日本海固有水の流動構造

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日本海固有水の流動構造

フォーマット:
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
タイトル(他言語):
Current Structure of the Japan Sea Proper Water
責任表示:
竹松 正樹(九州大学・応用力学研究所・教授)
TAKEMATSU Masaki(九州大学・応用力学研究所・教授)
本文言語:
日本語
研究期間:
1995
概要(最新報告):
1.本年7月から8月にかけての3週間、日・韓・ロの3国による、日本海全域に及ぶ国際共同観測を実施した。この観測では、過去2回の共同観測と同様、海底までの精密CTD、化学採水、表層CO_2及びクロロフィルの測定、表層・中層ドリフトブイの放流、係留流速計の設置・回収、曳航式ADCPによる表層流速測定等を実施した。日本海誕生以来初めて行われたこの一連の近代観測により次の様な新知見が得られた:(1)日本海北部(日本海盆)の内部領域の中・深層には、毎年3月から4月にかけて、想像を絶する強い順圧的流れが発生する。特に、日本海盆西部の中央では表層対馬暖流並(30cm/s超)の西向きの流れが観測された。この流れは、1年で日本海盆全域を撹拌するに充分な強さである。(2)日本海の中・深層は5月〜10月の間は極めて静穏である。(3)表層ドリフトブイ及び曳航式ADCPにより、日本海北部の表層に反時計まわりの循環流が存在することを初めて実証した。(4)2つの塩分極小層(MSL)が存在することが明らかにされた。浅いMSLは極前線の南側の対馬暖水の下側に存在する。もう一つの深いMSLは日本海盆のいたる所で認められ、温位0.10〜0.15°C、塩分34.066〜34.068psuであった。この深いMSLの上層には比較的塩分の高い上部日本海固有水が存在するが、その塩分及び密度には1993年と1994年で有意な違いが認められた。又、深いMSLの下層では溶存酸素が極小となり、この点、北太平洋中層水の下側の鉛直と類似している。以上のCTDの結果は、日本海固有水は、これまで言われているように単一の水塊ではなく、生成源を異にする、少なくとも2つの水塊から成っていることを強く示唆する。(5)過去の観測結果と比較することにより、水塊特性に明瞭なトレンドがあることがわかった。即ち、溶存酸素(DO)濃度は過去25年で15μmoles/lだけ増加し、DO極小層も次第に深くなっている。なお、まだ精度の断定はできないが、日本海深層水に温暖化の傾向が認められる。(6)大気中及び海洋表層での炭酸ガス分圧の測定により、夏季には、日本海のいたる所、炭酸ガスが過飽和状態であった。ところが、前年実施した冬季観測では、海中の炭酸ガス濃度は未飽和であった。これにより、日本海全域で炭酸ガスの季節的“呼吸"が行われていることが示された。 2.原始方程式による多層位数値モデルを開発した。このモデルは日本海の気候的流動特性をほぼ再現できるものである。これにより、東韓暖流の離岸に及ぼす風応力分布と等密度面混合の役割を明らかにするとともに、韓国東岸及び日本北陸沿岸に見られる顕著な渦構造の生成機構を解明した。 3.本年2月、ロシア・ウラジオストックにおいて、日本海に関する国際ワークショップを開催した。このワークショップには韓国21名、日本12名、ロシア40名の参加があり、本研究成果を他の関連研究との対比において検討した。なお、この会合の最後では、本研究成果を基に、日本海国際共同研究の長期的継続の具体的プランを検討した。 4.本研究は、近代装備を用いた大規模な国際共同観測を実現することにより、数々の新知見をもたらすとともに、この海が、日本海という固有名詞を越えて、海洋学上極めて重要なモデル海洋であることを実証した。それは日本海研究における一大ブレークスルと言えよう。実際、日本から立ち上げたこの国際共同研究に、1998年KRA,アメリカが研究経費を持って参入することが決定している。しかしながら、この研究の生みの親である日本側には研究継続の見通しがない。従って、今後の研究計画はアメリカ、ロシア、韓国が中心になって進められ、日本は個人参加の形をとるものと思われる。 続きを見る
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