がん遺伝子導入ヒト上皮細胞の癌化とアポトーシスにおけるシグナル伝達機構の解析

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がん遺伝子導入ヒト上皮細胞の癌化とアポトーシスにおけるシグナル伝達機構の解析

フォーマット:
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
責任表示:
中野 修治(九州大学・医学部・講師)
本文言語:
日本語
研究期間:
1996-1997
概要(最新報告):
正常上皮細胞が増殖するには基質への接着が必要であり、接着を阻止されるとアポトーシスにより細胞死を起こす。これに反し癌細胞は浮遊状態にしてもアポトーシスは起こらないことが特徴であり、この現象は足場依存性喪失とよばれ分子機序は不明のままである。我々はヒト細胞の癌化とアポトーシスの関連を解析するため、HAG-1細胞にシグナル伝達の要である活性型Ras,v-Srcを導入し、癌化とアポトーシスについて解析した。この細胞は活性化Rasでは癌化せず、Srcでのみ癌化し、同時に浮遊状態におけるアポトーシスも誘導されなかった。このv-srcによるアポトーシス回避の機序を、Src下流のシグナル分子との関連で解析した。v-src導入細胞ではインテグリンと細胞骨格蛋白との間に介在するFocal Adhesion Kinase(FAK)の恒常性のチロシンリン酸化がみられ、またsrcチロシンリン酸化阻害剤であるハービマイシンAで処理するトFAKのリン酸化の阻害とともにアポトーシスが誘導された。更にFAKのアンチセンスでアノイキスが誘導されることを確認し、SrcによるFAKのチロシンリン酸化とアノイキス抵抗性に深い関連があることを見出した(J.Cell Biol.投稿中)。 更にアデノウイルスベクターに組み込んだdominant negative RasでRas機能を抑制すると造腫瘍性が消失したため、癌化には活性型rasのみでは癌化出来ないが、v-srcによる癌化にはRas機能が必要であることがわかった。最近Ras下流のsmall GTP蛋白であるRac/Rhoが細胞の形質転換、細胞接着、細胞遊走能、接触阻害の解除、などを制御していることがわかり、細胞の癌化にこのRac/Rhoの機能が関与していることが示唆されたため、アデノウイルスベクターに組み込んだDominant negative RacでRac機能を抑制したところ、v-srcで癌化したHAG-1細胞の遊走能と浸潤能が抑制され、造腫瘍性も完全に消失した。このためv-srcによる癌化におけるRac機能の重要性が初めて示唆された。src下流のphosphatidylinositol-3 kinase(Pl-3 kinase)阻害剤であるWortmanninでv-src導入細胞の浸潤能が低下したため、Pl-3 kinaseもSrcによる癌化に関与している可能性がある。今後はRac機能とアポトーシスの関連を解析する。 続きを見る
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