<紀要論文>
動詞の「ヴァレンツ」およびその日本人向けドイツ語授業への応用について

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概要 「原子価」を意味する「ヴアレンツ」は本来イヒ学の術語である。言語学では,「動詞のヴア レンツ」とは「動詞が文の他の構成要素に与える影響力」という意味である。例えば,Ich frage ihn 「=私は彼に尋ねる」や Ich antworte ihm 「=私は彼に答える」という文の主語 を入れ変えても,それぞれの文の目的語ihnやihmは変わらない。そのために,動詞fragen 「=尋ねる」が直接目...的語,動詞antworten「=答える」が間接目的語を要求すると言える。 このように,動詞に依存している文の構成要素を「補足語」と呼ぶ。それに対して,Ich frage ihn heute「=私は今日彼に尋ねる」やIch antworteihm heute「=私は今日彼に答える」 という文の副詞heuteは動詞に依存していない構成要素なので,「添加語」と呼ぶ。 ドイツ語の授業でも,動詞のヴアレンツを導入するのは不可欠であると思われる。なぜ なら,日本語を母語とするドイツ語の学習者においては動詞のヴアレンツに関わる間違い がよく見られるからである。例えば*Ich frage ihmや*Ich gebe dir というような間違い である。動詞「尋ねる」とは違って,動詞fragenの補足語は直接目的語であり,動詞「与 える」とは違って,動詞gebenには2つの補足語(直接目的語と間接目的語)が不可欠で ある。 なお,「補足語」と「添加語」の従来の説明には問題点が1つある。それは,「補足語」 を不可欠な要素,「添加語」を省略可能な要素としている従来の説明は誤解を招く。無論, 添加語は常に省略できる要素であるが,補足語の中には,不可欠な補足語とそうでない補 足語がある。例えばIch gehe ins Kino 「=私は映画に行く」のins Kinoは動詞gehenの 補足語だが,Ich gehe「=私は行く」という表現も完結した文章である。だから,「補足 譜」と「添加語」の違いは上述したように慎重に説明すべきである。続きを見る

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登録日 2009.04.22
更新日 2023.11.01

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