Ischemic preconditioningによる肝虚血再潅流傷害の改善

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Ischemic preconditioningによる肝虚血再潅流傷害の改善

フォーマット:
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
タイトル(他言語):
Amelioration of hepatic ischemia/reperfusion injury by ischemic preconditioning
責任表示:
矢永 勝彦(九州大学・医学部・講師)
YANAGA Katsuhiko(九州大学・医学部・講師)
本文言語:
日本語
研究期間:
1996-1998
概要(最新報告):
【背景】 犬の心筋では短時間虚血の前処置により心筋壊死縮小効果が得られ、MurryらによりIschemic preconditioning と名付けられた(Circulation 1986)が、メカニズムとしては一定の見解は得られていない。肝におけるIschemic preconditioning効果については、ラット肝温虚血・再灌流モデルで我々が世界で始めて発見し、既に学会報告を行っている(第31回日本移植学会総会1995年9月、京都)。 【目的】 ラットの肝虚血・再灌流モデルを用いて、肝におけるIschemic preconditioning 効果のメカニズムを明らかにするとともに、冷虚血を施す肝移植モデルにおいても同様の効果が存在するかどうか検討する。 【結果】 1) 肝内ATPの変化 心筋Iischemic preconditioningによりCa^<2+>チャネルが閉鎖し、細胞内Ca^<2+>濃度が低下する。これにより心筋収縮力が減弱することで虚血中の細胞内ATPの枯渇を防ぎ心筋保護作用をもたらす可能性が示唆されている。我々の肝温虚血モデルにおいてIschemic preconditioningをかけた場合、再灌流120分後のATP増加率に有意な改善効果が得られた(78±13% versus 61±11%,p<0.05)。虚血肝の再灌流初期に肝内へCa^<2+>が流入することがこれまで知られており、その多寡が肝傷害と正の相関を示すことから、ATP改善効果はIschemic preconditioningの肝保護作用の一因を担っているものと推測された。 2) ラット肝移植モデルを用いたIschemic preconditioning効果の確認 ラット肝に10分間のIschemic preconditioningを施し、臨床移植で使用されている臓器保存液であるUW液にそれぞれ1、12、24時間、4℃で冷保存し同所性に移植した。再灌流後の血清中AST、ALTに有意な改善効果は認められず、また生存率にも差は認めなかった。さらに、肝組織所見においても変化は認められなかった。以上の結果から、我々の肝移植モデルにおいてはIschemic preconditioningによる肝保護効果は認められなかった。 【総括】 現在、多数の施設でIschemic preconditioning効果のメカニズム解明に関する研究がなされており、特に心臓移植の分野では近い将来種々の形での臨床応用が期待されている。肝におけるIschemic preconditioningに関する研究は未だその現象を捉えたにとどまっており、十分なメカニズム解明に至っていないのが現状である.本研究ではIschemic preconditioning後の肝組織中におけるATPの変化がその効果発現に大きく関与していることが示唆されたが、さらなるメカニズムについては解明するに至らなかった。Ischemic preconditioningは肝切除の手術操作を変革する可能性を秘めている。今後、さらに詳細なメカニズムについて検討を重ねていくことが肝要と思われる。 続きを見る
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