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1.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 蛋白質の機能向上をめざしたリゾチ-ムの分子設計 — Molecular design of lysozyme for the improvement of protein function.
井本 泰治 ; IMOTO Taiji
研究期間: 1988-1989
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概要: 蛋白質工学によりニワトリリゾチ-ムの機能向上を目的に以下の研究を行った。1.開発済みの大腸菌によるニワトリリゾチ-ムの生産系を用いて、N末端にMetが付加し、さらに種々のアミノ酸残基の置換を施した変異リゾチ-ムを生産し、これらを活性構造に巻き戻した。2.この系で生産したリゾチ-ムのN末端は天然型と異なるため、これを天然型にするために、N末端にMet-Tyrが付加したリゾチ-ムから出発して試験管内でこれを切り落とす方法を確立した。3.酵母の発現分泌系の最適培養条件を確立し、それにより種々の変異リゾチ-ムを生産した。4.大腸菌、及び酵母の系を用いて生産した種々の変異リゾチ-ムの性質を検討した結果、以下の事がわかった。(1)触媒基であるGlu35とAsp52の置換体は、いずれもリゾチ-ム活性がほぼ消失した。(2)Asp52の置換体は、基質結合能が低下した。(3)35位に導入した解離性残基のpkはすべて異常となり、この部位に電荷をおくことは不都合であることがわかった。(4)Trp108をGlnで置換すると、活性は消失し、安定性も極めて低下した。(5)β-シ-ト上のAsn46をAspで置換すると、活性が約1/4に低下した。(6)37位および101位をGlyで置換すると、溶菌活性が上昇した。(7)14位と15位を共に欠失させた変異リゾチ-ムの熱安定性は低下したが、活性は向上した。(8)α-ラクトアルフミン様のカルシウム結合部位を構築したリゾチ-ムの還元状態からの巻戻しはカルシウム濃度で制御できた。5.一方、安定性及び活性の向上したリリゾチ-ムを生産するためには、どの様な変異を導入すればよいかを天然の変異に学ぶために、猪、豚、スナメリ(小型鯨)、犬及び、シロカン(鳥類)のリゾチ-ムを単離し、それらの一次構造と活性及び安定性を調べた。機能の向上に寄与していると考えられるアミノ酸置換を検索中である。 続きを見る
2.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 化学修飾および遺伝子工学による蛋白質のフォルディング過程の解析
山田 秀徳
研究期間: 1988
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概要: 1.S-S結合を還元したニワトリリゾチームの活性が30分間で80%まで回復する酸化還元系(pH8、38℃)を用いて、その巻戻り過程を8M尿素ゲル電気泳動で追跡したところ、まず中間体が蓄積し、その後ネイティブリゾチームと同じ泳動度を示すバンドが現れることがわかった。中間体の生成速度はSH基の消失速度と、また後者のバンドの生成速度は活性の回復速度とよい相関を示した。2.巻戻し開始30分後反応を停止し、直接単離と2日間透析後単離の場合について、巻戻したリゾチームの性質を比較したところ、直接単離したものは安定性が低下しており、巻戻し直後のリゾチームの構造は、均一ではないことが示唆された。3.化学修飾リゾチームや大腸菌に生産された変異リゾチームを用いて同様の実験を行ったところ、-1残基目へのMetの付加やTrp62の修飾は巻戻り率を低下させ、またAla31→Valの変異では巻戻りが見られないことがわかった。最後の変異リゾチームの場合、蛋白は反応中にすべて沈澱してしまった。Trp62酸化リゾチームのNMRスペクトルは、巻戻し前後で差がみられ、Trp62は、近傍のCys64-Cys80のS-S結合の形成に関与していることが示唆された。4.色素で標識したリゾチームを用いて、色を指標に巻戻りを追跡したところ、残基番号15及び23近傍の2次構造の形成は早い段階で起こるのに対して、N末端近傍のそれは遅いことがわかった。5.上記の系で巻戻り率が低かったものを、4℃、1M尿素存在下で巻戻したところ、すべてについて巻戻り率が向上した。低温は還元リゾチームの初期構造の形成に有利に働くこと、また1M尿素は正しくない構造になったリゾチームが不溶化して系外に除かれるのを抑えることがこの原因と考えられる。一方、還元リゾチームの初期構造を有機溶媒でα-ヘリックスに強制することは、巻戻しに有効ではないこともわかった。 続きを見る
3.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 大腸菌に生産させた変異ニワトリリゾチ-ムの巻戻しに関する研究 — Study on the Renaturation of Mutant Lysozymes Expressed in Schericia Coli.
山田 秀徳 ; YAMADA Hidenori
研究期間: 1989-1990
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概要: 遺伝子工学を利用して、大腸菌にジスルフィド結合を有する外来性蛋白質を生産させると、いわゆるインクル-ジョンボディ-となり不溶化することが多く、これが大腸菌の発現系の価値を著しく減少させている。そこで、大腸菌による外来蛋白質の生産系の有用性を高める目的で、大腸菌に変異ニワトリリゾチ-ム生産させ、不溶化したリゾチ-ムの可溶化、純度、N末端のプロセッシング及び巻戻し条件を検討し、以下の結果を得た。1.大腸菌に生産させたリゾチ-ムには、脱アミド化を受けたものが大量に含まれていた。2.N末端にMetが付加したリゾチ-ムでは、4個以上脱アミド化されたもの(約50%)は10%酢酸では抽出されなかった。3.抽出したリゾチ-ムをグルタチオンの酸化還元系で還元状態から巻戻すと、約25%しか巻戻らず、2個以上脱アミド化されたリゾチ-ムは沈澱して巻戻らないことがわかった。4.脱アミド化を受けたものを除いた場合、このリゾチ-ムの巻戻り率は50%であった。5.新たに開発したSH基の可逆的修飾試薬で、変性リゾチ-ムを可溶化し、カテプシンC消化を行なうことにより、リゾチ-ムのN末端を天然型にプロセスすることに成功した。6.N末端のMetを除去したリゾチ-ムの巻戻り率は80%に達した。7.N末端のMetとAla31→Valの2重に変異を持つリゾチ-ムは通常の巻戻し条件では全く巻き戻らかったが、巻戻し系に1M尿素を加えると、この変異リゾチ-ムも10%程度巻戻った。以上の結果より、脱アミド化や、疎水性アミノ酸のN末端への付加、あるいは疎水度を上昇させるような内部の変異は、いずれも変性リゾチ-ムの溶解度を減少させるために、巻戻り率を低下させると結論した。したがって、大腸菌による外来性蛋白質の生産系の有用性を高めるためには、N末端のプロセッシング法の開発に加えて、デアミデ-ス欠損大腸菌株を利用することが必要である。 続きを見る
4.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 変異体を用いたリゾチームの構造構築過程の解析
井本 泰治
研究期間: 1997
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概要: リゾチームが還元状態からどのような道筋で再生するかを変異体を用いて解析した。Trp62をGlyへ置換した変異体を用いて還元状態から再生実験を行った。野生体は再生反応を開始した後速やかに活性の発現が認められた。一方、変異体においては再生反応開始直後から約1分間活性を発現しなかったが、その後野生体に比べゆっくりした速度で再生した。そこで、野生体及び変異体を1分、3分、5分及び30分間再生反応した後、ヨード酢酸を用いて遊離のチオール基をトラップし、ゲルクロマトグラフィーを用いてどのような大きさの分子種が生成しているかを調べた。野生体に比べ変異体では、再生反応開始直後にサイズの大きな分子種のポピュレーションが明らかに増加していた。この結果から、Trp62をGlyに変えたことでリゾチーム内の単独で構造を形成し得るペプチドAsn59からMet105を含む領域の構造形成が遅くなっており、変性構造を持つ分子種のポピュレーションが増加していることがわかった。このことを明確にするために、上述したトラップ時間において得られた生成物をトリプシン消化し、逆相HPLCによりジスルフィド結合の形成を解析した。この変異体においてもジスルフィド結合の形成される順序は野生体と同一であったが、再生1分後のそれらの生成量は、野生型に比べ明らかに低下していた。以上の結果から、Trp62のGlyへの変異体において、再生初期の構造(おそらくペプチドAsn59からMet105を含む領域)形成が非常に遅くなったと結論した。即ち、リゾチームの還元状態からの再生過程において、まずペプチドAsn59からMet105領域が形成し、その後これ以外の領域が形成することが強く示唆された。 続きを見る
5.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of ランダム変異を用いたリゾチームのフォルディング情報の解析
井本 泰治
研究期間: 1995
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概要: 蛋白質のフォルディングの情報を解読する目的で以下の実験を行った。 (1)巻き戻り現象を明確に把握するために、巻き戻しの基本的方法論を確立した。 (2)ランダム変異体を能率良く確実に選び出すために、ストレプトマイシン依存性の菌を用いて100%リゾチーム遺伝子が入った大腸菌のみをポジディイブ選択できる系を確立した。 (3)リゾチームをいくつかの領域に分けて平均1個の変異が入るようなランダムオリゴヌクレオチドを張り付けてランダム変異体を作製する。酵母の分泌系でリゾチームを分泌しないもをまずは選び出す。第一選択はリゾチーム活性による溶菌斑を示さないものを選ぶ。次いで少量培養後、ELISAでリゾチームが全く分泌されないものに絞り込む。この段階でDNA配列を解析する。さらにこのリゾチーム遺伝子を大腸菌の発現系に移して発現させ、巻き戻り効率を検討する。以上の解析系を確立した。 (4)リゾチームの約1/3の領域について5000個以上の変異体の選択を完了した。現在のところ目的の変異体としては、2個以上の変異が入ったものしか捕まっていない。単一変換体に戻して、これら1個ずつの変換の重要性を検討している。一方、巻き戻りに関して決定的と思われる変換を意図的に施して解析することにより、情報を増やす研究も強力に押し進めている。 続きを見る
6.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of ランダム変異を用いたリゾチームのフォルディング情報の解析
井本 泰治
研究期間: 1996
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概要: 本研究は、ランダム変異リゾチームをスクリーニングし、蛋白質のフォルディングに関与している残基のマッピングを行うことで、高次構造又は2次構造のどの辺はどのような変換が可能か又は不可能かについての情報を蓄積することを目的としている。そのため、酵母から分泌できないリゾチームをランダムライブラリーからスクリーニングした。すなわち、既に確立しているストレプトマイシン依存性大腸菌を用いたクローニング方法と、活性及びELISAによるスクリーニング系により、活性及び分泌量の減少したものを選び出した。DNAシークエンスの結果、2変異体Asp18His/Leu25ArgおよびAla42Val/ser50Ile/leu56Glnが得られた。これらの変異体を既に開発済みの大腸菌の発現系で生産・単離し、尿素及びグリセロール存在下でin vitroでの巻き戻しを行い、陽イオン交換HPLCにより解析した結果、両変異体ともその変異が原因で不安定となったため酵母から分泌しなかったと考えられた。さらに、これらの変異体のそれぞれの1アミノ酸変異体を作製し同様な解析を行った。この結果、Leu25ArgとLeu56Glnがその不安定さに寄与していて、それ以外の変異は野生型と同様な傾向を示した。このように、多重変異体が得られた場合、それぞれの1アミノ酸変異体を作製し解析することは必要であると思われる。以後、さらにスクリーニングを続けていく予定である。 続きを見る