環境ストレス応答の中枢機序における肥満細胞の意義

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環境ストレス応答の中枢機序における肥満細胞の意義

フォーマット:
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
タイトル(他言語):
Roles of brain mast cells and their related substances in the central mechanisms of stress responses
責任表示:
片渕 俊彦(九州大学・大学院・医学研究院・講師)
KATAFUCHI Toshihiko(九州大学・大学院・医学研究院・講師)
本文言語:
日本語
研究期間:
1998-2000
概要(最新報告):
従来より免疫系における情報伝達物質と考えられていたサイトカインや、細胞増殖因子、および細胞接着因子などが脳内にも存在し、神経活動に影響を与えることで、種々の環境および社会的ストレス応答に重要な役割を果たしていることが明らかになってきた。c-kit受容体は、血球系幹細胞、特に肥満細胞や、生殖細胞およびメラノサイトに発現し、リガンドであるStem Cell Factor(SCF)が作用することで、これらの細胞の分化や増殖に関与している。ところが、成熟マウスやラットにおいて、c-kitおよびSCFは、学習・記憶に関与する海馬にも強く発現している。そこで、学習・記憶行動における海馬c-kit/SCFの役割を検討したところ、以下のことが明らかになった。 (1)c-kit受容体の細胞内ドメインの4個のアミノ酸が欠損し、チロシンキナーゼ活性が低下しているミュータント(Ws/Ws)ラットでは、モリス水迷路による空間認知学習が障害されていた。 (2)c-kitミュータントラットの海馬スライスにおけるSchaffer側枝/交連線維-CA1(S/C-CA1)経路、および苔状線維-CA3(MF-CA3)経路でのテタヌス刺激による長期増強現象(LTP)、および2発刺激によるpaired-pulse facilitation(PPF)は、ミュータントラットにおいて、MF-CA3でのみPPFおよびLTPが低下していた。 (3)マウスのMF-CA3経路におけるPPFおよびLTPに対するリコンビナントSCF投与の影響を検討したところ、SCFは、シナプス後膜のc-kit受容体に作用した後、PI3'キナーゼ、およびフォスフォリパーゼA2の賦活化を引き起こし、産生されたアラキドン酸を逆行性神経伝達物質として、前シナプス性増強現象であるPPFおよび、LTPを修飾することが明らかになった。 (4)マウス海馬スライスにおいて、MF-CA3回路のテタヌス刺激によって、SCFおよびc-kit mRNAの発現が低下することを、リアルタイムRT-PCR法でmRNAを定量した結果、明らかになった。 (5)社会的ストレスとしての隔離ストレスによって、脳内SCFおよびc-kitのmRNAは、減少した。 以上から、環境ストレス時には、SCF/c-kitシグナル伝達が修飾され、学習記憶行動が影響を受けることが考えられた。SCFが肥満細胞分化増殖因子であることから、脳内肥満細胞の機能も変化することが示唆される。 続きを見る
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疼痛による情動の発現機序と学習記憶効果 by 片渕 俊彦; KATAFUCHI Toshihiko
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