close
1.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 人工腹膜の作製と癌性腹膜炎研究・外科治療への応用 — Artificial Peritoneum for Cancer Research and Surgical Treatment
内山 明彦 ; UCHIYAMA Akihiko
研究期間: 2000-2001
本文を見る:
概要: 胸・腹膜組織は、胸腔内や腹腔内及びその中の諸臓器と全身循環系との間のバリアーとして働く生理的に非常に重要な組織であり、その機能ないし構造破綻は腹膜炎や胸・腹水などの種々の疾患の病態にも深く関与している。本研究は人工的にヒト腹膜に類似した組織を再構築し、研究と治療への応用を図ることを目的とした。我々は人工腹膜の作成に成功し、その微細構造解析をおこない、さらに動物(WKA系雄性ラット)を用いて人工腹膜を作成し、その同系ラット腹膜欠損に対する移植に成功した。我々の作成した人工腹膜は、腹膜の構造としての最表層に位置する腹膜中皮細胞の単層形成を免疫学的にも確認し、さらに走査電顕にてもこれが微絨毛を有する単層腹膜中皮細胞であることを確認した。この人工腹膜は物理学的にも適度な強度と弾性を有していた。この人工腹膜は、癌細胞の接着・浸潤実験など、癌性腹膜炎の病態・治療モデルとしても有用であることが示唆された。さらに、ヒト人工腹膜へのIFN-γの遺伝子導入を試みたが、現在のところ、長期に安定したIFN-γの産生を得られるまでには至っておらず、さらなる方法の改善を試みている段階である。ラットの皮膚繊維芽細胞と大網中皮細胞、タイプIコラーゲンを用いて人工腹膜を作成し、腹膜欠損作成ラットへの縫着・移植を試みた結果、移植部での癒着も軽度で、周囲組織との適合も良好であることが組織学的にも証明された。さらにこの移植組織には、慢性炎症細胞の浸潤も軽微で、内部に新生血管の誘導がみられたことより、人工腹膜移植の安全性、有用性が示唆された。本研究による人工腹膜の開発により、腹膜関連疾患の病態理解への有用性と腹膜欠損等の治療的応用性が示唆された。 続きを見る
2.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 癌性胸腹水発症メカニズムの解明
鳥巣 要道
研究期間: 1994
本文を見る:
概要: 癌性胸腹水は末期癌患者のQuality of lifeを大きく左右する病態である。癌細胞の胸腹膜播種についてはin vivo,in vitroで若干の検討はなされているが、癌性胸腹水発症、進展の詳細な機序は未だ不明の点が多い胸腹膜中皮細胞は胸、腹腔内最表層に位置し、物質透過の制御装置として働いており、その機能破綻により容易に胸、腹水貯留が引き起こされると考えられる。以上の背景をふまえ、我々は今回の研究で、癌関連サイトカインの一つであるTGF-βの腹膜中皮細胞に与える影響を明らかにした。本因子は今回検討した47例の癌性胸腹水症例中、85.1%(40例)に1.0ng/ml以上の濃度で検出され(ELISA法)、原発組織が大腸の場合に高濃度の例が多かった。腹水中、胃癌細胞によるTGFβ-mRNAの産生がin situ hybridizationにより証明されたことにより、癌細胞がTGF-βの主な産生源であると考えられた。ヒト培養腹膜中皮細胞に与えるTGF-βの影響では、0.1ng/ml以上の濃度のTGF-βにより中皮細胞の増殖は抑制され、その形態にも変化を与えることが証明された,さらに、TGF-βの中皮細胞層の透過性に与える影響を検討したところ、標識アルブミンの透過性を著明に亢進させることが示された。また中皮細胞と胃癌細胞株を共存させた癌細胞浸潤実験では、TGF-βをあらかじめ癌細胞に作用させることにより中皮細胞下面への癌細胞の浸潤が増大することも明らかとなった。以上の結果は癌性腹水中に存在するTGF-βが中皮細胞癌の形態及び機能を破綻せしめ、その透過性を亢進させ、胸腹水貯留において重要な役割を果たし、一方で癌細胞自身の中皮細胞への浸潤を亢進させることを示唆するものである。さらに、生体内においてTGF-βの活性化に関与すると考えられるurokinase-type-plasminogen-activator(u-PA)も癌性腹水中で高濃度に存在することを明らかにした。以上、本年度はTGF-βと中皮細胞に焦点をあて、TGF-βの癌性胸腹水発症への関与を明らかにした。現在、アラキドン酸代謝産物12-HETE.15-HPETEを次なるTargetにし、この分子の胸腹水貯留への関与について解析を進め、一方で胃癌細胞を用いた動物腹水モデルの作成を行っている。 続きを見る
3.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 癌細胞による胸原膜中皮細胞の傷害機序の解明と、その抑制に基づく癌性胸腹水の治療
田中 雅夫
研究期間: 1996
本文を見る:
概要: 癌性胸腹膜炎に伴う胸水、腹水の貯留は進行癌患者のQOLを左右する重大な問題であり、我々はその治療と発症メカニズムについてこれまで研究を重ね、その一環として今回の萌芽的研究においては、胸腹膜腔最表層に位置し、物質透過のバリアーとなる中皮細胞に焦点をあて研究をおこなった。今回の研究で明らかにした点は腫瘍関連サイトカインの一つであり、免疫抑制能を有するTGF-βが、中皮細胞の増殖を抑制し、アルブミンなどの透過性を亢進させることである。TGF-βの作用のSpecificityに関しては抗体を用いた実験によって証明し、TGF-βの供給源としては胸腹腔内癌細胞がその一つと考えられ、TGF-βmRNAの発現と上清中へのTGF-βの放出をELISAにて確認した(以上Clinical Immunology and Immunopathology 77;27-32,1995に発表)。次の段階である中皮細胞障害の拮抗因子に関する研究では、まずTGF-βに対して拮抗作用を有するDekorinの作用を検討したが、これまでのところTGFβの中皮細胞に体する傷害活性を抑制する結果は得られていない。しかし、多機能サイトカインの一つであるInterleukin-4(IL-4)をTGF-βとともに中皮細胞に作用させたところ、TGF-βによる中皮細胞の透過性亢進を抑制した(第96回日本外科学会にて発表)。おそらくIL-4がTGF-βのシグナル伝達機構の一部に影響を与えたと考えており、現在そのメカニズムについて検討中である。さらに現在、中皮細胞より放出される防御因子についての解析を進めるとともに、中皮細胞の増殖に関する因子について現在検討している。 続きを見る
4.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 腹膜播種制御への細胞生物学的アプローチ:癌と間質反応を抑制するサイトカイン遺伝子の腹腔中皮細胞への導入
内山 明彦
研究期間: 1998-1999
本文を見る:
概要: 本研究は、癌の胸腹膜播種を制御するための、生物学的治療法の開発を目指すものである。平成11年度の研究成果の概要は以下の如くである。 1)Interferon-γ(IFN-γ)遺伝子の培養中皮細胞および癌細胞への導入 IFN-γcDNAを組み込んだプラスミドをlipofection法により、中皮細胞および癌細胞に遺伝子導入し、mRNAの発現を確認した。培養中皮細胞にはIFN-γmRNAは通常は発現していないことは昨年度の実験で確かめている。また遺伝子導入中皮細胞の培養上清にIFN-γ蛋白が産生されていることも明かとなった。 2)遺伝子導入後の中皮細胞のviability 遺伝子導入後、癌細胞の多くは生存するが、中皮細胞は死滅細胞が増えてくることが分かった。これは遺伝子導入による細胞傷害に加えて、lipofection法の条件設定を改良すべきと考えられた。現在アデノウィルスのIFN-γ遺伝子ベクターを検討している。 3)外科手術後の胸腹腔内滲出液の浸潤増強活性の解析 臨床で胸腹膜播種制御を考えると、外科侵襲の腹膜播種に及ぼす影響が重要である。このため、肺切除術後の胸腔滲出液を採取し、高濃度のHGF(hepatocyte growth factor)が検出されること、滲出液中に癌の浸潤増強活性が存在すること、その活性にHGFが関与していることを見つけた(BrJCancer81:721,1999)。 続きを見る