日本海の中,深層における水と物質循環の実態調査

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日本海の中,深層における水と物質循環の実態調査

フォーマット:
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
タイトル(他言語):
Mid and Deep Circulation in the Japan Sea
責任表示:
尹 宗煥(九州大学・応用力学研究所・助教授)
YOON Jong-hwan(九州大学・応用力学研究所・助教授)
本文言語:
日本語
研究期間:
1994-1995
概要(最新報告):
大洋のミニアチュアである日本海は、またそれ故に、海況予報のための、格好の実験場を提供しているが、その中、深層循環の実体については、これまで、ほとんど捉えられていないのが現状である。 本研究では、日、露、韓の国際共同学術調査として、平成6年度に夏期日本海主要部観測、日本海北部冬期沈降域観測、平成7年度には若狭湾沖夏期観測、日本海北部冬期沈降域観測を行い、日本海の中、深層循環の実体について多大な知見を得ることに成功した。以下にその概要を述べる。 1.夏期日本海主要部観測(平成6年7月5日〜7月25日) 日本海の主要部で、ロシア極東水文気象研究所の観測船を使用し、長期測流観測、CTD、アルゴスブイ、化学、Flying Fish観測を実施した。 (1)長期測流観測:平成5年夏に、日本海北部海域の三地点に設置した、深層測流のための係留系を回収し、同時に新たに3地点において長期(一年間)測流のための係留系を設置した。測流データ解析の結果、深層において、時間スケールが数十日で、20cm/s程度の強い流動があることが確認された。平成7年度までの結果から、3月から5月にかけて流速が強まる傾向が2年間続いたことが確認され、非常に興味深い現象として、学会で注目されている。 (2)CTD観測:中層の塩分極小層の分布を明確に捉えることが出来、3000m以深までの精密な観測により、深層の温度が10数年前に比べて0.02℃上昇していることが確認された。 (3)化学トレーサー観測:溶存酸素、CO_2、PH等の測定のための採水を行なった。注目すべきは、溶存酸素の鉛直分布とCTDの結果から、深層水の形成が、過去数十年間なかったことが示唆された。 (4)アルゴスブイ投入追跡:ロシア沿岸付近に投入された2個のブイは、ロシア沿岸流の存在及び日本海北部(40°N以北)に反時計回りの循環が存在することを示した。 2.日本海北部冬期沈降域観測(平成7年3月1日〜15日) 中、深層循環の駆動源となる、日本海北部での海水の沈降現象を調べるため、ロシア極東水文気象研究所の観測船を使用し、ウラジオストク沖で、冬期沈降域での予備的観測を行った。暖冬のため、海水温が、例年よりも1〜2℃高く、鉛直対流による中、深層への沈降現象は観測されなかった。 3.若狭湾沖夏期観測(平成7年5月26日〜6月8日) 長崎大学の観測船鶴洋丸を使用し、これまであまりなされていなかった日本沿岸付近の中、深層における海水の流動状態を捉えるため、若狭湾沖の大陸棚付近においてADCPを中心に観測を行った。若狭湾沖の大陸棚付近の2測線でADCP及びCTDによる観測を行ない、大陸棚端の200m水深を中心に、表面の流れとは逆方向の、南西向潜流を計測した。これまでの数値モデルによれば、日本海の中、深層においては、冬期に反時計回りの循環が卓越するが、夏期には、反時計回り循環は弱まり、日本沿岸に沿って、上層とは逆の南西方向の流れが発達することになっている。今回の観測はそれを確認する形となった。また対馬暖流の沿岸分枝は、沿岸から30km以内及び陸棚端の2カ所に流軸を持ち、沿岸分枝がさらに2分枝化する可能性を示した。 4.日本海北部冬期沈降域観測(平成8年2月15日〜2月25日) 平成6年に引き続いて、7年度にも、ロシア気象水文研究所の観測船を使用し、CTDによる水温、塩分の精密観測、化学トレーサー観測を行った結果、水深600mにまで達する沈降現象を確認した。 今回の学術調査を通じて、今までほとんど知られていなかった日本海北部の中、深層循環の実体について、多くのことが明らかになり、今後の日本海の研究に大きな助けとなるものと思われる。 続きを見る
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