑的変形運動の型が見られた。これらは、抑制された形態情報が依然として仮現運動に関与し、何らかの形で、もう一方の非抑制刺激の形態情報の知覚に働きかけていることを物語るものである。3)両刺激のマスキング条件間で、運動の生起率に差がなく、しかも運動の型別生起率の変化の傾向も同じであった。このことは第1刺激と第2刺激の形態情報の等価性を示すものである。 (3) 仮現運動知覚に及ぼす刺激形態価の相違  実際輪郭長方形、それに対応する主観的輪郭、そのいずれも生じないコントロール図形、のこれら3種の刺激パターンのうち、2種を対にすることによって、運動における刺激の形態情報の縮減効果をしらべた。その結果、1)実際輪郭図形を第1刺激とし、主観的輪郭を第2刺激として提示しても、あるいは、その逆の順序で提示しても、運動生起率に差はなかった。2)形態情報が豊富で等しい刺激対による運動生起率は、形態情報が貧弱で不等な刺激対のそれらよりもかなり高かった。この事実は、両刺激によって構成される刺激の全体的特性の重要性を意味するものである。 (4) 仮現運動による動的遮蔽知覚と刺激の奥行き手ががり  一方の運動対象が他方の運動対象を遮蔽してしまう、仮現運動のいわゆる「動的遮蔽知覚」は、Anstjs (1985) によれば、遮蔽する対象の不透明性によるものとされる。本研究では、動的遮蔽知覚を、運動誘導刺激の奥行き手がかりに関連づけて検討した。その結果、1)動的遮蔽知覚の発現は、2刺激の奥行き手ががりと密接に関係していた。すなわち、動的遮蔽知覚は、遮蔽対象のほうが被遮蔽対象よりも、大きさや輝度が大である刺激条件でしか起こり得ず、逆の条件ないしは奥行きのない条件では、そのような知覚は全く生じなかった。2)大きさと輝度が奥行きにおいて競合する刺激条件では、動的遮蔽知覚は起こりにくかった。3)刺激提示時間の増大は、動的遮蔽知覚の生起を促進した。これらの結果は、動的遮蔽知覚にとって遮蔽対象の不透明性以外に、2刺激間に生じる奥行き情報、時間情報の重要性を示すものである。 (5) 仮現運度の軌道と刺激の奥行き手ががり  2つの運動誘導刺激の間に第3の対象を介在させる場合、仮現運動の軌道が介在刺激を迂回して変化することは知られているが、この迂回を規定する因子については、まだ明らかにされていない。そこで、本研究は、誘導刺激と長さ、大きさ、輝度において異なる静止刺激を介在させ、そこに生じる奥行き手ががりと仮現運動の軌道との関係を検討した。その結果、1)誘導刺激が静止刺激よりも長さ、大きさ、あるいは輝度において大(ないしは小)である時、単一対象が、静止刺激の前方(あるいは後方)の前額平行面上を移動するように知覚された。2)これに対し、誘導刺激が静止刺激と同一である時、奥行き不明瞭な運動か、あるいは静止刺激の提示位置で湾曲する運動、特に静止刺激の後方を湾曲する運動が多く知覚された。これらの結果は、次のように解釈される。すなわち、仮現運動時に、運動対象と介在刺激(静止刺激)とが衝突しないように両者が一定の奥行きをもって前額平行的な軌道を選択する。しかも、この場合、その軌道の設定には、奥行き手ががりが活用されたものと推定される。他方、奥行き手ががりが存在しない場合には、運動対象は、介在刺激の後方を湾曲運動して衝突を避けようとする傾向がみられた。 続きを見る
62.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of スリット型共鳴器の低周波数域吸音特性に関する研究
藤本, 卓也 ; Fujimoto, Takuya
学位授与年度: 1995
学位授与大学: 九州芸術工科大学
学位: 博士(芸術工学)
学位種別: 課程博士
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概要: 建築音響設計や騒音制御設計においては、音響材料の吸音率データは必要不可欠な基礎資料である。このため、多くの材料の残響室法吸音率が関連書籍などで紹介されてきている。これらのデータは、I25?4000Hzの周波数範囲で与えられることが多く、吸音率データを利用する設計現場においても、この範囲内で吸音設計を行うことが一般的であると考えられる。  しかしながら最近では、この範囲外、特に低周波数域において設計が要求されるケースもみられる。例えば、近年苦情が深刻化してきた低周波騒音に対する対策設計がこれに該当する。このような設計現場においては、文献から得ることができない材料の吸音率を、経験により推測しているのが現状といえる。したがって、低周波数域においても定量的な設計を行えるよう、一般建築材料の125Hzより低域の吸音率データを充実させる必要があると考えられる。さらに、対策目的の周波数で高い吸音効果を持つ低周波吸音構造の開発も重要であると考えられる。  そこで本研究では、共鳴周波数を調整することで吸音特性を変化させることができ、比較的自由な設計・施工が可能であるスリット構造に着目して、その低周波吸音特性についての検討を行うこととした。  スリット構造を無限に連続な一次元周期構造とみなし、矩形周期壁による音波散乱の一解法である“矩形分割法”を用いて吸音特性解析を行った。まず最初に、これまで定量的な吸音特性の予測法が確立していなかった従来型のスリット構造について解析を行うと共に、実測値と計算値の比較を行った。その結果、垂直入射吸音率および斜入射吸音率の数値計算結果は実測値をほぼ予測しており、この手法による吸音率の予測が妥当であることが示された。また、多孔質吸音材料の表面保護剤としてリブを使用する場合に必要とされる開口率の検討などにも、本手法による数値計算が応用できることが示された。  次いで、スリット構造による低周波数域の吸音の可能性について、数値計算による検討を行った。ここでは、スリットの周期やリブ厚を大きく、あるいは開口率を小さく設計することにより共鳴局波数を低域に移行できることが、定量的な吸音特性の変化として確認することができた。 また、現実的な施工性を考慮した場合は、トータルのバランスを保ちながら、構造を大きくすることが妥当であると判断された。  ここで、低周波吸音スリット構造のリブが大型化・重量化する問題について、リブの段面形状を一般的な矩形から、板材を組み合わせることで軽量化を計った溝形あるいはH形することにより対処することを提案した。このようなモデルについて吸音特性解析を行い、実測値との比較により計算結果を検証するとともに、リブ形状の変化が吸音特性に及ぼす影響について検討を行った。その結果、人・反射音場側に溝を掘った“U形”リブを用いても、矩形リブの場合とあまり吸音特性に変化が生じないことが、計算値と実測値の整合を伴って示された。また、このようなU形リブの溝入口にグラスウールを挿入した場合には、共鳴型と多孔質型の両方の特徴を兼ねた吸音効果が得られるなど、構造によっては個性的な吸音特性を持つことが示された。  一方、ここまでの解析モデルにおいて、スリット構造の背後空気層に挿入する多孔質材とリブ間の隙間がゼロまたは非常に小さくなった場合、数値計算により得られる吸音特性が非現実的なものとなることがわかった。これは、多孔質材の表面を局部作用が仮定された境界として取り扱うこれまでの手法における一つの限界であると考えられる。この問題を解決するため、多孔質材内部の場およびさらに背後の空気層の場まで考慮したモデルについて解析を行った。このモデルでは、これまで与えていた多孔質材表面の非音響アドミタンスに代わって、多孔質材の伝搬定数および特性インピーダンスが導入されている。数値計算の結果、この新しいモデルを採用することにより、多孔質材とリブ間の隙間がゼロとなった場合にも、吸音特性をほぼ正確に予測できることが示された。 続きを見る
63.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 音響インテンシティ法を用いた音響パワー評価に関する研究
佐藤, 利和 ; Satou, Toshikazu
学位授与年度: 1995
学位授与大学: 九州芸術工科大学
学位: 博士(工学)
学位種別: 課程博士
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概要: 我々は、多くの技術発展の成果を享受し、時にはそれに依存した生活を送っている。その一方で、その副産物である環境破壊にも直面している。音に関する環境破壊は、飛行機、新幹線、乗用車などの騒音問題として表面化しているが、日常生活に用いる機械類の騒音はその利便性の影に隠されている。その反省から、その品質保証項目の1つに騒音の表示を追加することが始められている。  その表示には、音響エネルギーの総量を捕らえる方法(音響パワー)と耳の代用として捕らえる方法(音圧)の2通りが存在する。ヨーロッパでは、音響パワーと音圧の両方の評価方法によって法規制している(EU指令)。音響パワーは国内でも事務機器の分野を中心に自主的に利用され始めているが、その本格利用には至っていない。  また、音響パワー評価(単位時間当たりの音響エネルギー評価)は、騒音の影響を事前調査するためにも本質的な量であり、音をエネルギー保存則に従って測定する方法であるため、騒音対策の有効な指針を提供するものである。  一方、近年の音響計測における技術発展の一つとして、2マイクロホン音響インテンシティ法(以下音響インテンシティ法)が利用され始めている。これは、近接する2マイクロホンを用いて音圧勾配から音響インテンシティベクトルの方向成分を測定する技術である。この手法は、原理的に任意の音場で音響パワー計測を実施できることから、その本格的な利用が期待されている。  このような背景から、本研究は、音響インテンシティ法による音響パワー計測手法(以下本手法)が騒音を伴う一般的作業現場における有効な音響パワー評価方法であることを理論・実験の両面から実証し、本手法による音響パワー計測の各種の利用方法について述べる。  第1章の序論では、本研究の背景および動機として、音響パワー評価の重要性および現状における本手法の問題点を整理している。特に、現場用として本手法のスキャン測定が有望であることを強調する。  第2章の音響インテンシティ法音響パワー計測の理論では、本手法の理論的背景および周辺パラメータとの関連を説明している。また、本手法が特殊な環境を必要としないことおよび外部騒音の影響を受け難いことなど、その基本的特徴を通常の作業環境(静かな事務室など)において実験的に検証した。  第3章では、本手法の特徴の1つである外部騒音の影響について詳細に述べている。対象音源の周囲に存在する外部騒音の影響を調べるために、スキャン測定の空間配置・寸法、対象音源と外部騒音の信号の性質やそれらの振幅による影響を調べた。新しい知見として、対象音源および外部騒音が定常または周期的間歇音である場合には、外部騒音を相対的に5dB程度まで増加してもその影響はわずかであることが分かった。これによって、外部騒音の伴う現場における定量的かつ有効な音響パワー計測の適用範囲が一段と拡大された。  第4章では、本手法の重要な適用例として、音響パワーによる吸音効果の評価を述べている。音源の近傍に置かれた吸音材の効果を、新しく提案する評価方法で調べた。その方法は吸音効果を音響パワーの減少(吸音パワー)として評価するものである。これによって、音源と吸音材までの距離に依存した特徴的な音響パワーの減少を観察した。新たに得られた知見は、この評価法が適用条件に依存した吸音材の効果を適切に表すということである。  第5章では、本手法を発展させた応用例を述べている。建築材料や事務機器・家電製品の部材の遮音性能の評価手法である音響透過損失測定に、本手法を有効に利用できることを示した。本手法によるスキャン平均技術を対象の試料面積から透過音響パワーの計測に適用できる。その新規性として、小面積試料の遮音性能を評価するために、小型残響箱と併用することで事務室などの一般的な環境において500Hz以上の周波数において簡便に評価できることを示す。  第6章では、本手法による騒音対策への具体的な適用を述べている。騒音源の部分面積から放射される音響パワー計測による評価方法を示す。特に、本手法によって騒音の発生原因を明確にするためには、対象に近い測定面の利用が有効であることを示す。しかし、非常に近い測定面では、単純な実寸面積による音響パワー計測の精度は低下する。この問題に対して、音響パワーに対する実効面積による補正方法(等価な音響パワ?を得る実効面積の導入)を初めて提案し、その効果を実験的に確認した。  第7章では、本論文の結論を述べている。環境に左右される従来手法に代って、音響インテンシティ法が騒音を伴う一般的な作業環境において各種音響パワーの計測に有効に適用できることを理論・実験の両面から実証し、その限界を追求した。さらに、独自に考案した評価方法(吸音パワー、透過損失の簡易測定、実効面積による音響パワーの補正)は、音響パワー評価を中心とした騒音対策技術の評価に役立つものである。本研究の成果は、簡便かつ有効な現場用音響パワー計測手法の確立に寄与するものと信じる。 続きを見る
64.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 随伴陰性変動(CNV)を用いた覚醒水準の評価方法に関する基礎的研究
樋口, 重和 ; Higuchi, Shigekazu
学位授与年度: 1996
学位授与大学: 九州芸術工科大学
学位: 博士(芸術工学)
学位種別: 課程博士
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概要: ヒトが何らかの意識的な活動を円滑に行うためには、脳がある範囲内の覚醒水準を維持していることが必要である。近年、夜間の労働や交代制勤務などの従事者を対象に覚醒水準の研究が行われている。そしてこれらの研究では特に覚醒水準の低下が問題視されている。一方、労働の場としての多くの人が働くオフィス環境において指摘されている様々なストレッサーは、必要以上に覚醒水準を増加させる可能性があり、この観点からも覚醒水準を評価する必要がある。  本論文では、脳電図(EEG)の中でも事象関連電位(ERP)に分類される随伴陰性変動(Contingent negative variation;CNV)に着目し、覚醒水準との関係について検討した。CNVは一対の予告刺激(S1)と命令刺激(S2)を一定の間隔で繰り返し披験者に呈示し、S2に対して運動反応を要求したときに出現する脳電位である。そしてCNVの特徴として、覚醒水準のあるレベルまでの上昇に対しては、CNV振幅も増加するが、覚醒水準が過剰に上昇するとCNV振幅は逆に減少する。即ちCNV振幅は、覚醒水準の変化に対して逆U字型の反応特性を示すことが報告されている。従来から覚醒水準とパフォーマンスの間の逆U字仮説はよく知られているが、これらの報告はCNVにも逆U字仮説が存在することを示唆する。また、著者の研究を含めた過去の研究から、このCNVに関する仮説は、パフォーマンスである反応時間に変化はみられない範囲でも成り立つことが推察された。本論文ではこの仮説を従来からの逆U字仮説に対して“新たな逆U字仮説”と呼び、さらにパフォーマンスに影響を与えない程度での高い覚醒水準を、過剰な覚醒水準になる前の状態として“余分な覚醒水準”と定義した。  従来からの覚醒水準の指標である自発脳波の周波数特性は、覚醒水準の上昇に対して速波化の反応というように一方向の反応しか示さないために、覚醒水準の高低の判断しかできなかった。しかし、覚醒水準の変化に対して逆U字型の反応を示すCNVを指標に加え、両指標から覚醒水準を評価することで、自発脳波からだけでは分からなかった余分な覚醒水準について評価が可能になると考えられる。そのためには、まず覚醒水準とCNV振幅の間の“新たな逆U字仮説”の検証が必要となる。したがって、本論文の目的は“新たな逆U字仮説”の検証と、課題遂行時の“余分な覚醒水準”を評価することにある。  その際、実際の作業現場において覚醒水準を変動させる要因として環境要因と課題要因が挙げられるが、この二つの要因から“新たな逆U字仮説”の検証が望ましい。そして、検証のための実験条件には、覚醒水準を段階的に変化させることができること、また反応時間に影響を及ぼさない範囲の条件設定が必要であることを考慮して、環境要因には刺激の強弱によって覚醒及び鎮静効果があり、段階的な条件設定が可能な光刺激を用いた。また、課題要因には段階的な覚醒水準の低下が予想される長時間連続課題を用いた。  最初に、環境要因である光の明るさによって変化する覚醒水準とCNVの間の“新たな逆U字仮説”について検証した。被験者の眼前に呈示する光刺激の明るさは、輝度で10cd/?、100cd/?、320cd/?、1000cd/?、1800cd/?の5条件とした。またCNV以外の覚醒水準の指標にはS1前のα波率(α波(8?13Hz)からβ波(13?20Hz)までの帯域パワー値に対するα波帯域の相対パワー値)を用いた。なおこのα波率はその値が小さければ覚醒水準が高いことを意味する。その結果、輝度の対数値とα波率の間には有意な負の相関がみられ、輝度の上昇に対して覚醒水準が上昇していることが示された。しかも、この覚醒水準の変化は反応時間に影響を及ぼさない範囲に納まっていた。CNVについては320cd/?において低輝度条件の10cd/?と高輝度条件の1000cd/?に比べて有意に高いCNV振幅を示した。これらの結果から、覚醒水準とCNV振幅の間の“新たな逆U字仮説”の存在が示された。そして、低いα波率から判断される高輝度条件における高い覚醒水準は、その時のCNV振幅が低いことから余分な覚醒水準と判断できた。  次に課題要因として用いた長時間連続課題による覚醒水準の変化と、CNVの間の“新たな逆U字仮説”について検証した。この長時間連続課題は200試行の単純反応課題からなり、約40分の時間を要した。また、CNV以外の覚醒水準の指標にはS1前のα波率と皮膚電位水準(SPL)を用いた。課題の繰り返しによりα波率の増加とSPLの減少により覚醒水準が低下した7名の被験者に関しては、覚醒水準の変化に対してCNV振幅は逆U字型の反応を示した。つまり前半の覚醒水準が高いときはCNV振幅は低く、中盤の覚醒水準が中程度の時にCNV振幅は最も高い値を示し、後半の覚醒水準が低いときは、前半と動揺に低い値を示した。しかも、パフォーマンスにその影響がみられなかったという点で“新たな逆U字仮説”の存在が示された。そして、高いSPL及び低いα波率から判断できる作業前半の高い覚醒水準は、その時の低いCNV振幅から余分な覚醒水準であったと判断できた。  以上、二つの実験結果から環境要因と課題要因による覚醒水準の変化と、CNV振幅の間の“新たな逆U字仮説”が証明された。そして、この仮説の証明によりCNVとS1前のα波率及びSPLを用いて相補的に覚醒水準を評価することによって、反応時間課題時の“余分な覚醒水準”に関する新たな評価方法が提案された。 続きを見る
65.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of A study on molecular mechanisms of the tumorigenesis, proliferation, and differentiation of oral squamous cell carcinoma : Possible invelvement of ΔNp63 — 口腔扁平上皮癌 の発生、 増殖および分化の分子機構に関する研究 : ΔNp63の関わりについて
松原, 良太 ; Matsubara, Ryota
学位授与年度: 2010
学位授与大学: 九州大学
学位: 博士(歯学)
学位種別: 課程博士
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概要: 悪性腫瘍は多用な細胞によって構成されているが、その中に正常細胞幹細胞と同様に自己複製能と多文化能を有するごく少数の細胞集団の存在が明らかにされている。その細胞集団は癌幹細胞(cancer stem sell : CSC) と呼ばれ、この細胞が異なった増殖能や文化段階にある細胞を生み出すことによって、不均一な腫瘍組織を形成している。またCSCは、正常組織幹細胞が形質転換することによって発生すると考えられており、近年、組織幹細胞特異的マーカーを用いて様々な癌組織において文理、同定されるるある。しかしながら、口腔扁平上皮癌(oral squamous cell carcinoma : OSCC)においてはその存在が示唆されているものの、同定までには至っていない。そこで、本研究では正常口腔粘膜の上皮幹細胞マーカーであるΔNp63に着目し、OSCCの発生や分化および増殖にどのように関与しているかについて検討を行った。 続きを見る
66.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of A study on a role of Sprouty2 in the palatal fusion — MAPK経路抑制因子Sprouty2が口蓋癒合に与える影響に関する研究
松村, 香織 ; Matsumura, Kaori
学位授与年度: 2010
学位授与大学: 九州大学
学位: 博士(歯学)
学位種別: 課程博士
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概要: 口唇口蓋裂は顎顔面領域で最も頻度の高い先天奇形のひとつである。その発症要因に関しては遺伝的要因と環境的要因からなる多因子閾説が有力であるが、現在も発症機序については明らかになっていない。Sprouty2 はmitogen activated protein kinase (MAPK) 経路により転写誘導されるネガティブフィードバック制御因子であり、近年口蓋裂発症との関連が示唆されている。 本研究では、マウスの口蓋癒合における Sprouty2 の役割を明らかにするために以下の検討を行った。 続きを見る
67.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 味覚情報の弁別機構とその分子基盤
宮内, 彩 ; Miyauchi, Aya
学位授与年度: 2010
学位授与大学: 九州大学
学位: 博士(歯学)
学位種別: 課程博士
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概要: 末梢の味覚受容器である味蕾は、さまざまな形態的、機能的特徴を持つ50~100個の味細胞から成り、これらが味覚(5基本味:甘味、うま味、苦味、塩味、酸味)の受容に関与する。味細胞は形態的にⅠ~Ⅳ型細胞に分類され、そのうちⅡ型細胞は甘味、うま味、または苦味の受容体候補分子を発現し、Ⅲ型細胞は酸味受容体候補分子を発現することが報告されている。よってⅡ型およびⅢ型細胞は、味覚受容細胞として機能すると考えられるが、その応答特性や味覚応答に関与する分子群の発現パターンには不明な点も多い。本研究では、Ⅱ型細胞が発現するGustducin、Ⅲ型細胞が発現するGAD67、甘味・うま味の受容体コンポーネントであるT1R3を指標として、これらを発現する味細胞の応答特性と味覚応答に関与する分子群の発現パターンを明らかとすることを目的とした。1)Gustducin発現細胞が緑色蛍光タンパク質(GFP)を発現する遺伝子改変マウス(Gustducin-GFPマウス)を用い、Gustducin-GFP細胞の基本味刺激に対する応答を調べたところ、これらの細胞には甘味、うま味、または苦味に対し高い応答特異性を示す3群が存在した。一方、GAD67発現細胞がGFPを発現する遺伝子改変マウス(GAD67-GFPマウス)を用い、GAD67-GFP細胞の基本味刺激への応答を調べたところ、酸味刺激に特異的応答を示す細胞と多種の味刺激に応答を示す細胞の2群が存在した。以上の結果は、Gustducin発現細胞(Ⅱ型細胞)は、甘味、うま味、または苦味受容細胞として、GAD67発現細胞(Ⅲ型細胞)は酸味受容細胞として機能し、味特異的な情報を味神経に伝え、多種の味刺激に応答を示すGAD67発現細胞は、味非特異的な情報を味神経線維に伝える可能性を示唆する。2) Gustducin-GFPマウスを用い茸状乳頭(FF)および有郭乳頭(CV)味蕾に存在するGustducin-GFP細胞(FF: 32個、CV: 25個)を採取し、Single Cell RT-PCRにより16種のGαサブユニットの発現を探索すると、Gα11(FF: 53%、CV: 73%) 、Gα14(FF: 31%、CV: 73%)、Gαi2(FF: 78%、CV: 96%) 、Gαq(FF: 48%、CV: 68%)、Gαs(FF: 72%、CV: 96%)の発現頻度が高かった。また、T1R3-GFP細胞がGFPを発現する遺伝子改変マウス(T1R3-GFP)を用い、T1R3-GFP細胞(FF: 9個、CV: 21個)におけるこれらのGαの発現を探索した場合にも、発現頻度が高かった[Gα-gust(FF: 100%、CV: 19%)、Gα11(FF: 33.3%、CV: 57.1% )、Gα14(FF:11.1%、CV: 81%)、Gαi2(FF: 66.7%、CV: 71.4%)、Gαq(FF: 66.7%、CV: 81%)、Gαs(FF: 88.9%、CV: 85.7%)]。以上の結果は、Gustducin以外にもGα11、Gα14、Gαi2、Gαs、Gαqが甘味、うま味、苦味受容細胞における細胞内情報伝達に関与する可能性を示唆する。また、GAD67-GFPマウスからGAD67-GFP細胞(FF: 28個、CV: 25個)を採取し、Single Cell RT-PCRにより酸味受容体候補遺伝子(ASICs、HCNs、PKD1L3/2L1、TRPV1) の発現解析を行った結果、PKD2L1(FF: 64%、CV: 28%)、PKD1L3(FF: 0%、100%)、HCN1(FF: 71.4%、CV: 12%)、HCN4(FF: 32.0%、CV: 4%)の発現頻度が高かった。これらの分子がGAD67発現細胞において酸味受容に関わる分子として機能する可能性を示唆する。以上、本研究の結果から、味蕾内でⅡ型細胞が甘味、うま味または苦味の受容を、Ⅲ型細胞が酸味の受容を担い、これらの味覚情報の弁別に重要な役割を果たすこと、また、その受容機構には複数の受容体・細胞内情報伝達経路が関与することが示唆された。 続きを見る
68.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 二相分離法を応用したLipopolysaccharideの精製と分類に関する研究 — Studies on Purification and Classification of Lipopolysaccharide with a Two-phase Separation System
菊池, 晴子 ; Kikuchi, Haruko
学位授与年度: 2011
学位授与大学: 九州大学
学位: 博士(歯学)
学位種別: 課程博士
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概要: リポ多糖(Lipopolysaccharide;LPS)はグラム陰性菌の外膜に存在する、疎水性のリピドA 部と親水性の多糖部分からなる両親媒性の物質である。LPS はエンドトキシンとしての活性を有し、ヒトや動物など他の生物の細胞に作用すると多彩な病原性示す。しかしLPS の構造や病原性は菌種間また株間によって違いがあり、それらがいまだ解明されていない菌も多い。個々の菌および株のLPS の構造や活性を調べるためには、それらのLPS を精製することが重要である。現在までLPS を精製する方法は数多く報告されているが、それらはコンタミネーションが多い、回収率が低い、時間がかかる、特別な器械が必要などの欠点がある。第1章では、非イオン性の界面活性剤であるTriton X-114 を用いた二相分離法を応用して簡便で迅速にLPS を精製する方法を検討した。二相分離法と は疎水性の違いで対象を分離する方法である。LPS に対して二相分離法を応用した報告には、Aida らの報告がある。彼らは、LPS とタンパク質の混合溶液に対して二相分離法を行ったところ、LPS は界面活性剤相へタンパク質は水相へそれぞれ分離することを明らかにして、二相分離法がタンパク質溶液からLPSを除去する方法として応用できると結論付けている。しかし、界面活性剤相に LPS 以外の物質(核酸やタンパク質)が含まれるかどうかの詳しい記述はなかった。そこで本研究では、界面活性剤相に効率よくLPS が回収できかつ核酸やタンパク質などの不純物は界面活性剤相に含まれない条件を吟味し、他の精製法と比較して二相分離法がLPS の精製に適用できるかどうか検討した。その結果、LPS を界面活性剤相に回収するためには、二相分離法前に抽出LPS を溶解する水溶液のpH 値が5.5 以下であることや二価陽イオンが存在しないことが重要であることが判明した。水溶液のpH 値が高い場合や高濃度の二価陽イオンが存在する場合は水相からもLPS が検出された。さらに他のLPS 精製法とのLPSの回収率や精製率の比較では、二相分離法によるLPS の精製は既存のLPS 精製法と同等の能力を示し、簡便で迅速な方法として有用であることが示された。第2章では二相分離法を用いることで高次構造が異なる LPS を分離できる可能性について検討した。LPS の表面はリン酸基によって負に荷電して、二価陽 イオンとイオン結合する。このような二価陽イオンと結合したLPS は高次構造が強化されて界面活性剤による解離に対して抵抗を示す。さらに二価陽イオンが結合したLPS はそうでないLPS とは病原性が異なるという報告がある。LPSに二価陽イオンが結合できるかどうかはリン酸基の構造に影響するため、リン酸基が修飾されている場合は二価陽イオンと結合しにくく、その結果LPS 自体の病原性が変化する可能性がある第1章では特定濃度の二価陽イオン存在下ではLPS が水相に存在した。これは水相のLPS が界面活性剤による解離に抵抗性を示したためと考えられ、構造的に二価陽イオンで強化されていると推察される。このことから二価陽イオンが存在する条件で二相分離法を行うと、二価陽イオンで強化されたLPS とそうでないLPS を分離することが可能であるという仮説を立てた。この仮説に基づいて歯周病原細菌であるAggrgatibacter actinomycetemcomitans (A. actinomycetemcomitans)に対して二相分離法を行い、二価陽イオン存在下でTriton X-114 に抵抗を示す水相のLPS が存在するのか、さらに水相のLPS のA. actinomycetemcomitans の株間での分布を培養時間毎に調べた。その結果、すべての株で両相のLPS が検出され、水相LPS の検出には試適 濃度の二価陽イオンが必要であることが判明し、さらに株間で培養初期での検出の有無に違いがありそれは血清型依存的であった。この結果A. actinomycetemcomitans が構造の異なる二種類のLPS を産生している可能性が示唆され、本研究は二相分離法が異なる高次構造をもつLPS を分離する方法となることを証明する研究の基礎となりうる可能性が示された。 続きを見る
69.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 紫外線対策としてのサングラス装着が色彩弁別に及ぼす影響 — Effects of wearing sunglasses, as a preventive measure against ultraviolet radiation, on the color discrimination
加來, 卯子 ; Kaku, Shigeko
学位授与年度: 2010
学位授与大学: 九州大学
学位: 博士(芸術工学)
学位種別: 課程博士
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概要: 近年、オゾン層が破壊され地上に届く紫外線の量が増え、紫外線による健康被害が懸念されてい る。紫外線のうち、UV-BはビタミンDを精製するなどの好影響もみられるが、一方で、日焼けの原因 や皮膚ガン、眼疾患などの悪影響を及ぼす。今後、紫外線対策として、帽子、衣服のみならず、紫外線防止用サングラスの装着も視野に入れることが必要である。特に、高齢者の場合、加齢による水晶体の変化、色彩誤認が危惧されるため、紫外線対策として効果的で、さらに色彩弁別にマイナスの影響を及ぼさないサングラスが望まれる。そこで、本研究では、まず、紫外線に関する意識や紫外線対策としてのサングラス装着の実態について明らかにし、さらに、人々が安全で快適な視環境をつくるという視点から、サングラス装着時における若齢者および高齢者の色彩弁別能力の実態を分析し、サングラスの色による色の見えの違いを明らかにすることを目的とした。まず、第1 章では、本研究の背景と目的について述べた。第2 章では、10~20 歳代の若齢男女、60~90 歳代の高齢男女計1000 名を対象に、紫外線に対する意識や対策の実態、紫外線対策としてのサングラス装着の問題点について、質問紙調査を実施した。紫外線に対する意識では男性より女性の方が紫外線は皮膚や目に良くないと思い、対策の重要性を認識していた。紫外線対策について、化粧品や日傘の使用は女性に、帽子の着用は高齢者に、サングラスの使用は男性に多くみられた。サングラスの装着率は、若齢者より高齢者が高く、有意差がみられた。装着理由は、「まぶしいため」が多く、世代別では、高齢者は「目の保護のため」、「紫外線防止のため」、若齢者は「おしゃれのた め」が多かった。サングラスを装着しない理由として、高齢者は、「周りの色が正しく見えにくい」など、装着に伴う安全性を問題視していた。安全で快適な視環境が望まれるため、今後、視覚特性に配慮したサングラスの提案が必要であると考察した。第3 章では、19~22 歳の女子学生20 名を対象に、100 hue test によるサングラス装着時における色彩弁別能力の実態を調査した。調査はD65 蛍光ランプを設置した装置内で行い、作業面照度を約5000lx とした。調査に用いたUV カット機能付きサングラスレンズの色はスモーク・ブルー・ブラウンで、Luminous transmittance は約40%である。100 hue test の総偏差点について、サングラス無しおよびサングラス3 種(スモーク、ブルー、ブラウン)の比較では、4群間で有意差はみられなかった。若齢者の場合、本調査で用いたレンズはサングラスとして色の弁別能力に問題はないといえる。2 群間の100 色相別偏差点の比較の結果からブラウンのサングラス装着時の若齢者の視環境は、高齢者の見えと似た傾向にあることが推察された。第4 章では、第3 章と同様の条件で65~75 歳の高齢者18 名を対象に色彩弁別能力の実態を調査した。その結果、100 hue test の総偏差点の比較では、サングラス無し群とブラウン群との間で有意差が認められた。高齢者はブラウンのサングラスを装着することによって色彩弁別能力が低下した。サングラス無しとサングラス3 種の2 群間の100 色相別偏差点の比較から、スモークのサングラスは高齢者の色彩弁別能力を低下させないが、ブルーのサングラスを装着すると同系色である青、青紫領域が識別しにくいこと、ブラウンのサングラスを装着すると高齢者が本来識別しにくい色領域がさらに識別しにくくなった。第5 章では、第3 章と第4 章の結果から、サングラス装着時における若齢者と高齢者の色彩弁別能力を比較した。100 hue test の総偏差点の比較では、スモーク、ブルー、ブラウンのサングラス装着時で若齢者と高齢者間で有意差が認められ、いずれも高齢者の総偏差点が高く、若齢者より高齢者の色彩弁別能力が劣っていることが明らかになった。次に、若齢者、高齢者の2 群間で100 色相別偏差点の平均値を比較したところ、サングラス無しでは紫~赤紫領域で、スモークでは黄緑と緑の中間、青緑~青領域で、ブルーでは青領域、紫~赤紫で、ブラウンでは青紫~紫を除く広範囲で有意差がみられ、高齢者群の偏差点が高く、これらの色相は高齢者が識別しにくいことが明らかになった。以上より、Luminous transmittance が約40%のサングラスでは、若齢者に比べて高齢者では見えにくい色領域が多く、特にブラウンで加齢による変化が著しかった。本研究では、高齢者がサングラスを装着した場合の色彩弁別能力はサングラス無しの場合より劣り、さらに、Luminous transmittance40%のサングラスでは、レンズの色により色彩弁別能力が低くなることが明らかになった。そこで、今後、Luminous transmittance の条件を変化させた場合、さらに、レンズの色を変化させた場合の見えについても検討する必要がある。 続きを見る
70.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of サウナによる生理・心理反応と看護への応用 — Physiological and Subjective Responses to Sauna Bathing and Applications in Nursing
宮園, 真美 ; Miyazono, Mami
学位授与年度: 2010
学位授与大学: 九州大学
学位: 博士(芸術工学)
学位種別: 課程博士
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概要: 本研究では、サウナ使用時の生理・心理反応を明らかにし、看護に応用するために、健常若年者への実験及び健常高齢者への実験を行い、基礎的資料を得た。また、その資料を基に、入院患者へのフットサウナを行い3 日間連用前後の睡眠評価を行った。第1 章では、本研究の背景、目的及び本論文の構成について示した。わが国の循環器医療領域ではサウナを温熱効果による末梢血管拡張作用を有効に使った温熱療法として活用しその研究が盛んである。血管拡張のみならず、その波及効果は、疼痛や疲労回復にも効果があるとされるが、看護において、科学的なエビデンスを基にしたサウナの活用は未踏の域である。そのため、今後、サウナによる温熱効果を積極的に活用し、看護へ応用するための可能性について考察し、今後サウナを看護へ応用するために必要な基礎的資料を得ることを本研究の目的とした。第2 章では、サウナを看護へ適用する際に必要となる基礎的資料を得るために、まず、健常若年者におけるサウナ使用時の生理・心理反応について検討した。使用するサウナは、今後、看護に応用することを考慮し、身体的負担の少ない、臥床体位で使用できる頸下ドーム型サウナ(以下ドームサウナ)とした。その後の温度条件を検討するために、ドームサウナの出力100%のレベルと出力50%のレベル(ドーム内温度約65℃)の2 条件を設定し、実験を行った。測定項目は、直腸温、熱補償法による深部体温(額)、心拍数、及び血圧であった。なお、その後の高齢者や入院患者への適用のために、熱補償法による深部体温(額)と直腸温との関連性についても検討した。またサウナ前後の体重測定、採血、実施中の温冷感、温熱的快適感についての主観申告についても調査した。その結果、出力レベル間の差は認められず、深部体温は約0.8℃上昇し、循環血液量の増加により収縮期血圧及び心拍数の上昇、拡張期血圧の低下が認められた。実験前後の体重測定では、810~840gの発汗が認められ、体重あたり約1.3%の脱水を認めた。血圧や心拍数の著変を伴うことなく入浴と同等の深部体温の上昇が見込まれること、サウナ温度約65℃で十分な温熱効果が望めることが明らかになった。第3 章では、入院患者や高齢者へサウナを適用するために、同設定で健常高齢者へ実験を行った。生理反応の結果は、若年者同様、深部体温が約0.8℃上昇した。末梢血管拡張及び末梢血管抵抗の低下により拡張期血圧の低下が認められたが、収縮期血圧の上昇には至らなかった。実験前後に測定した体重測定では、390~460gの発汗が認められたが、若年者の発汗量の約半量であり、予測以上に発汗量が少ないことがわかった。心理反応においては、サウナを使用した後はリラックスする傾向を認めた。第4 章では、心不全で入院中の患者に、フットサウナを用いた実験を行った。対象が入院患者であり、症状の増悪や治療の妨げとなる危険性があるため、より侵襲が少ない方法として、部分サウナの一つであるフットサウナを選択した。このサウナは、下腿全体を輻射熱で加温するため、通常の足浴以上に全身的な効果、特に睡眠の改善が期待できると考え、フットサウナ使用前後で睡眠状態がどのように変化するか検討した。生理・心理反応の測定は、3 日間のサウナ実施の初日に実施した。深部体温は熱補償 法で、最高0.4℃の体温上昇が認められた。心拍数、血圧の変動はほとんど認めなかった。この結果によって心不全患者であっても少ない心負荷で深部体温上昇を見込めるということが分かった。入院患者においても、リラックスする傾向は同様であった。睡眠は、OSA 睡眠調査票とセントマリー病院睡眠調査票、及びアクチグラフによる体動状況によって評価したところ、OSA 睡眠調査票の「夢見」、に有意差が見られた。心不全患者は、薬物の副作用で悪夢を見ることが多く、フットサウナの実施は睡眠の一助になったと考える。睡眠評価点数は全体的に改善しており、積極的な温熱効果を活用した看護の一環として今後も症例数を増やし検討を続けていきたいと考える。本研究を通して、サウナという通常の入浴以外の温熱効果の活用によって、健常若年者、健常高齢者及び入院患者の生理・心理反応を把握することができた。実験によって得られたサウナによる生理・心理反応は、温熱刺激と睡眠の関係におけるエビデンスとなる基礎的資料であり、入院患者の症状緩和や不眠の解消の様な具体的な援助として役立つものであると考える。今後の課題は、患者へのフットサウナを継続することで、長期間フットサウナを使用した場合の結果を検討することである。また、今回は睡眠に焦点化したが、今後は疲労や疼痛など、看護問題となる事象へのフットサウナにおける効果を検討していく必要がある。今後も、サウナによる温熱刺激を活用して対象のQOL 向上のための積極的な看護援助を研究していきたい。 続きを見る
71.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of ユーザーグループ間の評価のズレに着目した空間評価・診断システム構築に関する研究 — A Study on the spaces evaluation and diagnostic system focused on the value gaps among user groups
石橋, 伸介 ; Ishibashi, Shinsuke
学位授与年度: 2010
学位授与大学: 九州大学
学位: 博士(芸術工学)
学位種別: 論文博士
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概要: 本研究は,駅や港,街路,博物館などの身の回りの空間を対象として,作り手,送り手,使い手といった立場の違いや地元住民と旅行者といった地域性の違いといった異なるユーザーグループ間の評価のズレに着目し,そのズレを可視化することによってユーザーの潜在的なニーズや問題点を抽出し,実際の空間デザインのプロセスにおいて活用可能な空間評価・診断システムの構築を目的としている。筆者たちはこれまでにプロダクト製品を対象とした評価・診断システムの構築に関する研究を行っており,そこでの評価指標および評価手法の構築,評価のズレの可視化に対する考え方は本研究でも一貫しており,それを空間の評価に適用するため,新たな指標の追加や評価手法の調整を行うことで空間評価・診断システムの構築を行った。まず、空間評価に関する既往研究調査を実施し,これまでに調査研究が行われてきた空間評価の手法や観点について調査することで,本研究の位置づけを整理し,研究の意義と方針を明確にした。空間評価に関する既往研究は,街路空間における空間把握のプロセスを注視行動や回頭行動から分析した研究や空間要素と空間から受ける印象との関係についての研究,空間における迷い行動と空間要素との関係についての研究など様々な視点からの研究がなされていることが分かった。ただし,これらの研究は一般利用者による一元的な評価に留まっており,またある特定の空間のみを対象としており,空間に対する異なる立場のユーザーグループを比較し評価しようとする本研究の目的や,様々な空間に応用できる汎用性に研究の意義を見出すことができた。空間評価指標の構築では,空間に対してユーザーが感じる価値要素をセンテンスとして集め,評価指標の構築を行った。まず,建築やランドスケープ,街づくりなどの空間系の表彰制度の選評文,専門家向けおよび一般向け雑誌,ユーザーアンケートから空間の価値要素を前後の文脈がわかる短いセンテンスとして集め,それらを意味内容によって分解統合し,専門的な知識を持たない人でも理解できる内容に表現の平易化をすることで指標化を行った。さらに,ユーザー調査の専門家と一般ユーザーによるワードチェックによって指標の内容と表現を客観的にチェックすることで精度を高め,最終的には305指標を構築することができた。また,内容によって分類することで, 21カテゴリに分けることができた。次に,構築した評価指標を使ってプレ評価実験を実施し,評価手法の検討を行い,機能や空間構成によるエリア分けや自由記述欄,エリアマップの追加といった変更を加え空間評価に適した評価手法を構築した。次の段階として,地域性の違いに着目して,日本と韓国,中国の駅や港といった公共空間を対象とした評価実験を実施し,評価データの収集と分析を行った。その結果、韓国と中国で実施した2つの評価実験で共通した評価のズレが見られた。ひとつは地域性に対する評価,もうひとつはユニバーサルデザインに対する評価であった。まず,地域性に対する評価のズレの要因として,観光客などの初めてもしくはごくたまにその土地を訪れた人は,地元の人にとっては当たり前過ぎて気付かないものに対しても敏感に反応し,その多くはプラスの評価として好意的に受け入れられていることなどが考えられる。ユニバーサルデザインに関する評価のズレは,国によって一般生活者へのユニバーサルデザインの普及に差があることが考えられる。最後に、抽出された分析結果が実際のデザインプロセスにおいてどのように利用されるか,どういった効果があるのかを検証するためワークショップを開催し,抽出された評価のズレに対して,「なぜそのズレが生じたのか?」,「なぜズレなかったのか?」といったことについて議論することでズレの要因を探り,課題や問題点を設定し,そこから具体的な提案へと繋げる試みを行った。これにより,コンセプトの立案やアイディア展開などのデザインプロセスにおいて分析結果の効果を確認することができ,同時に,分析手法やワークショップ手法に対する課題も抽出することができた。以上,空間評価の価値要素を評価指標によって抽出し、それを用いた評価手法を構築することによって、異なるユーザーグループ間の評価のズレを可視化し,その要因を読み取ることのできる空間評価・診断システムを構築することができた。 続きを見る
72.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 慢性期統合失調症患者に対する音楽療法介入の研究 — A study of music therapy for chronic schizophrenia patients
浅野, 雅子 ; Asano, Masako
学位授与年度: 2010
学位授与大学: 九州大学
学位: 博士(芸術工学)
学位種別: 課程博士
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概要: 精神障害領域では古くから能動的な音楽療法を中心に実践が行われている.この音楽を治療媒体として精神障害者に用いることで陰性症状の改善や対人交流の賦活をもたらすとされている.このように,音楽が治療としての力を持つ可能性が指摘されつつあるが,研究領域においてはエビデンスの低さが否めない.医療の中で音楽を用いた治療的介入を行っていくためには,エビデンスを示していくことが重要である.このような実情を踏まえ,慢性期統合失調症患者に対する音楽療法の効果を,音楽療法の内容別に検証すること,我が国では未だ報告されていないランダム比較研究を用いた効果検証を行い音楽療法のエビデンスを示していくことを主目的とした.慢性期統合失調症患者に対し,音楽療法の中で多くの実践が行われている歌唱と合奏という異なる方法による介入の効果について,介入前後の比較と内容の違いによる効果の比較を両者の面から検証した.その結果,歌唱では精神症状を刺激する可能性があるものの発散的に次々と歌っていくことで気分を中心とした改善が得られ,合奏においては現実的で他者との協調性を要する訓練的な活動により精神症状の改善が得られ,作業遂行の向上が得られた.これらの結果から導入する音楽活動の内容が異なる場合に,異なった効果が得られるので,確かに音楽療法の効果はあると確認することができた.よって次に,慢性期統合失調症患者を対象に対照群と実験群を設定し,無作為抽出化による手法を用いて音楽療法の介入効果を検証した.実験群,対照群ともに薬物療法,看護,作業療法などを同等に受け,実験群に対して新たに音楽療法介入を行った.その結果,音楽療法介入前後において,認知機能の一つであるFABのF2知的柔軟性において有意な差を認めた.また,音楽療法介入の総合的効果を求めることを目的に,精神症状の評価であるPANSSと社会機能の評価であるREHABの下位項目の変化量を用いて主成分分析を行った.ここでは3つの成分が抽出され(第1成分:活動・対人交流,第2成分:精神機能,第3成分:日常生活動作),これらの結果から,対照群では大きな動きが見られなかったのに対し,実験群は各方向に対し大きい動き,すなわち改善と悪化の様々な方向への変化が得られた.以上から,音楽療法介入の効果は確かに認められるが,個人によって改善,悪化のいずれの効果もありうることが判った.個人により音楽療法の効果が異なることから,個人の音楽背景別による音楽療法効果の違いを検証した.先の音楽療法介入で得られた各種検査結果の変化量を分析対象として音楽背景別の比較検定を行った.その結果,実験群においてラジオで音楽番組を聴取する方はREHABの逸脱行動が改善し,日常的に歌唱を行う方はFABが改善するという結果が得られた.対照群では有意な差は認められなかった.この結果は,音楽療法により得られる効果は対象者の個人的音楽背景要因と関連することを示している.最後に,音楽療法介入により一部の認知機能の改善が示唆されたことから,音楽療法の効果をよりよく理解するため,音楽聴取が種々の課題遂行に改善をもたらすかどうかを検討した.この実験では,大学生に対して音楽条件の有無による認知機能検査を実施した.その結果,今回用いた認知機能検査では,大学生への音楽聴取の影響は見られなかった.しかし,個人の音楽背景別に検証を行うと,音楽の好みの程度の違いにより認知機能検査の成績が異なり,個人の音楽背景によって課題遂行に差異が生じた.よって,心理学的実験においても個人の音楽背景により結果が異なることが示され,個人の音楽背景を考慮することの必要性が認められた.慢性期統合失調症患者に対する音楽療法介入では,精神機能面,社会機能面,認知機能面における効果が認められた.しかし,個人の音楽背景によって変化の仕方が異なっていた.このことは,対象者の音楽背景に基づいた音楽療法の導入方法を考えていくことが,治療効果を高めることを示している. 全体として音楽療法の効果は確かに存在する.しかし,個人の音楽背景を考慮した治療法を確立することが重要であることが判った. 続きを見る
73.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of エコミュージアム概念に基づいた文化資源マネジメントに関する研究 — A Study on Cultural Resource Management Based on the Ecomuseum Concept
村上, 佳代 ; Murakami, Kayo
学位授与年度: 2010
学位授与大学: 九州大学
学位: 博士(芸術工学)
学位種別: 課程博士
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目次:
序章 0.1研究の背景と目的 0.2用語の定義 0.3研究の方法 0.4本研究の位置づけ 第1章 研究の枠組み 1.1文化資源・文化遺産概念による資産の把握 1.2文化資源保護の総合マネジメントとしての文化資源マネジメント 1.3文化資源マネジメント手法としてみたエコミュージアム 第2章 文化資源・文化遺産概念による資産の把握 2.1萩市におけるおたから・都市遺産概念による資産の把握 2.2サルト市における文化資源・文化遺産の抽出法 2.3小結 第3章 文化資源保護の総合マネジメントとしての文化資源マネジメント 3.1本章の目的と事例選定理由 3.2萩市における文化資源マネジメント「萩まちじゅう博物館」 3.3小結 第4章 文化資源マネジメント手法としてみたエコミュージアム 4.1エコミュージアムとしての萩まちじゅう博物館 4.2文化資源マネジメントとしてのサルト・エコミュージアム 4.3小結 結章 1.結論 2.今後の課題
序章 0.1研究の背景と目的 0.2用語の定義 0.3研究の方法 0.4本研究の位置づけ 第1章 研究の枠組み 1.1文化資源・文化遺産概念による資産の把握 1.2文化資源保護の総合マネジメントとしての文化資源マネジメント 1.3文化資源マネジメント手法としてみたエコミュージアム 第2章 文化資源・文化遺産概念による資産の把握 2.1萩市におけるおたから・都市遺産概念による資産の把握 2.2サルト市における文化資源・文化遺産の抽出法 2.3小結 第3章 文化資源保護の総合マネジメントとしての文化資源マネジメント 3.1本章の目的と事例選定理由 3.2萩市における文化資源マネジメント「萩まちじゅう博物館」 3.3小結 第4章 文化資源マネジメント手法としてみたエコミュージアム 4.1エコミュージアムとしての萩まちじゅう博物館 4.2文化資源マネジメントとしてのサルト・エコミュージアム 4.3小結 結章 1.結論 2.今後の課題
74.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 見えの主観評価に基づく織物のコンピュータグラフィックスの研究 — Research on Computer Graphics of Fabrics Based on Subjective Evaluations of Appearance
卓, 炫住 ; Tak, Hyun Ju
学位授与年度: 2010
学位授与大学: 九州大学
学位: 博士(芸術工学)
学位種別: 課程博士
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概要: 現在、織布のコンピュ-タグラフィックス(CG)の研究が盛んに行われている。それらの研究の多くでは、織布の材質や見え方をCGで表現するために、糸の光の反射特徴や織布の立体構造による織布表面からの反射の異方性に対応する双方向反射分布関数(BRDF: Bidierectional Reflectance Distribution Function) を計測したり導出して、織布の反射光を忠実にCGとして再現する方法が研究されている。これまでの研究の多くでは織物のフォトリアリスティックCGの描画方法が提案されているが、織布よりも織目が粗く、一見して織目が見えるような織物についての描画方法に関する研究はほとんどない。こういった織物のCG画像の描画方法が確立すれば、単に織物のCG画像を製作するだけでなく、実際に織物を織る前に、前もって出来上がりを画像で確認することができ、織物の製作に有効な補助手段となる。実験1では、織物をで本物らしくCGで表現するために、照明方向、観察方向や照明強度などの異なる場合のCGによる織物画像を作製し、さまざまな観察条件において実際の織物サンプル、織物の写真画像、及びCG画像を観察し、サンプル織物の見えを10点として写真およびCG画像の本物らしさを評価した。CG画像製作における反射モデルとしては、Blinn モデルを用いた。評価した結果、CG画像は写真よりも評価が低かったが、織り方においては、CG織物画像の朱子織が顕著に評価が低かった。これは、他の織り方より、組織が粗く、組織がよく見えるためであると考えられ、CG織物画像では糸の堅さが感じられたという報告と一致している。また、照明方向が0 度から90 度になると、写真画像とCG織物画像の評価ポイントの差が大きくなった。これは、CG織物画像が写真画像より暗く、結果として、明るさの差が大きくなったためである。色には、特に傾向がなかった。実験2では、実験1でCG画像の方が糸の堅さが感じられたと報告があったため、それぞれのサンプルにコントラストや明るさを与え、色の見え、質感、明るさなど本物らしさについて主観評価により測定し比較した。その結果、CG画像は写真よりも評価が低かったが、CG画像では、コントラスト140%をした画像よりも明るさを140%にした画像のほうが評価が高かった。コントラストにおいては、特に傾向がなかった。写真画像の場合は、いずれの織り方によっても、ほとんど変わらないが、明るさを増加させた時、照明角度に比例して評価の順序が上がった。この現象は、撮影するとき、ピントが少しずれるために起ったと考えられる。明るさやコントラストを変化させても、本物らしい表現は不十分であった。これは、実験2で得られた以上の結果から、Blinn モデルのみでは、織物の見えが再現できないことが示唆されている。また、実験方法においても、明るさとコントラストのみで順序を決める方法は、織物の具体的な印象を評価するためには不十分である。よって、より織物に適合した反射モデルと本物らしさを具体的に表す印象を評価できる実験方法の検討が必要と考えられ実験3を行っ た。実験3では表面反射特性を考慮した描画モデルとしてOren-Nayar モデルとOren-Nayar-Blinn モデルの2つのモデルを採用した。描画モデルの描画パラメータを変えて描画されたCG織物画像の見えを形容詞対を用いて被験者に主観評価をしてもらい、実際の織物に対する見えの主観評価と比較した。評価した結果、Oren-Nayar-Blinn モデルと Oren-Nayar モデルのいずれにおいても、CG織物画像において、Diffuse の値が大きいほど、またRoughness の値が小さいほどCG織物画像の評価がサンプル織物の評価と最も近くなることがわかった。さらに、描画パラメータのうちでも、Diffuse の値が主観評価に大きく寄与しており、Diffuse の値が大きいほど、見えの印象が明るく、柔らかく、滑らかになることがわかった。本研究において用いたサンプル織物、ソフトウェアーや実験装置などに依存している。特に、実験3では、木綿の白糸で実際に織られた白色のサンプル織物を比較対象として、CG織物画像の見えの主観評価を行った。しかし、織物の種類は豊富で、糸の材質や撚りの強さ、縦糸や橫糸の色、さらに織りの組織の違いによって、サンプル織物やCG織物画像の見えの評価もさまざまに異なると予想される。多くの種類の織物について、CG織物画像を描画するための共通した方法と個々の種類に特異な描画方法を明らかにしていくことが今後の課題である。 続きを見る
75.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of ナンタに見る韓国伝統音楽の現代化 — A Study on the Modernization of Korean Traditional Music in NANTA
李, 敬美 ; Lee, Kyoung Mi
学位授与年度: 2010
学位授与大学: 九州大学
学位: 博士(芸術工学)
学位種別: 課程博士
本文を見る:
概要: 韓国においては伝統音楽を忠実に「継承」することと同時に,その継承をもとに新たな音楽を創造しようという活動が1960年代から始まり,1970年代から活発になって現在に至っている。その活動を伝統音楽の「現代化」と呼び,その最も成功した例として,ノンバーバル・パフォーマンス「ナンタ」を挙げることができる。ナンタはホテルの厨房を舞台に繰り広げられる音楽劇であり,現代劇である。本研究の目的はナンタが韓国伝統音楽をいかに現代化しているかを明らかにすることである。研究の根幹をなすのは,ナンタをその原型となる韓国伝統音楽「プンムル」(風物)や,そのプンムルから派生した伝統打楽器によるアンサ ンブル「サムルノリ」(四物ノリ)との比較の観点から分析することである。ナンタそのものについての研究は,公演の記録の収集・整理・分析,そこに含まれる伝統音楽的要素の抽出,劇としての構造分析などが中心となった。サムルノリとプンムルそのものについての研究はフィールドワークが中心となった。それら以外の韓国伝統音楽及びその「現代化」の試みについての研究は,報道 記事や記録映像等の過去の資料を調査・分析することが中心となった。第1章では韓国伝統音楽の歴史と現状について論述した。特に日本の植民地 支配によって伝統音楽が存亡の危機にさらされた経緯を踏まえ,それがどのように継承されたのかについて調査した。韓国伝統音楽は宮廷音楽である「正楽」のみならず,庶民の音楽である「民俗楽」までもが国立国楽院や公設の音楽機関,多くの大学の国楽科などで継承されている。第2章では韓国伝統音楽がどのように現代化されてきたのかについてその実例を紹介した。その結果,支配階層によって変わることなく維持されてきた「正 楽」と,そこから派生して絶えず民衆によって変化されている「民俗楽」をともに「伝統」と見なしたことが伝統音楽の現代化を活発に推し進めている要因であることが明らかになった。第3章ではプンムル,サムルノリ,ナンタの相違点と共通点について大まかに紹介した上で,音楽,踊り,歌,軽業,演劇を含む総合的芸能であるプンム ルの演奏形態と地域性について論述した。特にプンムルの専門演奏家である「ナムサダン」(男寺党)を取り上げ,彼らの活動を通してプンムルの発展・継承について論述した。それを踏まえ,プンムルとサムルノリで用いられる伝統楽器のケンガリ,ジン,チャング,ブクの特徴を記述し,それらの楽器がナンタにおいてはどのような厨房器具に置き換えられているかを分析した。そのこと でナンタが伝統音楽の何を継承しているかの一端が明らかになった。第4章ではノンバーバル・パフォーマンスであるナンタを「劇」の側面から 分析した。ナンタに影響を与えた芸能として韓国の仮面劇タルチュムと欧米のノンバーバル・パフォーマンスについて論述した。その上で劇としてのナンタの独自性を,目標に向けてトラブルを克服していくという単純明快な筋書きが言葉を不要にし,音楽表現の重要性を高め,ダンスパフォーマンスを誘発し,コミカルな要素の導入を許容し,観客の劇への参加までを取り入れているところに見出した。第5章ではナンタにおける韓国伝統音楽的要素について分析を行った。特にナンタに取り入れられている韓国的感性の象徴とも言うべきリズム定型チャンダン(長短장단)が分析の主要対象となった。個々のチャンダンがどのようにナンタの中に取り入れられ,それが筋書きの進行にどのような彩りを添えているかを明らかにした。またナンタ全体の構成において,チャンダンに代表される伝統音楽の要素が,それ以外の音楽の要素,例えば現代的なダンス・ミュージックとどのように関連しているかを分析・考察した。 第6章ではナンタで見られる音楽以外の伝統要素について論述した。プンムルにおける儀式・舞踊・軽業などの総合芸能的要素がナンタにも取り入れていることが明らかになった。第7章では結論として,ナンタが韓国伝統音楽をいかに現代化しているかについて,次の5点を挙げることができた。(1)現代劇の中に伝統音楽を劇の構成要素として取り入れたこと,(2)伝統楽器を身近にある厨房道具に置き換えることで伝統音楽を身近なものとしたこと,(3)伝統音楽の基本となるリズム定型チャンダンを劇の進行に合わせて取り入れたこと,(4)儀式・舞踊・軽業などの伝統音楽が持つ総合芸能的要素を劇の進行に合わせて取り入れたこと,(5)伝統音楽における観客参加と同様の効果を出すために,観客を舞台上に呼び込むためのエピソードを劇の進行の中に取り入れたこと。すなわち,ナンタにおける韓国伝統音楽の現代化とは,長い時間を経て韓国の文化として根付くことになった「表現の枠組み」と「音に対する感性」を伝統から受け継ぎ,個々の事象を現代においてリアリティが感じられるものに置き換えることである。 続きを見る
76.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of Studies on interactions between Porphyromonas gingivalis and Aggregatibacter actinomycetemcomitans in their co-infection — Porphyromonas gingivalisとAggregatibacter actinomycetemcomitansの混合感染における相互作用に関する研究
髙﨑, 敬 ; Takasaki, Kei
学位授与年度: 2010
学位授与大学: 九州大学
学位: 博士(歯学)
学位種別: 課程博士
本文を見る:
概要: 歯周病は歯周組織の破壊を主たる病態としており、歯肉縁下プラーク中の歯周病原細菌に起因する感染症である(1、2)。プラークはその70% 以上が細菌の塊で、その中では数百種類を超える細菌がバイオフィルムを形成し存在している。歯周病は歯周病原細菌が歯周組織局所に付着し、バイオフィルムを形成して成長することで、発症し進行していく(3)。菌体外多糖からなるグリコカリックスによって保護されたバイオフィルム中の細菌は、抗菌物質や貪食細胞、免疫グロブリンに対して抵抗性を示して局所に長期に留まり、感染の慢性化、難治化を招くと考えられている(4、5)。近年では単独バイオフィルムに関する研究だけでなく、複数菌種と形成する複合バイオフィルムに関する研究も注目され始めたところである。歯周病の原因菌として、これまでに十数種類の好気性細菌(Actinomyces viscosus、 Actinomyces naeslundii など)や嫌気性細菌(Prevotella intermedia、 Aggregatibacter actinomycetemcomitans、 Porphyromonas gingivalis、 Treponema denticola、 Fusobacterium necrophorum など)が発症に深く関わっていると言われている(6)。なかでもPorphyromonas gingivalis は歯周炎の主要な原因菌として知られており、生理学的特性や病原因子などについて数多くの研究が報告されている(7‐11)。グラム陰性嫌気性細菌であるP. gingivalis は、細胞表面に線毛やリポ多糖(LPS)を有し、菌体表面や菌体外に強力なタンパク分解酵素を産生する特異な細菌であり、中でも線毛とジンジパインは本菌の付着やバイオフィルム形成において重要な役割を果たしていることが報告されている(12‐16)。P. gingivalis は、線毛の主要構成タンパクの一つであるフィンブリリン(FimA)の構成遺伝子fimA の塩基配列の違いによりI~V 型、およびIb 型の6 型に分類されており、fimA 遺伝子型と病原性との関連について多くの研究がされている(17、18)。一方、ジンジパインはP. gingivalis が産生する総プロテアーゼ活性の少なくとも85% を占めるシステインプロテアーゼであり(19)、そのペプチド結合切断特異性から、アルギニン残基のC 末端側を特異的に切断するArg-gingipain(Rgp)とリジン残基のC 末端側を特異的に切断するLys-gingipain(Kgp)の2つの酵素群に分類される(20、21)。ジンジパインはその酵素活性による歯周組織の破壊に関与するだけでなく、赤血球凝集能や線毛形成等にも関与し、上皮細胞への付着や他の細菌との共凝集にも関与するとの報告もある(22、23)。本菌のバイオフィルム形成因子に関しては、これまでに線毛やジンジパインが関連しているといういくつかの報告があるものの、未だ意見が分かれているところである(12‐16)。また、他の菌種との複合バイオフィルム形成におけるP. gingivalis の相互作用や関連因子についてはほとんど未解明の状態である。Aggregatibacter actinomycetemcomitans も重要な歯周病原細菌であり、これまでに多くの研究報告が得られている(24)。A. actinomycetemcomitans は外膜構成成分であるLPS のO 抗原多糖の構造の違いによりa からf の6 つの血清型に 分類されており、この血清型の違いが病原性の違いに関わると示唆されている(25)。A. actinomycetemcomitans もP. gingivalis と同様に、in vitro の実験において非生体面に単独のバイオフィルムを形成することがこれまでに多く報告されているが、複合バイオフィルム形成に関する報告はほとんど得られていない(26、27)。そこで本研究では、まず始めにP. gingivalis の単独バイオフィルム形成能について、特に線毛とジンジパインの関与について検討した。更に、P. gingivalis とA. actinomycetemcomitans との共培養下での複合バイオフィルム形成において、そのバイオフィルムの構造とジンジパインの役割について検討した(第一章)。バイオフィルム形成過程においては、表面への浮遊菌の付着から始まり、成熟すると菌同士がシグナルを出して増殖をコントロールしたり、チャネルを介して栄養源を取り込んだり、他菌の代謝産物などを利用することが知られている(4)。そこで本研究では、A. actinomycetemcomitans とP. gingivalis との混合感染において複合バイオフィルムを形成する際の、P. gingivalis の増殖への影響について検討するため、A. actinomycetemcomitans のP. gingivalis 増殖促進への関与について調べた(第二章)。 続きを見る
77.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of Development of Tissue Conditioners Containing a Photocatalyst Capable of Antimicrobial and Antifungal Effects — 光触媒を用いた抗菌・抗真菌能を有するティッシュコンディショナーの開発
内丸, 雅之 ; Uchimaru, Masayuki
学位授与年度: 2010
学位授与大学: 九州大学
学位: 博士(歯学)
学位種別: 課程博士
本文を見る:
概要: 本研究の目的は抗菌・抗真菌効果を有する光触媒を用いたティッシュコンディショナーの開発をすることである。ハイドロキシアパタイト結晶の一部のカルシウムをTi(Ⅳ)に置換した光触媒アパタイト(PHOTOHAP)を0 wt%、5 wt%、10 wt%、15 wt%、20 wt%含有する試料を作製した。試料作製後1 日、3 日、5 日、7 日、14 日後にEscherichia coli、Streptococcus mutans、Staphylococcus aureus、 Candida albicans に対する抗菌・抗真菌性の評価、抗菌・抗真菌効果の持続性、表面形状の経時的変化、さらに重量の経時的変化について検討した。抗菌・抗真菌性は、それぞれ菌液を試料上に滴下し紫外線を0 時間、2 時間、4 時間照射した後に計測した生菌数で評価した。表面形状の変化は走査型電子顕微鏡でおこなった。試料作製後1 日目において、10 wt%、15 wt%および20wt%含有試料での紫外線照射後の生菌数は非含有試料の生菌数に比べて有意に減少した。また、照射群試料の生菌数は非照射群試料のものと比較して有意に減少した。このことから光触媒を含有したティッシュコンディショナーは抗菌・抗真菌効果を有することが示唆された。抗菌・抗真菌効果の持続性に関しては、E. coliでは15 wt%、20 wt%試料において3 日目まで、S. mutans では10 wt%試料で3 日目まで、15 wt%、20 wt%試料では14 日目まで、S. aureus では10 wt%と15wt%試料では1 日目まで、20 wt%試料では3 日目まで効果が持続した。C.albicansに対してはすべての試料で1 日目まで効果持続する結果となった。表面形状の経時的変化 としては、時間の経過とともに、表面に分布する光触媒が減少し、光触媒の活性化が阻害されている可能性が示唆された。また、実験期間中において、重量の経時的変化はみとめられなかった。今後、実用化に向けて、抗菌・抗真菌能の増大や、抗菌・抗真菌効果能の持続性を向上させるための条件設定を検討していくとともに、材料の作製方法の改良をおこない、またその材料の抗菌・抗真菌効果、また機械的強度や操作性などの検討をおこなう必要がある。 続きを見る
78.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of PRIP(phospholipase C-related, but catalytically inactive protein)遺伝子欠損マウスの示す生殖関連ホルモンと骨形成制御に関する研究
堤, 康史郎 ; Tsutsumi, Koshiro
学位授与年度: 2010
学位授与大学: 九州大学
学位: 博士(歯学)
学位種別: 課程博士
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概要: PRIP(phospholipase C-related, but catalytically inactive protein, PRIP-1 と PRIP-2 の2つの型が存在)はイノシトール1,4,5-三リン酸と結合するタンパク質として発見された新規分子である。本分子の機能を解明するために PRIP 遺伝子欠損マウス(KO)マウスを作製して表現型を観察したところ、KO マウスのカップルでは出産回数ならびに一度の出産仔数が少ないことに気づいた。雌雄を入れ替えてカップルを作るという実験で、メスにその原因があることが分かった。そこで発情周期を観察したら、KO マウスでは発情期が長かった。次いで、連続する5?6日間にわたってゴナドトロピンの血中濃度を測定したところ卵胞形成ホルモン、黄体ホルモンいずれも恒常的に高値を呈し、明瞭な黄体ホルモンサージなどは観察されなかった。摘出した下垂体前葉を用いて、刺激によるゴナドトロピン分泌を測定したら KO マウスからのものは分泌量が多かった。しかし、ゴナドトロピン量に呼応して分泌量が増加するはずのエストロゲンやプロゲステロンといった性ステロイドホルモンは KO マウスではむしろ低値を示した。メスに観察された生殖機能の異常の詳細な機構は現時点では不明であるが、恒常的にゴナドトロピンが高値であることが一因であろう。この遺伝子欠損マウスの示したゴナドトロピンや性ステロイドホルモンの分泌異常は閉経後女性などに見られるホルモン・アンバランスに傾向が類似しており、骨粗鬆症といった骨組織の異常が予測された。したがって、KO マウスの骨組織について解析した。6,12ヶ月齢のメスより大腿骨を摘出し骨状態の3次元計測をしたところ、予測とは反対にいずれの月齢でも KO マウスにおける骨密度および海綿骨の骨量が増加していた。この増加がホルモンの影響によるものかを調べるために、8週齢のマウスを用いて卵巣を摘出し、8週間後に大腿骨の3次元計測を行った。野生型では著明な骨量の減少が見られたが、KO マウスでは明瞭な変化は認められなかった。次に、8週齢マウスの大腿骨の形態計測を行ったところ、KO マウスにおいて骨吸収パラメーターがやや亢進していたが、統計的有意を示す程ではなかった。一方、骨形成パラメーターは KO マウスで著明な亢進が見られた。そこで、新生マウスの頭蓋骨より調製した骨芽細胞の初代培養を用いて解析を行なったところ、KO マウスから調製したものでは骨芽細胞の分化能が高く、また、種々の骨芽細胞分化マーカー遺伝子の早期の発現を認めた。更に、Smad1/5/8 のリン酸化について検討したところ、KO マウスからのものでリン酸化レベルの延長を観察した。これらのことから、KO マウスでは骨形成が促進していると考えられた。この現象はホルモンの直接的な影響を受けていないことが示唆され、PRIP 自身が直接的に骨形成の制御を抑制していることが示唆された。 続きを見る
79.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of Effects of Laser Irradiation and Mechanical Stress on Odontogenic Cells and Tooth Regeneration — レーザー照射および機械的刺激の歯胚細胞と歯の組織形成への影響
中村, 直寿 ; Nakamura, Naokazu
学位授与年度: 2010
学位授与大学: 九州大学
学位: 博士(歯学)
学位種別: 課程博士
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概要: 歯の欠損に対する根本的治療は喪失してしまった歯を再生することである。しかし、歯の器官としての再生を医療に応用するためには、萌出機序の解明、大きさ・形態の制御、再生期間の短縮などの課題が残されており、完全に達成されていない。従って、現時点では欠損補綴治療として天然歯を支台としたブリッジや天然歯に維持を求めるパーシャルデンチャー、さらにはインプラント補綴が行われている。一方、外傷や先天的・後天的な歯の実質欠損は、金属、陶材、レジンといった人工材料でできた修復物により修復・置換されている。しかし、これらの人工材料には、天然歯の組織に比較し、生体親和性・審美性・機能性といった点において様々な課題が残されているのも事実である。本研究において、再生医療を歯科補綴臨床へ応用する一歩として、細胞組織工学的手法を用いた歯の構成組織、特にエナメル質の再生と歯科補綴装置への応用を目的として研究を行った。 続きを見る
80.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 口腔扁平上皮癌の治療法の選択基準に関する臨床的検討
矢内, 雄太 ; Yauchi, Yuta
学位授与年度: 2010
学位授与大学: 九州大学
学位: 博士(歯学)
学位種別: 課程博士
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概要: 口腔癌の発生頻度は、本邦における悪性腫瘍の1-2%と推定されている1。頭頸部領域の悪性腫瘍の約40%を占めるが、その複雑な解剖学的形態や機能的特殊性から、頭頸部癌としての一括の扱いにはなじまない場合もある。口腔癌のみを対象としたエビデンスレベルの高い臨床的研究は比較的?なく、他領域の癌に比べて標準的治療法の確立は進んでいないが、現時点で推奨される治療法が口腔癌診療アルゴリズムとして関係学会より提示されている2。原発巣に対する治療としては、根治的な化学放射線療法が選択される場合もあるが、現時点では外科療法を中心とした集学的治療が、特に進行症例においては標準的な治療法と考えられている。しかし、補助療法としての化学放射線療法の適応の時期(術前、術後)、適応症例の選択、そしてその有効性についての評価は様々である。また、重要な予後因子となる頸部転移に対する中心的な治療である頸部郭清術の適応(予防的頸部郭清の是非、適切な郭清範囲など)についても、施設により異なる方針がとられている。さらにこうした治療上の課題の検討にあたって、近年では患者の生活の質(QOL)に対するより一層の配慮が求められており、治療の根治性と低侵襲性との両立が重要である。本研究では、こうした論点に対して口腔扁平上皮癌の治療法選択のためのエビデンスを提示することを目的に、当科の症例をもとに臨床病理学的および臨床統計学的検討を行った。第一部では術前補助療法としての化学放射線療法の適応について、第二部では選択的頸部郭清術の適応について検討した。 続きを見る
81.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of A study on the expression and function of p75 neurotrophin receptor (p75NTR) in oral squamous cell carcinoma — 口腔扁平上皮癌におけるp75 neurotrophin receptor (p75NTR)の発現および機能に関する研究
清末, 崇裕 ; Kiyosue, Takahiro
学位授与年度: 2010
学位授与大学: 九州大学
学位: 博士(歯学)
学位種別: 課程博士
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概要: 癌は長期にわたる遺伝子変異の蓄積により発生するが、遺伝子変異が蓄積するためには長期間生体内に存在する細胞が必要となる。皮膚、肝臓、骨髄など多くの組織に存在している組織幹細胞は、細胞周期が遅いため長期間生体内に留まっており、分化の方向性が決まった細胞と比べ遺伝子変異を蓄積しやすいことから、癌の発生に関与する重要な細胞の1つとして考えられている。近年、癌組織にも組織幹細胞と同様の性質 (自己複製能、多分化能)を有する癌幹細胞 (cancer stem cell: CSC)が明らかになってきており、癌の形成?維持に関与していることが示唆されているが、その由来については明らかではない。しかし、組織幹細胞と同様の性質を有することから、組織幹細胞が癌化したものと考えられ、近年、組織幹細胞に特異的なマーカーを用いて様々な臓器の癌組織において分離、同定されつつある。しかしながら、口腔扁平上皮癌 (oral squamous cell carcinoma: OSCC)においてはその存在は明らかにされていない。そこで、本研究では正常口腔粘膜の上皮幹細胞マーカーであるp75 neurotrophin receptor (p75NTR)に着目し、OSCCの形成や分化および増殖にどのように関与しているかを検索した。そのため、まずOSCCおよびその前癌病変である口腔白板症 (oral leukoplakia: OL)の生検材料におけるp75NTRの発現を免疫組織化学的に解析し、上皮性異形成やOSCCの組織学的悪性度との関連について検討を行った。さらに、OSCC細胞株を用いて、その発現および機能について検討した。 続きを見る
82.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of A study on an involvement of cytokines, chemokines, and chemokine receptors in the pathogenesis of Mikulicz's disease — ミクリッツ病の病態形成におけるサイトカイン、ケモカイン、およびケモカインレセプターの関与にする研究
田中, 昭彦 ; Tanaka, Akihiko
学位授与年度: 2010
学位授与大学: 九州大学
学位: 博士(歯学)
学位種別: 課程博士
本文を見る:
概要: ミクリッツ病 (Mikulicz' disease: MD) は、涙腺や唾液の腫脹を特徴とし、病理組織学的類似性から、シェーグレン症候群 (Sjögren's syndrome: SS) の一亜型 として認識されてきた。しかし、 MD の腺腫脹は持続性であり、ステロイドが著効することなど、臨床的に SS と異なる所見も多い。また近年、 MD に高免疫グロブリン (Immunoglobulin: Ig) G4 血症や腺組織へのIg G4 陽性形質細胞の浸潤が認められることから、 MD は SS と全く異なった機序で生じる疾患あることが示唆されている。 近年「IgG4関連疾患」として、自己免疫性膵炎 (autoimmune pancreatitis: AIP)、原発性硬化胆管炎 (primary sclerosing cholangitis: PSC)、間質性腎炎、後腹膜繊維症などでも同様にIgG4 陽性形質細胞 の浸潤が認められることが報告されており、 MD も「IgG4 関連疾患」に加えることが提唱されている。そこで、 本研究では、MD の発症や病態形成のメカニズムをより明確なものにするために、 はじめに SS と MD の臨床像を比較検討した。 次いで病変局所に浸潤しているリンパ球の検索とT細胞によるサイトカン発現や、T細胞の浸潤や集積に関わるケモカインやケモカインレセプターの発現を比較検討することにした。最後にMD 患者におけるIgG4の産生に関連する分子の検討を行った。 続きを見る
83.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 遷移重力場における熱・物質移動現象に関する研究
有馬, 博史 ; Arima, Hirofumi
学位授与年度: 1998
学位授与大学: 九州大学
学位: 博士(工学)
学位種別: 課程博士
本文を見る:
目次:
1 緒言 2 微小重力実験施設 3 ステップ状重力変動場における局所加熱型密閉装置内の熱流動の過渡特性 4 ステップ状重力変動場における部分加熱型流通装置内の熱流動の過渡特性 5 連続的重力変動場に対する部分加熱型流通装置内の濃度場の過渡特性
1 緒言 2 微小重力実験施設 3 ステップ状重力変動場における局所加熱型密閉装置内の熱流動の過渡特性 4 ステップ状重力変動場における部分加熱型流通装置内の熱流動の過渡特性 5 連続的重力変動場に対する部分加熱型流通装置内の濃度場の過渡特性
84.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of ガス分離用多孔質無機膜の開発およびメタン水蒸気改質反応への応用に関する研究
柴, 茂栄 ; Chai, Mao-rong
学位授与年度: 1993
学位授与大学: 九州大学
学位: 博士(工学)
学位種別: 課程博士
本文を見る:
目次:
第1章 序論 第2章 高耐熱性多孔質アルミナ膜の開発 第3章 高い水素選択分離能を有する金属分散アルミナ膜の開発 第4章 金属分散多孔質アルミナ膜における水素の選択透過機構の解析 第5章 白金族金属分散アルミナ膜を用いて作製したメンブレンリアクターにおけるメタンの水蒸気改質反応への応用 第6章 メンブレンリアクターを用いたメタンの低温水蒸気改質反応における反応促進効果のシミュレーション 第7章 本研究の総括
第1章 序論 第2章 高耐熱性多孔質アルミナ膜の開発 第3章 高い水素選択分離能を有する金属分散アルミナ膜の開発 第4章 金属分散多孔質アルミナ膜における水素の選択透過機構の解析 第5章 白金族金属分散アルミナ膜を用いて作製したメンブレンリアクターにおけるメタンの水蒸気改質反応への応用 第6章 メンブレンリアクターを用いたメタンの低温水蒸気改質反応における反応促進効果のシミュレーション 第7章 本研究の総括
85.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of COMPARATIVE STUDY ON NUMERICAL METHODS FOR MAXIMUM LIKELIHOOD ESTIMATION AND DEVELOPMENT OF MLE-SYS SYSTEM — 最尤推定法のための数値解法の比較研究とMLE-SYSシステムの研究開発
道家, 暎幸 ; Doke, Hideyuki
学位授与年度: 1990
学位授与大学: 九州大学
学位: 理学博士
学位種別: 論文博士
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目次:
Chapter1 PRELIMINARIES Chapter2 UNCONSTRAINED METHODS IN NUMERICAL ANALYSIS Chapter3 CONSTRAINED METHODS IN NUMERICAL ANALYSIS Chapter4 COMPARATIVE STUDY ON NUMERICAL METHODS FOR ESTIMATING PARAMETERS OF NORMAL MIXTURE DISTRIBUTION Chapter5 COMPARATIVE STUDY ON NUMERICAL METHODS FOR ESTIMATING PARAMETERS OF MULTIVARIATE EXPONENTIAL DISTRIBUTION Chapter6 DESIGN AND DEVELOPMENT OF MLE-SYS Chapter7 APPLICATION OF MLE-SYS FOR ESTIMATING PARAMETERS OF LATENT CLASS MODEL Chapter8 FURTHER DISCUSSION
Chapter1 PRELIMINARIES Chapter2 UNCONSTRAINED METHODS IN NUMERICAL ANALYSIS Chapter3 CONSTRAINED METHODS IN NUMERICAL ANALYSIS Chapter4 COMPARATIVE STUDY ON NUMERICAL METHODS FOR ESTIMATING PARAMETERS OF NORMAL MIXTURE DISTRIBUTION Chapter5 COMPARATIVE STUDY ON NUMERICAL METHODS FOR ESTIMATING PARAMETERS OF MULTIVARIATE EXPONENTIAL DISTRIBUTION Chapter6 DESIGN AND DEVELOPMENT OF MLE-SYS Chapter7 APPLICATION OF MLE-SYS FOR ESTIMATING PARAMETERS OF LATENT CLASS MODEL Chapter8 FURTHER DISCUSSION
86.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of The Carbonization and Structural Analysis of Fullerene Related Materials — フラーレン類縁物質の炭化および構造解析
江頭, 港 ; Egashira, Minato
学位授与年度: 1998
学位授与大学: 九州大学
学位: 博士(工学)
学位種別: 課程博士
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目次:
Chapter1 Introduction Chapter2 Carbonization of C_6_0 and C_7_0 Fullerenes to Fullerene Soot Chapter3 Carbonization of Toluene Soluble Fraction of Fullerene Soot into Disk Chapter4 Structural Changes of Fullerene by Heat-treatment upto Graphitized Temperature Chapter5 Carbon Flameworks Produced in the Fullerene Related Materials Chapter6 Some Properties of Carbon Disk Prepared from Toluene Insoluble Fraction in Fullerene Soot Chapter7 Effects of Fullerene Addition on the Carbonization of Synthetic Naphthelene Isotropic Pitch Chapter8 Conclusions
Chapter1 Introduction Chapter2 Carbonization of C_6_0 and C_7_0 Fullerenes to Fullerene Soot Chapter3 Carbonization of Toluene Soluble Fraction of Fullerene Soot into Disk Chapter4 Structural Changes of Fullerene by Heat-treatment upto Graphitized Temperature Chapter5 Carbon Flameworks Produced in the Fullerene Related Materials Chapter6 Some Properties of Carbon Disk Prepared from Toluene Insoluble Fraction in Fullerene Soot Chapter7 Effects of Fullerene Addition on the Carbonization of Synthetic Naphthelene Isotropic Pitch Chapter8 Conclusions
87.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 非対称Langmuir-Blodgett膜の分子配向制御及び二次非線形光学効果
江良, 正直 ; Era, Masanao
学位授与年度: 1992
学位授与大学: 九州大学
学位: 博士(工学)
学位種別: 論文博士
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目次:
第1章 緒言 第2章 成膜分子の合成と分子超分極率の評価および水面単分子膜における成膜性、分子配向性の評価 第3章 非対称Langmuir-Blodgett膜の作製および分子構造と二次非線形光学効果 第4章 分子混合による配向制御および高効率二次非線形光学効果発現 第5章 非対称Langmuir-Blodgett膜の導波路デバイス化 第6章 総括
第1章 緒言 第2章 成膜分子の合成と分子超分極率の評価および水面単分子膜における成膜性、分子配向性の評価 第3章 非対称Langmuir-Blodgett膜の作製および分子構造と二次非線形光学効果 第4章 分子混合による配向制御および高効率二次非線形光学効果発現 第5章 非対称Langmuir-Blodgett膜の導波路デバイス化 第6章 総括
88.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of ポリアクリル酸塩の固相及び濃厚溶液における水和に関する研究
平岡, 教子 ; Hiraoka, Kyoko
学位授与年度: 1990
学位授与大学: 九州大学
学位: 工学博士
学位種別: 論文博士
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目次:
第1章 緒論 第2章 ポリアクリル酸塩の合成 第3章 ポリアクリル酸塩の濃厚溶液における部分モル体積 第4章 収着 第5章 重量法によるポリアクリル酸塩の結合水の定量 第6章 DSCによるポリアクリル酸塩の結合水の定量 第7章 結合水の存在状態-NMRによる検討
第1章 緒論 第2章 ポリアクリル酸塩の合成 第3章 ポリアクリル酸塩の濃厚溶液における部分モル体積 第4章 収着 第5章 重量法によるポリアクリル酸塩の結合水の定量 第6章 DSCによるポリアクリル酸塩の結合水の定量 第7章 結合水の存在状態-NMRによる検討
89.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of ギャロッピングの発生機構に関する研究
平田, 勝哉 ; Hirata, Katsuya
学位授与年度: 1993
学位授与大学: 九州大学
学位: 博士(工学)
学位種別: 論文博士
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目次:
1章 序論 2章 実験方法 3章 三つのギャロッピング 4章 ギャロッピングの発生機構 5章 ギャロッピングの消失機構 6章 ギャロッピングの発生と消失のまとめ 7章 ギャロッピングの防振対策 8章 結論
1章 序論 2章 実験方法 3章 三つのギャロッピング 4章 ギャロッピングの発生機構 5章 ギャロッピングの消失機構 6章 ギャロッピングの発生と消失のまとめ 7章 ギャロッピングの防振対策 8章 結論
90.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 七員環状共役化合物の特性を利用する機能性分子の合成と物性の研究
平山, 俊一 ; Hirayama, Shunichi
学位授与年度: 1991
学位授与大学: 九州大学
学位: 博士(工学)
学位種別: 課程博士
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目次:
第一章 序論 第二章 シアノ置換ρ-トロポキノン 第三章 トロポノイドジチオクラウンエーテル 第四章 トロポンの高圧環状付加反応 第五章 フェニル置換ビシクロ[3.2.2]ノナジエノン類の配座解析 第六章 総括
第一章 序論 第二章 シアノ置換ρ-トロポキノン 第三章 トロポノイドジチオクラウンエーテル 第四章 トロポンの高圧環状付加反応 第五章 フェニル置換ビシクロ[3.2.2]ノナジエノン類の配座解析 第六章 総括
91.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of ベクトルプロセッサの構成方式に関する研究
弘中, 哲夫 ; Hironaka, Tetsuo
学位授与年度: 1993
学位授与大学: 九州大学
学位: 博士(工学)
学位種別: 課程博士
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目次:
1 序論 2 ベクトルプロセッサ・アーキテクチャ 3 MSFV型プロセッサ 4 プロトタイプMSFV型プロセッサの命令セット・アーキテクチャ 5 プロトタイプMSFV型プロセッサの実現方式 6 MSFVアーキテクチャの評価 7 結論
1 序論 2 ベクトルプロセッサ・アーキテクチャ 3 MSFV型プロセッサ 4 プロトタイプMSFV型プロセッサの命令セット・アーキテクチャ 5 プロトタイプMSFV型プロセッサの実現方式 6 MSFVアーキテクチャの評価 7 結論
92.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 浮体式海洋構造物に働く粘性流体力の推定法に関する研究
星野, 邦弘 ; Hoshino, Kunihiro
学位授与年度: 1997
学位授与大学: 九州大学
学位: 博士(工学)
学位種別: 課程博士
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目次:
第1章 緒論 第2章 浮体式海洋構造物の要素部材に作用する粘性流体力 第3章 要素部材間の粘性流体力の相互干渉効果 第4章 粘性流体力に及ぼす尺度影響 第5章 粘性流体力に及ぼす表面粗度影響 第6章 要素浮体に作用する粘性流体力 第7章 浮体式海洋構造物の全体模型に加わる粘性流体力 第8章 浮体式海洋構造物の実機実験による粘性流体力の推定法の検証 第9章 浮体式海洋構造物の運動の推定法 第10章 結論
第1章 緒論 第2章 浮体式海洋構造物の要素部材に作用する粘性流体力 第3章 要素部材間の粘性流体力の相互干渉効果 第4章 粘性流体力に及ぼす尺度影響 第5章 粘性流体力に及ぼす表面粗度影響 第6章 要素浮体に作用する粘性流体力 第7章 浮体式海洋構造物の全体模型に加わる粘性流体力 第8章 浮体式海洋構造物の実機実験による粘性流体力の推定法の検証 第9章 浮体式海洋構造物の運動の推定法 第10章 結論
93.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 酸素イオン導電体デバイス用酸素電極材料の開発と電極反応の解析
井上, 高教 ; Inoue, Takanori
学位授与年度: 1991
学位授与大学: 九州大学
学位: 博士(工学)
学位種別: 課程博士
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目次:
第1章 序論 第2章 電解質材料における酸素分子の解離と酸素イオンの拡散 第3章 酸素センサの応答性に及ぼす電極材料の影響 第4章 ペロブスカイト型酸化物における電子および酸素イオンの輸送 第5章 酸素同位体交換反応法による電極/電解質界面の電極反応の解析 第6章 電極/電解質界面における酸素分子の還元と電極反応機構 第7章 交流インピーダンスによる電極/電解質界面の電極反応の解析 第8章 総括
第1章 序論 第2章 電解質材料における酸素分子の解離と酸素イオンの拡散 第3章 酸素センサの応答性に及ぼす電極材料の影響 第4章 ペロブスカイト型酸化物における電子および酸素イオンの輸送 第5章 酸素同位体交換反応法による電極/電解質界面の電極反応の解析 第6章 電極/電解質界面における酸素分子の還元と電極反応機構 第7章 交流インピーダンスによる電極/電解質界面の電極反応の解析 第8章 総括
94.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 一酸化炭素の水素化用担持鉄-コバルト-ニッケル系合金触媒に関する研究
石原, 達己 ; Ishihara, Tatsumi
学位授与年度: 1990
学位授与大学: 九州大学
学位: 工学博士
学位種別: 論文博士
本文を見る:
目次:
第1章 緒論 第2章 鉄-コバルト-ニッケル系合金触媒による一酸化炭素の水素化反応 第3章 COおよびH_2の吸着状態に及ぼす鉄-コバルトーニッケルの合金効果 第4章 添加物による一酸化炭素の水素化反応における生成物制御 第5章 コバルトーニッケル系合金触媒によるCO水素化に及ぼす担体酸化物の影響 第6章 コバルトーニッケル系合金触媒における複合酸化物の担体への応用 第7章 Co-Ni/MnO-ZrO_2触媒とゼオライト触媒との組合せによる一酸化炭素の水素化反応の生成物制御 第8章 本研究の総括
第1章 緒論 第2章 鉄-コバルト-ニッケル系合金触媒による一酸化炭素の水素化反応 第3章 COおよびH_2の吸着状態に及ぼす鉄-コバルトーニッケルの合金効果 第4章 添加物による一酸化炭素の水素化反応における生成物制御 第5章 コバルトーニッケル系合金触媒によるCO水素化に及ぼす担体酸化物の影響 第6章 コバルトーニッケル系合金触媒における複合酸化物の担体への応用 第7章 Co-Ni/MnO-ZrO_2触媒とゼオライト触媒との組合せによる一酸化炭素の水素化反応の生成物制御 第8章 本研究の総括
95.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 工業用有機リン酸エステル類の環境化学的研究
石川, 精一 ; Ishikawa, Seiichi
学位授与年度: 1992
学位授与大学: 九州大学
学位: 博士(工学)
学位種別: 論文博士
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目次:
第1章 緒論 第2章 環境試料中の有機リン酸エステル類(OPE)の分析法の開発 第3章 都市域における河川水,海水及び底質試料中のOPEの定量分析 第4章 OPE発生源の調査 第5章 水処理過程におけるOPEの挙動に関するモデル実験 第6章 結論
第1章 緒論 第2章 環境試料中の有機リン酸エステル類(OPE)の分析法の開発 第3章 都市域における河川水,海水及び底質試料中のOPEの定量分析 第4章 OPE発生源の調査 第5章 水処理過程におけるOPEの挙動に関するモデル実験 第6章 結論
96.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 高並列計算機ハードウェア構成法の研究
石川, 勉 ; Ishikawa, Tsutomu
学位授与年度: 1990
学位授与大学: 九州大学
学位: 工学博士
学位種別: 論文博士
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目次:
1. 序論 2. 並列計算機の結合方式 3. 階層化アレイアーキテクチャ 4. 分割パス結合付加型ハイパキューブアーキテクチャ 5. 高並列計算機の高信頼化に関する一般的考察 6. 2次元アレイ型のフォールトトレラント構成法 7. ハイパキュープのフォールトトレラント構成法 8. 超高並列計算機向きネットワーク"CCTcube" 9. 階層化2次元アレイ計算機のハードウェア設計例 10. 結論
1. 序論 2. 並列計算機の結合方式 3. 階層化アレイアーキテクチャ 4. 分割パス結合付加型ハイパキューブアーキテクチャ 5. 高並列計算機の高信頼化に関する一般的考察 6. 2次元アレイ型のフォールトトレラント構成法 7. ハイパキュープのフォールトトレラント構成法 8. 超高並列計算機向きネットワーク"CCTcube" 9. 階層化2次元アレイ計算機のハードウェア設計例 10. 結論
97.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of Generalization and Predicate Invention in Learning Logic Programs — 論理プログラム学習における汎化と述語発見
石坂, 裕毅 ; Ishizaka, Hiroki
学位授与年度: 1992
学位授与大学: 九州大学
学位: 博士(理学)
学位種別: 論文博士
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目次:
1 Introduction 2 Preliminaries 3 Least Generalization in Learning Logic Programs 4 Learning Primitive Prologs from Positive Facts 5 Model Inference with Predicate Invention 6 Learning Regular Languages 7 Learning Simple Deterministic Languages 8 Conclusion
1 Introduction 2 Preliminaries 3 Least Generalization in Learning Logic Programs 4 Learning Primitive Prologs from Positive Facts 5 Model Inference with Predicate Invention 6 Learning Regular Languages 7 Learning Simple Deterministic Languages 8 Conclusion
98.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of CATALYST DESIGN FOR THE SELECTIVE DESULFURIZATION OF 4,6-DIMETHYLDIBENZOTHIOPHENE — 4,6-ジメチルジベンゾチオフェンに対する選択的脱硫触媒の設計
礒田, 隆聡 ; Isoda, Takaaki
学位授与年度: 1996
学位授与大学: 九州大学
学位: 博士(工学)
学位種別: 課程博士
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目次:
Chapter 1 Introduction Chapter 2 HDS Reactivities of Alkyldibenzothiophenes in Decalin Chapter 3 Inhibition in the Desulfurization of 4,6-Dimethyldibenzothiophene by Aromatic Compounds Chapter 4 Coexisting Sulfur Compounds and By-product H₂S Gas as Inhibitors in Desulfurization Reaction of 4,6-Dimethyldibenzothiophene Chapter 5 Selective HDS of 4,6-Dimethyldibenzothiophene in the Dominant Presence of Naphthalene over Ternary Sulfide Catalyst Chapter 6 Selective HDS of 4,6-Dimethyldibenzothiophene in the Major Presence of Naphthalene over CoMo/Al₂O₃ and Ru/Al₂O₃ Blend Catalysts Chapter 7 Summary and Conclusions
Chapter 1 Introduction Chapter 2 HDS Reactivities of Alkyldibenzothiophenes in Decalin Chapter 3 Inhibition in the Desulfurization of 4,6-Dimethyldibenzothiophene by Aromatic Compounds Chapter 4 Coexisting Sulfur Compounds and By-product H₂S Gas as Inhibitors in Desulfurization Reaction of 4,6-Dimethyldibenzothiophene Chapter 5 Selective HDS of 4,6-Dimethyldibenzothiophene in the Dominant Presence of Naphthalene over Ternary Sulfide Catalyst Chapter 6 Selective HDS of 4,6-Dimethyldibenzothiophene in the Major Presence of Naphthalene over CoMo/Al₂O₃ and Ru/Al₂O₃ Blend Catalysts Chapter 7 Summary and Conclusions
99.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of チョクラルスキー結晶成長法における融液対流に関する研究
岩本, 光生 ; Iwamoto, Mitsuo
学位授与年度: 1994
学位授与大学: 九州大学
学位: 博士(工学)
学位種別: 論文博士
本文を見る:
目次:
第1章 緒言 第2章 Cz法によるすず棒の結晶成長実験 第3章 LEC法対流の可視化および数値解析 第4章 Cz法における水平方向磁場印加およびルツボ回転効果の数値解析 第5章 Cz法による氷の結晶棒の育成および数値解析 第6章 InSb融液内温度振動の測定 第7章 総括
第1章 緒言 第2章 Cz法によるすず棒の結晶成長実験 第3章 LEC法対流の可視化および数値解析 第4章 Cz法における水平方向磁場印加およびルツボ回転効果の数値解析 第5章 Cz法による氷の結晶棒の育成および数値解析 第6章 InSb融液内温度振動の測定 第7章 総括
100.
学位論文
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 電子ビーム・プラズマ系における不安定波動に関する研究
粕谷, 俊郎 ; Kasuya, Toshiro
学位授与年度: 1990
学位授与大学: 九州大学
学位: 理学博士
学位種別: 課程博士
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目次:
第1章 緒言 第2章 電子ビーム・プラズマ系における波動の分散特性 第3章 電子ビーム・プラズマ系における不安定モードの遷移 第4章 不安定波動のサブハーモニクスの観測 第5章 総括
第1章 緒言 第2章 電子ビーム・プラズマ系における波動の分散特性 第3章 電子ビーム・プラズマ系における不安定モードの遷移 第4章 不安定波動のサブハーモニクスの観測 第5章 総括