象牙質形成因子の分離精製及び遺伝子のクローニング

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象牙質形成因子の分離精製及び遺伝子のクローニング

フォーマット:
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
タイトル(他言語):
Molecular Cloning to Dentin Morphogenetic Protein (DMP)
責任表示:
中島 美砂子(九州大学・歯学部・助手)
NAKASHIMA Misako(九州大学・歯学部・助手)
本文言語:
日本語
研究期間:
1995
概要(最新報告):
今回の研究では、齲蝕、咬耗、磨耗あるいは歯科治療などの歯髄創傷時の治癒過程において、歯髄細胞が象牙芽細胞に分化し、修復象牙質を形成するメカニズムを解明すべく、象牙質形成誘導蛋白すなわち「象牙質形成因子」の分離精製およびその遺伝子のクローニングを試みた。以前より中島は、象牙質基質に含まれる粗製骨形成因子(bone morphogenetic protein、BMP)を生活歯髄切断面上に応用すると大量の修復象牙質が形成されること、粗製骨形成因子は培養歯髄細胞に対して前象牙芽細胞への分化促進効果があることを報告してきた。また、in vitroで歯髄細胞が前象牙芽細胞に自然分化する過程でBMP-4さらにBMP-2mRNAを発現するが、in vivoではBMP-2およびBMP-4より粗製BMPを応用した方がより大量の修復象牙質が形成されたことから、BMP-2およびBMP-4以外のBMPに類似したTGF-βスーパーファミリーに属する未知の象牙質形成因子が象牙質基質中に存在する可能性を示唆してきた。 したがって今回は、まず、ウシの脱灰象牙質から4M塩酸グアニジンにて抽出された画分を、ハイドロキシアパタイトアフィニティークロマトにて吸着画分を分離した。次に、ヘパリンセファロースアフィニティークロマトにて分離した0.15M NaCl抽出画分および0.50M NaCl抽出画分をラット皮下に不活性化象牙質基質とともに移植し、骨誘導活性を検出した。より活性の強かった0.50M NaCl抽出画分を透析し、20%アセトニトリル/0.1%トリフルオロ酢酸に溶解して逆相高速液体クロマト(Octadecyl-4PW、TOSOH)にて20%-100%アセトニトリル濃度勾配で分画し、骨誘導活性を検出した。この活性画分をSmart System(ファルマシアバイオテク)逆相高速液体クロマトにてさらに分離し、得られたピークのひとつに培養歯髄細胞におけるアルカリフォスファターゼ活性促進作用がみられた。この画分をリジルエンドペプチダーゼで消化し高速液体クロマトにより分画し、各ピークについてProtein Sequencerにてアミノ酸部分配列決定を試みたが、TGF-βスーパーファミリーに属すると考えられるような配列は得られなかった。 よって、次に、象牙質形成因子は異所性の骨化を誘導するBMP活性を有すると考えられ、TGF-βスーパーファミリーに属するという仮説から、遺伝子から蛋白質を得るという研究手法の転換を行った。象牙芽細胞を含む歯髄組織には、これまでに、BMP-2、-4、-6および-7の遺伝子発現が知られていた。TGF-βスーパーファミリーに属する蛋白質は3′末端部の約130のアミノ酸配列に類似が認められることを利用して、3′側24種類のプライマーSJL151-159、187-201および5′側SJL160を用いて、94°C1分、50°C2分、72°C2分40サイクル、72°C10分の条件でPCRを行った。テンプレートとしては、4週令ラット切歯歯髄より分離したmRNAからSupersucript reverse transcriptase(Gibco BRL)を用いて合成したfirst strand cDNAを用いた。アガロースゲル電気泳動を行い増幅されたDNA、サイズ280-300bpのバンドを切り出しDNAを精製し、TA cloning kit(Invitrogen)を用いて大腸菌に形質転換した。ホワイトコロニーを拾い上げ、96穴プレートに培養し、BMP-2、-4、-6および-7を含む混合プローブを用いてコロニーハイブリダイゼーションを行い、既知のBMPを含むコロニーを除外した。QIAwell 8 Plus(QIAGEN)を用いて、プラスミド精製を行い、Automatic Sequencer(Pharmacia)にてAuto Cycle Sequencing法で350個のプラスミドの塩基配列を決定した。その結果、BMP-2、-4、-6および-7以外に、BMP-8、Inhibin-βB、GDF-1、-5、-6の塩基配列を持つクローンが得られた。また、DMP62およびDMP63と名づけたクローンでは、各々ラットvgr proteinと59%、Inhibin-βAと55%のアミノ酸配列の類似が認められた。これらの塩基配列は遺伝子バンクに見出されず、未知の遺伝子ではないかと思われたが、私信により、これらは未発表のGDF-8およびGDF-11であり全身あらゆる所に存在する、歯髄に特異的なものではないことが判明した。 今後、さらにTGF-βスーパーファミリーに属する歯髄組織に特異的な未知の遺伝子のクローニングを継続する一方で、ラット切歯歯髄組織から得られたこれらのBMPsおよびGDFsの歯胚および歯髄組織における局在性をin situ hybridzationにより調べ、象牙芽細胞の分化に関与する因子を明らかにする予定である。また、その因子のリコンビナント蛋白質をin vivoにおいて歯髄創傷面に応用し、修復象牙質形成誘導能を検討する予定である。 続きを見る
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