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1.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of CYP2B P450誘導機構解明の新展開:誘導不全変異ラット遺伝子と転写因子の解析 — A novel approach for the mechanism of CYP2B induction: A study using mutant rats that lack response to the PB-mediated induction of CYP2B2 and the analyses of the gene structure and transcription factors
山田 英之 ; YAMADA Hideyuki
研究期間: 2000-2001
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概要: CYP2Bサブファミリーに属するチトクロームP450(P450)はフェノバルビタール(PB)等の外来化学物質によって誘導されることが知られている。この誘導の機構についてはまだ多くが未解明である。本学動物実験施設で繁殖していたSD(Qdj : SD)ラットは、PB処理によってもCYP2B2の誘導が起こらない変異ラットである。本ラットはCYP2B P450の発現制御機構を解析する上で極めて貴重と考えられ、誘導不全の原因を解明できれば、問題の解決に資することが期待できる。そこで申請者はこのようなアイデアを基に本変異動物の遺伝子構造解析を中心にして解析した。その結果、Qdj : SDラットでの誘導不全の原因はエクソンでの塩基置換や欠失等に基づく変異タンパク質の生成によるものではないことを確認した。また、誘導に重要な役割を持つと言われている誘導剤応答性配列(PBREM ; Phenobarbital-Responsive Enhancer Module)を含む遺伝子上流の約4.7kbpにも重大と考えられる変異は認められなかった。PBREM結合性の転写因子の機能不全をも考え、ゲルシフトによる分析を行ったが、野生型ラットと同様のDNA-核抽出物結合が確認された。一方、Qdj : SDラットのCYP2B2 mRNA発現量を薬物未処理の野生型ラットと比較した結果、前者の発現量は1/10以下であった。これらの結果を総合して、Qdj : SDラットのCYP2B2が誘導剤に応答しない理由は、1)イントロン等の今回調査した以外の遺伝子領域に欠陥が存在するか、あるいは2)PBREM結合性のもの以外の転写制御因子の欠陥であることが明かであると考えられた。また、誘導不全は誘導剤に対する応答性というよりは、基礎発現の障害に起因することが強く示唆された。 続きを見る
2.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of チトクロームP450の小胞体膜局在化機構ならびに細胞内動態
阪口 雅郎
研究期間: 1996
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概要: 本研究では真核細胞の小胞体膜蛋白質の典型としてチトクロームP450(以下P450)をとりあげ、小胞体膜蛋白質の小胞体膜局在化機構ならびに細胞内動態について、以下のことを明らかにした。 1、P450と、同じ膜内トポロジーと同様の分子量をもちながら細胞内局在が異なるsynaptotagmin2(以下Stg2)との組換え体を用いて小胞体残留に必要な配列特性を調べた。先ず、培養細胞系で発現させたStg2分子は、小胞体型のNリンク糖鎖付加を受け、その後その糖鎖の複合型への変換とOーリンク型糖鎖付加という2種の異なる修飾を受け、細胞膜表層まで到達することを明らかにした。このことから、今後Stg2変異分子の細胞内局在が、これら複数の修飾を指標として追跡できると考えられた。ついで、P450の膜結合に関与するアミノ末端の疎水性セグメントをStg2の膜貫通セグメントに導入しても、小胞体局在の挙動を示さないことを明らかにした。これは、P450の膜貫通セグメントが小胞体局在に十分であるとの報告には再考が必要なことを示している。さらに、Stg2の疎水セグメントがP450よりも長いことに着目し、膜貫通セグメントのアミノ酸残基数と局在との関わりを調べた。その結果、27アミノ酸残基からなる、Stg2の疎水性セグメントから3-4残基欠損させるだけで、小胞体局在型に変換されることが判明した。 2、小胞体残留型の変異にStg2は発現が高いが、分解も非常に早く60分以内で半減することが明らかになった。現在、この変異Stg2分子の小胞体膜上での分解系の解析を進めている。 続きを見る
3.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of CYP2BチトクロームP450遺伝子に結合するタンパク質の諸性質とその種差 — Protein capable of binding to the upstream gene of the CYP2B subfamily P450
山田 英之 ; YAMADA Hideyuki
研究期間: 1993-1994
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概要: 1.CYP2BサブファミリーP450の誘導機構を解明するための一つのアプローチとして、ラットとモルモットにおける誘導性の顕著な差に注目し研究を行った。具体的には、"遺伝子上流に存在するBarbie box配列と転写制御タンパク質との結合性が両動物で異なることが、誘導性の違いに反映されている"という作業仮説を設け、これを実証すべく研究を進めた。 2.ラット肝核抽出物とBarbie boxとの結合は、未処理動物では微弱であるが、動物を誘導剤フェノバルビタールで前処理すると著しく増大した。対照的に、モルモットでは、動物前処理の有無にかかわらず同程度の結合が認められた。従って、Barbie box-核タンパク質結合のフェノバルビタールに対する応答性はラットとモルモットで大きく異なることが実証され、上記1の推定が支持された。 3.Barbie boxと肝核タンパク質の結合に及ぼす種々の因子の効果を調べ、その程度を両動物で比較した。その結果、Hemin添加効果、protease前処理効果及び加熱前処理効果等においてラットとモルモット間に違いが認められた。 4.核抽出液中よりBarbie box結合性タンパク質の精製を行い、モルモットより1種(BBBP-GP)を純粋に単離することに成功した。BBBP-GPは電気泳動より算出した最小分子量が約27,000であり、アミノ末端配列の分析結果より新種のタンパク質であることが明かであった。 続きを見る
4.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of チトクロームP450の小胞体膜局在化機構ならびに細胞内動態 — Membrane integration and intracellular localization of microsomal cytochrome P450
阪口 雅郎 ; SAKAGUCHI Masao
研究期間: 1997-1998
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概要: 小胞体型膜タンパク質の典型としてチトクロームP450をとらえ、その合成・膜への組み込み・小胞体局在制御を含めた細胞内動態制御について以下の成果を挙げた。 【1】 P450の膜への結合に必須なI型シグナルアンカー配列(SA-I)が幅広くマルチスパン膜タンパク質の立体構造形成に機能していることが発見された。マルチスパン膜タンパク質(赤血球バンド3タンパク質)の組み込みにおいて、分子内の“SA-I"がそのアミノ末端側のセグメントを積極的に組み込むことが実証された。このモデルはいくつかの“SA-I"をもたせた人工モデルタンパク質の組み込み解析で詳細に実証された。 【2】 P450とシナプトタグミン2との組み換えモデルタンパク質による小胞体膜への組み込みに必要な構造を確定した。I型シグナルアンカー配列の疎水領域のアミノ末端にターン構造を誘導するアミノ酸残基が特異的に要求されることが判明した。 【3】 I型シグナルアンカー配列の疎水性領域による細胞内局在制御 系統的な疎水領域の部分的欠損および改変変異体をもちいた実験から、チトクロームP450のようなI型シグナルアンカータンパク質でも、その長さに応じて小胞体局在性が制御されていることが明らかになった。この小胞体局在性は主に、小胞体からの輸送搬出の速度と小胞体におけるタンパク質の安定性によって制御を受けていることが明らかとなった。 【4】 SA-Iの生合成時における組み込みのタイミングは、の疎水性配列がリボソームから出てくるとすぐであることを証明した。 【5】 NADPH-Cytochrome P450 reductaseがP450と同じくI型シグナルアンカー配列をもつことを明らかにした。 続きを見る
5.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 薬物代謝酵素の遺伝子多型と飲酒・喫煙習慣の交互作用に関する肝細胞癌の症例対照研究 — A case-control study of hepatocellular carcinoma in relation to interaction between genetic polymorphisms of drug metabolizing enzymes and drinking/smoking habits
田中 恵太郎 ; TANAKA Keitaro
研究期間: 1999-2000
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概要: C型肝炎ウイルス(HCV)とB型肝炎ウイルス(HBV)がわが国における肝細胞癌の主要な原因である事は明らかであるが、近年cytochrome P450(CYP)やN-acetyltransferase(NAT)などの薬物代謝酵素の遺伝子多型が肝癌リスクと関連しているという報告がなされた。これらの遺伝的要因と環境要因が相互的にどの様に肝発癌に影響を及ぼしているかは十分に解明されていない。本研究では、薬物代謝酵素の中でCYP2E1とNAT2の遺伝子多型が肝癌リスクと関連しているかどうか、また飲酒・喫煙習慣との間に交互作用が見られるかどうか、について症例対照研究の手法により検討した。肝癌群41名(男性71%、anti-HCV陽性80%、HBs抗原陽性17%)および病院対照群104名(男性71%、anti-HCV陽性8%、HBs抗原陽性2%)について専任の調査員(看護婦)がインフォームドコンセントを得た後、面接調査と遺伝子解析のための採血を行った。遺伝子型はPCRによって多型部位を含む領域を増幅し、制限酵素断片長多型により判定した(CYP2E1については5'-flanking領域のRsal多型、NAT2についてはコード領域のAsp718/BamHI/Taq多型)。CYP2E1のc1/c1、c1/c2、c2/c2型は、肝癌群においてそれぞれ73%、22%、5%において観察されたのに対して、対照群においては63%、35%、2%であった。c1/c1型のオッズ比は1.6(95%信頼区間0.7-3.5)と推定された。c1/c1型のオッズ比は、多飲歴のある男性ではかなり上昇していたのに対して(オッズ比=9.0)、多飲歴のない男性ではその様な傾向は見られなかった(オッズ比=0.9、P for interaction=0.09)。c1/c1型と喫煙との間にも同様の交互作用が観察された(オッズ比:4.3vsO.8)。全体としては、NAT2多型・表現型と肝癌リスクとの間に関連は見られなかった。しかし、rapid acetylatorのオッズ比は男性喫煙者において1.9と上昇する傾向にあったのに対して、非喫煙者・禁煙者においては0.8と上昇が見られなかった。これらの結果より、CYP2E1とNAT2多型が飲酒あるいは喫煙習慣との交互作用のもとに肝発癌に影響を及ぼしている可能性が示唆された。 続きを見る
6.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 新型CYP2B subfamily P450の機能と誘導剤構造-誘導活性相関 — Function of a new form of CYP2B and the inducer structure-inducing activity relationship
山田 英之 ; YAMADA Hideyuki
研究期間: 1995-1996
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概要: 本研究は、CYP2B1/2およびそれらの先祖型であるCYP2B3の各種高毒性植物成分による誘導性を指標に、CYP2BP450の存在理由を"動物-植物闘争説"から説明すべく検討したものである。本研究で得られた知見を要約して記す。 1)BR処理したハムスター、マウスおよびモルモットでは、CYP2B subfamily P450の誘導は認められなかった。従って、BR処理によるCYP2B3の誘導はラットに特異的であることが示唆された。 2)ハムスターでは、BR処理によりCYP3A subfamilyの増加が認められ、これはPB処理によっては観察されず、2つの誘導剤で違いがあることが明らかになった。一方、モルモットでは、BR処理によりCYP2C subfamilyの誘導が示唆された。 3)高毒性植物成分12種による誘導を調べた結果、cocaineに弱いCYP2B1/2誘導能が認められるのみであった。一方、ST/BRと部分的に類似する構造を持つ化合物は弱いながらCYP2B3の誘導が認められた。 4)以上の結果より、STおよびBRによる非PB型の誘導はラットに特異的であり、またこの誘導の惹起はこれら2種の化合物の構造に起因することが強く示唆された。 本研究の結果、CYP2B subfamilyの誘導は極く限られた植物毒によってのみ引き起こされ、また使用する動物によって大きく結果が異なることが示された。従って、CYP2B subfamilyの存在理由や誘導性を、動物-植物闘争の観点のみから説明することには無理があると考えられた。しかし、CYP2B以外のsubfamilyにも目を向けると、ラット以外の動物やST/BR以外の植物毒によってその発現量が増加するものが存在した。この事実は、薬物代謝型P450全般に視野を広げた場合、動物-植物闘争が一定の役割を果たした可能性を示すものと考えられた。 続きを見る
7.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 膜蛋白質のトポロジー形成機構と構造予測
阪口 雅郎
研究期間: 1996
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概要: 小胞体での膜タンパク質の立体構造形成に関して以下のことを明らかにした。 1、I-型(Nlumen/Ccytoplasm)シグナルアンカー配列の機能が、疎水性セグメントが長いことと、そのセグメントのアミノ末端に正電荷を持つアミノ酸がないという特性により規定されていることを明らかにした。すなわち、アミノ末端に正電荷を導入すること、および疎水セグメントを短くすることにより、小胞体型チトクロームP450のI-型シグナルアンカー配列が逆の配向を示すシグナル配列に変換されることを実証した。さらに、一連のモデル配列を用いた実験から、シグナル配列の機能は疎水セグメントとそのアミノ末端側の正電荷のバランスで決まることを確認した。 2、小胞体膜での新生ペプチド鎖の膜透過を停止する機能は、主にセグメントの疎水性で規定されていることを明らかにした。また、疎水性セグメントのカルボキシル末端側に高頻度で見られる正電荷をもつアミノ酸残基が、膜透過を抑制し、膜貫通型のトポロジーを形成するために積極的に機能することを実証した。 3、複数の膜貫通セグメントを有するタンパク質のトポロジー形成に関わる“膜透過再開配列"の基本特性を明らかにした。即ち、膜透過停止の後、膜への組み込みを再開してこのようなトポロジーを形成する機能は、疎水性セグメントの長さに依存しており、N-末端のシグナル配列に認められている疎水セグメントのアミノ末端側の正電荷の要求性は認められないことを明らかにした。今後、疎水性セグメント間の相互作用や、疎水セグメントの前後関係のトポロジーへの影響を詳細に解析する。 続きを見る