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1.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 老年痴呆の分子機構
宮武 正 ; 立石 潤
研究期間: 1992-1994
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概要: 本研究は、老年期に生じる痴呆性疾患の中から、とくに現在まだ病因の解明がなされていないアルツハイマー型老年痴呆(アルツハイマー病)を中心課題としてとりあげ、その発症機構を以下の3点の主要研究項目のもとに解明することを目的としている。すなわち、研究項目としては、〓脳老化と神経栄養因子 〓アルツハイマー病脳内蓄積物質の形成機序 〓アルツハイマー病の分子遺伝学的研究がある。〓においては、神経成長因子に代表される神経栄養因子の働き、とくに脳損傷や老化に伴う変動が調べられた。〓においてはアミロイド前駆体蛋白(APP)からAbetaアミロイが生じる機序と関連酵素、タウ蛋白のリン酸化と脱リン酸化酵素などを中心に調べ新しい知見を得た。さらにタウ蛋白遺伝子を除去したマウスが作られた意義は大きい。〓においては家族性アルツハイマー病を中心に染色体14,19,21番を調べ、またAPP遺伝子を除去する計画が進行中である。これらの各班の研究は密接な連携のもとに進行し、平成5年8月5日には合同ワークショップを開催し、翌6日には公募演題を中心に討論を行なった。さらに12月21日には全班員の研究成果の発表があり、22日には公開シンポジウム「アルツハイマー病の病因を探る」を開催した。この間に総括班会議、企画運営委員会、班長会議などを頻回に開催した。さらに11月17日から3日間、神奈川県大磯市で開催された老年痴呆をめぐる国際会議で班員の多くが発表し、ほぼ全員の参加があり、多くの成果が得られた。 続きを見る
2.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 変異型アルツハイマーアミロイド前駆体蛋白の神経細胞における動態の解析
後藤 幾生
研究期間: 1992
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概要: [目的]アルツハイマー病(AD)の病態を明らかにするために、アミロイド前駆体蛋白(APP)の神経細胞における動態を解析する。 [方法]APPのアミロイドジェニックであり、神経細胞に対してtpxicと考えられているβC末部分を、神経細胞において特異的かつ強力に発現することが期待されるneuron specific enolase(NSE)promoterの制御下に発現させたトランスジェニックマウスを作成し、アミロイド形成について検討を行った。 [結果]βC導入マウスは9lines得られ、そのうち3lineの生後1〜2ケ月のF1について解析を行った。導入遺伝子量はサザンブロットの結果、それぞれ20、2、5コピーであった。導入遺伝子の発現はノーザンブロットで検出でき、発現量は内因性APPの39%,35%,34%であった。また導入遺伝子の発現は、他の臓器では検出されず、脳特異的に発現していた。C末の抗体を用いた脳のウエスタンブロットで、コントロールマウスには認められない約10kdのバンドが認められ、導入遺伝子の産物と考えられた。脳の凍結切片のC末およびβに対する抗体を用いた免疫染色では、神経細胞がよく染色され、神経細胞の脱落やアミロイドの沈着は認められなかった。 [考察]NSEpromoterを用いた導入遺伝子は脳特異的に比較的高効率に発現しており、APPのトランスジェニックマウス作成に良い遺伝子構築である。今回調べたマウスの脳にはアミロイドの沈着を含め病的な変化は観察されなかったが、月齢が生生1〜2ケ月と若いため最終的な結論を得るためには、さらに高齢のマウスについて検討する必要がある。また家族性ADの変異型APPを導入したトランスジェニックマウスを作成しており、今後検索の予定である。 続きを見る
3.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 培養細胞およびトランスジェニックマウスを用いたAPP代謝過程の研究
後藤 幾生
研究期間: 1993
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概要: [目的] アルツハイマー病(AD)の病態を明らかにするために、アミロイド前駆体蛋白(APP)の代謝過程をトランスジェニックマウスを用いて解析する。 [方法] 昨年度作成した、APPのbetaペプチドからC末端部分の100アミノ酸残基に相当する部分(sbetaCおよびbetaC)を導入したトランスジェニックマウスの生後1年を経過したものについて、ウエスタンブロットあるいは免疫染色による解析を行った。さらに今年度は、betaCに家族性FADの異変(APP770のコドン717のバリンがイソロイシンに置換)を導入したトランスジェニックマウスについても解析した。 [結果] 脳におけるノーザンブロット解析では、導入遺伝子の発現が認められ、betaC_<V-1>では内因性APPに匹敵する程度の発現が認められた。全脳のウエスタンブロットの結果では、betaCに相当するバンドがやや増加してた。 生後1年を経過したsbetaC、betaCおよびbetaC_<V-1>導入マウスの前頭葉皮質あるいは海馬のbeta抗体およびC末抗体による免疫染色とも、アミロイドの沈着や細胞外の染色は認められず、対照マウスと特に変化はないと判断された。 [結論] 以上のようにAPPを導入したのみのマウスでは生後1年を経過しても、AD様の病変は認められず、ADのモデルにはなりえないと考えられた。したがって今後は、APP以外の他のamyloidogenicな因子の検討が必要であり、例えばApoE allel 4を導入したマウスとの交配などによる実験が一つの方向と考えられる。 続きを見る
4.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of アルツハイマー病アミロイド前駆体蛋白のリソゾームにおける代謝過程の研究
山田 猛
研究期間: 1993
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概要: [目的]アルツハイマー病(AD)の脳に沈着するbeta蛋白(betaP)が、その前駆体蛋白(APP)から生成される過程を検討する。 [方法]APPの分泌過程を阻害するために、APPsecretaseによるAPPの切断部位のリジンをバリンに置換したAPPcDNA(APP_<K-V>)を作成した。APPのライソゾームへの輸送を促進するために、APPのC末部分をライソゾーム膜蛋白Lamp-1のC末部分にあるライソゾームへの輸送シグナル配列に置換したハイブリッドcDNA(APP-lamp)を作成した。ヒトグリオーマ細胞U251に改変APPcDNAを導入し、stable transformantを得て、ノーザン、ウエスタンブロットおよび免疫沈降法による解析を行った。 [結果]両導入遺伝子の発現量は、mRNA、蛋白レベルとも内因性APPの約10倍認められ、大量に発現されていた。培養上清のAPPN末抗体によるウエスタンブロット解析では、APP_<K-V>はAPPに比して分泌が低下していたが、APP-lampでは明らかな分泌低下は認められなかった。細胞のAPPC末抗体によるウエスタンブロット解析では、APP_<K-V>はAPPに比してより長いC末断片が多く生成されていた。培養上清の抗beta抗体による免疫沈降解析では、APP_<K-V>およびAPPとも4kdのbeta蛋白と考えられるバンドが検出されたが、特に量的な差は認められなかった。 [結論]APPのいわゆるalpha-secretionを阻害するだけでは、betaPの産生増加は起こらないと考えられた。 続きを見る