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1.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 機能性クロマチンモデルとしての人工遺伝子制御システムによる遺伝子転写調節概念
片山 佳樹
研究期間: 2011-2012
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概要: 遺伝子はゲノム中では転写は抑制されており、これが必要に応じて活性化される。その分子メカニズムとして、転写因子の結合に伴うヒストンのアセチル化などの化学修飾によるDNA鎖の高次構造変化などが明らかにされているが、それらによりDNA鎖のどんな物理化学的性質が変化することが転写の活性化を可能にするのかは全く不明である。これに対し、申請者らが開発したペプチドと高分子からなる人工転写制御系は、複合体を形成した遺伝子の転写を抑制し、側鎖ペプチドのキナーゼによるリン酸化やアセチル化で転写を活性化できる。そこで、本システムをクロマチンの機能モデルと捉え、化学修飾により転写が活性化する際のDNA鎖の物理化学的性質の変化をとらえることを最も重要な目的としている。これまでの検討で、リン酸化やアセチル化により転写が活性化される際にDNA鎖の運動性が向上することが示唆されており、本年度はこれを蛍光寿命変化を指標にして検証することを試みた。独自の評価系と装置を構築し、種々の蛍光色素を検討した結果、DAPIを用いた場合に、ヒストンテールをグラフトした高分子とDNA鎖の複合体において、複合体形成時にDNA鎖の運動性が大きく低下し、アセチル化により転写が回復する際に運動性も向上することを確認することに成功した。また、より転写制御を高効率に行える制御剤開発のために、DNA鎖の運動をより抑制できる分子設計として、高分子主鎖に疎水基としてコレステロールを導入した分子を設計・合成したところ、極めて高効率に転写を抑制することに成功した。 続きを見る
2.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of がん機能イメージングのための新規プロテインキナーゼイメージングシステム
片山 佳樹
研究期間: 2009-2010
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概要: 昨年度、開発した脂質型、及びポリイオンコンプレックス型のキナーゼ活性検出分子プローブにおいて、蛍光基の修飾量、ポリアニオンの種類、脂質型でのアルキル鎖の鎖長等を種々変化させたものを合成し、リン酸化に伴う蛍光変化が最大になる最適な分子構造を決定した。ただ、これらの分子プローブは、溶液中では非常に良好な蛍光変化を示したが、細胞、及びin vivoにおいては、細胞への導入効率が悪く、細胞内のキナーゼの活性検出には至らなかった。これは、複合体の安定性に問題があると考えられたため、より強固な複合体を実現するため、カチオン密度の向上を狙ってPAMAMデンドリマーに基質ペプチドを導入した。しかしながら、蛍光の消光が小さいことと、細胞への導入効率がそれほど向上しなかったため、逆に基質を導入したデンドリマーに蛍光基を標識し、ポリアニオン側に消光基を導入することを考えた。蛍光基と消光基の組み合わせは種々検討した結果、in vivoでの使用を考えCy5.5を蛍光基にした場合、消光基としてはBHQ3が最適であった。また、ポリアニオンとしては、コンドロイチン硫酸がよいことが分かった。また、コンドロイチン硫酸は、細胞によっては表面に受容体を有しているので、細胞導入にもメリットがある。実際にこのシステムで複合体を調製すると、蛍光はほぼ完全に消光し、キナーゼによるリン酸化で大きく増大した。また、培養細胞に適用したところ、細胞への導入が確認され、プロテインキナーゼCα活性が高い細胞でより蛍光が増大した。また、リン酸化部位であるセリン残基をアラニン慙愧に置換したネガティブコントロールでは、時間による蛍光の増加は認められなかった。以上により、キナーゼに対して蛍光増大できる蛍光分子プローブシステムの基礎を確立することができた。 続きを見る
3.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 金ナノ粒子を用いたラベルフリー細胞内シグナル迅速アッセイ法
片山 佳樹
研究期間: 2007-2008
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概要: 昨年、確立した金ナノ粒子を用いるプロテインキナーゼ活性評価システムを用いて、種々のキナーゼの阻害剤の阻害能の検定を行った。いずれも、報告値とほぼ矛盾のないI C50値が得られ、本システムが阻害剤評価法として優れていることを実証した。また、本システムを用いたプロテインキナーゼ阻害剤ハイスループットスクリーニングを検討した。ケミカルライブラリを用い、プロテインキナーゼCに対する阻害能を評価したところ、0.8と高いZ'値が得られ、本法がハイスループットスクリーニング法として、十分適用可能であることが分かった。また、実際に阻害能を探索したところ、ケミカルライブラリに含まれていた既知の阻害剤2種は、すべてヒットした。その他にも、新規な阻害能を有する物質がヒットした。 また、実際にがん患者の摘出標本を用いて、がん細胞内で亢進しているプロテインキナーゼCαの活性を評価することにも成功した。11例の乳がん患者の摘出標本を用い、正常組織部分では、本キナーゼの活性は見られなかったのに対し、がん組織部位では顕著な活性が認められた。このことより、本法ががんの診断に適用できる可能性が示された。 続きを見る
4.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 細胞内シグナル応答型薬物および遺伝子送達システムの開発と新規薬物送達概念の創製 — Development of intracellular signal-responsive drug and gene delivery system, and creation of new concept on DDS
片山 佳樹 ; KATAYAMA Yoshiki
研究期間: 2003-2004
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概要: 細胞内プロテインキナーゼとしてAキナーゼに応答する薬物カプセルと遺伝子キャリヤー、及び細胞内プロテアーゼとしてカスパーゼ3に応答する遺伝子キャリヤーについて、詳細に検討した。Aキナーゼ応答型薬物カプセルでは、基質ペプチドにPEGを連結させたマクロモノマーを開発し、これとイソプロピルアクリルアミドを共重合することで、これまでより表面基質濃度を高くしたナノカプセルの開発に成功し、極めて応答性の良い薬物内包カプセルを実現できた。 Aキナーゼ応答型の遺伝子キャリヤーとしては、種々の分子設計上の検討を行ない、DNAとの複合体の粒径の調節や、溶液での安定化に成功した。この複合体をセンダイウイルスのエンベロップに封入する手法を用いて細胞へ導入する手法を確立し、細胞を薬物刺激してAキナーゼを活性化させたときにのみ、遺伝子を発現させることに成功した。各種薬物で刺激した細胞内のAキナーゼ活性を、プロモータアッセイにより評価し、本システムでの遺伝子制御と比較したところ、細胞内Aキナーゼの活性と導入遺伝子の発現量は完全に相関し、確かに細胞内Aキナーゼにより遺伝子発現が制御されていることを確認した。また、これらの基質や細胞内のAキナーゼ活性を質量分析法を用いて評価するための独自のアッセイ系を確立した。さらに、このシステムを利用してRhoキナーゼに応答するキャリヤーの開発にも成功した。これは循環器疾患への適用を目指したものであり、これを評価するために、血管障害を診断できるシステムとして新しい血管造影剤の開発も手がけて成功した。 カスパーゼ3に応答するキャリヤーについては、高分子鎖の疎水性、及び、ペプチド配列の荷電や生化学的性質を種々変化させた様々なキャリヤーを開発し、その遺伝子発現制御能と細胞導入効率を検討して、分子設計の基本理念を確立した。遺伝子制御は、細胞内でも可能であった。この概念を応用してHIVプロテアーゼに応答するキャリヤーも開発し、感染細胞特異的な遺伝子制御に成功した。 続きを見る
5.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of トリプルセキュリティーシステムによる超細胞特異的遺伝子送達システム
片山 佳樹
研究期間: 2011-2012
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概要: 本研究では、これまで開発してきた細胞内プロテインキナーゼに応答して遺伝子を解放できいる遺伝子送達システムにおいて、その血中安定性と細胞取り込み効率の向上を目ざすことを目的としている。具体的には、まず、遺伝子制御型キャリヤーと遺伝子の複合体の安定化を実現し、これに熱応答デバイスとして金ナノロッドを混合して被覆した粒子の開発を最終目標とする。今年度は、まず、複合体の安定化の検討としてPEG鎖の導入、疏水基の導入の検討を行った。その結果、PEG鎖の場合は、導入率を高くするほど安定化は達成できるが遺伝子の抑制能が低下することが明らかとなった。一方、疎水基ではコレステロールなどの導入により複合体を劇的に安定化させることが可能となった。一方、体内動態の検討より、複合体のままでは肝臓への集積が著しいことがわかり、被覆の重要性が明らかとなった。金ナノロッドの検討では、その表面の被覆により疎水化、親水化いずれも達成でき、前記複合体と混合可能なロッドの調製が可能となった。 続きを見る
6.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 臨床応用へ向けた細胞内シグナル応答型遺伝子キャリアの創生
土谷 享
研究期間: 2010-2011
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概要: 平成23年度はキナーゼ応答性ポリマー/プラスミドDNA(pDNA)複合体の安定性向上に関して検討した。これまでに親水性高分子であるポリエチレングリコール(PEG)をキナーゼ応答性ポリマーに修飾し(NPAK-PEG)、塩、血清タンパク質存在下で複合体が凝集することなく安定に存在することを示したが、PEG修飾によりNPAK-PEG/pDNA複合体がキナーゼの活性に関わらず導入遺伝子の発現を抑制することができないことが示唆されていた。本年度はこのNPAK-PEG/pDNA複合体をマウスに血中投与し、PEG修飾によるpDNAの血中滞留性が向上したかどうかを評価したが、PEG修飾したNPAK-PEGを用いた場合でも血中滞留性は向上しなかった。そこで申請者は、新たなアプローチとして疎水性分子であるコレステロールをキナーゼ応答性ポリマーに修飾した。NPAK-PEGも含め、これまでのキナーゼ応答性ポリマーはポリマーの正電荷とpDNAの負電荷による静電相互作用のみで複合体を形成していたのに対し、コレステロール修飾キナーゼ応答性ポリマーはコレステロールの疎水性相互作用も複合体形成に寄与することが期待された。主鎖を親水性の高いポリジメチルアクリルアミドとし、コレステロール修飾キナーゼ応答性ポリマー(PDAK-Cho1)を合成した。次に、PEG修飾ポリマーの安定性評価の際と同様に、塩、血清タンパク質存在下で複合体が安定に存在するかどうかを評価したところ、PDAK-Cho1/pDNA複合体は複合体が崩壊することなく粒子を形成していた。また、過剰のポリアニオン存在下でもpDNAを遊離しなかった。これらの結果から、コレステロール修飾により複合体の安定性が向上することが示唆された。PDAK-Cho1/pDNA複合体を実際にがんモデルマウスに投与したところ、コレステロール修飾により血中滞留性は大きく改善されることが示されたが、がん蓄積能が低く、がんにどのように蓄積させるかが今後の課題である。 続きを見る
7.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 細胞内シグナル応答型分子スイッチによるガン細胞特異的次世代遺伝子治療法
片山 佳樹
研究期間: 2007-2008
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概要: 平成20年度は、昨年評価した、プロテインキナーゼCα (PKCα)に特異的な基質Arphatomegaを用いて、 PKCαに応答する遺伝子制御ポリマーを合成し、ペプチド導入率をあげたところ、エレクトロポーレーションによらずとも、培養がん細胞に遺伝子を導入でき、実際に、 PKCαに応じた遺伝子の発現を引き起こすことに成功した。また、担がんマウスにおいても、 B16メラノーマを始め、ヌードマウスに移植した種々のヒト由来がん組織においても、顕著な遺伝子の発現を実現した。この遺伝子制御システムを正常皮下組織に投与しても発現は認められず、また、制御剤ポリマー中の基質ペプチドのリン酸化部位であるセリンをアラニンに置換したネガティブコントロールポリマーでは、がん組織であっても遺伝子の発現を認めず、本概念による完全ながん特異的遺伝子制御に成功した。 Rhoキナーゼ特異的な基質の探索に関しては、前年度見出した配列を元に再設計し、 ROCK2(Rhoキナーゼ)に対する優れた基質配列を見出した。 さらに、治療用遺伝子として、チミジンキナーゼ遺伝子を用いて、ガンシクロビルと併用した遺伝子治療モデルを検討した。担がんマウス(B16)に、がん移植時より、 PKCα応答型システムにより治療用遺伝子を投与したところ、がんの成長を完全に抑制できた。一方、リン酸化部位をつぶした前述のネガティブコントロールポリマーを用いた同じ実験では、がんは時間とともに増殖し、 PKCαに応答したがん治療モデルに成功した。 続きを見る
8.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of ヒト癌細胞からの癌遺伝子の同定と分離
清水 憲二
研究期間: 1986
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概要: 1.C-raf-1遺伝子活性化の機構:ヒト固型胃癌DNAより見出された活性raf遺伝子は、全領域クローニングとcDNAの分析によって、正常c-raf-1遺伝子の第6エキソン以降の部分が別のヒト遺伝子の下流に融合し、セリン・スレオニン特異的蛋白リン酸化活性を備えた融合蛋白を作るようになったために活性化されていることが判った。融合部を含むEcoRI断片が独立に得られた複数の初代トランスフォーマントの全てに存在したことから、この融合は元の固型胃癌で生じていたと推察されるが、別のヒト胃癌由来DNA10例を分析した限りでは同様な再配列はなかった。 2.c-raf-1遺伝子の遺伝的多型:上記の分析の結果、正常ヒトc-raf-1遺伝子でもエキソン2〜4を含むEcoRI断片にEcoRIに関する制限酵素断片鎖長の多型が検出された。2種の型の頻度は約75%と25%と推定される。 3.c-rafcDNAの発現:活性型raf遺伝子は正常c-raf-1蛋白の648アミノ酸残基中キナーゼドメインを含むC端側の454残基に相当するエキソンが含まれている。この融合蛋白の性質を明らかにし、併せてモノクローナル抗体を調製するために、活性rafcDNAを大腸菌で発現させることを試みた。これまでに約60Kdと31Kdの蛋白を発現させる2種のプラスミッドを構築し、蛋白の精製を進めている。 4.条件形質転換およびカスケード解析:トランスフォームした細胞の集団から非トランスフォーム細胞を選抜する方法をまず開発した。半固型培地では非トランスフォーム細胞が増殖できない事を利用した【^3H】-チミジン自殺法によってフラットリバータントを濃縮できることができた。この方法によって細胞側の変異によるフラットリバータントの分離・解析や、動物細胞で発現するオンコジーンのcDNAに高温感受性変異を導入することが可能となった。 続きを見る
9.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 細胞内シグナル応答型遺伝子制御分子システムによるがんイメージング法の開発 — Development of Cancer Imaging System by Using Cell Signal-Responsive Molecular System
片山 佳樹 ; KATAYAMA Yoshiki
研究期間: 2008-2010
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概要: 本研究では、がんの病態機能に密接に関連する細胞内キナーゼの活性をイメージングできる分子システムを開発した。その結果、がんの増殖活性を担っているプロテインキナーゼCαに応答してレポーター遺伝子を発現できる制御剤の開発に成功し、種々のがんを可視化することに成功した。また、レポーター遺伝子の代わりに蛍光標識ポリアニオンを用いたり、蛍光基と基質ペプチドを標識したPAMAM デンドリマーと、消光基を標識したコンドロイチン硫酸からなる複合体が標的キナーゼの分子プローブとして使用できることを見出した。また、制御剤(キナーゼ応答材料)の高分子主鎖をポリエチレンイミンにすることで、シグナル応答性を劇的に改善することにも成功した。さらに、種々のがん病低機能に関わるキナーゼに対する新規基質の開発にも成功した。 続きを見る
10.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 細胞と対話し病変細胞を識別できる革新的な遺伝子キャリヤー
戸井田 力
研究期間: 2008-2011
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概要: 1.ペプチド修飾率および修飾量が遺伝子発現制御能に与える影響 前年度に開発した直鎖ポリエチレンイミン-ペプチドコンジュゲートのペプチド導入率、および導入数を最適化するため、様々なペプチド導入率・数のコンジュゲートを作製した。作製したコンジュゲートとレポーター遺伝子(DNA)の複合体をヒト肝臓ガン細胞HepG2にトランスフェクションしたところ、最適なペプチド導入率および導入数は、高分子一分子あたりに6-10mol%および数十分子であることがはじめて明らかとなった。この結果は、効率的な遺伝子発現制御を達成するための重要な高分子設計の指針を示している。 2.プロテインキナーゼCα(PKC)α活性の蛍光イメージングプローブ 既存のガンの診断法はガンの「位置」を特定するのには優れているが、ガンがどのような状態にあるのかを認識することは難しい。一方、PKCは11種のアイソザイムを持つキナーゼであり、ガンの状態によりその活性が増減する。PKCαはすべてのガンのステージで活性亢進が認められるが、PKCβやPKCηはガンの転移期に活性化している。したがって、これらの活性を染色することができれば、ガンの「位置」情報に加えて、「状態」を評価することができ非常に有用なガン診断システムとなりうる。プローブはPKCα特異的なペプチドとCy5.5を修飾したポリカチオンおよびBHQ-3を修飾したポリアニオンからなる会合体である。この会合体はPKCαに応答前は蛍光が消光しているが、応答後は正電荷が減弱するため複合体が解離しCy5.5の蛍光が増幅する。たしかに、この会合体にPKCαを添加したところ、2時間後に蛍光強度が5倍程度増幅した。また、本プローブは非常に感度がよく、細胞抽出液中の低いPKCα活性に応答して、蛍光強度が増幅することも確認できた。しかしながら、動物では蛍光強度の増幅が見られなかった。 続きを見る