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1.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 脳血管攣縮-新たな血小板由来mediatorを介するrhoの関与- — The role of platelet-derived spasmogens and Rho/Rho-kinase pathway in the pathogenesis of cerebral vasospasm.
佐々木 富男 ; SASAKI Tomio
研究期間: 2002-2004
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概要: 我々は,まずウサギクモ膜下出血モデルを用いて、Rho/Rho-kinase経路を活性化させる物質であるトロンビンについて研究した。クモ膜下出血状態ではトロンビン受容体の発現が異常亢進し、トロンビンによる過剰収縮反応が引き起こされることを世界で初めて明らかにし、さらにトロンビン受容体の脱感作の障害もその過剰収縮反応に関与していることを証明した。次に、Rho/Rho-kinase経路の活性化、つまりCa^<2+>感受性亢進による脳血管平滑筋の収縮機序を、ウシ中大脳動脈を用いて研究した。脳血管攣縮の原因物質の一つと考えられているトロンボキサンA_2は、収縮蛋白のCa^<2+>感受性の亢進を伴う持続収縮を引き起こした。このCa^<2+>感受性の亢進機序としてMLCリン酸化に依存した機序と、MLCリン酸化に依存しない機序が存在した。つまり脳血管攣縮におけるRho-kinaseの活性化は、MLCリン酸化依存性および非依存性収縮を引き起こしている可能性を示唆するものである。そして、Rho-kinase阻害剤はこれら2つの機序をどちらも抑制した。さらに、ウシ中大脳動脈に酸化ストレスを負荷すると、血管平滑筋にブラジキニン受容体が強制発現され、Rho/Rho-kinase経路を介した収縮が発生すること,また酸化ストレスが血管の内皮依存性弛緩反応を消失させることを明らかにした。このことから酸化ストレスが脳血管攣縮の発生過程に強く関与していることが改めて示唆された。以上のように、我々はRho/Rho-kinase経路の活性化が様々な形で脳血管攣縮の病態のメカニズムに重要な役割を果たしていることを示した。特に、トロンビン受容体は今後の脳血管攣縮の新たな治療標的になりうることがわかった。 続きを見る
2.
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Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of p27^新規アイソフォームによる血管系細胞の細胞周期制御機構の解明 — Elucidation of the Mechanism for the cell cycle regulation by a novel isoform of p27^ in the vascular cells
平野 勝也 ; HIRANO Katsuya
研究期間: 2001-2002
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概要: 血管内皮細胞からサイクリン依存性キナーゼ阻害因子p27^<Kip1R>の新規アイソフォームを同定した。新規アイソフォームは、p27^<Kip1>とN末端162アミノ酸は同一であるが、特異的な18アミノ酸からなるC末端を有する。新規アイソフォームはプロテアソーム分解に抵抗性であることから、p27^<Kip1R>(Degradation resistance isoform of p27^<Kip1>)と命名した。 p27^<Kip1R>の核移行は領域153-168を必要とするが、この領域には塩基性アミノ酸は一残基(K168)しか含まれておらず、また、疎水性アミノ酸を核移行に必要とした。すなわち、非典型的な2分裂型核移行シグナルと考えられた。このため、p27^<Kip1R>の大部分は核に局在するが、一部細胞質にも局在した。 GFP発現系を用いて細胞増殖に及ぼす影響を解析し、p27^<Kip1R>の増殖抑制因子としての機能を、血管平滑筋細胞およびHeLa細胞を用いて明らかにした。増殖抑制には、p27^<Kip1>と共通のN末端領域が必要であった。増殖抑制機構は両アイソフォームで共通と考えられた。 6週齢SHRの大動脈にはp27^<Kip1>が、正常ラットではp27^<Kip1R>が、主なアイソフォームとして発現する。週齢を重ねると、SHRにおいてもp27^<Kip1R>発現が優位になった。正常ラット大動脈を培養するとp27^<Kip1R>が消失し、p27^<Kip1>が主に発現した。すなわち、個体レベルで、血管の増殖性とp27^<Kip1R>発現に逆相関が示唆された。 血管内皮細胞において、細胞間接触の形成により、転写活性亢進により、p27^<Kip1>発現が増加することを明らかにした。Kip1遺伝子をクローニングし、プロモーターアッセイを行い、細胞間接触に反応するプロモーター領域があることを明らかにした。 続きを見る
3.
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Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 増殖性を獲得した血管平滑筋細胞の収縮性の検討:再構成血管平滑筋標本を用いた検討 — The assessment of the contractility of the proliferating vascular smooth muscle
西村 淳二 ; NISHIMURA Junji
研究期間: 2001-2002
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概要: 本研究の目的は、増殖性を獲得した血管平滑筋細胞の収縮性変化の分子機構を明らかにすること、また、増殖性を獲得した血管平滑筋細胞の収縮性が、培養環境(温度、ホルモン、増殖因子の有無、shear stress、各種遺伝子導入)によりどの様に変化するのかを明らかにすることである。本年度の研究により以下の様なことが明らかになった。 1、バキュロウイルスにほ乳動物のプロモーターを挿入し、その下流に種々の遺伝子を組み込んだベクターを作製することに成功した(この実験は、本学の遺伝情報研究施設で行った。)このウイルスを用いることにより、哺乳動物細胞(NIH3T3,ブタ気道平滑筋、ブタ冠動脈平滑筋、ヒト前立腺細胞)に遺伝子導入できることができたが、細胞傷害性が強く、その細胞傷害性の原因を解明することに、時間を要した。この細胞傷害性は、Sf9細胞(昆虫細胞;バキュロウイルスの宿主細胞)に由来する細胞断片に由来することが判明した。この細胞断片を遠心およびフィルターにより取り除くことにより、細胞傷害性なく、高効率に遺伝子導入することに成功した。 2、このベクターを豚冠動脈培養平滑筋細胞に感染、rhoAを発現させた豚冠動脈培養平滑筋細胞を用いて再構成血管標本を作製したところコントロールの2-3倍の収縮力を示した。しかしながら、dominant negative formのrhoAでは、収縮力を抑えることができなかった。 3、そこで、RNA干渉(RNA interference)法を用いて、rhoAをノックダウンした細胞を用いたところ、収縮力を著明に抑制することができた。 続きを見る
4.
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Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 種々の血管内皮機能低下病態における各種麻酔薬の抵抗血管平滑筋や血管内皮に対する直接作用とその機序に関する研究 — Direct action of general anesthetics on vascular smooth muscle and endothelium of systemic resistance arteries in various pathological conditions with impaired endothelial function.
赤田 隆 ; AKATA Takashi
研究期間: 2001-2004
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概要: 主として、等尺性張力測定装置と細胞内Ca^<2+>濃度測定装置を用いて、健康ラット、高血圧ラット、糖尿病ラット、高齢ラットにおいて、ハロゲン化炭化水素型揮発性吸入麻酔薬、ハロタン、エンフルラン、イソフルラン、セボフルランが、臨床関連濃度で、腸間膜抵抗血管に及ぼす作用とその機序を、血管内皮存在下あるいは非存在下に検討、比較した。また、種々の薬理学的阻害薬を用いて、その作用機序を検討した。結果、高血圧ラット、糖尿病ラット、高齢ラットでは、血管内皮機能低下に伴い、交感神経系伝達物質ノルエピネフリンに対する収縮反応が亢進する一方、副交感神経伝達物質アセチルコリンに対する内皮依存性弛緩反応が減弱していることが明らかとなった。これらは、高血圧患者、糖尿病患者、高齢患者では、比較的軽度の交感神経刺激に伴い高度の高血圧が出現しやすい臨床的事実を説明すると思われた。また、若年健康ラットにおいて観察された吸入麻酔薬の内皮依存性ノルエピネフリン収縮反応増強作用が、高血圧ラット、高齢ラット、糖尿病ラットにおいては減弱していることが明らかとなった。すなわち、両麻酔薬は、高血圧患者、高齢患者、糖尿病患者では、若年健康成人と比較して、全身抵抗血管に対してより強い血管拡張作用を発揮し、より高度の低血圧(最重要臓器潅流圧低下)を引き起こす可能性が明らかとなった。また、吸入麻酔薬の作用は、これまでの一般的な認識に反して、遷延性であり、必ずしも調節性に富まない可能性が明らかとなった。すなわち、麻酔薬投与中止後も循環抑制が遷延する可能性を考慮して、注意深く患者を観察することの重要性が示唆された。ノルエピネフリン収縮反応増強作用の機序に関して、今日まで報告されてきたほぼ全ての内皮由来血管作動物質の関与について検討したが、解明できなかった。未知の内皮依存性血管作働性物質の関与も否定できず、今後の重要な研究課題と考えられた。 続きを見る
5.
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Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 増殖性を獲得した気道平滑筋細胞の収縮性の検討:再構成血管平滑筋標本を用いた検討 — The assessment of the contractility of the proliferating airway smooth muscle.
瀬戸口 秀一 ; SETOGUCHI Hidekazu
研究期間: 2001-2002
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概要: 本研究の目的は、増殖性を獲得した気道平滑筋細胞の収縮性変化の分子機構を明らかにすること、また、増殖性を獲得した気道平滑筋細胞の収縮性が、培養環境(温度、ホルモン、増殖因子の有無、shear stress、各種遺伝子導入)によりどの様に変化するのかを明らかにすることである。本年度の研究により以下の様なことが明らかになった。 1、バキュロウイルスにほ乳動物のプロモーターを挿入し、その下流に種々の遺伝子を組み込んだベクターを作製することに成功した(この実験は、本学の遺伝情報研究施設で行った)。このウイルスを用いることにより、哺乳動物細胞(NIH3T3,ブタ気道平滑筋、ブタ冠動脈平滑筋、ヒト前立腺細胞)に遺伝子導入できることができたが、細胞傷害性が強く、その細胞傷害性の原因を解明することに、時間を要した。この細胞傷害性は、Sf9細胞(昆虫細胞;バキュロウイルスの宿主細胞)に由来する細胞断片に由来することが判明した。この細胞断片を遠心およびフィルターにより取り除くことにより、細胞傷害性なく、高効率に遺伝子導入することに成功した。 2、このベクターを豚冠動脈培養平滑筋細胞に感染、rhoAを発現させた豚冠動脈培養平滑筋細胞を用いて再構成標本を作製したところコントロールの2-3倍の収縮力を示した。しかしながら、dominant negative formのrhoAでは、収縮力を抑えることができなかった。 3、そこで、RNA干渉(RNA interference)法を用いて、rhoAをノックダウンした細胞を用いたところ、収縮力を著明に抑制することができた。 続きを見る
6.
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Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 受容体活性化チャネルTRPC6のカルモジュリン依存性キナーゼIIによる制御機構 — Molecular elucidation of CaMKII-mediated regulation of vascular receptor-operated Ca^ entry channel TRPC6.
井上 隆司 ; INOUE Ryuji
研究期間: 2005-2006
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概要: 血管の受容体活性化Caチャネル分子TRPC6の活性化過程において、カルモジュリン依存性キナーゼII(CaMKII)によるリン酸化が決定的な役割を果たしているという最近の我々独自の発見に基づき、その分子基盤を明らかにすることを目的として以下の実験を行い、その生理学的意義を探索した。 野生型TRPC6及びそのCAMKIIリン酸化可能部位のアラニン置換体をHEK293細胞に過剰発現し、蛍光イメージングによる細胞内への2価イオン流入やパッチクランプ法による電流測定を行うと、いずれの場合もムスカリン受容体刺激に伴ったTRPC6チャネルの活性化が観察された。この活性化はTRPC6の細胞内II-IIIループのアラニン置換体T487Aで著しく減少した。一方、T487E置換体(固定した陰性電荷を持つ)では、チャネルの活性化が増強し脱活性化が遅延した。この時TRPC6蛋白質の免疫蛍光の細部膜に限局した分布パターンは、T487の置換によって変化しなかった。同様の結果は、TRPC7のC末端部をTRPC6のそれと入れ換えたキメラにおいても観察された。TRPC6のT487に相当する部位を置換した変異体S433Aにおいてのみ、ムスカリン受容体刺激への応答の減弱が観察された。以上の結果から、TRPC6の活性化には、II-III loopにあるトレオニン残基のCAMKIIによるリン酸化による荷電状態の変化が、活性化のゲーティング機構を強く修飾していることが示唆された。 CaMKIIによるリン酸化可能部位T69はPKGによるそれと一致する。そこで、血管の生理的PKG活性化因子NOとその下流のシグナル伝達系の関与を調べた。NO供与体やcGMPアナログは強制発現したTRPC6電流やA7r5における受容体作動性電流を著明に抑制した。またこの効果は、PKGの選択的抑制ペプチドDT-3や有機阻害薬KT5823はで拮抗され、T69のアラニン置換によって消失した。以上より、TRPC6チャネルの活性は、CaMKIIやPKGによって動的な制御を受けていることが明らかとなった。 続きを見る
7.
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Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 心不全時の血管弛緩性低下におけるミオシン脱リン酸化酵素アイソフォームの役割解明
新納 直久
研究期間: 2005-2006
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概要: ラットの鬱血性心不全モデルで大動脈、腸骨動脈、門脈におけるミオシン脱リン酸化酵素の調節サブユニットMYPT1がleucine zipperモチーフを有するアイソフォーム(LZ+)からleucine zipperモチーフを持たないアイソフォーム(LZ-)に変化し、それに伴いcGMPによる弛緩も減弱するという最近の報告に基づき、このアイソフォーム変化によりミオシン脱リン酸化酵素の酵素活性も変化するか検討することを目的とした。MYPT1のLZ-アイソフォームはニワトリにおいて核酸およびアミノ酸配列の報告があるがほ乳類においては報告がない。そこでまずラット小腸から精製したメッセンジャーRNAを鋳型として逆転写PCRを行い、30bpサイズの異なるアイソフォームDNAを得た。得られたDNAの塩基配列をシーケンスしたところ、ニワトリと同様スプライシングによりアイソフォームが精製されるものと考えられた。生成されるアイソフォームのアミノ酸配列はニワトリのものとは若干異なっており哺乳動物固有のアイソフォームを得た。このLZ-MYPT1アイソフォームの機能を生化学的に解析するためLZ-MYPT1全長を昆虫細胞発現系ベクターpFastBac1に挿入し、発現ウィルスを作成した。 三量体からなるミオシン脱リン酸化酵素を再構成するために昆虫細胞Sf9をLZ-あるいは以前作成したLZ+アイソフォームのMYPT1を発現するバキュロウィルスとFLAGタグを融合した触媒サブユニットをPP1cを発現するウィルス、Histidineタグを融合した小サブユニットM2Oを発現するウィルスで共感染させFLAGカラムとニッケルカラムを用いたアフィニティー生成により異なるアイソフォームを持つ三量体ミオシン脱リン酸化酵素を再構成に成功した。^<32>Pラベルした平滑筋ミオシンを気質とした脱リン酸化アッセイを行いアイソフォームのホロ酵素活性に対する影響を検討中である。 続きを見る
8.
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Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 人工心肺後の肺血管抵抗上昇に対する有効な薬剤とその分子メカニズムの解明
神田橋 忠
研究期間: 2005-2006
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概要: 心臓外科手術における人工心肺離脱時に、一過性に肺血管抵抗が増加し肺動脈圧が上昇することがしばしば認められ、これが血行動態の破綻をきたす端緒となる危険性があり、肺血管抵抗上昇のメカニズムを解明し、それに対処することは臨床的に重要である。 これまでに、臨床レベルでは心臓外科手術における肺動脈圧上昇に種々の血管拡張薬が試みられ、ある程度の結果を得てきた。また、基礎研究レベルでは、薬剤性肺高血圧モデルの肺動脈リモデリングと肺血管抵抗の上昇に低分子量GタンパクであるRhoの標的タンパクRhoキナーゼが重要な役割を果たしていることが明らかとなった。麻酔薬存在下の急性期の肺血管抵抗増加には、慢性期の動物モデルと同様にRhoキナーゼ活性の一過性の上昇が関与している可能性がある。 上記を解明するために、ブタおよびラットの摘出肺動脈標本を用いて、アゴニスト誘発性血管収縮におけるRhoキナーゼ活性化の関与、および麻酔薬の有無がそれに及ぼす影響と、さらに、種々の血管拡張薬の存在がこの現象をどのように修飾するかについて、等尺性張力測定法を用いた生理学的手法用いて検討した。 2年間の研究により、比較的太い部分の摘出肺動脈リング標本においては、そのアゴニスト誘発性収縮にはRhoキナーゼの関与は大きくないことが示唆され、論文として発表に価する有意な結果を得ることはできなかった。 人工心肺離脱時の肺血管抵抗上昇のメカニズムを解明するには、肺血管抵抗の形成により大きく関与していると考えられるさらに細い径の肺動脈において検討を行う必要があることが明らかとなった。 続きを見る
9.
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Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 各種血管作動薬が新生児の血管平滑筋に及ぼす影響に関する検討 — Research for the effect of vaso-activators in neonatal vascular smooth muscle
家入 里志 ; IEIRI Satoshi ; 山内 健
研究期間: 2003-2004
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概要: 新生仔ラットの血管平滑筋の特性、特に、侵襲(人工呼吸)が新生仔肺血管に与える影響を調べる目的で、我々がこれまでの研究で用いてきたモルヒネ腹腔内投与によるラット胎児麻酔モデルを使い、肺血管でのサイトカイン産生についての検討を行った。妊娠ラットにモルヒネを腹腔内投与し、新生仔を帝王切開にて娩出後、4時間人工呼吸管理を行った群(胎児麻酔群:FA群)を作成。コントロール群(C群)としてモルヒネ投与を行わずに4時間人工呼吸管理を行った群を用い、新生仔肺血管でのTNF-αの発現を免疫組織染色法を用いて比較検討した。この結果、コントロール群に比べ、胎児麻酔群ではTNF-αの肺血管平滑筋における発現が低下しており、モルヒネが侵襲に対する肺血管平滑筋の反応を抑制することが示唆された。また、両群における血中TNF-α、IL-6及び気管支肺胞洗浄液中TNF-αの測定も行い、比較検討した。血中TNF-α値は、出生直後において、胎児麻酔群でコントロール群に比べ有意に低値を示した。血中IL-6値は胎児麻酔群で4時間人工呼吸管理後に、その上昇が有意に抑制されていた。また、気管支肺胞洗浄液中TNF-α濃度は、出生直後において胎児麻酔群で低値の傾向が認められた。これらのサイトカインは、血管平滑筋を収縮あるいは弛緩させる作用があることが報告されている。今回の研究によりサイトカイン産生を人為的に調節することで、肺血管平滑筋の反応性を調節できる可能性が示唆された。 続きを見る
10.
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Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 血管緊張と増殖制御機構の解明:蛋白質を無傷で細胞内導入する新しい方法の確立と応用 — Elucidation of the mechanisms regulating the vascular tone and proliferation : Development of a novel technique to introduce protein into the intact cells and its applications
平野 勝也 ; HIRANO Katsuya
研究期間: 2003-2004
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概要: ヒト免疫不全ウイルスの転写因子Tat蛋白質に認められる11アミノ酸からなる細胞侵入性ペプチドを用いて、血管の組織や細胞に蛋白質を、迅速、可逆的、定量的に導入する方法を確立した。細胞侵入性ペプチドとの融合蛋白質は、組換え蛋白質として、細菌の発現系を用いて作製した。このための発現ベクターを独自に開発した。本研究により以下のことが明らかとなった。 (1)生体血管の緊張調節において、平滑筋ミオシンフォスファターゼ調節サブユニットMYPT1のN末端領域が重要な役割を果たすことを明らかにし、その分子構造を初めて明らかにした。 (2)RhoAおよびRac1阻害蛋白質を、特定の時間だけ培養血管内皮細胞に導入することによって、細胞周期S期進行のためには、G_1後期にRho蛋白質の活性を必要とすることを初めて明らかにした。 (3)RhoA阻害蛋白質を、血管条片に24時間させておくと、内皮細胞のNO産生が亢進し、収縮性が低下することを明らかにした。Rac1阻害蛋白質にはそのような作用は認められなかった。生体血管内皮細胞のNO産生調節において、RhoAが生理的役割を果たすことが初めて明らかとなった。 (4)培養血管平滑筋細胞にRac1阻害蛋白質を24時間導入すると、トロンビン受容体の細胞膜上の発現が低下することを見出した。RhoA阻害蛋白質はトロンビン受容体の発現に影響を与えなかった。血管平滑筋細胞においてRac1は、トロンビン受容体の発現調節において重要な役割を果たすことが示唆された。 (5)エストロゲンは、TNF-aが引き起こす血管内皮細胞のアポトーシスを阻害したが、Akt不活性型変異体を導入しておくと、エストロゲンによる抗アポトーシス作用が消失した。これにより、エストロゲンによる内皮細胞抗アポトーシス作用にAktが関与することを初めて明らかとなった。 続きを見る