酵母人工染色体を用いた多剤耐性(MDR)遺伝子群の構造と機能に関する共同研究

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酵母人工染色体を用いた多剤耐性(MDR)遺伝子群の構造と機能に関する共同研究

フォーマット:
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
タイトル(他言語):
The Analysis of Human MDR Gene Family Using YAC Clones.
責任表示:
河野 公俊(産業医科大学・医学部・教授)
KOHNO Kimitoshi(産業医科大学・医学部・教授)
本文言語:
日本語
研究期間:
1994-1996
概要(最新報告):
本国際学術研究は平成6年より開始され本年度が最終年度で3年間の共同研究を一応終了することになる。多剤耐性遺伝子(MDR)の中でヒト7番染色体長腕に存在するMDR1及びMDR3を含む領域の人工酵母染色体(YAC)を用いた構造と機能解析については平成7年度に一応の成果をまとめ国際学術誌に2編を発表した。最終年度はさらにこの解析の研究を発展させ、将来の共同研究をにらみ、平成7年度よりカナダのグループを加え、多剤耐性関連遺伝子の中でも中心的な分子として認知されてきたMultidrug resistant associated Gene(MRP)関連の研究をすすめること、さらにMDR1遺伝子の発現制御の分子機序を解析することに主眼をおいて共同研究を進めた。MDR1遺伝子のコードするP糖蛋白は陽電荷した両親媒性の薬剤を細胞内より外へ排出することが知られているが、一方MRPはグルクロン酸抱合体やグルタチオン抱合体を排出するABCトランスポーターと考えられ基質を異にすることが知られている。しかし癌化学療法の中でも現在中心的な薬剤となっているシスプラチンのグルタチオン抱合体を排出できないことから他にMRPと同様の構造をしたABCトランスポーター(GSX-pump)の存在が示唆されていた。そこで新規のABCトランスポーター遺伝子の分離を進め、我々はヒトのMultispecific organic anion transporter(MOAT)の全長cDNAの分離と塩基配列の決定、遺伝子座の同定に成功した。本遺伝子もMDR遺伝子群と同様に大きいことから、今後YACクローンを用い構造と機能解析を進めていく必要があると考えている。 エピポドフィロトキシン系薬剤はグルクロン酸抱合され耐性細胞で優先的に過剰発現するMRPによって細胞外に排出されることを薬剤耐性細胞の解析から証明した。その時MRP発現は薬剤の標的分子であるDNAトポイソメラーゼIIの発現レベルと関連することを示した。この研究においてはカナダのコール博士の抗体を用いて解析した。 ヒトMDR1の遺伝子発現はYACクローンのマウス細胞への導入により耐性細胞樹立過程において転写活性化をまずひきおこすことを証明したが、その分子機序は不明であった。そこでMDR1プロモーター領域に結合する転写因子とサウスウェスタン法でクローン化した。その結果転写因子は大腸菌から人までよく保存されたDNA結合領域Cold Shock Domain(CSD)を持つY-box結合蛋白(YB-1)であることを証明した。 YB-1のアミノ酸配列によりペプチド抗体を作製し種々の薬剤耐性細胞でのYB-1の発現を解決した。MDR1やMRPを発現した多剤耐性細胞ではその発現の亢進はみられなかった。しかし独立に分離されたシスプラチン耐性細胞株4株においてはいずれも発現が亢進していることを見出し、シスプラチン耐性との関連が強く示唆された。アンチセンス発現プラスミド導入によりYB-1はシスプラチンのみならずDNAクロスリンクを形成するUVやMMCの細胞感受性を決定する重要な分子であることを証明した。 一方、YB-1のゲノムクローンの解析をすすめプロモーターの構造と機能解析さらに遺伝子座を決定した。 平成6年度に米国のFojo博士との共同研究により量的に少ない転写因子がMDR1の発現に関与していることを示す論文を発表している。そこでYB-1の量について詳細な解析を進めた。予想通りYB-1の発現はかなり多いものの、その90%は細胞質に存在し核内YB-1量は非常に少ないことさらに、抗癌剤や紫外線により何らかのシグナル伝達の結果、C末に結合していると考えられるアンカリング蛋白と解離し核内に移行することを見出し、発表準備中であり、現在その研究を継続している。 本年度は最終年度であり米国国立衛生研究所ゲノムセンター主任のグリーン博士を招聘し、米国のヒトゲノムプロジェクトの最前線の情報に関して九州大学及び産業医科大学にてセミナーを開催し意見の交換を行った。さらに本研究を通じてYACの有用性について討議しその解析法についての最新技術についても教授してもらった。以上、本国際学術研究により、この領域の研究が飛躍的に進展できたものと考えている。 続きを見る
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