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1.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 視床下部による生体警告情報の受容とその統御機構 — Integration of the biowarning information through the hypothalamic neuronal network.
清水 宣明 ; SHIMIZU Nobuaki
研究期間: 1988-1989
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概要: 生体は低血糖や飢餓などの急激な代謝変動、あるいはストレスなどの外因性刺激などにすばやく反応し、摂食行動、防御行動および内分泌・代謝系を調節することによりその恒常性を維持している。これら非常時における生体反応や行動変化には刺激の受容および統合部位としての中枢神経系が重要な役割を果している。視床下部は摂食をはじめとする本能行動や内分泌・自律神経系の高次中枢として機能し、内界情報と外界情報の総合部位として行動および内分泌・自律神経系に反映させている。本研究では各種ストレス状態によって引き起こされる恒常性維持のための生体防御機構を神経生理学、神経化学、行動薬理学的研究から体系的に究明しようとした。すなわち脳内物質の動的変化と視床下部ニュ-ロン変化を同時に平行して追求するものである。本研究によって以下の点が明らかとなった。(1)、短期の拘束ストレス(2時間)によってその後22時間にわたる有意な摂食抑制がおこる。この拘束ストレスが誘起した摂食抑制はセロトニン受容体拮抗薬であるメチセルジドで阻害できるが、短期(3時間程度)の阻害である。オピオイド受容体拮抗薬であるチロキサンは無効である。(2)、拘束ストレスによって脳脊髄液中および視床下部外側野(LHA)でセロトニン代謝産物である5-HIAA濃度が有意に増加する。(3)、LHAニュ-ロンの多くはセロトニンで放電活動が抑制され、メチセルジドで拮抗される。また拘束ストレス中、放電活動が抑制されるニュ-ロンが観察され、この抑制もメチセルジドの前投与により拮抗された。(4)脳内微小透析法によりLHA内セロトニン動態の詳細な分析が可能となった。以上の結果から拘束ストレスによって生ずる摂食抑制は、主に視床下部セロトニン系の賦活に起因すると考えられ、セロトニンが視床下部化学感受性ニュ-ロン群の活動を修飾することにより発現するものと考えられる。 続きを見る
2.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 視床下部ー小脳系による自律神経制御機構の解明 — Regulation of Autonomic Nervous System by the Hypothalamo-Cerebellar System
片渕 俊彦 ; KATAFUCHI Toshihiko
研究期間: 1989-1990
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概要: 1.研究目的:小脳室頂核(FN)を電気刺激すると頻脈をともなった昇圧反応以外に、摂食行動の誘発や血中のバゾプレッシン(VP)濃度の変化などが起こるがそのメカニズムは不明である。そこで視床下部の摂食中枢(視床下部外側野、LHA)および神経分泌細胞を含む室傍核(PVN)に対するFNからの神経入力様式、およびPVNやLHAから密な投射を受けている迷走神経背側運動核(DMV)におけるVPの作用を神経生理学的方法を用いて検討した。 2.方法および実験結果:(1)FNからLHAおよびPVNニュ-ロンへの入力様式。麻酔下のラットを用いて、FN刺激に対するニュ-ロン応答をヒストグラムによって検討した。その結果、摂食行動の制御の重要な役割を果たしているLHAのブドウ糖感受性ニュ-ロンおよびPVN神経分泌ニュ-ロンに対し、FNから単シナプス性に抑制性入力があることが明らかになった。(2)DMVニュ-ロンに対するVPの作用。DMVを含むラット脳薄切片標本を作成し、潅流液中にVPおよびアンジオテンシンII(AII)を投与しそれらの効果を検討した。その結果、VPはV_1レセプタ-を介した直接作用によって、9割以上のDMVニュ-ロンを興奮させ、AIIは単独では半分以上のDMVニュ-ロンに対して無効であるが、VPによる興奮作用に対して抑制性修飾を行っていることが明らかになった。 3.考察:本研究の結果から、FNからの情報が視床下部のニュ-ロン到達し、さらに脳幹の自律神経核へ伝達される可能性が明らかになった。すなわち、小脳系情報が視床下部による摂食や飲水などの本能行動を始め、神経内分泌および自律神経系を介した生体のホメオスタシス調節に深く関与していることを示唆している。 続きを見る
3.
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Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 活性物質による行動制御の可塑性と新しい研究方法の開発
大村 裕
研究期間: 1986
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概要: 脳内に存在する種々の生理活性物質が行動の発現および学習行動の成立過程において中枢神経細胞の可塑性にどのように貢献しているかを神経生理学的、薬理学的研究、脳組織の移植および突然変異を利用した遺伝子レベルで検討した。また無麻酔オペラント行動下の動物の神経活動や、情動行動に関連した脳内生理活性物質の時間的変動を測定する新しい方法を考案・開発した。大村はin-vivo voltammetry法を用いてラットの拘束ストレス後に起こる摂食抑制の一部が、負荷中の摂食中枢(視床下部外側野)におけるセロトニン放出の増加によることをを明らかにした。加藤はmicro brain dialysis法を用いて慢性ラットの脳内ドーパミンの代謝回転を定量的に測定した。小野は無麻酔ラットの音弁別学習行動中の視床下部ニューロン活動を記録し、摂食中枢に報酬や罰の識別に関与する可塑性学習ニューロンが存在することを示した。川村は脳室内にAF64Aを注入しコリンアセチルトランスフェラーゼ活性の失われた海馬に、中隔野のコリン作動性ニューロンを注入してその回復を観察した。最上は6-OHDA投与によるパーキンソン病マウスに同系マウス胎児の黒質細胞を移植すると機能が回復することを確認し、川村と共に脳組織移植による神経細胞の可塑性の発現に関する有力な実験的証拠と移植手技の確立に大きく貢献した。金子は魚類網膜から単離、培養した双極細胞において、アマクリン細胞からのGABA作動性フィードバック回路の存在を示した。堀田はショウジョウバエの神経系突然変異を利用して、ニューロンの分化とシナプス特異性の決定に関与する遺伝子の同定およびそのクローニングを行った。鈴木は随意運動制御の階層学習神経回路モデルを作成し、四肢を適応的に制御する神経回路の自己組織を取り上げ、その数学モデルの構成的研究方法によりシナプス可塑性の役割を理論的に解析した。 続きを見る
4.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 脳内生理活性物質定量化のための多機能バイオセンサーの試作とそのシステム化 — Multifunctional biosensors for analysis of brain functions with measurements of bioactive substances in the brain.
大村 裕 ; OOMURA Yutaka ; SHIMIZU Nobuaki
研究期間: 1986-1988
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概要: 本能および情動行動を含む行動の発現時には、大脳内においてそれぞれの行動に特異的おるいは互いに干渉し合う多くの回路が作動している。このとき種々の内因性生理活性物質が神経伝達物質として、あるいは神経伝達修飾物質として重要な役割を果たしている。大脳によるある特定の行動の制御機構を解明するためには、ある特定の行動時に作動する神経回路においてどのような生理活性物質がどのように作用しているかを定量的および経時的に分析する手法や機器を開発する必要がある。本研究目的は無麻酔・無拘束の動物の情動行動時に大脳特定部位から単一ニューロン活動を長時間記録しながら、その部位の神経伝達物質などの動態を測定し得るバイオセンサーを開発し、それらを一体化したシステムを完成することである。本研究ではカーボンファイバーを作用電極としてin vivoボルタメトリー法を用いセロトニン代謝産物である5-hydroxy-indole-ocetic acidを測定した。またセロトニン溶液を充填した電気泳動用微小ガラス電極をカーボファイバー電極と一体化し、ウレタン麻酔下ラットの大脳皮質中に刺入し、通電量と酸化電流量の関係を調べた結果、70×60nCまでの通電量と酸化電流量はほぼ直線関係を示し110×60nCで飽和した。以上の結果より、本研究で作成したカーボンファイバー電極はラット脳内で十分適用できると考え、さらに慢性ニューロン活動記録用の白金イリジウム線をカーボンファイバー作用電極と一体化し、ラット視床下部におけるセロトニン放出、ニューロン活動および摂食行動の関係を解析した。同時記録を行った30個のニューロン中、セロトニン放出の増加に同期して12個(40%)が活動高進を示した。本研究は生体内で起こる現象の物理変化と化学変化を同一部位で同時記録しようとする試みであり、脳分析装置への応用が期待できる。 続きを見る
5.
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Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of フィブロブラスト増殖因子の活性フラグメントの開発とその中枢神経作用の検索 — Development of active fibroblast growth factor and its CNS action
赤池 紀生 ; AKAIKE Norio
研究期間: 1987-1989
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概要: ヒドラを利用した細胞成長因子および関連物質の超高感度検出法(花井他、1987;花井1989)により、食後一過的に脳内で酸性型、塩基性型線維芽細胞成長因子(FGF)活性が増加することが見出された(花井他,1989)。そこで、FGFの脳内での摂食調節機構について様々の角度から検討した。高度に精製されたFGFを利用して抗FGF抗体を用意し、免疫組織化学法によるFGF分布、その動態を検討し、脳内に投与してその効果を検討した(大村他,1989)。また肥満との関係を明らかにするために、遺伝的肥満ラットFattyややせラットLeanを利用して、これらのブトウ糖投与に伴うFGF活性の変化も検討した。この結果、FGFは脳内で内因性摂食調節物質として働き、更に神経栄養因子として中枢神経系の維持にも重要であることが明らかになった。FGFのニュ-ロンレベルにおける作用機序を明らかにするため、視床下部に存在した行動制御に重要な役割を果している化学感受性ニュ-ロンの活動に対する作用を無麻酔および急性麻酔下ラットを用いて調べた。細胞外および細胞内電気現象の記録はテフロン被覆白金イソジウム電極とガラス管多連微小電極で行なった。その結果、FGFはラット視床下部外側野ニュ-ロンの活幼を抑制することがわかった。さらにFGFのこの部位のニュ-ロンへの直接作用をみるため、酵素と機械的処理でニュ-ロンを単離し、これにパッチクランプ法を適用して膜電位固定下に次の結果を得た。FGFは膜電位依存性Na、KやCaチャネルや興奮性アミノ酸による化学伝達には全く影響を与えなかったが、細胞内ATP減少によるGABA応答の減少を防止する作用が認められた。すなわち生体実験でみられたFGFによる視床下部外側野ニュ-ロンが活幼の抑制はGABA受容器へのFGFの賦活作用による可能性が示唆された。この他、視床下部その他脳部位のニュ-ロンの諸性質を明らかにできた(赤池他、文献参照)。 続きを見る
6.
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Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 脂肪細胞のエネルギ-調節機能における神経性因子とその受容体機構の解析
坂田 利家
研究期間: 1987-1989
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概要: 我々はこれまでエネルギ-代謝調節系の重要因子として摂食行動及び褐色脂肪組織(BAT)における熱産生機構をとりあげ、両者が視床下部を中心とする神経回路によって協調的に調節されていること、視床下部ヒスタミン行動神経系がその情報伝達に重要な役割を果たしていることを明らかにしてきた。本年度はこの視床下部ヒスタミン行動神経系が体温調節系にどのように関与しているのかについて解析した。その結果 (1)高温環境下のラットは摂食量が減少し、飲水量が増大する。高温環境にもかかわらず直腸温は一定に保たれる。以上のことは環境温変化時の行動変化が体温恒常性維持のための適応行動であることを示唆している。 (2)ラットの視床下部ヒスタミン含有量は適温である21℃環境温時に比べ、低環境温である4℃では低下し、高環境温の31℃では有意に増加した。視床下部カテコ-ラミン含有量及び大脳皮質ヒスタミン含有量は両温度で変化しなかった。 (3)ヒスタミン合成酵素阻害剤であるα-フルオロメチルヒスチジン(α-FMH)の前処置は、31℃高環境温時の視床下部ヒスタミン増大反応を減弱させた。α-FMHの投与は視床下部カテコ-ラミン含有量には影響がなかった。 (4)高温環境下で観察された正常ラットの摂食量低下反応及び飲水量増大反応は、α-FMH前処置による視床下部ヒスタミン量の減少によって有意に減弱した。 (5)正常ラットでは環境温の変化にもかかわらず一定であった直腸温が、α-FMH投与群では環境温の上昇とともに上昇した。すなわちα-FMH投与による視床下部ヒスタミン量の減少により、環境温変化に対する体温恒常性維持機構が障害されることを示している。以上視床下部ヒスタミン作動神経系は体温調節適応行動及び体温恒常性維持機構に関与しており、これらはこれまで明らかにしてきた摂食行動調節系及びBAT代謝調節と機能的に連動していることが考えられる。 続きを見る
7.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 末梢および中枢化学感受性システムによる階層性血液化学情報処理機構と摂食調節 — Control of feeding behavior and processing of hierarchial humoral information through the central and peripheral chemosensitive systems.
大村 裕 ; 奥門 信久 ; OKUKADO Nobuhisa
研究期間: 1985-1988
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概要: ラット血中に同定した3,4-dihydroxybutanoic acid(3,4-DB)、2,4,5-trihydroxypentanoic acid(2,4,5-TP)および2-buten-4-olide(2-B40)について、これらが内因性の摂食調節物質である可能性を検討し、以下の結果を得た。1)、正常摂食下のラット血中濃度は3,4-DBは100μM、2,4,5-TPは230μM、2-B40は3μMであるが、絶食時3,4ーDBは40μM、2,4,5-TPは100μMおよび2-B40は10μM上昇する。絶食時の2,4,5-TPの濃度は絶食12時間後に大きく上昇し、いったん低下の後、再び上昇する。3,4-DBと2-B40の濃度は絶食36時間以降に上昇が見られる。2)、第III脳室内投与後の摂食行動を調べた結果、3,4-DB、2-B40は摂食抑制、2,4,5-TPは促進性に作用する。3)、視床下部単一ニューロンに対する作用を調べた結果、3,4-DBはLHAブドウ糖感受性ニューロンの活動を抑制し、VMHブドウ糖受容ニューロンの活動を促進した。これらの作用機構はブドウ糖と同様であり、LHAニューロンではNa-Kポンプの活性化、VMHニューロンに対してはK^+の透過性減少によるものである。これとは逆に、2,4,5-TPはLHAニューロン膜を脱分極させ、VMHニューロン膜を過分極した。2ーB40は3,4ーDBと同様のメカニズムでVMHニューロンを脱分極した。3)、横隔膜下迷走神経刺激によって同定したNTSおよびDMVニューロンに対する視床下部からの投射様式を調べた結果、LHA、VMHの電気刺激はNTSおよびDMVニューロンにおいて興奮性初期応答を示した。 以上の結果より、これら有機酸は内因性摂食調節物質として視床下部化学感受性ニューロンの活動を調節して摂食行動を制御するとともに、遠心性にも末梢臓器の機能の調節に関与すると考えられる。 続きを見る
8.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 異性認知の情動過程
粟生 修司
研究期間: 1997
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概要: 本年度はヒト視覚的性嗜好性に及ぼす嗅覚およびエネルギー代謝の影響を調べ、さらにその脳内過程の一端をサル視床下部外側野で検討した。1)ヒトの視覚的性嗜好性の嗅覚およびエネルギー代謝依存性:自己ペースレバ-押し課題を用いて、視覚的性嗜好性を大学生(男子106名、女子30名)で測定した。ニオイやブドウ糖を負荷しない状態で、男性では36%、女性では25%が女性の画像を長く見た。男性の写真を長く見たのは男女各1名であった。香水存在下では、男性では女性をよく見る人数が有意に増加し、女性では逆に減少した。20gブドウ糖溶液摂取により、男性、女性とも女性の写真を長く見る人の数が減少した。嗅覚やエネルギー代謝情報が視覚的な性嗜好性に影響を及ぼしていることが明らかになった。2)サル視床下部外側野ニューロンの生殖関連嗅覚応答性とグルコース感受性:視覚、嗅覚、エネルギー代謝系のの情報の少なくとも一部は視床下部外側野に収束している。視床下部外側野ブドウ糖感受性ニューロンは非感受性ニューロンと比較して摂食に関連したニオイのアミルアセテート(バナナ臭)とスカトール(糞臭)に対してより有意に高い反応性を示すが、視覚応答性は逆に低かった。アミルアセテートに対して興奮性応答が多く、スカトールに対して抑制性の反応が多い。生殖に関連したニオイであるジャコウとtrimethylamine(TMA、腐敗臭/月経排泄物臭)の反応性を調べると、両群で応答率に差がなかったが、ブドウ糖感受性ニューロンは抑制される場合が多く、逆に非感受性ニューロンは興奮性を示す場合が多かった。視床下部外側野においては視覚、嗅覚およびエネルギー代謝情報は同じニューロンで処理されるというよりも、ブドウ糖感受性ニューロンでニオイとエネルギー代謝の情報が処理され、非感受性ニューロンで視覚と嗅覚情報が処理されている可能性が高い。 続きを見る
9.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 環境ストレス・生体警告情報の受容とその視床下部統御機構 — Hypothalamic modulation of the biowarning processes caused by the emotional stress
清水 宣明 ; SHIMIZU Nobuaki
研究期間: 1990-1991
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概要: 本研究は中枢性ストレス反応発現機構を明らかにするため、(1)情動ストレスによる視床下部神経機構を単一ニュ-ロンレベルおよび物質動態レベルで解析し、(2)情動ストレスに対する視床下部・免疫系連関の神経機構を解析した。本研究によって得られた研究成果を以下に概略する。(1)ラットの短期拘束ストレスによってその後の摂食量が有意に抑制され、この抑制はセロトニン受容体拮抗薬であるメチセルギドによって有意に減弱した。インビボボルタメトリ-法と慢性ニュ-ロン活動記録実験から、拘束ストレス時視床下部外側野のセロトニン代謝産物(5ーHIAA)の増大とニュ-ロン活動の抑制が起こることが明かとなった。(2)脳マイクロダイアリシス法を視床下部外側野でのセロトニン測定に適用し、(a)灌流液中のK^+濃度に依存して放出量が増加すること、(b)Ca^<2+>を除去したリンガ-液の灌流では放出されないこと、(c)縫線核の電気刺激により放出量が増大することなどを確認し、無麻酔・無拘束ラットでの視床下部外側野セロトニン測定技術を確立した。さらに本方法を用いて拘束ストレス時視床下部外側野でセロトニン遊離の有意な促進が起こり、これはdiazepamの前投与(1mg/kg,i.p.)で著しく抑制されることを明らかにした。(3)本研究で確立した微小透析法を臓器微小透析法へと応用し、ラット拘束ストレス負荷後に起こる脾臓NAの経時的変動を解析した。拘束ストレス開始後脾臓NA濃度はすみやかに上昇し始め、拘束開始後20分で拘束負荷前の基礎遊離量の約8倍まで増大した。この拘束ストレスによってひき起こされる脾臓NAの増大はあらかじめ脾臓交感神経を切除することによりほぼ完全に阻害することができた。以上の結果は拘束ストレスによって脾臓交感神経終末からNAの放出がおこり、免疫担当細胞(NK細胞)の活性を抑制する可能性を示唆する。 続きを見る
10.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 脳内寿命促進機構とその調節因子の解明
粟生 修司
研究期間: 1999-2000
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概要: 寿命は肥満の有無ならびに糖代謝や性ホルモン分泌動態と密接な関連があり、学習記憶機能とも相関する。また、老化と学習記憶過程でカルシウム代謝が重要な役割を果たす。さらにこれらの事象すべてに性差が存在し、発達期の性ホルモン環境が重要な役割を果す。本年度は、1)寿命促進効果を示す酸性線維芽細胞成長因子(aFGF)と学習機能との機能的連関を調べ、2)寿命および学習促進機構が存在する視床下部外側野外側野が産生するオレキシンの生理作用を調べた。さらに、3)環境エストロゲン様物質の学習機能の性分化におよぼす影響を調べた。 1)海馬にブドウ糖を微量投与すると、空間学習が促進した。この効果はaFGF受容体(FGFR1)抗体の前処置で減弱する傾向があり、aFGFがブドウ糖依存性学習促進機構に関与することを見出した。 2)オライド・ラクトン系摂食抑制物質である2-buten-4-olideは空間学習を促進した。この効果は酸性線維芽細胞成長因子の抗体を側脳室に投与しておくと消失した。 3)短寿命でレプチン受容体異常を示す遺伝的肥満動物のZuckerラットおよびdb/dbマウスは空間学習及び海馬長期増強の障害があり、カルモジュリンキナーぜIIおよびNMDA受容体のMg依存性に異常があることを明らかにした。 4)摂食促進物質のオレキシンを側脳室に投与すると空間学習及び海馬長期増強を抑制する。しかし、受動的回避学習を促進した。不安情動には影響を与えなかったが、侵害受容を抑制した。 5)環境内分泌撹乱化学物質のビスフェノールA及びトリブチルスズの胎児期および授乳期暴露で探索行動や学習学習の性分化が抑制され、さらにノルアドレナリンニューロンが局在する青斑核の性分化が障害されることを見い出した。 続きを見る