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1.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 熱塩循環にに関する実験的研究
本地 弘之
研究期間: 1988
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概要: 本年度は、(1)回転流体中の斜面を下る重い密度流の挙動、および(2)2層流体における熱塩拡散を調べる実験を行った。(1)においては、実験水槽を回転テーブルの上に乗せ、冷却によって2次的に線状に結誘起された重い密度流の構造を流れの可視化の方法で調べた。その結果、密度流流体と環境流体との密度差とテイラー数がある限られた範囲の値をとるとき、密度流は傾圧的不安定のために波状構造を呈するようになることが分かった。また、回転密度流のレジーム・ダイアグラムを私実験的に得て、ハドレー的な2次元流から多数の渦を伴う乱流に至るまでの流れの構造を明らかにした。さらに、密度流中の温度分布の同時多点計測を行った結果、規則的な波状不安定構造に対応するような温度プロファイルが得られた。(2)においては、今年度は昨年製作した水平可動板付の熱塩拡散水槽を回転テーブルの上に乗せて、ソルトフィンガー形成に対する系の回転の効果を調べた。その結果、上層が高温・高塩分、下層が低温・淡水の2層界面におけるソルトフィンガーの形成は回転によって著しく抑制されることが分った。ある限られたパラメータを与えたときにのみ界面付近に局在したフィンガーが過渡的に形成されるが、大部分の場合、規則的なフィンガーの形成は見られなかった。 以上のように、本年度は主として2つの項目について調べたが、これらの散逸過程とそこで現れる形態は深海底層流のとりうる構造の解明に寄与すると考えられる。回転密度流の規則的な不安定構造は、例えば、極地方において重い深層水が形成されるとき、あるいは形成された深層水が海底斜面を流化するとき、単に平面的な層流として流れるのではなく、不安定構造をとってある場所では強く、またある場所では弱く流れることを強く示唆するからである。 続きを見る
2.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 熱塩循環に関する実験的研究
本地 弘之
研究期間: 1987
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概要: 高密度塩水の回転流体内における拡散形態について実験的研究を行った. そのために流れの断面形状を観測できるプレクシグラス水槽を製作使用した. まず, 円形海盆に海盆周辺部から流入する高塩分水の挙動について調べた. その結果, 塩水の吐出口が流体回転方向に相対的にどの方向に向いているかによって流体拡散の形態が著しく異なることを明らかにした. 即ち, 吐出口(ノズル)の軸が系の回転方向(常る反時計まわりになっている)と一致しているときには海盆周辺に沿ってグラヴィティ・カレントが形成される. この流れは明瞭な塩水ヘッドを持つ. 吐出口が海盆中央を向いているときには拡散流はコリオリを力を受けて右側に拡がって行く. 吐出口が逆方向を向くときには塩水ヘッドは形成されず山形の塩水塊が作られ, 拡散速度が減る. 深層海水と密接な関連をもつ中層水の挙動を調べる目的で, 二層流体界面に貫入拡散する回転流れも調べた. その結果, 塩水は水槽中心部へ向う流れと周辺境界に沿う流れとに分岐して拡散することが判明した. また, 深層水の形成域における挙動を明らかにするために線状冷却域からの沈降流に及ぼす回転の効果を調べた. その結果, 回転流体中の沈降流は一定間隔のブロックに分れて沈降することを見出した. 熱塩拡散水槽を設計・製作し, これを用いて二重拡散の形態, 特にソルトフィンガーの形態を調べた. その結果, 新たにロール状の断面をもったフィンガーが形成されることを見出した. 回転がフィンガー形成に与える効果についても調べつつある. この外, 実海洋の低塩分水の挙動についても調べた. 全般に流れの可視能化法を用いて種々の熱塩循環流の構造を明らかにすることができた. 今後はより定量的な計測によって, 各流れのパラメーター依存性を確定すること, より現実的な海洋のモデルと熱塩流との干渉形態を明らかにし, 実際の深層水循環の力学モデルの形成に寄与することをめざしている. 続きを見る
3.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 二重拡散流体系カオスの実験的研究 — Experimental Research on Chaotic Flows of Double-Diffusive Fluids
本地 弘之 ; HONJI Hiroyuki
研究期間: 1990-1991
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概要: 熱及び塩分を拡散要素とする二重拡散流体系の中に生ずる層流からカオティックな流れにわたる流体散逸構造について,流れの可視化を主とする実験的手法によって調べた。 はじめに予備的な実験として,水平仕切板を引き抜く方法で上下層の流体を接触させる方式の熱塩拡散水槽を用いて流れ構造を調べた。ここでは、ソルトフィンガ-の横の間隔(水平波長)が,線形容定論が与える予測値よりも大きいこと,及びフィンガ-型対流についても通常型の熱駆動対流についても水温変動から得られる相関次元は約1.5となって大きな差はみられないことが分った。 後半は主として30×40×5cmの小型水槽を用いて,詳細な可視化実験を行った。この中で,安定密度差比Rが大きいとき(R【greater than or similar】20)水平波長が通常のそれよりも大きいソルトフィンガ-が形成されうることを見出した。通常のフィンガ-の波長はR【less than or similar】50において大体一定となるモ-ドが支配的であるが,Rが大きいとき波長がRとともに増大するモ-ドが存在することが分った。この他,上層と下層で水平波長が異なるフィンガ-層が形成される場合があること,内壁面付近にだけ形成されるフィンガ-があること等を見出した。更に側面加熱と冷却によって誘起される流れがフィンガ-の変形に与える影響を調べた。熱電対によって水温変動の計測を行ない,そのスペクトル解析を行った。その結果,ソルトフィンガ-型の流れよりも通常の熱駆動型対流においてより多くの変動成分が卓越 関連する流れとして,塩水の電解電流と局所移動磁場とのロ-レンツ相互作用で誘導される振動流の挙動を調べ,その形成領域がレイノルズ数と無次元電流密度で限られることを明らかにした。 続きを見る
4.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 結晶成長における二重拡散自然対流現象とミクロ構造 — Double Diffusive Natural Convection in Crystal Growth
尾添 絋之 ; OZOE Hiroyuki ; 尾添 鉱之
研究期間: 1994-1995
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概要: 二液層系の二重対流拡散において、先に、両層の境界面が徐々に上方へ移動する現象が観察されていたが、この理由が不明であった。温度の体膨張係数、濃度の体膨張係数、動粘度、温度拡散率、拡散係数の諸物性値を温度の関数として表し、数値解析を行った。ここでKCl水溶液の場合を例とした。この結果、温度の体膨張係数と温度拡散率、拡散係数の三つを全て温度依存させることにより水層側の領域に18%もの界面移動が生じることが認められた。またこのような原因としては加熱、冷却壁に沿って両液層面に衝突する境界層流れの慣性力の違いによることが流速分布から考えられた。 また二液層の接触から完全な崩壊と一液層への遷移過程を含めた数値解析を行った。これはプラントルPr=6,ルイス数Le=10,アスペクト比A=4,レイリー数Ra=10^5,浮力比N=2の場合で無次元時間τ=2.41において崩壊した。KCl水溶液の場合、実験では4cm幅,16cm高,10cm奥行きの水槽で10℃の温度差で9時間を経過しても崩壊しなかった。 二液層の下層の塩水層から上部の水層への溶質の移動によって二重拡散自然対流が生じるが、この移動速度を数値解析により求めた。数値計算はPr=6,A=4,Ra=10^4,N=2,3,5,10,Le=10,20,30,50,100について行った。 このようなデータの組み合わせに対し数値計算を行い、濃度の移動速度dc/dτを求めた。その結果、データは次のような経験式で表されることが解った。dc/cτ=(2.78/N+0.28)Le^2,ここでN=2〜10でa=-0.61〜-0.71となった。これは対流層間の物質移動速度は両層間の濃度差によらず、拡散係数に依存するということが結論づけられた。これはまた先に鎌倉により測定されていた実験結果を説明するものである。物質移動速度が濃度差に依存しないのは、対流層間の濃度勾配が一定であると推定できた。 以上は二重拡散自然対流でよく観察される多数のセル状ロールのうち2つだけを取り出した場合の二液層であったが、次に上下方向に最初は一様で、左右の側壁から加熱・冷却され、かつ側壁上の濃度が±0.5であるような場合を取り上げた。これは側壁が電極のような場合に相当し、本研究分担者のKamotani教授が長年取り組んでいる系である。まず加熱壁で低濃度、冷却壁で高濃度という場合を取り上げた。この場合温度差の基づく浮力の方向と、濃度差に基づく浮力の方向がどちらの側壁でも同方向であり、全層対流が起こるように思われるが、実際には低濃度液が層の上部に停滞し、一方、高濃度液が層下部に停滞し、中央部分には平均濃度に近い液層が温度差にのみ依存した小規模の対流渦を呈することが解った。これは従来のKamotaniらの解析解と一致する特性である。さらに本研究では、結晶成長を想定した低Pr数の場合を取り上げ、Pr=0.01,Le=100,A=2,Ra=10^4,N=0,3,10,20という場合を取り上げた。その結果N=0と3では低プラントル数流体特有の真円に近い対流渦が槽の中央高さに形成されたが、浮力比N=10,20になると、全槽対流と真円対流が交互に出現するようになり、平均ヌセルト数も無次元流速も大きく周期的に変動する解が求められた。このような系は極めて周期変動の大きな不安定な特性を持つことが認められ、ミクロ構造に影響が大きいと考えられる。次に加熱壁で高濃度、冷却壁で低濃度という場合を取り上げた。この場合、両者の浮力は共に相殺し、高濃度液を温度浮力で持ち上げようとして途中で加熱壁より離れていくという現象が現れるが、実際には更に浮力比がパラメータとして作用するので、Nが0.5,1,2位まではほゞ全槽対流であるが、N=3,10では周壁に沿う濃度差対流に対し、コア部分には個別の温度差対流が現れるという極めて特異な対流が出現した。しかし側壁上の平均ヌセルト数は前者の場合、大きな振動を呈した。 以上のような多数の新しい知見を科学工学会第28回秋期大会にて展望講演の機会を与えられてまとめて報告できたのは望外の幸いであった。 その他、ガス相についての二重拡散対流の問題をオランダ,デルフト大学での長期滞在において鎌倉氏が実施でき、多くの新しい成果を得、本年イタリアで発表を予定している。二年間で本研究は外国誌,国際会議等で12件の業績としてまとめることができたのも予想外の大成果であった。 続きを見る