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1.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of ヒト消化器癌において化学療法感受性を規定する遺伝子学的諸因子の同定
前原 喜彦
研究期間: 1999
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概要: 本年度は主に、5-FUの感受性を規定する諸因子について解析を行なった。具体的には5-FUによるDNA障害に対する細胞応答が、p53やミスマッチ修復能とどのように関連しているのかを、複数の癌及び正常線維芽細胞株を用いて詳細に検討した。その結果、p53は細胞周期の変化には大きく関与しているものの、5-FU感受性を直接規定するものではないことが明らかになった(投稿中)。また、5-FUの標的酵素であるチミジル酸合成酵素が同様に抑制されている状態では、ミスマッチ修復異常細胞は正常細胞に比較して5-FU感受性が低く、ミスマッチ修復が5-FU感受性規定因子として関与している可能性が示唆された(投稿中)。さらにミスマッチ修復遺伝子MSH2のノックアウトマウス由来の胚線維芽細胞株と正常細胞を用いて5-FU感受性を比較した結果、正常細胞の方がMSH2遺伝子欠損細胞よりも5-FU感受性が高いことが明らかになった。今後、他のミスマッチ修復遺伝子欠損細胞を用いて同様の検討を行なうとともに、これらの遺伝子欠損株に遺伝子導入し、ミスマッチ修復能を回復させた場合の5-FU感受性についても検討する予定である。 なお、マイクロサテライト不安定性解析によりミスマッチ修復能を正確にこれを評価する方法を確立してきたが、既に800例以上の症例に関して解析を終了した。特に、胃癌、大腸癌、食道癌では多数の陽性症例を同定するに至っている。これらの症例ではp53遺伝子変異の有無も確認しており、将来的にはp53やミスマッチ修復能と化学療法の奏功度との関連を議論できるものと考える。このように、DNA修復能を正確に評価する基本解析系の開発を軸とし、これを用いた細胞株、臨床検体両者の解析を両輪として研究を進めている。今後はDNA修復遺伝子以外の因子にも注目し、抗癌剤感受性を規定する遺伝子学的諸因子の同定に向けて研究を進めていきたい。 続きを見る
2.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of ヒト消化器癌において化学療法感受性を規定する遺伝学的諸因子の同定
前原 喜彦
研究期間: 1997
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概要: I.DNA修復と抗癌剤感受性 (1)ミスマッチ修復活性を正確に評価できる系の開発 種々のDNA修復系のなかでもミスマッチ修復系は抗癌剤がもたらすDNA障害に深く関与していると考えられる。これまで、遺伝子の変異が未知である細胞や組織検体のミスマッチ修復活性を評価する方法としてはマイクロサテライト不安定性解析があったが、従来法は方法論的に問題の多いものであった。われわれは近年著しい発達を見せている蛍光標識による核酸泳動技術を導入して、正確で客観的な新しいマイクロサテライト不安定性解析法を構築し、既に発表した(Nucleic Acids Res.25:3415-3420,1997)。この系の完成により、ミスマッチ修復遺伝子の変異が知られていないものについても正確にミスマッチ修復異常が検索できるようになり、この研究計画において重要な進歩となった。 (2)ミスマッチ修復異常と抗癌剤感受性について 1)の研究を受けて、7種のヒト大腸癌細胞細胞株のマイクロサテライト不安定性をサブクローン同志を比較することで解析、ミスマッチ修復能を評価した(投稿中)。現在、同じ細胞株において各種抗癌剤の感受性を検討中である。また、多くの臨床検体においてもマイクロサテライト不安定性解析によりミスマッチ修復異常の検索を開始した。 II.in vivoにおけるp53遺伝子変異と抗癌剤感受性 p53遺伝子の変異の有無が知られている腫瘍細胞株をヌードマウスに移植し抗癌剤、特に5FUの感受性を細胞生物学的に評価したところ、遺伝子型により特異な反応をみせた。とくに抗癌剤が誘導するアポトーシスは細胞種により著しく異なり、p53やその他の細胞死にかかわる遺伝子を評価し抗癌剤感受性を予測することの意義が示された(BritJ Cancer.in press)。 続きを見る
3.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of ヒト消化器癌において化学療法感受性を規定する遺伝子学的諸因子の同定
前原 喜彦
研究期間: 1998
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概要: 本年度は主に、p53と抗癌剤感受性についてのin vitro、in vivoの検討が終了した。in vitroの研究では、消化器癌の細胞株においてもp53の遺伝子異常をもつものでは抗癌剤の感受性が低く、しかも抗癌剤によるアポトーシスが誘導されないことを明らかにした(Yamamoto,M.et al.Cancer Chemother Pharmacol 43:43-49,1999)。ヌードマウスを用いたin vivoの検討においては、抗癌剤の感受性はアポトーシスの誘導と明らかな相関を認めたが、p53の異常とは必ずしも相関しなかった(Oki,E.et al.Br J Cancer 78:625-630,1998)。 ミスマッチ修復系ついてはこれまで、正確にこれを評価する方法を確立してきたが、現在はミスマッチ修復欠損マウス線維芽細胞の5-FUの感受性について解析を行っている。今後はミスマッチ修復遺伝子の発現ベクターを用いた解析を進めていく予定である。また、極めて興味深い結果を得た5FUに加え、現在シスプラチンによる解析も行っている。シスプラチンについてはミスマッチ修復に加えヌクレオチド除去修復もその感受性に関与することが予想されている。ヌクレオチド除去修復能を臨床的に評価可能な解析系の構築も今後は行っていきたい。一方、臨床検体を用いたミスマッチ修復異常の検索は既に500例以上の解析を終了し、胃癌、大腸癌、食道癌、などで既に多数の陽性症例を同定するに至っている。これらの陽性症例はp53異常と各症例の化学療法の奏効度などの臨床データが得られるにはまだ相当の時間を要すると考えられる。これらの検討に加え本年度は、以前確立した解析系で、真にどのようなミスマッチ修復遺伝子異常が検索することが可能であるかも明らかにした(Oki,E.et al.Oncogene 18:2143-2147,1999)。このように、DNA修復能を正確に評価する基本解析系の開発を軸とし、これを用いた細胞株、臨床検体両者の解析を両輪として研究を進めている。今後はDNA修復遺伝子以外の因子の関与にも注意を払い、抗癌剤感受性を規定する遺伝学的諸因子の同定に向けて研究を進めていきたい。 続きを見る