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1.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 胃癌の進展と癌細胞核DNA量に関する研究 — Nuclear DNA Content and Progression of Human Gastric Cancer
杉町 圭蔵 ; SUGIMACHI Keizo
研究期間: 1987-1989
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概要: 細胞核DNA量は癌細胞の生物学的悪性度の指標として注目されており、細胞核DNA量と胃癌の深達度、転移などの胃癌の進展との関連について研究を行い、治療への応用の可能性についても検討を加えた。DNA量分布パタ-ンはIからIV型に分類し、分散幅の狭いI、II型をlow ploidy、広いI II、IV型をhigh ploidyに分類した。切除された胃癌254例を対象として深達度別に各DNAパタ-ンの頻度を比較すると、high ploidy群は深達度が進むにつれて増加し、この傾向は未分化型において顕著であった。未分化型ss-s癌を組織学的に児玉らの分類に従って集簇状態で分類すると、癌細胞が胞巣をつくる集簇型とhigh ploidy群、遊離型とlow ploidy群が関連があった。ssまたはseの各層別にDNAを測定すると分化型で15%(3/20)、未分化型で30%(6/20)にいずれかの層でII型およびIII型間に移行が認められ、深部に進行するにつれて分散幅が広がる傾向であった。リンパ節転移をみるとlow ploidy群では転移率が26%(39/152)であるのに、high ploidy群では49%(50/102)で有意に高率であり、深達度別に比較してもhigh ploidy群に転移が高率であった。リンパ節転移巣のDNAパタ-ンが原発巣に比してより狭い分散を示すploidy reductionが60.7%(37/67)に認められた。この現象にはリンパ節の免疫反応が関与が示唆された。5年生存率は全体でlow ploidy群がか91%で、high ploidy群の74%に比べて有意に良好であり、特にリンパ節転移症例において両群間の予後に差がみられた。さらに多変量解析によりDNAパタ-ンは独立した予後因子であることが判明した。癌細胞の感受性をSDI法で分析し、DNAパタ-ンとの相関について検討すると、特に未分化型においてIV型胃癌はII型、III型に比し各種薬剤についてに対し感受性が高かった。以上より細胞核DNA量は悪性度を表す指標として重要であることが明かになり、また治療への応用の可能性が示唆された。 続きを見る
2.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 食道癌多発地域および本邦における食道癌化機構の比較検討-ヒトパピローマウィルス感染と遺伝子異常、HLA抗原発現の検討- — Esophageal Carcinogenesis in the High-risk Area-HPV infection and genetic abnormality, expression of HLA antigen-
杉町 圭蔵 ; SUGIMACHI Keizo
研究期間: 1996-1997
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概要: 近年の分子生物学の進歩により、食道発癌とさまざまな遺伝子異常との関連、さらにヒトパピローマウィルス(HPV)感染との関連が報告されてきたが、未だ一定の見解を得るには至っていない。本研究の目的は、食道癌発生のハイリスク地域である中国北部地方と本邦の食道癌発生様式を比較検討し、食道発癌の分子機構を解明することである。 対象は中国Linxian地方の術前無治療食道癌切除症例151例と、本邦の術前無治療食道癌切除症例151例である。HPV感染をPCR法により検出したところ、食道癌ハイリスク症例を除いた場合、日本4.3%(1/23)に対し中国では22.2%(28/126)と明らかに感染率が高く(p<0.05)、少なくとも一部の中国の食道癌発生には、HPVが関与していることが示唆された。生活歴に関しては、日本では飲酒指数(合/日×年)100以上の大酒家が31.8%、喫煙指数(本/日×年)1000以上の多喫煙家が30.0%であるのに対して、中国ではそれぞれ7.9%、5.3%でありいずれも日本が多かった(p<0.0001)。また、日本では大酒家(p<0.01)、多喫煙者(p<0.01)でp53異常を高率に認め、さらに大酒家でかつ多喫煙家では94.1%(16/17)と非常に高率にp53異常を認めた(p<0.01)。よって、日本では、飲酒、喫煙によるp53異常が、食道癌発生の重要なひとつの経路である可能性が示唆された。 本研究では、人種、環境の異なる2つの地域での食道癌にみられる異常を比較しており、食道癌発生における内的因子・外的因子の解明が期待できる。今後、中国の食道癌発癌の特徴を浮き彫りにすることにより、相手国へもさらに貢献できればと考えている。 続きを見る
3.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 肝移植後早期のグラフト機能不全の機序解明とその制御に関する研究 — TNF-α a antisense transfer improves ischemia / reperfusion injury of the hepatic graft
杉町 圭蔵 ; SUGIMACHI Keizo
研究期間: 1996-1999
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概要: 肝移植後虚血再灌流傷害はグラフトのviabilityを低下させる最も重要な因子で、Kupffer細胞が産生するTNFαなどの炎症性サイトカインが主因の一つと考えられる。BNラット肝移植モデルにおいて、摘出肝の門脈門脈よりTNFαmRNAに対するアンチセンスオリゴヌクレオチド(18mer)を封入したHVJ-liposomeを導入した。乳酸加リンゲル液に6時間冷保存後、同所性肝移植を行い以下の知見を得た。 アンチセンス導入により移植後4時間後のAST,ALT,LDH値の低下と1週間生存率の向上を確認した。再灌流後の移植肝組織をICAM-1,Tissue Factorの抗体を用いて免疫染色したところ、アンチセンス導入によりそれらの発現低下を認めた。電子顕微鏡にて移植肝を観察したところ、Vector群では異物を貪食したKupffer細胞の異物貪食、類洞内皮の破壊、肝細胞villiの類洞への露出などの所見が消失した。ELISA法にて測定した血中TNFα値はアンチセンス導入にて著明に低下した。 この安全かつ効果的にKupffer細胞にアンチセンス導入が可能なHVJ-liposomeを用いた方法は、炎症性サイトカインのTNFαを低下させ、肝移植後虚血再灌流傷害の効果的な治療法であると考えられた。 続きを見る