落屑症候群の病因に関する共同研究

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落屑症候群の病因に関する共同研究

フォーマット:
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
タイトル(他言語):
Joint Research on Pathogenesis of Exfoliation Syndrome
責任表示:
猪俣 孟(九州大学・医学部・教授)
INOMATA Hajime(九州大学・医学部・教授)
本文言語:
日本語
研究期間:
1994
概要(最新報告):
落屑症候群は50歳以上の中高齢者の水晶体表面にふけ様の沈着物がみられ、縁内障や水晶体偏位などをおこす。高齢者の失明原因として重要な疾患である。 落屑症候群は、早くから人口の高齢化が進んだ北欧に特有な疾患として知られていたが、近年わが国でも高頻度にみられるようになってきている。落屑症候群の病因解明には、その発症や臨床症状に人種差があるのか否か、人種差を加味した国際的な共同研究が不可欠である。そこで、ドイツのエルランゲン・ニュルンベルグ大学のナウマン教授と九州大学とで落屑緑内障に関する共同研究を行った。 久保田敏昭と猪俣孟がエルランゲン・ニュルンベルグ大学を訪問し、日本人とドイツ人の落屑症候群および落屑緑内障の臨床および病理学的特徴について比較検討し、下記の点を明らかにした。 1.落屑症候群の病因に関する臨床的研究 1)“PEX(pseudoexfoliation)Score"に基づいて、日本人とドイツ人の落屑症p候群患者の臨床症状を比較検討した。 日本人の落屑症候群患者では、虹彩実質の萎縮、瞳孔ひだ欠損は正常者と比較して有意の差はみられなかった。しかし、散瞳後の前房内色素散布、水晶体表面および前房隅角の色素沈着は日本人の落屑症候群患者では有意に高いことが明らかになった。また、統計的な有意差はなかったが、落屑症候群患者では散瞳薬点眼後の散瞳不良がみられた。落屑症候群で緑内障を起こしている症例と緑内障を起こしていない症例とで臨床症状で有意の差はみられなかった。 2)落屑症候群患者の前房内フレア値の検討 落屑症候群の程度がより著しい眼とより軽い眼でフレア値に差があるか否かを検討した。落屑症候群の程度の著しい方の眼がそうでない他眼よりも有意にフレア値が高かった。 2.落屑緑内障の病因に関する病理学的研究 1)落屑症候群患者虹彩血管の病理学的検討 虹彩血管の周囲に落屑物質が沈着し、血管内皮細胞が著しく変性していた。虹彩血管内皮細胞の変性による房水蛋白濃度増加も眼内圧上昇に関係する。 2)落屑症候群患者線維柱帯の病理学的検討 緑内障をまだ発症していない落屑症候群の摘出眼球を用いて、前房隅角線維柱帯における色素沈着の病態を検討した。色素顆粒を貧食した線維柱細胞が変性し、線維柱層板が肥厚していた。このことから、落屑緑内障は一種の色素性緑内障であることが明らかになった。 3)落屑物質の組織化学的検討 落屑物質とその周囲組織のプロテオグリカンを染色し、その種類と分布を明らかにした。落屑物質はコンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパラン硫酸のプロテオグリカンを含んでいた。落屑物質の形成には、マイクロフィブリルにこれらのプロテオグリカンが沈着することが関係している可能性がある。 3.落屑症候群患者の疾患感受性に関する分子遺伝学的研究 1)落屑症候群患者の組織適合抗原(HLA)の検討 落屑症候群患者および健常人のHLAを調べた。DR4は健常人317名中132名(42%)で、落屑症候群患者では34名中6名(18%)であった。つまり、落屑症候群患者ではDR4をもっている人が少なかった。これは相対危険度0.3、x^2値7.41、P値0.0065で、5%以下の危険率で有意であった。同様に、DQ4は健常人317名中97名(31%)で、落屑症候群患者では34名中4名(12%)で、落屑症候群患者ではDQ4をもっている人が少なかった。これは相対危険度0.3、x^2値4.44、P値0.035で、5%以下の危険率で有意であった。しかし、対照とした健常人の数に比較して、落屑症候群患者の数が著しく少ないので、Yateの補正が必要であった。Yateの補正を行った後でも、落屑症候群患者ではDR4およびDQ4をもっている人が5%以下の危険率で有意に低かった。DRB1^*0405およびDQA1^*03も落屑症候群患者では健常人に比較して低い傾向があった。 以上の結果から、落屑症候群の発症には疾患感受性があることが示唆された。 続きを見る
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