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1.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 東シナ海から流入する大陸起源の淡水が日本海の熱塩循環に及ぼす影響 — Impacts of freshwater originating from the Changjiang discharge flowing from the East China Sea on the thermohaline circulation in the Japan Sea
千手 智晴 ; SENJYU Tomoharu
研究期間: 2003-2005
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概要: 1.対馬海峡域での塩分変動 (1)既往観測資料に基づいて、海峡域の塩分の経年変動を調べた。EOF解析の結果、最も卓越した変動として、海峡の両水道で同時に塩分が増減するモードを検出した。このモードは長江の流量変動と関連し、長江流量が多い年の夏〜秋には、対馬海峡のほぼ全域で塩分が低下する傾向があることが示された。また、長江流域の降水量偏差から、長江流量を推定する重回帰モデルを作成した。 (2)対馬海峡に面した下関市蓋井島に水温・塩分計を設置し、2004年〜2005年に表層水温・塩分の観測を行った。両年とも塩分は7月中旬から急激な低下を示し、8月中旬に最低値を記録したが、2005年の方が低塩分化の時期が20日ほど早く、最低値も1〜2psuほど低いという経年的な差違がみられた。また水温・塩分値の変動から、低塩分水の流入時期である6〜7月には、高温・低塩分なパッチ状の水塊が周期的に海峡を通過していることが示唆された。 2.日本海内部の熱塩循環 (1)日本海深層の海水循環を、これまでに得られた直接測流結果から考察した。海盆周縁部には、浅海域を右手に見るような安定した流れが認められたのに対して、海盆中央部では渦運動エネルギーが卓越するという特徴がみられた。その結果、日本海全体を反時計回りに循環する流動場に加えて、各海盆内部での閉じた循環を示す平均流速ベクトルの分布が得られた。 (2)大和海盆の底層には、他の海盆とは異なる比較的高温で低酸素な底層水が分布しており、日本海盆との境界域で明瞭な海底フロントを形成していることがわかった。大和海盆底層水は、日本海盆から流入した底層水が、大和海盆内の循環によって捉えられ、徐々に変質したものと推測される。ボックスモデル解析の結果から、大和海盆底層水の平均滞留時間は9.1年,鉛直拡散係数は3.4×10^<-3>m^2s^<-1>であることが示された。 続きを見る
2.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 海洋大循環に関する実験的研究
竹松 正樹
研究期間: 1989
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概要: 円型回転水槽内において、その側壁を冷却することにより純粋な熱塩循環流を生成し、流れの基本的な性質を調べた。実験は冷却を受ける内小円筒の外側の流れ(南極周極流モデル)についてもおこなわれた。なお、本物の気流を用いた新しい風成循環の生成法を考案し(重要な成果のひとつ)、熱循環に及ぼす風応力の影響も調べた。以上の実験により得られた主な成果は次の通りである: 1.熱塩循環の正味の(深さ方向に積分した)流量はゼロであるという循環論の仮説は誤りである。風成循環と同様、熱循環流も正味流量を持つ。このことは、冷却の方法、底面傾斜の有無、パラメ-タの範囲に関係無く(自由表面を持つ限り)常に成り立つことを示した。 2.熱塩循環はコリオリ係数の緯度変化(βー効果)により必ずしも西側強化されるとは限らないことを見いだした。実際、東側境界強流も作られうることを示した(この発見は最後の成果5.に結び付く)。 3.冷却により沈降する重い水は北(南)半球では常に岸を右(左)に見て進む。これはfー面に固有の性質であり、βー効果には関係しないことを示した。従って、海洋深層には西岸流もあれば東岸流も有るはずである(実際、東岸深層流が観測されている)。βー効果により西岸流のみが存在しうるというStommelの推論は誤りである。 4.南極周極流の主要な性質はfー面上の熱塩循環のみによって説明しうることを示した。 5.北(南)半球では北(南)部を冷却するだけで、βー効果の有無に関係無く、正味の流量が西側に集中した熱循環流が生成されることを示した。この発見は、海洋循環の西側強化はβー効果によるというこれまでの定説に疑問を投げ掛けるものである。この部分の研究はまだ予備的段階にある。 続きを見る
3.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 熱塩循環にに関する実験的研究
本地 弘之
研究期間: 1988
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概要: 本年度は、(1)回転流体中の斜面を下る重い密度流の挙動、および(2)2層流体における熱塩拡散を調べる実験を行った。(1)においては、実験水槽を回転テーブルの上に乗せ、冷却によって2次的に線状に結誘起された重い密度流の構造を流れの可視化の方法で調べた。その結果、密度流流体と環境流体との密度差とテイラー数がある限られた範囲の値をとるとき、密度流は傾圧的不安定のために波状構造を呈するようになることが分かった。また、回転密度流のレジーム・ダイアグラムを私実験的に得て、ハドレー的な2次元流から多数の渦を伴う乱流に至るまでの流れの構造を明らかにした。さらに、密度流中の温度分布の同時多点計測を行った結果、規則的な波状不安定構造に対応するような温度プロファイルが得られた。(2)においては、今年度は昨年製作した水平可動板付の熱塩拡散水槽を回転テーブルの上に乗せて、ソルトフィンガー形成に対する系の回転の効果を調べた。その結果、上層が高温・高塩分、下層が低温・淡水の2層界面におけるソルトフィンガーの形成は回転によって著しく抑制されることが分った。ある限られたパラメータを与えたときにのみ界面付近に局在したフィンガーが過渡的に形成されるが、大部分の場合、規則的なフィンガーの形成は見られなかった。 以上のように、本年度は主として2つの項目について調べたが、これらの散逸過程とそこで現れる形態は深海底層流のとりうる構造の解明に寄与すると考えられる。回転密度流の規則的な不安定構造は、例えば、極地方において重い深層水が形成されるとき、あるいは形成された深層水が海底斜面を流化するとき、単に平面的な層流として流れるのではなく、不安定構造をとってある場所では強く、またある場所では弱く流れることを強く示唆するからである。 続きを見る
4.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 熱塩循環に関する実験的研究
本地 弘之
研究期間: 1987
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概要: 高密度塩水の回転流体内における拡散形態について実験的研究を行った. そのために流れの断面形状を観測できるプレクシグラス水槽を製作使用した. まず, 円形海盆に海盆周辺部から流入する高塩分水の挙動について調べた. その結果, 塩水の吐出口が流体回転方向に相対的にどの方向に向いているかによって流体拡散の形態が著しく異なることを明らかにした. 即ち, 吐出口(ノズル)の軸が系の回転方向(常る反時計まわりになっている)と一致しているときには海盆周辺に沿ってグラヴィティ・カレントが形成される. この流れは明瞭な塩水ヘッドを持つ. 吐出口が海盆中央を向いているときには拡散流はコリオリを力を受けて右側に拡がって行く. 吐出口が逆方向を向くときには塩水ヘッドは形成されず山形の塩水塊が作られ, 拡散速度が減る. 深層海水と密接な関連をもつ中層水の挙動を調べる目的で, 二層流体界面に貫入拡散する回転流れも調べた. その結果, 塩水は水槽中心部へ向う流れと周辺境界に沿う流れとに分岐して拡散することが判明した. また, 深層水の形成域における挙動を明らかにするために線状冷却域からの沈降流に及ぼす回転の効果を調べた. その結果, 回転流体中の沈降流は一定間隔のブロックに分れて沈降することを見出した. 熱塩拡散水槽を設計・製作し, これを用いて二重拡散の形態, 特にソルトフィンガーの形態を調べた. その結果, 新たにロール状の断面をもったフィンガーが形成されることを見出した. 回転がフィンガー形成に与える効果についても調べつつある. この外, 実海洋の低塩分水の挙動についても調べた. 全般に流れの可視能化法を用いて種々の熱塩循環流の構造を明らかにすることができた. 今後はより定量的な計測によって, 各流れのパラメーター依存性を確定すること, より現実的な海洋のモデルと熱塩流との干渉形態を明らかにし, 実際の深層水循環の力学モデルの形成に寄与することをめざしている. 続きを見る