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1.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 新規ピロール系配位子の合成とその金属錯体の新機能開拓 — Development of Novel Tetrapyrrole Ligands and Their Metal Complexes with New Functions
久枝 良雄 ; HISAEDA Yoshio
研究期間: 2001-2003
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概要: 生体色素であるテトラピロール系マクロ環配位子に着目し、その構造異性体であるポルフィセン、ヘミポルフィセン配位子の合成を行った。ピロール環上にトリフルオロメチル基や臭素基を導入したポルフィセン配位子を新規に合成し、X線結晶構造解析により同定した。さらにその鉄及びコバルト錯体を合成し、置換基効果について詳細に検討した。トリフルオロメチル基を導入したポルフィセン鉄錯体では、通常塩基性条件下で進行するμ-オキソ二量体の形成反応が、中性条件下でも進行することを見出した。また臭素基を導入したポルフィセンコバルト(II)錯体では、錯体の電子スペクトル、電気化学測定、軸配位子の配位挙動解析により、置換臭素数に対応した線形変化を示すことを明らかにした。さらにヘミポルフィセン配位子については、コバルト錯体の合成に成功し、結晶構造により初めてその構造を明らかにした。さらに電気化学的性質をサイクリックボルタンメトリー法により検討した。また、Co(I)種の反応性を求電子剤であるヨウ化メチルとの反応により検討した結果、コバルト-炭素結合を有するアルキル錯体が生成する事及び生成したアルキル錯体の1電子還元を経てメチルラジカル種が効率良く生成することを見出した。 また、天然の酸素貯蔵体であるミオグロビンの補欠因子であるポルフィリン鉄錯体を、人工のポルフィセン鉄錯体で置換した再構成ミオグロビンの調整に成功した。本再構成ミオグロビンは、天然ミオグロビンと比較して酸素貯蔵能が飛躍的に向上し、ポルフィセン配位子に新しい機能を見出した。 更に、ゾルゲル法により、テトラピロール系のコリン骨格を有する疎水性ビタミンB12誘導体を固定化した修飾電極を作成し、有機電解触媒として作用することを見出した。 続きを見る
2.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of ナノ構造と光特性を磁場制御した新規光機能ナノ材料の創製 — Fabrication of new photofunctional nanomaterials due to magnetic control of nanostructures and photophysical properties
米村 弘明 ; YONEMURA Hiroaki
研究期間: 2005-2006
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概要: C_<60>-ドナー連結化合物やC_<60>ナノクラスター-メチルフェノチアジン(MePH)系の溶液系における磁場効果の応用として、C_<60>ナノクラスター-MePH系を金電極に担持した修飾電極を作製した。磁場を印加するとこの修飾電極の光電流が増加した。 C_<60>ナノクラスター-MePH系の溶液をマイカやITO基板に滴下し、乾燥過程に強磁場(8T)を印加して、クラスター形状と酸化還元挙動に及ぼす磁場の影響を検討した。強磁場(8T)を印加した時のAFM像には、無磁場の場合とは異なる形状のクラスターが確認された。加えて、磁場の有無によりC_<60>由来の還元ピークが著しい変化を示した。 単層カーボンナノチューブ(SWNT)やSWNTをポリマーでラッピングした複合体のマイカやガラス基板上での磁場配向について、AFM測定によって検討を行った。AFM像には、無磁場の場合ではSWNTや複合体がランダムに配向している像が観測された。これに対して、8Tの強磁場を基板に対して平行に印加すると、基板上のSWNTや複合体の長軸を磁場方向に対して平行に配向した像が観測された。以上より、強磁場によるSWNTや複合体の磁場配向が起こっていることが明らかになった。 Zn_<1-X>Mn_XSナノ粒子を石英基板上にSAMによって固定する際に、磁場を印加した場合としない場合の比較を行った。磁場印加プロセスを行った薄膜では、印加しない場合に比較して、薄膜からの発光の偏光度が大きくなった。偏光度の増加率は磁場強度およびMnの含有量(X)によって増加した。. MEHPPVとSWNTの複合体が強磁場によって配向できることを明らかにした。そこで、光増感剤であるMEHPPVやRu(bpy)_3^<2+>とSWNTの複合体をITO電極に修飾した電極を作製した。これらの修飾電極は光増感剤の吸収に対応した光電流が発生するとともに、SWNTが電子リレーの役割を果たしていることがわかった。 続きを見る
3.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 電極表面吸着分子の秩序構造形成と非線形光学現象の誘導による光学異性体検出法の開発
石岡 寿雄
研究期間: 2003-2004
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概要: 本研究は電極/水溶液界面に分子認識場を構成し,対象分子との水素結合あるいは電位による変化を誘導することにより表面での対称性の変化を増幅し,界面における分子認識,特に光学異性体の分離検出が可能な新規分光検出法を開発することを目的とした. まず電極表面に分子認識場を形成させるため,1-アントラキノンイソチオシアナートを合成し,金単結晶表面にチオール基を介して結合させたシスタミンのアミノ基と反応させた.この反応により,表面にアントラキノン分子がチオ尿素基を介して電極表面に修飾されたこと,及びチオ尿素基が水素結合受容体として機能することを酸化還元反応の電気化学的測定結果より,また,ゲスト分子として機能するリン酸二水素イオンの存在下において大きな非線形分極の変化が誘起されることを,レーザー第二高調波発生の回転異方性測定の結果より確認した.以上の結果から,リン酸二水素イオンに関し水溶液中10^<-1>〜10^<-8>Mの濃度範囲で修飾電極を応答させることに成功した. さらに,修飾分子間相互作用を最適化し秩序性を高めることを目的とし,リン酸二水素イオンと1-アントラキノンイソチオシアナートを錯生成させた状態において金電極表面に修飾する手法を新規に開発した.この手法により電極表面に修飾したアントラキノンの酸化・還元波の半値幅が約150mVから100mVまで減少することを確認し,界面における隣接基相互作用が酸化体-酸化体間および還元体-還元体間で強固となることを見い出した.この結果は界面における分子の秩序性が向上すること,及び誘導適合的手法により形成された界面認識場における隣接アントラキノン分子間の配向が安定であることを意味する.この手法は不斉分子を検出するための表面配向を固定させるための基礎となる技術として利用でき,軸不斉を有したアントラキノン二量体の界面修飾に利用可能であると考えられる. 続きを見る
4.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of ビタミンB12修飾電極による環境負荷物質の光駆動型超効率分解
久枝 良雄
研究期間: 2003-2004
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概要: 1)共有結合型及び非共有結合型ビタミンB12修飾電極を作製し、電解脱塩素化反応に成功していた。またビタミンB12錯体を触媒として用い、環境汚染物質であるDDTの分解反応にも成功した。さらに、光還元作用を示す[Ru^<II>(bpy)_3]^<2+>を用いることで、可視光照射により、Co(I)種の生成及びCo-C結合の開裂が可能となるクリーンシステムを構築した。その結果、DDTの98%が消失し、DDDが主生成物として71%の収率で得られた。暗所下やB12錯体なしでは反応はほとんど進行しなかった。本システムは、錯体触媒の活性化法として可視光のみを利用したクリーンシステムと言える。 2)酸化チタンの光照射により生成する伝導帯の励起電子は、-0.5V vs. NHE (pH7.0 H_2O)の還元力を有することが報告されており、この電位はビタミンB12錯体をCo(I)種へと還元することが可能である。そこで側鎖にカルボキシル基を有するビタミンB12錯体を合成し、酸化チタン表面に固定化したハイブリッド触媒を創製した。元素分析から見積もった錯体の固定化率は7.0x10^<-11>mol/cm^2であり、比較的高濃度で酸化チタン表面に固定化されていることが明らかとなった。このように調整したビタミンB12ハイブリッド酸化チタンをエタノールに懸濁し、紫外線照射(ブラックライトを使用)すると、Co(I)種の生成を示す暗緑色へと変化した。そこで、基質としてDDTを加え、光照射しながら反応させたところ、主生成物としてトリ脱塩素体であるDDAが得られた。ビタミンB12錯体を酸化チタン表面に固定化することで、好気性条件でもCo(I)種の生成が可能となり、脱塩素化・酸素添加反応が進行したものと推察される。 続きを見る
5.
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Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 疎水性ビタミンB_類を触媒とした電気化学的新有機合成 — Novel Organic Synthesis Catalyzed by Hydrophobic Vitamin B_ Derivatives under Electrochemical Conditions
村上 幸人 ; MURAKAMI Yukito
研究期間: 1988-1989
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概要: 1.ビタミンB_<12>のコリノイド骨格周辺のアミド基を種々のカルボン酸エステル基に変換した疎水性ビタミン_<12>類を合成した。 2.基質としてマロン酸エステルのブロム化物を用い、種々の電位で疎水性ビタミンB_<12>を触媒とする反応を行い、エステル基が分子内1,2-転位する電解条件を見出した。また、マロン酸誘導体以外に、エステルのかわりにエチエステル、アシル、シアノなどの官能基を有する基質についても反応を行い、同様に電子吸引性置換基の1,2-転位が起こることを明らかにした。本研究での実験条件下における反応は触媒的に進行し、2時間でタ-ンオ-バ-数100以上の効率で転位生成物を与えた。種々の分光学的手法により電解反応機構を検討し、1,2-転位反応はアニオン中間体を経由して進行することを明らかにした。さらに、シアンイオンの添加によりヘテロリシス開裂が促進され、1,2-転位反応が効率良く進行することを見出した。 3.グラッシ-カ-ボン電極上で疎水性ビタミンB_<12>誘導体とエポキシモノマ-を反応させ、高分子被覆電極を作製した。作製した修飾電極に関して、FT-IR、蛍光X線、ESCA等により表面分析を行い、疎水性ビタミンB_<12>が電極表面上に固定化されていることを確認した。このビタミンB_<12>修飾電極を、用い、電極表面上の疎水性ビタミンB_<12>に対して、10^5ー10^6倍モルの基質を添加して電解反応を行った。均一系触媒反応と比較して基質の転化率は良くないが、転位生成物の比率の向上が観測された。電極表面上に固定化された疎水性ビタミンB_<12>を基準に評価するとタ-ンオ-バ-数が10^3-10^4となり極めて触媒効率が良い。また、均一系ではほとんど異性化反応が進行しない電解条件(中間体としてラジカルが生成する条件)でも転位生成物が得られた。これは、電極表面上の高分子膜による反応場効果によるものと考えられる。 続きを見る
6.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of ピロール系金属錯体のポテンシャル制御と分子変換機能
久枝 良雄
研究期間: 2005
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概要: 1)人工テトラピロール系色素の1つであるポルフィセンに電子吸引性置換基として臭素およびスルホン酸基を導入した化合物を合成した。また、これらのポルフィセン誘導体にコバルトおよび鉄などの金属イオンを配位させた錯体を合成した。臭素基の導入によりコバルト錯体の酸化還元電位はアノードシフトし、中心コバルトのルイス酸性が増し軸配位能力が増大した。 2)臭素化ポルフィセンのコバルト錯体の酸化反応活性を検討した。基質としてアルキルビニルエーテルを用い、アルコール存在下でCo(III)錯体を作用させると、アルコールの付加反応を伴い、相当するアセタール型のアルキル錯体が生成した。これに好気条件下で光照射を行うと、アルキルパーオキソコバルト錯体を経由して、相当するアルコールおよびアルデヒドが生成した。本触媒反応は、付加および酸化のタンデム反応であり極めて興味深い。本触媒反応は、臭素が1つまたは2つ置換基として導入した錯体で活性が高かった。 3)ポルフィセンにモリブデンを導入した錯体の合成に成功した。モリブデンはMo(V)錯体として単離でき、X線構造解析から軸配位子として酸素と塩素が結合していることが明らかになった。本モリブデン錯体をアルコールに溶解し、脱気条件で可視光を照射すると、Mo(IV)錯体に還元された。Mo(IV)錯体は酸素により自動酸化されてMo(V)錯体にもどるので、可視光と空中酸素を利用した酸化触媒としての利用が期待できる。 4)天然のテトラピロール金属錯体の1つであるビタミンB12誘導体をゾル-ゲル法により電極表面上に固定化した修飾電極を作成した。本修飾電極は酸化還元活性を有しており、有機ハロゲン化物の還元二量化反応などの触媒として利用できることが明らかになった。 続きを見る
7.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of ハイブリッド触媒の創製とナノ特異反応場を利用したクリーン物質変換反応
馬場 達志
研究期間: 2005-2007
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概要: ポルフィリン構造異性体であるポルフィセンは、優れた光吸収能を示すうえ一重項酸素を生成することから、新たな光増感剤として期待されている。ポルフィセンを光増感剤として用いるには、化学修飾による物性制御が重要となるが、化学修飾ポルフィセンの合成例は少なく、分光学的性質に及ぼす影響については検討されていない。そこで本研究では、化学修飾ポルフィセン及びその金属錯体を合成し、光増感能に及ぼす置換基効果を検討した。 まずポルフィセン環骨格に重原子置換基として臭素を1〜4個導入したポルフィセンを合成し、一重項酸素生成量子収率(Φ_Δ)の向上に成功した。また、臭素置換数と励起一重項状態における各失活過程の速度定数との相関を明らかにした。すなわち、臭素置換基数の増大により項間交差過程が加速すること、また第三置換基、第四置換基の導入は環の平面性低下を招き、内部変換過程を加速することを見出した。続いて臭素化ポルフィセン配位子ヘパラジウムを挿入し、臭素化ポルフィセンパラジウム錯体を合成した。臭素化ポルフィセンパラジウム錯体のΦ_Δを測定し、Φ_Δ=0.98という極めて高い値を得た。さらに、臭素化ポルフィセンパラジウム錯体の三重項量子収率(Φ_T)についても検討し、臭素置換基とパラジウムが共に重原子効果を発揮し、Φ_T=1.0であることを明らかとした。すなわち、ポルフィセンの化学修飾と錯形成の組み合わせは、光増感能向上に対して有効なアプローチであることを示した。またポルフィセン環骨格にスルホン酸基を1〜3個導入し、水溶性ポルフィセン光増感剤を合成した。スルホン酸基置換数とΦ_Δの相関について検討し、置換数が増大するほど内部変換過程が加速し、Φ_Δが低下することを明らかにした。 以上要するに、本研究ではポルフィセン誘導体の分光学的性質に関する知見と光増感能向上に関する方法論を提示した。 続きを見る
8.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 光電極反応の磁場制御
米村 弘明
研究期間: 1999
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概要: 昨年度報告したCds超微粒子修飾電極における磁場効果(Δ=-3%)はポルフィリン-ビオローゲン修飾電極における磁場効果(Δ=15%:磁場による光電流の変化量)に比較して小さい。そこで、本年度は磁場効果の増大を図るために、II-VII族半導体のカチオンの部分を磁性イオンに置換した混晶、すなわち希薄磁性半導体に注目した。具体的には、CdSにMN^<2+>を含ませた希薄磁性半導体の超微粒子を用いて、光電流に対する磁場効果を検討した。また、励起3重項の量子収率が高く光物性が注目されているC_<60>を光増感剤として用い、磁場による影響の増大も図った。具体的には、フラーレン(C_<60>)-フェノチアジン(PH)連結化合物を電極に固定し、光電流に対する磁場効果について試みた。具体的には以下の研究を行った。 1.Cd_<1-X>Mn_XS超微粒子の作成方法はCdS超微粒子と同様にAOT逆ミセルを用いて調整した。超微粒子をSAMを用いて金電極に固定して修飾電極を作成した。光照射を行うことで安定なアノード方向の光電流を観測できた。修飾電極に磁場印加(0.76T)すると、光電流の減少が観測できた。磁場による光電流の変化率(Δ)は-8%となった。これはCdS超微粒子の場合(-3%)より約2.5倍程度磁場の影響が大きくなった。この結果はスピンを持つMn^<2+>のために、光電流に及ぼす磁場の影響が増大されたと考えられる。また、超微粒子化してないCd_<1-X>Mn_XS修飾電極ではアノード方向の光電流は観測されたが、磁場効果は観測されなかった。従って、超微粒子化(量子サイズ効果)は光電流に対する磁場効果を観測するための必要条件である事がわかった。 2.最初に、C_<60>-PH連結化合物のベンゾニトリル溶液をNd-YAGレーザー(532nm)で光励起して、過渡吸収スペクトル及び時間分解EPRを測定した。過渡吸収スペクトル測定では700nm付近の吸収(C_<60>の励起3重項(^3C_<60>^*))は消失し、新たに520nmの吸収ピーク(PH^+・)と600nm以上の吸収(C_<60>^-・)が観測された。さらに、ラジカル対に帰属される吸収の減衰速度定数(kd;s^<-1>)は磁場を加えると小さくなり、0.2T以上で一定値になった。電荷再結合反応がマーカス理論のトップ領域にあるにもかかわらず、この電荷分離状態は長寿命(130ns:0T)であった。これは逆電子移動反応がスピン多重度に支配されているためと考えられる。時間分解EPRの結果も上記の事を支持した。に、C_<60>-PH連結化合物と両親媒性分子の混合LB膜をITO透明電極に一層固定して修飾電極を作成した。修飾電極を光照射すると、安定なアノード方向の光電流が観測された。しかしながら、現在のところ光電流に対する明確な磁場効果は観測されていなかった。 続きを見る
9.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 光同調性分子膜を用いる光電変換デバイスの構築
山田 淳
研究期間: 1999-2000
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概要: 電気化学的傾斜構造を持つ光同調性電子リレーユニットを二次元、三次元空間に配列させた分子組織系の構成により、カスケード的な光電子移動の実現ならびに電子拡散効果を利用した光電変換システムの構築する事を本研究の目的に研究を遂行した。主な成果は以下の通りである。 (1)交互積層法による分子組織系の構成 静電相互作用を活用した非共有結合による分子組織系の構成法について検討した。その結果、ポリカチオンとしてソフトな四級アンモニウム基をもつポリマーがふさわしい事が明らかとなった。一方アニオン色素には、スルホン酸基の数を1〜3個持つ色素について比較検討した結果スルホン酸基の数が少ない色素の方が積層化しやすいという興味深い結果が得られた。また色素の配向性について非線形工学の手法により評価した結果、双極子の配向画が40〜50゜であることも明らかにした。 交互積層による三次元空間での規則的な分子配列構造が形成できる事が実証できた。 (2)電子拡散性分子と光電変換 電子供与体と電子受容体が1:0、1:1、1:2の組成比である光同調性ユニットを設計・合成した。ランプからの光をファイバーを通して修飾電極にあて、発生する光電流を比較検討した。その結果、電子受容体間での相互作用すなわち電子拡散効果により光電流効率が向上する事を見出した。 (3)酸化チタン層を介する光同調性ユニットの合成と光電変換 ITO電極表面にフラーレンを固定化し、引き続いてチタンブトキシド溶液に浸す事により酸化チタン層をフラーレンの上に作製した。更にポルフィリン溶液に浸す事により、ポルフィリンを固定化した。光電流の観測から、ポルフィリンとフラーレン間に電気化学的ポテンシャルがあり、光電子移動が起こる事を確認した。また、多段階の電気化学的傾斜構造を構成する事が高効率光電変換に重要である事も明らかにした。 続きを見る
10.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 光電極反応の磁場制御
米村 弘明
研究期間: 1997
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概要: 本研究では光、磁場、電場という異なる3つの外部制御法を組み合わせつつ、複雑な修飾電極の光電気化学反応の反応機構を明らかにすると共に、光、磁場、電場に多角的に応答する巧妙かつ有用な光機能材料を開発する事を目的とした。具体的には以下の研究を行った。 1.ポルフィリン(P)-ビオローゲン(V)連結化合物をLB法によりV側から一層固定した修飾電極を作成した。犠牲試薬としてトリエタノールアミン(TEOA)を加えて、このP-V対修飾電極の光電流に対する磁場効果に及ぼす電極電位の影響を検討した。修飾電極に光照射すると、アノード方向の安定な光電流が観測できた。修飾電極に磁場印加(0.5T)すると光電流の増加が観測できた。光電流増加率(Q)は磁場強度の増加に伴って増加し約0.3T以上で一定になった。電極電位を正側にシフトするとQ値が増加した。以上より、P-V修飾電極において磁場と電場を併用した光電気化学反応の制御法を開発できた。 2.半導体超微粒子の量子サイズ効果を利用して光電変換機能に対する磁場効果を観測する事を試みた。CdS超微粒子をSteigerwaldらのAOT逆ミセル法を用いて調製した。CdS超微粒子をBardらによって報告された金電極にSAMを利用して固定化し、修飾電極を作成した。TEOAを添加し、光照射するとアノード方向に光電流が観測された。修飾電極のアクションスペクトルとCdS超微粒子の吸収スペクトルが一致した。光電流はCdS超微粒子の光励起により起こっている事がわかった。さらに、磁場の印加すると(0.5T)光電流の減少(2-3%)が観測された。ここで、超微粒子ではないCdSを修飾した電極では磁場効果は観測されなかった。従って、磁場効果は量子サイズ効果が原因と考えられる。以上より、CdS超微粒子修飾電極において初めて光電流に対する磁場効果が観測できた。 続きを見る