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1.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 環状テトラピロール系金属錯体の特性評価と触媒反応への応用
有留 功
研究期間: 2003-2005
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概要: ポルフィセンは生体テトラピロール色素として知られるポルフィリンの構造異性体であり、その構造的特異性から新たな物性や機能の発現が期待されている。本研究では電解反応触媒への応用を念頭に、ポルフィセンCo^II錯体の酸化還元挙動および電解還元条件における反応特性を検討した。 サイクリックボルタンメトリーおよび定電位電解UV-visスペクトル測定の結果、非ハロゲン系溶媒中では環のπ電子系が可逆な2段階過程を経て還元され、それぞれCo^II-πアニオンラジカルおよびジアニンを生成することを明らかとした。一方、ハロゲン化アルキル存在条件においては第1還元過程が非可逆となり、Co^IIポルフィセンπアニオンラジカルとハロゲン化アルキルとの反応が示唆された。そこで、定電位電解UV-visスペクトル測定および^1H-NMRによる電解生成物の同定を行ったところ、光敏感性コバルト-炭素結合を有するアルキルコバルト錯体が生成していることが明らかとなった。さらに、スピントラップ実験により反応機構の検討を行った結果、アルキルラジカルの生成が確認された。このことから、Co^IIポルフィセンπアニオンラジカルからハロゲン化アルキルへの電子移動によるアルキルラジカル生成を経て、アルキルコバルト錯体が形成されていることを明らかとなった。ポルフィリン等の天然骨格の場合、電解還元条件におけるアルキルコバルト錯体の形成は求核性Co^I種を経由することが知られており、上記の結果はポルフィセン錯体の特異性を反映したものと言える。 続きを見る
2.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of ビタミンB12修飾電極による環境負荷物質の光駆動型超効率分解
久枝 良雄
研究期間: 2003-2004
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概要: 1)共有結合型及び非共有結合型ビタミンB12修飾電極を作製し、電解脱塩素化反応に成功していた。またビタミンB12錯体を触媒として用い、環境汚染物質であるDDTの分解反応にも成功した。さらに、光還元作用を示す[Ru^<II>(bpy)_3]^<2+>を用いることで、可視光照射により、Co(I)種の生成及びCo-C結合の開裂が可能となるクリーンシステムを構築した。その結果、DDTの98%が消失し、DDDが主生成物として71%の収率で得られた。暗所下やB12錯体なしでは反応はほとんど進行しなかった。本システムは、錯体触媒の活性化法として可視光のみを利用したクリーンシステムと言える。 2)酸化チタンの光照射により生成する伝導帯の励起電子は、-0.5V vs. NHE (pH7.0 H_2O)の還元力を有することが報告されており、この電位はビタミンB12錯体をCo(I)種へと還元することが可能である。そこで側鎖にカルボキシル基を有するビタミンB12錯体を合成し、酸化チタン表面に固定化したハイブリッド触媒を創製した。元素分析から見積もった錯体の固定化率は7.0x10^<-11>mol/cm^2であり、比較的高濃度で酸化チタン表面に固定化されていることが明らかとなった。このように調整したビタミンB12ハイブリッド酸化チタンをエタノールに懸濁し、紫外線照射(ブラックライトを使用)すると、Co(I)種の生成を示す暗緑色へと変化した。そこで、基質としてDDTを加え、光照射しながら反応させたところ、主生成物としてトリ脱塩素体であるDDAが得られた。ビタミンB12錯体を酸化チタン表面に固定化することで、好気性条件でもCo(I)種の生成が可能となり、脱塩素化・酸素添加反応が進行したものと推察される。 続きを見る
3.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 疎水性ビタミンB_類を触媒とした電気化学的新有機合成 — Novel Organic Synthesis Catalyzed by Hydrophobic Vitamin B_ Derivatives under Electrochemical Conditions
村上 幸人 ; MURAKAMI Yukito
研究期間: 1988-1989
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概要: 1.ビタミンB_<12>のコリノイド骨格周辺のアミド基を種々のカルボン酸エステル基に変換した疎水性ビタミン_<12>類を合成した。 2.基質としてマロン酸エステルのブロム化物を用い、種々の電位で疎水性ビタミンB_<12>を触媒とする反応を行い、エステル基が分子内1,2-転位する電解条件を見出した。また、マロン酸誘導体以外に、エステルのかわりにエチエステル、アシル、シアノなどの官能基を有する基質についても反応を行い、同様に電子吸引性置換基の1,2-転位が起こることを明らかにした。本研究での実験条件下における反応は触媒的に進行し、2時間でタ-ンオ-バ-数100以上の効率で転位生成物を与えた。種々の分光学的手法により電解反応機構を検討し、1,2-転位反応はアニオン中間体を経由して進行することを明らかにした。さらに、シアンイオンの添加によりヘテロリシス開裂が促進され、1,2-転位反応が効率良く進行することを見出した。 3.グラッシ-カ-ボン電極上で疎水性ビタミンB_<12>誘導体とエポキシモノマ-を反応させ、高分子被覆電極を作製した。作製した修飾電極に関して、FT-IR、蛍光X線、ESCA等により表面分析を行い、疎水性ビタミンB_<12>が電極表面上に固定化されていることを確認した。このビタミンB_<12>修飾電極を、用い、電極表面上の疎水性ビタミンB_<12>に対して、10^5ー10^6倍モルの基質を添加して電解反応を行った。均一系触媒反応と比較して基質の転化率は良くないが、転位生成物の比率の向上が観測された。電極表面上に固定化された疎水性ビタミンB_<12>を基準に評価するとタ-ンオ-バ-数が10^3-10^4となり極めて触媒効率が良い。また、均一系ではほとんど異性化反応が進行しない電解条件(中間体としてラジカルが生成する条件)でも転位生成物が得られた。これは、電極表面上の高分子膜による反応場効果によるものと考えられる。 続きを見る
4.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of コバルト-炭素結合を利用した有機合成反応 — Organic Synthesis Catalyzed by Cobalt Complexes with Co-C Bond
久枝 良雄 ; HISAEDA Yoshio
研究期間: 1995-1996
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概要: ビタミンB_<12>依存性酵素は炭素骨格の組み替え反応を含み、有機合成化学的観点から極めて興味深い。その活性中心はコリン環を配位子としたコバルト錯体であり、コバルト-炭素結合の開裂によるラジカル種の生成が本酵素反応の引き金となっている。本研究では天然のビタミンB_<12>を化学修飾した疎水性ビタミンB_<12>を合成し、これを用いたビタミンB_<12>酵素機能のシュミレーションを行った。またそのモデル錯体を用い、コバルト-炭素結合を利用した環状化合物の合成を試みた。 ビタミンB_<12>はN,N-ジメチルホルムアルデヒド中での電解により、容易にコバルト+1価に還元され、ハロゲン化物と反応してコバルト-炭素結合をもつアルキル錯体を形成する。そのアルキル錯体の光または電解によるCo-C結合の開裂により生成物が得られる。そこでビタミンB_<12>に特徴的な1,2-転位反応を環状化合物に応用し、アシル基の転位に伴う環拡大反応について検討した。5〜8員環化合物について電解反応を行い、-1.5V〜-2.0Vvs.SCEの条件で環拡大反応が効率よく進行することを見い出した。ESRスペクトル法による検討から、この反応がラジカル機構で進行しているものと結論した。 ラジカル種の生成を伴うこれらの反応をコバルト二核錯体を用いて行えば、2つのコバルト原子間を架橋したジアルキル錯体を経由して、コバルト-炭素結合の開裂による二端ラジカルを生成し得る。二核錯体のコバルト間距離が近ければ、この二端ラジカルは分子内結合し環状化合物が生成するはずである。そこで合成化学的に有用であるこの環状化合物の合成に焦点を当て、コバルト-アルキル錯体を鍵中間体とした新規有機金属錯体の開発を目指した。単核錯体としてCosta型錯体を用いて種々の反応条件を検討した結果、5員環化合物が生成する条件を見い出した。また、シッフ塩基を基本骨格とした新規二核化配位子を分子設計し合成したが、目標とした二核錯体を用いた反応について検討するには至らなかった。 続きを見る