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1.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of EBウイルス関連胃悪性腫瘍の臨床病理学的および分子生物学的研究
中村 昌太郎
研究期間: 1994
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概要: 1.胃Carcinoma with lymphoid stromaについて: この補助金申請中に、その80%以上の症例にEBウイルスが関連していることを、DNA-RNAレベルで明らかにした我々の論文が発刊された(Nakamura et al.Cancer 1994;73:2239)。その後、これらEBER1の発現が証明されている症例につき、特異的核抗原のひとつEBNA2(DAKO,PE2)と膜蛋白LMP1(DAKO,CS1-4)のモノクローナル抗体にて免疫染色を行った結果、carcinoma with lymphoid stromaは40例全例が陰性であった。すなわち、本腫瘍における潜在EBウイルス関連遺伝子産物の発現パターンは、EBER1+/EBNA2-/LMP1-(Lat I)であり、バ-キットリンパ腫と同様のパターンと考えられた。これは、最近他施設から提出された報告(Fukayama et al.1994,Imai et al.1994)と合致するが、一部の例ではLMP1+との報告(Kida et al.1993,Takano et al.1994,Mori et al.1994)もあり、今後さらなる検討が必要である。 2.胃原発悪性リンパ腫について: 233症例の臨床病理学的解析を行い、単変量解析では、年齢・T/B表現型・組織学的悪性度・肉眼型・ステージ・深達度・MIB-1(Ki-67)indexが、予後と有意に相関しており、多変量解析の結果、T/B表現型・ステージおよび肉眼型が、独立した予後規定因子であることを明らかにした(第84回日本病理学会発表予定、論文投稿中)。また、癌関連遺伝子関連産物であるbc1-2(DAKO,124)とp53(Oncogene Science,PAb1801)の免疫染色を行い、各々の発現頻度は組織学的悪性度に相関しており、さらに両者の発現は、有意な逆相関を示すことを見いだした(1994年10月第53回日本癌学会にて発表、論文投稿中)。現在EBウイルスの検索を行っている。 続きを見る
2.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of MALT型胃悪性リンパ腫の生物学的悪性度と遺伝子異常の解析 — Analysis of malignant biology and gene disorder in gastric MALT lymphomas
佐藤 裕 ; SATOH Hiroshi
研究期間: 1995-1996
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概要: 粘膜に関連するリンパ組織(MALT)由来の悪性リンパ腫の概念が認められるようになり、胃悪性リンパ腫の臨床診断や治療方針の見直しが切望されている。当科で外科切除された胃悪性リンパ腫40例を組織学的に再検討すると、MALT型リンパ腫26例と非MALT型リンパ腫14例に分けられた。さらに、MALT型リンパ腫は細胞学的に高度異型部分を含む高悪性度リンパ腫8例と高度異型部分を含まない低悪性度リンパ腫18例に分けられた。MALT型リンパ腫は高悪性化やリンパ節転移や化学療法の有無に関わらず臨床的には無症状や軽症状のことが多く、病理学的には表層拡大型が多数を占め、病変の境界は不明瞭で高悪性化を予期し得なかった。MALT型リンパ腫例の5年生存率は94.4%で、非MALT型リンパ腫例の59%より有意に高かった。しかし、MALT型リンパ腫高悪性度例の5年生存率64%と非MALT型リンパ腫例の間に有意差はなかった。これらの所見はMALT型リンパ腫には非MALT型リンパ腫とは違った病因や臨床所見や治療上における特異性の存在が疑われた。MALT型リンパ腫が広範で境界不鮮明な胃壁内進展をし、半数の症例にリンパ節転移があることは、現時点では2群以上のリンパ節郭清を伴う胃全摘術が最良の外科治療法であろう。最近の知見によればMALT型リンパ腫の発生にHelicobacter pylori感染が関連していると言われている。今後、臨床的、病理学的、細菌学的、遺伝子解析結果の集積によってMALT型リンパ腫における治療方針のさらなる確立が期待される。 続きを見る