肝切除における肝障害メカニズムの解明:類洞内皮細胞への接着分子発現の意義と制御

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肝切除における肝障害メカニズムの解明:類洞内皮細胞への接着分子発現の意義と制御

フォーマット:
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
責任表示:
島田 光生(九州大学・医学部・助手)
本文言語:
日本語
研究期間:
1996
概要(最新報告):
【研究の背景・目的】サイトカイン(TNFα,IL-1β)により血管内皮細胞上に接着分子が発現し、多核白血球を中心とした炎症細胞の内皮細胞への接着および血管外への遊走と活性酸素や蛋白分解酵素放出による組織傷害のメカニズムが存在することが指摘されている。我々は、肝切除時にサイトカイン血症が惹起されること、またこのサイトカイン血症がステロイドの術前投与により制御されることを報告してきた。今回、肝切除における肝傷害メカニズムをサイトカイン血症→類洞内皮細胞への接着分子発現の点から明らかにする。 【材料及び方法】(検討1:肝生検組織の免疫組織染色)肝切除時の開腹時と閉腹時に肝生検針(14G)にて、肝深部より肝生検を行い、その凍結標本を用い、接着分子であるELAM-1,ICAM-1,VCAM-1を免疫組織学的に染色した。 (検討2:肝静脈血中の顆粒球エラスターゼ、可溶性ICAM-1とVCAM-1分画の測定)肝生検と同時期に肝静脈から採取した血液を用い、顆粒球エラスターゼ、可溶性ICAM-1とVCAM-1分画を測定した。 【結果】(検討1)ELAM-1は肝類洞内皮細胞上には染色されなかった。ICAM-1,VCAM-1は、肝切除後に類道内皮上に発現し(あるいは発現増強し)、その頻度は肝切除術中の肝虚血時間の長さに相関した(虚血40分以内では、4例全て陰性、虚血41分以上では10例中8例陽性)。(検討2)肝静脈血中の顆粒球エラスターゼは、肝切除後に増加した(肝切前129.5【plus-minus】60.7mg/L→肝切後225.0【.+-。】109.5mg/L(n=16);p=0.0063)。一方、肝静脈血中の可溶性ICAM-1分画は肝切除後に低下した(肝切前216.2【.+-。】95.1mg/ml→肝切後163.6【.+-。】88.1mg/ml n=17;p<0.0001)。肝静脈血中の可溶性VCAM-1分画も肝切除後に低下した(VCAM-1:肝切前1134.1【.+-。】539.6mg/ml→肝切後866.5【.+-。】415.3mg/ml(n=17);p=0.0023)。 【まとめ】局所に炎症が惹起されると、まず白血球は血管内皮上を転がる"ローリング"を起こし、次に"スティッキング"により強固な結合を形成する。白血球自体は、"ローリング"の際にセレクチンの分子を介した直接刺激や血管内皮細胞などから産生・放出されるIL-8などにより活性化され(トリガリング)、MAC-1などの接着因子発現の増強やリガンド結合能の増強を起こすことが知られている。また、最近ICAM-1の可溶性分画が白血球からの顆粒球エラスターゼ放出を促進することも報告された(J Surg Res 1996)。今回、肝切除後直ちに類洞内皮に接着分子の発現が生じるとともに、肝静脈血中の顆粒球エラスターゼの上昇と接着分子可溶性分画の減少が観察された。したがって、肝切除における肝傷害メカニズムにおいて、サイトカイン→接着分子発現が重要な役割を果していることが明らかになった。また、肝切除直後の肝静脈血中の接着分子可溶性分画の減少は、トリガリングを受け活性化することにより数の増加・結合能の増強を生じた白血球膜表面リガンドと接着分子可溶性分画が結合したことが原因であることが示唆された。 続きを見る
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