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1.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 圧負荷肥大心筋の細胞膜イオン輸送機構に関する基礎的検討 — Sarcolemmal Ion Transport in Pressure Induced Cardiac Hypertrophy
牧野 直樹 ; MAKINO Naoki
研究期間: 1988-1990
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概要: 長期間高血圧が続くと心肥大を発症することが知られている。その成因について心筋の収縮蛋白の異常が知られている。一方、心筋の収縮にはカルシウム(Ca^<2+>)イオンが必須であることから、このCa^<2+>の輸送系が心筋肥大の進展によりどのような対応をなしているか、又、このCa^<2+>の輸送に深く関わる膜脂質代謝やアドレナリン受容体がどのように変化しているのか解明することが本研究の目的である。更に、一担肥大した心筋が各種の薬剤で退縮するか、退縮に伴ってどのように変化するか併せて検討した。実験には大動脈を狭窄した肥大心モデルを作成した。肥大心が完成された心筋細胞膜のCa^<2+>輸送系の中でCaポンプおよびナトリウム=Ca^<2+>交換能は非肥大群に比し亢進作用を認めたが、Caチャンネル数はその増加がみられた。膜脂質成分の分析では肥大心にフォスファチジルコリリとフォスチジルエタノラミンの増加を認め、この中でアラキドン酸が有意に高値を示した。一方、アドレナリン受容体の中でアルファ(α)ー1受容体数ベ-タ-(β)受容体数は共に肥大心で増加することを認めた。しかし肥大の退縮のためにアンギオテンシン転換酵素阻害剤を6週間投与した所、αー1受容体数のみ有意に低下した。このαー1受容体数の変化は高血圧ラットモデルでは認められなかった。以上より、本研究期間で成し得た結果では、圧負荷に伴う心筋肥大ではCa^<2+>輸送機構が重要な役割を担っており、肥大心の収縮不全に深く関係していると思われる。更にアドレナリン受容体が肥大の進展や退縮に強く関与していることも考えられた。研究期間中には肥大の分子レベルの研究まで行なえなかったが、今後、肥大心筋の細胞内代謝の異常がどのレベルで変化し、収縮不全を来たすのが解明することが今後の課題と考える。 続きを見る
2.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 心筋虚血後再潅流障害に対する細胞膜カルシウム動態とその防御機構 — Role of Calcium and Protective Effects on Reperfusion Cardiac Damages
矢永 尚士 ; YANAGA Takashi
研究期間: 1989-1991
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概要: 心筋が虚血状態に陥った時、心筋を再潅流すると重症不整脈や心筋障害が出現することが知られている。本研究の目的は(1)再潅流により不整脈の出現や心筋収縮障害が心筋細胞内のカルシウム(Ca^<2+>)代謝とどのような関係にあるのか(2)再潅流直合より発生すると言われているフリ-ラジカルの出現と上記の障害はどのような関係にあるのか(3)活性酸素消去剤や坑不整脈剤の外的投与、更にはサイトカインなどによる消去剤の発現が再潅流不整脈や心筋障害に対して有効に働くのか、以上の3点について研究を行なうため、ラット心臓を摘出し潅流した。冠動脈を一定時間の後に狭窄し、その后解放した。実験中、心電図にて不整脈を左室左により心筋収縮能を評価した。心筋組織中の高エネルギ-燐酸化合物、膜過酸化度、ナトリウム(Na)ーカルウム(K)ATPase活性を測定した。不整脈に対する治寮効果をみるため、種々の坑不整脈剤、活性酸素消去剤等を虚血前もしくは再潅流時に投与し重症不整脈の出現頻度や持続時間を観察した。更に内因性の活性酸素消法剤の誘導をサイトカインで試み、不整脈や心筋障害に及ぼす防衛効果について検討した。その結果、虚血中には心筋Na濃度の上昇を来たすが、Ca^<2+>の増加は緩余であった。しかし再潅流直后よりCa^<2+>の上昇を認めた。虚血中に低Naの潅流液やアミロライドを投与すると再潅流中のCa^<2+>の上昇は抑制されるため再潅流時には膜のNaーH交換系やNa±Ca^<2+>交換系が重要な働きを担っていると考えられた。次に再潅流不整脈に対し活性酸素の消去剤を投与した時、不整脈の発生頻度には差を認めなかったが,持続時間が有意に短縮した。この時、膜過酸化度やNaーK ATPase活性も改善した。同様の結果は腫瘍壊死因子やインタ-ロイキンなどのサイトカインで前処置した場合にも認められ、フリ-ラジカルの発生が再潅流に伴う不整脈な心筋障害の発生因子の一つとして働いていることを示唆された。 続きを見る
3.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 環境ストレス反応における中枢性カルシウム調節機構の意義 — Significance of central mechanism of calcium regulation in responses to environmental stresses
粟生 修司 ; AOU Shuji
研究期間: 1991-1993
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概要: 1.ストレス性低カルシウム血症の発生機序:ストレス性低カルシウム血症は胃迷走神経の活動および前庭部から分泌されるガストリンおよび胃底部から主として放出されるヒスタミンが重要な役割を果たしているが、胃酸分泌自体は関与していないことが明らかになった。 2.ストレス性低カルシウム血症における視床下部の関与:視床下部腹内側核の破壊でストレス性低カルシウム血症の発生が完全に抑えられ、室傍核や視床下部外側野の破壊は効果がなかった。 3.ストレス性低カルシウム血症、胃潰瘍および情動反応性の視床下部連関:WKYラットでは、強制水泳試験におけるimmobility時間の長い個体ほど胃潰瘍および低カルシウム血症の程度が重かった。Wistarラットはstruggling時間の長い個体ほど胃潰瘍および低カルシウム血症の程度が軽かった。Wistarラットの室傍核破壊により、胃潰瘍および低カルシウム血症が重症化し、immobility時間も延長した。視床下部腹内側核破壊では胃潰瘍、低カルシウム血症ともに軽症化し、struggling時間が延長した。ストレス時の胃病変とカルシウム代謝応答および抑うつ反応に室傍核は抑制的に、視床下部腹内側核は促進/増悪的に関与している。 4.視床下部カルシウム調節機構:電気刺激あるいはGABA_A受容体遮断薬ビキュキュリンによる化学刺激実験において、視床下部外側野および腹内側核は迷走神経胃枝を介し、また室傍核は甲状腺/副甲状腺枝を介して血液カルシウム濃度を低下させる作用があった。 5.カルシウム調節ホルモンの中枢作用:副甲状腺ホルモン(PTH)を側脳室や視床下部腹内側核に投与すると、投与後カルシウムイオンレベルが対照に比べ有意に高値を示した。また視床下部腹内側核ニューロンはPTH感受性を示した。これらの結果は、視床下部にカルシウム調節ホルモン感受性機構があることを示唆する。 続きを見る
4.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of ストレス誘発性胃由来カルシウム調節因子の検索とその生理活性測定法の開発 — Identification of stress-induced gastric hypocalcemic factor and its bioactivity
粟生 修司 ; AOU Shuji
研究期間: 1995-1997
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概要: 1) 胃由来カルシウム低下因子検索のため、胃抽出物フラクションの血液カルシウム濃度に及ぼす効果をラットを用いて調べた。粗抽出物で血液カルシウム低下作用を示す分画の精製を進めたが、精製を進めると作用を示さなくなった。別のフラクションでも検索を進めたが現在までに新しくカルシウム低下作用を示す分画は見い出されていない。再度胃から抽出し、活性フラクションの同定を目指したが、新しい標本から活性フラクションは検出できなかった。現在、ヒスタミン投与後の胃静脈血から活性フラグメントを抽出しようとしている。 2) ヒスタミンのカルシウム低下作用は胃切除で消失することから、ヒスタミンは胃に作用して胃由来血液カルシウム低下因子の分泌を促すことが推測できる。ヒスタミン標的細胞として胃免疫系細胞が有望視され、腹腔マクロファージに比べ、胃マクロファージの方がヒスタミン応答性が高いことを見い出したが、反応率は20%を越えることはなく、反応自体も弱かった。エンドトキシンによる増強効果を調べたが、ごく一部の細胞を除いて効果は認められなかった。 3) 血小板活性化因子(PAF)がヒスタミン系とは独立した血液カルシウム濃度低下機構のメディエーターであることを見い出した。PAFの胃および腹腔マクロファージの細胞内カルシウム上昇作用をヒスタミンと比較すると、ヒスタミンのカルシウム上昇作用が20%以下の細胞でしか認められないのに対してPAFは大半の細胞でカルシウム上昇作用を示し、PAFの方ががより強力な作用を示すことが明らかになった。 続きを見る
5.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 中枢性カルシウム調節機構とその生理学的意義 — Central control mechanisms of calcium homeostasis and its physiological significance
粟生 修司 ; AOU Shuji
研究期間: 1996-1997
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概要: 無麻酔ラットでGABA_A受容体遮断薬ビキュキュリンによる視床下部化学刺激に対する血液カルシウム応答を調べ、視床下部外側野および腹内側核に胃迷走神経を介するカルシウム低下機構が存在し、室傍核に迷走神経甲状腺/副甲状腺枝を介する血液カルシウム低下機構が存在することを明らかにした。さらに視床下部外側野に血液カリウム低下機構が存在することを見い出した。 1) 視床下部外側野へビキュキュリンを微量投与すると低カルシウム血症および低カリウム血症が誘発された。これらの反応は、β受容体遮断薬ナドロールやヒスタミンH_2受容体遮断薬ラニチジンの前処置で抑制された。末梢性ムスカリン受容体遮断薬臭化メチルアトロピンは低カルシウム血症の発生だけを抑制し、低カリウム血症には影響しなかった。ノルアドレナリンα受容体遮断薬フェノキシベンザミン、ガストリン放出抑制薬ソマトスタチンやセクレチンの前処置は両反応に対して効果がなかった。 2) 視床下部室傍核へのビキュキュリン投与は低カルシウム血症およびグルーミングを誘発した。この反応は下喉頭神経または上喉頭神経の切断で減弱したが、前者の抑制効果の方がより著明であった。末梢性ムスカリン受容体遮断薬臭化メチルアトロピンでも抑制された。ビキュキュリン副甲状腺ホルモンは一過性の上昇を示し、カルシトニンは変化しなかった。カリウムやナトリウム濃度は変化しなかった。 本研究により、視床下部が少なくとも2つの異なる迷走神経経路を介して血液カルシウム代謝を調節していることが明らかになった。 続きを見る
6.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 環境ストレスにおける中枢性カルシウム代謝調節機構の役割 — Central control mechanisms of calcium homeostasis and its physiological significance
粟生 修司 ; AOU Shuji
研究期間: 1998-2000
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概要: 視床下部外側野(LHA)および腹内側核(VMH)に迷走神経胃枝を介するカルシウム低下機構が存在し、特に後者がストレス性低カルシウム血症を引き起こす。室傍核には迷走神経副甲状腺枝を介するカルシウム低下機構が存在し、VMHと拮抗的な関係がある。この視床下部カルシウム代謝調節機構の生理学的意義を明らかにするため、学習記憶などの高次機能との関連を調べた。また性分化とカルシウム代謝調節機構および学習記憶機構との関係も検討した。その結果、以下の点が明らかになった。 1)LHA電気刺激およびLHAが産生する摂食促進物質オレキシンの側脳室投与は不安情動には影響せずに、回避学習の促進、侵害受容の抑制、空間学習および長期増強の抑制を引き起こした。 2)ストレス負荷で細胞死が起こる海馬にブドウ糖を微量投与すると、空間学習が促進した。この効果はaFGF受容体(FGFR1)抗体の前処置で減弱する傾向があり、aFGFがブドウ糖依存性学習促進機構に関与することを見出した。また、オライド・ラクトン系摂食抑制物質である2-buten-4-olideもaFGFを介して空間学習を促進した。 3)カルシウム低下因子であるコレシストキニンのCCK-A受容体欠損動物であるOLETFラットならびにレプチン受容体異常があり骨代謝異常を示すZuckerラットおよびdb/dbマウスは空間学習及び海馬長期増強の障害があり、後者ではさらにカルモジュリンキナーぜII活性の低下およびNMDA受容体のMg依存性消失によるカルシウム信号系の異常を示した。 4)拘束ストレスは脳内インターロイキン1β(IL-1β)mRNAの発現を促し、IL-1βはノルアドレナリンの放出を促す。環境内分泌撹乱化学物質のビスフェノールA及びトリブチルスズは回避学習や迷路学習の性差を消失させ、さらにノルアドレナリンニューロンが局在する青斑核の性分化を障害した。 続きを見る