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1.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 細胞老化の分子機構解明及び老化を標的とした癌分子標的療法の開発 — Molecular targeted therapy by inducing cancer cell senesence
和氣 徳夫 ; WAKE Norio
研究期間: 2002-2006
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概要: (1)NECC1/HOP遺伝子機能解析:NECC1 KOマウスを作成し、胎盤における組織構築の変化を解析した結果、NECC1野生型に比し、KO胎盤では巨細胞の肥厚及び海綿状栄養膜細胞の発生障害が観察された。マウス胎盤におけるNECC1発現は一過性に認められ8.5-11.5dpcにのみ発現を認めた。マウストロホブラスト幹細胞さらには幹細胞としての性格を有するRCHO細胞を用い、様々な手段で分化を誘導し分化誘導におけるNECC1機能を解析した。NECC1は幹細胞から巨細胞への分化を負に制御していることが判明した。 一方NECC1はエストロゲン存在下におけるホルモン依存性癌の細胞増殖を負に制御した。E2により活性化したsrc/AkrシグナルはSRFに伝達され、NECC1はそれを負に制御するためであることを明らかにした。 (2)MDM2siRNAによるMDM2蛋白発現抑制のER発現(+)、MDM2蛋白発現亢進、p53野生型癌細胞を用いsiRNAによるMDM2蛋白発現抑制効果を解析した。MDM2siRNAはこれら癌細胞でのMDM2蛋白発現を顕著に抑制した。MDM2蛋白発現抑制に伴い細胞はGo/G1期に集積し増殖抑制が観察された。平坦化及び巨細胞化といった細胞形態変化が出現し、β-Gal陽性細胞も出現したためがん細胞老化が誘導されたと示唆された。 (3)SP1阻害剤MithramycinによるMDM2蛋白発現抑制;Mithramycinは抗白血病薬として米国での使用承認を受けている。最近転写因子SP1の阻害作用を保有することが判明した。SP1蛋白発現を抑制することによりMDM2プロモータ領域中のSP1結合サイトを介したMDM2蛋白発現を抑制する。Mithramycin(20-60nM)をp53野生型癌細胞に投与すると細胞はアポトーシスにより死滅する。SP1蛋白の低下及びp53蛋白安定化が観察された。MDM2蛋白量はMithramycinによるp53蛋白安定化を反映し増大した。MithramycinはMDM2P1プロモータ活性を抑制し、二次的にp2プロモータ活性を亢進した。P2プロモータ活性にはMDM2 G309T一塩基多型が関与していた。 続きを見る
2.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 細胞内アミロイドβ誘導性ニューロン死と家族性アルツハイマー病の分子メカニズムに関する研究
大八木 保政
研究期間: 2001-2002
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概要: 現在、アルツハイマー病(AD)脳におけるニューロン死の原因は、細胞外に沈着する不溶性アミロイド蛋白によると考えられており、その主成分はアミロイドβ蛋白42(Aβ42)である。しかし、我々は細胞内Aβ42がニューロン死に極めて重要な働きをすることを見出した。 我々は、大量に細胞内Aβを発現する実験系において、Aβ42過剰発現系でp53 mRNAの発現増加を認めた。Aβ42のプロモーター領域の、特に熱ショック反応領域にAβ42が特異的に結合することを見出し、さらに未知の核蛋白がAβ42のプロモーター結合能を調節していることがあきらかになった。一方、Aβ42によりp53過剰発現した細胞ではアポトーシスが誘導され、この現象はp53-dependentであり、細胞内Aβ42による細胞死の主要経路であると考えられた。さらに、このような神経細胞死がAD脳で実際に起こっているか検討するために、ヒト脳組織を用いて、ウェスタンブロット解析および免疫染色を行った。P53蛋白レベルはAD脳で約2倍に増加しており、二重免疫染色では少数のニューロンでAβ42とp53の沈着を認めた。電顕では、細胞内沈着Aβ42はあきらかなfibrilは形成していなかった。一方、アミロイド前駆体蛋白(APP)に変異を持つ家族性ADのモデルマウスを利用して、細胞内外のAβ42沈着の経時的変化を検討したところ、細胞外沈着よりも早期に細胞内Aβ42の沈着を認めた。このことは、ADのニューロン異常において細胞内Aβ42がより重要であることを示唆している。従って、特異的にp53カスケードを抑制する薬剤はADの治療に利用できる可能性がある。一方、p53経路以外にも家族性AD遺伝子異常に関連するストレス蛋白異常を2次元電気泳動によるプロテオーム解析により探索中である。現在、候補となる3種の蛋白を解析中であり、将来の治療法の開発につなげたい。 続きを見る
3.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 血管新生阻害剤を用いた胃癌転移抑制に関する新たな治療法の開発 — Basic research on antlangiogenic drug to prevent metastasls of gastric cancer
掛地 吉弘 ; KAKEJI Yoshihiro
研究期間: 2002-2003
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概要: 腫瘍組織が低酸素状態に陥った時、生き延びるために遺伝子(p53変異)と間質(血管新生)の変化をきたす。正常では血管新生を抑制するp53蛋白の異常発現と、低酸素状態で核内に移動して血管新生を促すhypoxia inducible factor(HIF)の発現を胃癌組織において調べ、両者の発現と癌の浸潤・転移および予後に与える影響が明らかになった。切除胃癌原発巣216例を対象にし、パラフィン包埋切片にp53,HIF1-α、vascular endothelial growth factor(VEGF)、CD31に対する抗体を用いた染色を行ったp53(-)HIF(-)(n=68),p53(+)HIF(-)(n=63),p53(-)HIF(+)(n=46),p53(+)HIF(+)(n=39)の4群に分けて検討した。p53(+)HIF(+)の群で、有意に未分化型が多く、リンパ管浸潤陽性例、リンパ節転移陽性例が多かった。VEGF陽性率も高く、腫瘍内血管数も高値を示した。各群の5年生存率は、p53(-)HIF(-);77%,p53(+)HIF(-);62%,p53(-)HIF(+):58%,p53(+)HIF(+):41%であり、p53(+)HIF(+)の群が有意に予後不良であった。Coxの多変量解析では、HIF1-α蛋白発現の有無が、リンパ節転移、探達度、肝転移、腹膜播種とともに独立した予後因子であった。胃癌が低酸素状態に陥ると癌細胞のHIFの発現を介して血管新生因子VEGFが誘導され、血管新生を促す。特にp53に異常が認められる場合は抑制が効かず、血管新生が盛んになった癌は浸潤・転移をきたしやすく、予後不良になると考えられる。一方食道癌114例の検討でも、HIF陽性例はVEGF陽性例が多く、静脈浸潤陽性例が多かった。VEGF陽性例の予後は陰性例に比べて有意に不良であった。 続きを見る
4.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 肺損傷・肺線維症の新たな病因としてのユビキチン・プロテアソームシステム — Ubiquitin-proteasome system in the molecular mechanisms of lung injury and pulmonary fibrosis
桑野 和善 ; KUWANO Kazuyoshi
研究期間: 2001-2002
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概要: 1.肺損傷・線維化におけるユビキチン・プロテアソームシステム ヒト肺線維症の生検組織において、ユビキチン及びmultiubiquitinの発現亢進が認められた。又、肺上皮細胞にアポトーシスが認められる。ブレオマイシン肺臓炎においては、上皮細胞にmultiubiquitinが検出された。肺上皮細胞はproteasome inhibitorによってアポトーシスに陥り、その際にmultiubiquitinが検出される。肺生検組織のWesternblotによってもmultiubiquitinは検出される。これらのことから、ヒト及びマウスの肺損傷、肺線維化には、上皮細胞のアポトーシスが関与し、その一因として、ユビキチン・プロテアソームの機能異常が関与していることが示唆された。 2.肺損傷・線維化におけるp53,MDM2,SUMO1の相互作用 肺線維症の上皮細胞にはP53,MDM2,SUMO1の発現亢進が認められる。肺組織のhomogenateのwestern blotでも確認された。また、マウス・ブレオマイシン肺線維症でも同様の所見が認められた。MDM2はp53のE3 ligaseでありubiquitinationによってp53を不活化する。SUMO-1はMDM2のself-ubiquitinationを制御する。p53,MDM2,SUMO1のお互いの結合が認められ、degradationが生じ、その過程にubiquitin-proteasome systemが関与していることを見いだした。P53による上皮細胞のアポトーシスにubiquitin-proteasome systemが関与していると考えられた。 続きを見る
5.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 細胞内アミロイドβの解析と家族性アルツハイマー病におけるその機能異常に関する研究 — Search for the proteins linked to Alzheimer's disease-specific neuronal death and application for the therapeutics.
大八木 保政 ; OHYAGI Yasumasa
研究期間: 2001-2002
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概要: 現在、アルツハイマー病(AD)脳におけるニューロン死の原因は、細胞外に沈着する不溶性アミロイド蛋白によると考えられており、その主成分はアミロイドβ蛋白42(Aβ42)である。しかし、我々は細胞内Aβ42がニューロン死に極めて重要な働きをすることを見出した。 我々は、大量に細胞内Aβを発現する実験系において、Aβ42過剰発現系でp53 mRNAの発現増加を認めた。Aβ42のプロモーター領域の、特に熱ショック反応領域にAβ42が特異的に結合することを見出し、さらに未知の核蛋白がAβ42のプロモーター結合能を調節していることがあきらかになった。一方、Aβ42によりp53過剰発現した細胞ではアポトーシスが誘導され、この現象はp53-dependentであり、細胞内Aβ42による細胞死の主要経路であると考えられた。さらに、このような神経細胞死がAD脳で実際に起こっているか検討するために、ヒト脳組織を用いて、ウェスタンブロット解析および免疫染色を行った。P53蛋白レベルはAD脳で約2倍に増加しており、二重免疫染色では少数のニューロンでAβ42とp53の沈着を認めた。電顕では、細胞内沈着Aβ42はあきらかなfibrilは形成していなかった。一方、アミロイド前駆体蛋白(APP)に変異を持つ家族性ADのモデルマウスを利用して、細胞内外のAβ42沈着の経時的変化を検討したところ、細胞外沈着よりも早期に細胞内Aβ42の沈着を認めた。このことは、ADのニューロン異常において細胞内Aβ42がより重要であることを示唆している。従って、特異的にp53カスケードを抑制する薬剤はADの治療に利用できる可能性がある。一方、p53経路以外にも家族性AD遺伝子異常に関連するストレス蛋白異常を2次元電気泳動によるプロテオーム解析により探索中である。現在、候補となる3種の蛋白を解析中であり、将来の治療法の開発につなげたい。 続きを見る
6.
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Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of DNA2重鎖切断修復機構の制御による難治性消化器癌に対する革新的治療戦略
佐伯 浩司
研究期間: 2010-2012
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概要: 細胞の核内ではさまざまなタイプのDNA損傷が常時引き起こされていることが知られているが、細胞生命の維持のためには速やかに修復されなければならない。また、DNA2重鎖切断修復系は、放射線照射、DNA架橋剤などの抗癌剤の感受性を規定する重要な経路である。これまで癌細胞においてDNA2重鎖切断に引き続いておこるLOHのメカニズムを詳細に調べた報告は少ない。 食道扁平上皮癌切除標本91例と細胞株10株を対象とし、ダイレクトシーケンス法によるp53遺伝子変異解析、p53遺伝子近傍のマイクロサテライトマーカーを用いたLOH解析を行った。さらにLOHの詳細なメカニズムを解析するため、CGH、FISH、SNP-CGHを行った。食道癌切除症例においてp53遺伝子変異を42例(46.2%)、LOHを47例(51.6%)に認めた。p53遺伝子変異症例では高頻度(73.8%)にLOHを伴っていた(p<0.01)。食道癌細胞株10株中4株にp53遺伝子変異を認めたが、すべてにおいて野生型シグナルが変異シグナルに完全に置換されていた。p53遺伝子領域のLOHの存在が示唆されたため、CGHにより遺伝子コピー数を解析したが明らかなコピー数減少を認めなかった。また、食道癌臨床検体と細胞株を用いてFISHを施行したところ、p53遺伝子変異を伴うLOHの大部分がコピー数変化を伴わないLOH(コピーニュートラルLOH)であることが明らかとなった。そのメカニズムについてSNP-CGHにて解析したところ、染色体不安定性がコピーニュートラルLOHの原因であることが示された。以上から、p53遺伝子変異を伴う食道癌においてはp53遺伝子座のコピーニュートラルLOHが癌発生の重要なメカニズムであることが示唆された(Saeki H et al.Clin Cancer Res, 2011) 続きを見る
7.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 核小体を起点としp53を制御する新規分子による細胞増殖制御機構
鈴木 聡
研究期間: 2010-2011
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概要: p53遺伝子を活性化する「核小体ストレス」の分子機構についてはいまだ多くが不明であった。一方、19q13にLOHをもつ腫瘍は、予後が圧倒的にいいことがわかっているものの、この責任遺伝子座は未だ同定されていなかった。 我々は、19q13にあり核小体に発現する遺伝子PICT1(GLTSCR2)がリボソーム蛋白質L11(RPL11)と結合して、RPL11を核小体につなぎとめていること、PICT1欠損によってRPL11が核小体から移動し、核質に豊富に存在するMDM2と結合して、そのユビキチンリガーゼ活性を顕著に抑制し、これによってp53が顕著に活性化すること、PICTIはES細胞の維持や個体発生に必須であり、PICT1による細胞周期停止や細胞死亢進はp53依存性であること、またPICT1発現の低下した食道がん、大腸がんでは予後が圧倒的に良いことを解明した。さらに核小体ストレスを引き起こす薬剤(アクチノマイシンD、5FU、ミコフェノール酸)はPICT1の発現を顕著に、また速やかに低下させることも見出した。 このように我々は、核小体ストレスによるp53上昇機構の一端を解明するとともに、がんの予後にも関わる遺伝子PICT1を見出し、Nature Medicineに報告した。本研究は、今後のPICT1の発現調節機能やRPL11とPICT1との結合阻害剤がp53を標的とする抗腫瘍薬になり得るものであること、またPICT1の発現程度の検討が癌患者の予後マーカーとして有用であることから、多くの新聞やニュースで広く報道された。 続きを見る
8.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 口腔癌のアポトーシス回避のメカニズム解明、その応用による遺伝子治療の検討
利谷 幸治
研究期間: 1998-1999
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概要: 正常細胞と腫瘍細胞の異なる点として、腫瘍細胞におけるアポトーシス回避のメカニズムに着目し、まず、複数の口腔扁平上皮癌、骨肉腫、1例の乳頭状嚢腺癌におけるアポトーシス回避に関する蛋白質を、免疫組織学的にの解析行った。その結果、扁平上皮癌、骨肉腫では、Bcl-2蛋白質が高率に発現し、アポトーシス抑制に関与していることが判明した。そこで、当科において樹立した細胞株におけるbcl-2遺伝子の発現を、RT-PCR法にて確認したところ、全例で陽性を示し、細胞株において不死化の機構に関与していることが強く示唆された。(これらの結果の一部を14thlnternational Conference on Oral and Maxillofacial Surgery(1999.4.26、WasingtonD.C)にて報告。) また、乳頭状嚢腺癌においては、アメリカの施設の報告と異なり、自験例ではBcl-2蛋白が陽性を示し、本腫瘍においてもBcl-2蛋白がアポトーシス回避に関与しているものと、推測できた。(これらの結果を第18回口腔腫瘍学会総会(2000.1.21、名古屋)にて報告。) ついで、アポトーシス促進に関与する分子が異常を起こし、作用しないためアポトーシスを回避しているのではないか、bax遺伝子の変異について検討した。しかし、30例の扁平上皮癌で調べたが、bax遺伝子異常を検出できなった。今後、ban遺伝子などの他の遺伝子について、さらに検討していく必要があった。 続きを見る
9.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of Yeast three-hybrid法によるp53分解に関与する分子の研究
畠山 鎮次
研究期間: 1998-1999
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概要: p53はE6とユビキチンリガーゼE6-APにより3量体を形成し、E6-APによってエビキチン化され、その後、プロテアソームにより分解を受ける。これは、HPV感染化での病理学的状況下であるが、生理学的にもp53はユビキチン化を介して、比較的短い半減期(t1/2=20分)で分解を受ける。よって、E6に相当する内因性分子が存在し、p53分解を調節している可能性がある。本研究は、E6に相当する内因性分子が存在すると仮定し、p53とE6-APと3分子複合体を形成する新たなる遺伝子をクローニングすることを目的とし、3分子が複合体を形成するときに、目的とする第3の遺伝子をクローニングする方法(Yeast three-hybrid法)を開発を行った。Yeast three-hybrid法は、p53の生理的分解機序のみならず、細胞生物学上において重要となる分子間結合を検索する画期的な手段となることが期待される。また、p53を始め、細胞周期を調節する分子(サイクリン、CDKインヒビターなど)の発現が合成のみならず、分解(特にユビキチン化)により制御されていることが報告され始めている。特に、酵母における先駆的研究により、Skp1/Cul-1/F-box蛋白複合体(SCF複合体)は、細胞周期をはじめ、さまざまな細胞機能に関与する分子の発現調節を行っていることが報告されている。我々は、酵母におけるアナロジーを利用して、マウスにおけるSkp1、Cul-1及び複数のF-box蛋白を同定した。我々がFWD1として同定したF-box蛋白は、免疫学上重要であるNF-kBの抑制分子であるlkBαと、大腸癌に関与するβ-cateninのユビキチン化、及び分解に関与していることが明らかとなった。この結果は、酵母以外の真核細胞におけるSCF複合体によるユビキチン化介在性分解の初めての報告となる。 続きを見る
10.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 胆嚢癌に対する遺伝子治療とテロメラーゼ測定の意義
小川 尚洋
研究期間: 1998-1999
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概要: 本年度は研究計画にのっとり以下の4点を中心に研究してきた。1)胆嚢癌細胞GB-d1へのP21及びp53遺伝子導入の証明:ウェスタンブロッティングにてp21遺伝子導入群におけるp21タンパクの発現とp53遺伝子導入群におけるp21の発現を伴うp53タンパクの過剰発現を認めた。2)GB-d1へのp21及びp53遺伝子導入のin vitroにおける増殖抑制効果及び死細胞率の増加:24well plateに50000/wellの細胞をまき48時間後に115840になった時点でp21及びp53遺伝子組換えアデノウイルスをmoi 100で感染させ遺伝子を導入し経時的に細胞数を測定した。感染3日後にはそれぞれ107640,107440となり無感染群の396000やコントロールウイルス感染群の264400と比較して有意に増殖を抑制した。同様な感染後,プロピディウムアイオダイドで細胞を染色しmultiple well plate readerを用いて蛍光光度を解析し死細胞率を経時的に測定した。感染3日後にはp21遺伝子導入群では18%,p53遺伝子導入群では24%と著明な死細胞率の増加を認めた。3)GB-d1へのp21及びp53遺伝子導入による細胞周期の変動:感染2日後のフローサイトメトリーによる細胞周期の解析において,p21遺伝子導入群では細胞周期のG1期停止を,p53遺伝子導入群ではsubGl領域の出現すなわちアポトーシスを認めた。4)GB-d1へのp21及びp53遺伝子導入によるテロメラーゼ及びTERTに対する影響:細胞1000個あたりのテロメラーゼ活性をTRAP法にて測定したところ,p21遺伝子導入群ではほとんど変化は無かったが,p53遺伝子導入群においては感染2日後で感染前の48%に,感染3日後には完全に抑制した。またテロメラーゼの触媒サブユニットでテロメラーゼ活性と相関があるTERTのメッセンジャーRNAをRT-PCRで測定し、p53遺伝子導入はTERTの発現を感染2日後に抑制することを認めた。以上より胆嚢癌に対するp21及びp53遺伝子治療は有効であると考え,またp53はテロメラーゼを抑制する因子の1つであることが示唆された。現在in vivoにおける研究を進めている。 続きを見る