植物病原菌類の分子分類基盤の確立

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植物病原菌類の分子分類基盤の確立

フォーマット:
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
タイトル(他言語):
Establishment of the basis on molecular taxonomy of phytopathogenic fungi
責任表示:
古屋 成人(九州大学・農学部・助手)
FURUYA Naruto(九州大学・農学部・助手)
本文言語:
日本語
研究期間:
1995-1997
概要(最新報告):
Rhizoctonia属菌は、形態以外の性質については互いに大きく異なるにもかかわらず、形態的特徴に乏しく類別しにくい菌とされている。そこで、より客観的な指標による分類を試みた。まず、菌体成分の特に細胞質膜を構成する脂肪酸に着目し脂肪酸分析を行った。さらに、28SリボソームDNAのPCR-RFLP解析を行い、より客観的な視点からの系統分類を試みた。 菌体から検出される9種類の脂肪酸のうち、5種類の脂肪酸についてその組成比を比較した。最も組成比の高い脂肪酸は、リノール酸かオレイン酸であった。脂肪酸組成比は、種および種内群に特異的であった。2核と多核Rhizoctonia属とはリノール酸およびオレイン酸の組成比によって類別が可能であった。すなわち、多核Rhizoctonia属菌にはリノール酸が多く含まれ、2核Rhizoctonia属菌にはオレイン酸が多く含まれた。脂肪酸組成比に基づくクラスター分析の結果、2核および多核Rhizoctonia属菌はそれぞれ明確に分かれた。一方、R.Solaniでは、生理・生態的特徴に基づく種内群を同じくする菌株間では脂肪酸組成はよく類似していた。種内群間では脂肪酸組成比に違いは見られるものの、種間に見られるような明確な差違は見られなかった。しかしながら、クラスター分析の結果は同じ種内群に属する菌株は近縁な位置関係にあることを示し、異なる種内群に属する菌株は互いに遠縁な位置関係にあることを示していた。菌糸融合群AG-1、AG-2およびAG-4に属する菌株について脂肪酸組成比を調べ、その結果をクラスター分析したところ、これらの融合群には明らかに複数のサブグループが存在していることが判明した。すなわち、AG-1では3グループ、AG-2では5グループ、AG-4では2グループに分かれた。各サブグループはそれぞれ、従来報告されている種内群(ISG)とよく一致した。また、R.solani AG-1 IA(イネ紋枯病系)は本脂肪酸分析の結果からも、他の菌とは明確に異なる独立した系統である可能性が示唆された。 リボソームDNA(rDNA)の領域をPCR法を用いて増幅し、増幅産物の制限酵素切断多型性(RFLP)解析からRhizoctonia属およびR.solaniの系統分類学的類縁関係を推測した。その結果、脂肪酸分析の場合と同様に、R.solaniは明らかに系統分類学的に分化した複合種であることが示された。すなわち、PCR-RELP解析の結果から菌糸融合群ごとに特異的な多型性を示し、系統分化が生じていることが推定された。また、AG-1、AG-2およびAG-4では、同一融合群内にもサブグループの存在が推察された。AG-1では3グループ、AG-2では5グループ、AG-4では2グループのサブグループが存在した。また、R.solani AG-1 IAは、系統分類学的には他のR.solaniとは明確に異なる可能性が示唆された。 以上のことから、脂肪酸分析およびPCR-RELP解析は、Rhizoctonia属菌の分類に留まらず糸状菌一般の系統分類手法として極めて有用であることが証明された。 続きを見る
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類似資料:

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日本型イネ間のDNA多型検出とマップの作成 by 吉村 淳; YOSHIMURA Atsushi; 岩田 伸夫
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