低周波数の分子振動がプロトントンネリングに及ぼす効果

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低周波数の分子振動がプロトントンネリングに及ぼす効果

フォーマット:
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
責任表示:
関谷 博(九州大学・理学部・助教授)
本文言語:
日本語
研究期間:
1997
概要(最新報告):
超音速ジェット冷却された5-メチルトロポロンの蛍光励起スペクトルおよびホールバーニングスペクトルを測定した。S_1-S_0遷移の0-0バンドは4個のバンドに分裂していることが分かった。この分裂はメチル基の内部回転運動とプロトンの運動がカップルしていることを明確に示している。S_1状態のゼロ点準位の分裂成分の最高準位と最低準位の分幅は2.2cm^<-1>と決定された。トロポロンの対応する値は20cm^<-1>である。メチル基の導入によってトンネリング分裂値は1桁する。これは、メチル基の安定構造がトロポロンの対称軸からずれているために、プロトン移動に沿った対称2極小ポテンシャルが非対称化するためである。メチル基の内部回転準位を励起すると、励起エネルギーの増加に伴い分裂幅は次第に大きくなる。この理由は、内部回転準位の励起エネルギーが増加するとメチル基の波動関数が空間的に拡がり、非対称の効果が小さくなるためと考えられる。本研究は、電子遷移において、メチル基の内部回転運動とプロトン移動がカップルすることを示した最初の例である。 また、トロポロン分子と希ガス原子、窒素分子、または一酸化炭素分子のファンデルワールス錯体の蛍光励起スペクトルとホールバーニングスペクトルを測定した。S_1状態のゼロ点準位、および分子間振動準位のトンネリング分裂を決定した。希ガス原子が結合した場合には、トンネリング分裂値はトロポロンとほとんど変わらないが、窒素分子の場合は半分、一酸化炭素分子の場合は分裂が観測されない。分子間振動モードの解析から、このような分裂値の違いは、溶媒原子(分子)がトロポロンの分子面上の非対称な位置に局在化する確率に依存していることが示唆された。すなわち、希ガス原子は非局在しているが、一酸化炭素分子では局在化の度合いが大きい。以上のように、本研究から低振動数の分子振動がプロトントンネリングに及ぼす効果が初めて詳細に解明された。 続きを見る
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