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1.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 触媒的不斉1,3-双極性環状付加反応による光学活性多元素環状化合物の合成
金政 修司
研究期間: 2001-2003
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概要: DBFOX-Zn(OTf)_2あるいはDBFOX-Ni(ClO_4)_2錯体は、α-ブロモアクロレインやメタクロレインなどのα,β-不飽和アルデヒドとN-ベンジリデンアニリン-N-オキシドとの環状付加反応を効率的に触媒し、高立体選択性で環状付加体を与える事を見い出した。ある種の金属塩から誘導した錯体は反応溶媒であるジクロロメタンに著しく難溶であるにも拘わらず、高い触媒活性を示したことから、触媒の会合による活性低下を解決できれば、単座親1,3-双極子であるα,β-不飽和アルデヒドへのニトロン環状付加反応の優れたキラル触媒開発への手掛かりが得られると考え、以下の2つの方法を検証した。 まず、DBFOX-Zn(OTf)_2錯体に種々のアルコール性の添加剤を加えて反応を行った。無添加時と比較して2mol%の触媒存在下において90%eeを越える高いエナンチオ選択性が観察された。 一方、オキサゾリンの5位に4つのメチル基を導入したテトラメチルDBFOX/Ph配位子を用いると、室温下数分で錯体を形成して、均一な溶液を与えた。この錯体溶液を触媒として用いると、不飽和アルデヒドを用いるニトロン環状付加反応がスムーズに進行し、1mol%の亜鉛触媒存在下において95%eeの高いエナンチオ選択性を達成することができた。加えて、ほぼ完全なエンド選択性を示した。他の不飽和アルデヒド基質を用いたニトロン環状付加反応においても、DBFOX/Ph錯体を用いた反応と比較して、エナンチオ選択性とジアステレオ選択性が大幅に向上しただけでなく、触媒量の低減に成功することができた。 強配位性の求核剤であるニトロンの触媒的不斉環状付加反応において、単座の反応基質である不飽和アルデヒドを用いて成功を収めたことにより、我々の開発したDBFOX/Ph錯体がこの種の反応における優れたキラル触媒として効果的に使えることを実証することができた。 続きを見る
2.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 異種共役ジエン間でのDiels-Alder反応の官能基選択性の制御 — CHEMOSELECTION CONTROL OF DIELSALDER REACTIONS USING TWO CONJUGATE DIENES
金政 修司 ; KANEMASA Shuji
研究期間: 2001-2002
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概要: 本研究の最終目的は、異種共役ジエン間でのDiels-Alder反応の基質選択性の制御を行うことにある。特定の共役ジエンを触媒的に活性化する手法開発の前段階として位置付けられるモデル反応として、鎖状の共役ジエンである2-メチル-1,3-ブタジエンあるいは2,3-ジメチル-1,3-ブタジエンを選択して、これらをルイス酸触媒で活性化する事とした。求核剤としてはC,N-ジフェニルニトロンあるいはシクロペンタジエンを用いた。 ルイス酸触媒としては、まず、通常アルケンのハロラクトン化やハロエーテル化反応の活性化に用いられるBr_2, I_2などのハロゲンを用いたが、顕著な触媒作用は観察されなかった。そこで強力な求電子イオンである非配位性の対アニオンをもつハロニウム(I_2/AgClO_4)を発生させて用いたが、やはり効果はなかった。さらに、2,4,6-lutidine-I/ClO_4などのように、ハロニウムイオンをピリジニウムイオンとして非局在化して有機溶媒に対する溶解度を高め、同時にアルケンへの反応性を高める試みも、顕著な活性効果を示さなかった。嵩高いシリルカチオンを用いて共役ジエンに求電子付加をさせ、その際生じたアリルカチオン中間体をC,N-ジフェニルニトロンあるいはシクロペンタジエンなどの求核剤で捕捉し、その結果求核剤側に生成したカチオンセンターをアリルシランが分子内攻撃して環化させる触媒反応を立案した。しかし現在まで、シリルカチオンの触媒作用を引き出すことはできていない。さらに、PhSOH, PhSeOH, PhSCl/AgBF_4などのカルコゲニウム系のルイス酸触媒、および嵩高い配位子をもつために有機溶媒中に可溶な銀(I)イオン系の触媒などの触媒作用を調べたが、やはり顕著な触媒作用は認められなかった。 そこで、アリルカチオン中間体を意図的に発生させて、これに対する共役ジエンあるいはニトロンの反応性を調べた。アリルアセタートやカーボナートに0価のパラジウムを反応させてアリルカチオン中間体を発生させ、これとC,N-ジフェニルニトロンあるいはシクロペンタジエン途の反応を検討したが、特筆すべき活性化を達成することはできなかった。強い配位子であるニトロン双極子あるいは共役ジエンが2価パラジウムに強く配位して、その触媒活性を著しく低下させたものと考えている。最近、ヘテロ置換基をもつアルケンやアルキンがルイス酸触媒の配位を受けて選択性発現を起こすことが観察されてはいるが、やはり、純粋な炭化水素系基質だけでは、ルイス酸触媒の配位による効果的な活性化は極めて困難であることが明らかとなった。 続きを見る
3.
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Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 単一金属塩による触媒的エノラート化と直接アルドール反応への展開 — Catalytic Metal Enolization with a Single Metal Salt and Application to the Direct Enantioselective Aldol Reactions
金政 修司 ; KANEMASA Shuji
研究期間: 2005-2006
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概要: 単一金属塩による触媒的エノラート化の研究を積極的に遂行して、以下に述べる顕著な成果を得た。 キラルルイス酸触媒が求電子剤を高度に活性化しながら、同時に求核剤を触媒的にエノール化するための触媒としても機能する、新しい2重触媒的活性化手法を開発することに成功した。成功の鍵は、求電子剤を効果的に活性化するためのルイス酸触媒としてカチオン性のキラルルイス酸触媒を使用し、触媒的に生成したエノールの濃度を高めるためにエノールを安定化できるアルコール溶媒を用いている点にある。カチオン性のキラルルイス酸触媒としては、求核剤の配位に対して高い耐久性を有するニッケル(II)やコバルト(II)の金属塩を用いることが必須であった。この活性化手法をエナンチオ選択的なMichael付加反応に適用し、高活性で高選択的な反応開発に成功した。この方法では、両方の基質の高度活性化が行えるので、通常の単一活性化法では容易には達成できない、4級-4級炭素結合形成やキラルな4級炭素を構築できた。 金属塩にキラルな配位子とアキラルな1,2-エタンジアミン配位子を組み合わせて使用することにより、置換マロノニトリルとクロトンアルデヒドとの触媒的Michae1付加反応が、効果的に活性化されることを見出した。この結果は、添加する1,2-ジアミン配位子が配位子であると同時に有機触媒として働き、大きな反応加速を引き起こしたと考えられる。 ジエチレントリアミンとカチオン性銅(II)塩より調製した錯体触媒が、ニトロメタンと種々のアルデヒドとのニトロアルドール反応を飛躍的に加速することを見出した。そこで、新たにキラルなジアミンエーテル配位子を合成し、カチオン性ニッケル(II)塩から調製した錯体触媒が、THF/ニトロメタン混合溶媒中で種々のアルデヒド類とのニトロアルドール反応において、高いエナンチオ選択性を示すことを見いだした。 続きを見る
4.
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Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of アセトキシルスーパー塩基による新しい反応活性化
金政 修司
研究期間: 2004
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概要: 求核剤前駆体とα,β-不飽和カルボニル化合物とのMichael付加反応が、アルコール中で微量のキラルニッケル酢酸塩触媒下で高エナンチオ選択的に進行することを発見した。この反応では、アセトキシル配位子が効果的な塩基として働き、可逆的にメタルエノラートと酢酸が生成したと考えている。 この手法は、微量の安価な触媒による高効率触媒化、アルコール溶媒中、開放系、室温下での高速不斉反応を可能とするなど、グリーンケミカルな物質変換に求められる諸要素を多く満足している。 金属酢酸塩を触媒として用いて求核剤前駆体から求核反応剤を導出し、これを利用する効率的反応の研究例は国内外で殆ど報告されていない。従来の触媒反応には見られない巧妙な求核剤前駆体の活性化は、今後の触媒反応開発に新風を吹き込むこととなり、関連分野で本研究の果たす波及効果が大きい。 酢酸塩で触媒される新しい反応は、以下のようであった。 ・Michael付加/エノールラクトン化反応 ・直接アルドール反応 ・イミン付加反応 ・β-ヒドロキシ-α-アミノ酸合成 ・N-アルキリデンアセトニトリルの1,3-双極性環状付加反応 続きを見る
5.
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Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 触媒的二重活性化型不斉反応の開発研究 — Development of Enantioselective Reactions therough Double Catalytic Activation
金政 修司 ; KANEMASA Shuji
研究期間: 2003-2004
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概要: 共に触媒量のキラルルイス酸触媒とアミン触媒が求電子剤と求核剤を別途に活性化する新しいエナンチオ選択的な反応活性化手法の開発とエナンチオ選択的Michael付加反応を達成するため、以下の項目について検討した。 1.耐久性・高活性キラルルイス酸触媒の探索 2.アミン触媒の適切な選択 3.バックグランド反応を抑制できる求核試剤とアクセプター基質の適切な選択 4.反応環境の極性が触媒効率に及ぼす効果 5.エナンチオ選択性を高める因子の特定と最適化 その結果、強配位性の求核剤に対して高い耐久性を有するカチオン性ニッケル(II)のDBFOX/Ph錯体とアミン触媒を組み合わせて用いると、低反応性の故にこれまで触媒反応の対象とはなり得なかった多数の反応に対して、求核試剤と求電子試剤を同時に活性化する新しい触媒反応を開拓することに成功した。この新しい合成的手法の開拓により、ニトロメタン、マロノニトリル、環状1,3-ジケトンなどの求核剤前駆体を用いるMichael付加反応による物質製造のグリーンケミストリー化への道を拓くことができた。 触媒的二重活性化型不斉反応の研究は、多数の基質、反応剤、触媒が一つの反応系中で相互に与えられた役割を演じて、目的とする分子の精密構築、超分子構造の制御構築、機能発現のための分子システムの構築をめざす合成化学研究の第一歩と位置付けた。その意味で本申請研究は、将来の有機複合系制御をめざす研究者に有益な情報を提供すると考えている。 続きを見る
6.
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Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 高立体選択的に多官能化された複素環合成ブロックの創製研究
金政 修司
研究期間: 1988
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概要: 複素環を合成ブロックとして利用する新しい有機合成反応を確立するためには、高度に立体選択的に多官能化された複素環を容易に合成できる優れた方法の開発が必須であるとの観点に立脚して、本研究では複素環の構築をアゾメチンイリド1,3-双極子の環状付加反応で行うこととし、従来のイリドには見られない特徴を備えた新しいアゾメチンイリドの開発を行った。まず、本申請者らが最近見いだしたN-リチオ化アゾメチンイリドの研究を更に進展させ、イミンの窒素原子上の金属としてナトリウム、マグネシウム、亜鉛、アルミニウムなどをもつ新しいN-メタル化イリドの発生に成功した。これらのイリドと電子不足オレフィンとの環状付加反応は、1)キレーション遷移状態を経て高立体選択的に進行すること、2)途中にMichael付加生成物を経る段階的な反応であること、3)反応条件を制御することによってMichael付加体の生成を優先させることが可能である、などの新知見を得た。窒素原子上の金属がマグネシウム、アルミニウムなどのようにヘテロ原子に強くキレーションを起こす場合は環状付加反応の立体選択性が極めて高いのに対し、ナトリウムのように陽性な金属の場合はキレーションの寄与が減じ全く異なる立体選択性を示す。一方、これも本申請者らによって最近開発されたアミノ酸とカルボニル化合物との脱炭酸を伴う縮合反応を経るアゾメチンイリドの発生法を更に深く検討した。その結果、1)5-オキサゾリジン体が反応中間体であること、2)脱炭酸は共奏的に起こるため発生するイリドの立体化学は中間体のそれを忠実に反映すること、3)この反応にはアセトアルデヒド以外の全てのアルデヒドの使用が可能であること、を明らかにできた。これらの成果によって、立体選択的な複素環合成への道が大きく拓かれたと言える。合成された複素環を合成ブロックとする有機合成の研究が現在鋭意進行中である。 続きを見る
7.
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Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of ルイス酸触媒下での、1,3-双極性環状付加反応 — Lewis Acid-Catalyzed 1,3-Dipolar Cycloaddition Reaction
金政 修司 ; KANEMASA Shuji
研究期間: 1991-1992
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概要: 現在まで成功例のない1,3-双極性環状付加反応のルイス酸触媒作用を研究し、次に示す顕著な成果を得た。1)(アルキリデンアミノ)アセタートのリチウムエノラートはN-リチオ化アゾメチンイリドとして動き、α,β-不飽和エステルとの反応で環状付加体のピロリジン-2-エステルを立体選択的に与える。種々のキラルなα,β-不飽和エステルを用いることにより高選択的不斉環状付加反応が達成できた。2)嵩高いアルデヒドあるいはケトンから誘導した(アルキリデンアミノ)アセタートのリチウムエノラートは、α,β-不飽和エステルに対してアンチ選択的Michael付加反応を起こす。カンファーイミンのエノラートとβ位に置換基をもつα,β-不飽和エステルとのMichael付加反応は完全にジアステレオ選択的であった。3)塩化ヒドロキシモイルあるいはヒドラゾノイルと有機金属試薬との反応により双極子/ルイス酸錯体の生体が達成できた。4)この内、マグネシウム錯体と2-(1-ヒドロキシアルキル)アクリラートとの1,3-双極性環状付加反応は高いシン選択性を示し、フリー双極子が示すアンチ選択性が逆転した。5)α位にキラリティーをもつアリル系アルコールとニトリルオキシド/MgBrCl錯体との反応は完全にシン選択的に進む。特に、アルコールのマグネシウムアルコキシドを双極子発生の塩基として用いる方法が有効であった。6)γ位に置換基をもつアリル系アルコールのマグネシウムアルコキシドを用いると、ニトリルオキシドの環状付加反応は完全にレギオ選択的となり、イソオキサゾリン-5-メタノール誘導体のみを生成する。マグネシウムアルコキシドは、フリーアルコールと比較して著しい反応性の増加を示した。7)ニトロン環状付加反応でもほぼ同様の効果が観察された。 この研究を通して、ルイス酸触媒の使用により1,3-双極性環状付加反応の反応性、レギオおよび立体選択性の著しい向上が達成できることが初めて明らかにされ、新しい有機合成方法論が導出できたものと評価される。 続きを見る
8.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 新しい分子設計概念に基く不斉3座トランス配位子の創製 — CREATION OF TRIDENTATE TRANS-CHELATING CHIRAL LIGAND BASED ON A NEW MOLECULAR STRUCTURE DESIGN
金政 修司 ; KANEMASA Shuji
研究期間: 1997-1998
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概要: 不斉触媒を用いて有用反応の立体制御を行う手法の確立は、21世紀の合成有機化学の中心的研究課題である。本研究では、従来の不斉触媒には見られない新規構造要素をもつ、ジベンゾフランの4,6位に2つのオキサゾリン基を配置させたビスオキサゾリン型不斉3座トランス配位型の中性配位子、DBFOX/Ph,の創製研究を展開し、以下に示す多数の顕著な成果を得た。 1) DBFOX/Ph配位子は、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛などの第1遷移金属過塩素酸塩6水和物と安定な6配位のアクア錯体を形成し、これらは優れたルイス酸触媒活性を示す。 2) ニッケルのアコ錯体は、空気中、湿気雰囲気下においても安定に保存でき、しかも、保存中の触媒活性の低下は見られない。 3) ニッケル錯体触媒は、シクロペンタジエンと3-アクリロイル-2-オキサゾリジノンを用いるDiels-Alder反応において、ほぼ完全なエンド選択性およびエナンチオ選択性を示す。 4) アコ錯体は無水錯体との同程度あるいは多少高い触媒活性とエナンチオ選択性を示す。 5) ニッケルおよび亜鉛錯体は、極めて顕著な不斉増幅作用を示す。 6) 不斉増幅作用発現機構としては、触媒調整時に触媒活性のないメゾ2:1錯体が生成して沈殿すること、および、ヘテロキラルな1:1錯体同士の会合状態がホモキラルな1:1錯体同士の会合状態よりも安定であることに基づいている。 7) 1:1錯体同士の会合を引き起こす引力相互作用は、アコ配位子と過塩素酸イオンとの間の水素結合によって生じている。 8) ニッケル錯体は、水、アルコール、カルボン酸、アミンなどの活性水素をもつ添加剤の存在下でも高い触媒活性を維持できる。 9) ニッケル、亜鉛錯体は、ニトロンと3-クロトノイル-2-オキサゾリジノンを用いる1,3-双極性環状付加反応における優れた触媒として働き、ほぼ完全な立体選択性とエナンチオ選択性を示す。 10) ニッケル、亜鉛錯体は、ジアゾ化合物と3-クロトノイル-2-オキサゾリジノンを用いる1,3-双極性環状付加反応における優れた触媒として働き、ほぼ完全なエナンチオ選択性を示す。オキサゾリジノンの4位に2つのメチル基を導入するとマグネシウム錯体触媒が有効となり、4位無置換体で見られたとは逆のエナンチオ選択性が高いレベルで現れる。 11) ニッケル錯体は、チオールと3-クロトノイル-2-オキサゾリジノンとの共役付加反応を触媒して、高エナンチオ選択的にチオール共役付加体を生成する。 続きを見る
9.
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Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of アミド結合の配座制御に基づく新規不斉補助基,2,2-置換オキサゾリジン — 2,2-Disubstituted Oxazolidines, New Chiral Auxiliaeies Based on the Conformational Control at the Amide Linkage.
金政 修司 ; KANEMASA Shuji
研究期間: 1993-1994
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概要: 本研究を通して,4位に置換基をもつホモキラルな2,2-ジ置換オキサゾリンが,次の点で優れた不斉補助基として働くことが明らかとなった.すなわち,1.この不性補助基は入手容易な光学活性α-アミノ酸から短段階(2段階)の反応で収率良く合成できる,2.そのN-アミド誘導体におけるアミド結合は,2位置換基とアミド置換基との立方相互作用によりZ-異性体が安定配座となる,3.^1HNMRスペクトルによる検討から,N-不飽和アミド誘導体はZ/s-cis異性体が最も有利な安定配座である。4.不飽和アミド誘導体とニトリルオキシドとの1,3-双極性環状付加反応は最高100%deの選択性で進行する,5.不飽和アミド誘導体とニトロナ-トとの反応のジアステレオ面選択性も高い,6.塩化トリメチルシリル存在下での不飽和アミド誘導体に対するキュプラートの共役付加反応も最高100%deの選択性で進行する。7.これらの反応における生成物の主ジアステレオマ-は,オキサゾリジンのN-不飽和アミド誘導体のZ/s-cis配座における4位遮蔽置換基の反対のジアステレオ面での反応生成物である,8.プロパンアミド誘導体から生成するZ-エノラートとハロゲン化アルキルとのアルキル化反応は,高いジアステレオ面選択性で進行する,9.このZ-エノラートとα,β-不飽和カルボニル化合物とのMichael付加反応はアンチ選択的で,ほぼ完全なジアステレオ面制御を達成できる,10.これに対して,オキサゾリジンのN-不飽和アミドをアクセプターとして用いるMichael付加反応のジアステレオ面選択性は低い,11.この不斉補助基は不斉アルドール反応にも有効である,12.結局,オキサゾリジン不斉補助基は求核反応剤(α,β-不飽和アミドとして)のみならず求電子反応剤(リチウムエノラートとして)に導入して用いても,高効率的キラリティー制御が行える優れた不性補助基である。 続きを見る
10.
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
Cover image of 耐性ルイス酸触媒を用いる効率的エナンチオマー合成:不斉共役付加 — EFFICIENT ENANTIOMER SYNTHESIS BY USE OF TOLERANT LEWIS ACID CATALYSTS : ASYMMETRIC CONJUGATE ADDITION REACTIONS
金政 修司 ; KANEMASA Shuji
研究期間: 1999-2000
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概要: キラルルイス酸触媒を用いた立体選択的反応の未解決問題の一つは、強配位性求核剤に対して高い耐久性を示すキラルルイス酸触媒の開発と、これを用いたエナンチオ選択的反応である。そこで、独自に開発した2種の耐性キラルルイス酸触媒(4,6-Dibenzofurandiyl-2,2'-bis(4-phenyloxazoline)(R,R-DBFOX/Ph)の各種金属錯体触媒およびIsopropylidene-2,2'-bis[4-(o-hydroxybenzyl)oxazoline](R,R-BOX/o-HOBn)の銅(II)錯体触媒)を用いて、O-ベンジルヒドロキシルアミン、マロノニトリル、環状ジケトンのエナンチオ選択的共役付加反応を研究し、以下の成果を得た。 (1)ヒドロキシルアミン類のエナンチオ選択的共役付加反応: R,R-BOX/o-HOBnの銅(II)錯体が、耐性ルイス酸触媒としてO-ベンジルヒドロキシルアミンの共役付加反応の有効な触媒として働くことを見い出した。アクセプター基質としては1-クロトノイル-3-イソプロピル-2-イミダゾリジノンが優れていて、希薄溶液中(0.03M)-40℃で反応を行うと、最高97%eeのエナンチオ選択性を達成することができた。アクセプター基質の一般性も観察されたので、この反応はβ-アミノ酸のエナンチオマー合成法として有用である。 (2)マロノニトリルのエナンチオ選択的ミカエル付加反応: R,R-DBFOX/Phのニッケル(II)アクア錯体触媒で活性化させた3-クロトノイル-2-オキサゾリジノンに、やはり触媒量の2,2,6,6-テトラメチルピペリジン(TMP)で活性化させたマロノニトリルを作用させると、最高94%eeのエナンチオ選択性で相当するミカエル付加体が生成する。この反応は、ルイス酸触媒とルイス塩基触媒でそれぞれアクセプター基質とドナー基質を別々に活性化する2重活性化による触媒的不斉ミカエル付加反応の初めての成功例である。 (3)エナンチオ選択的シクロブタノン生成反応: R,R-DBFOX/Phのニッケル(II)アクア錯体触媒で活性化させた1-クロトノイルピラゾールに、やはり触媒量の2,2,6,6-テトラメチルピペリジン(TMP)で活性化させた1,3-シクロヘキサンジオンを作用させると、最高96%eeのエナンチオ選択性で相当するスピロシクロブタノン体が生成する新しい反応を見い出した。シクロブタノンの生成には、ルイス酸触媒とルイス塩基触媒の両方が必須である。 続きを見る