カイコ突然変異体を利用した昆虫生化学研究の推進

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カイコ突然変異体を利用した昆虫生化学研究の推進

フォーマット:
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
タイトル(他言語):
Use of Bombyx mori Mutants to Study on Insect Biochemistry
責任表示:
藤井 博(九州大学・農学部・助教授)
FUJII Hiroshi(九州大学・農学部・助教授)
本文言語:
日本語
研究期間:
1994-1995
概要(最新報告):
1.カイコ中腸および絹糸腺からカロチノイド結合蛋白質を分離した。ウエルズ研究室においては中腸組織からルテイン色素を含む分子量40kDaの蛋白質を、藤井はY+^I系統の中腸組織から低分子量600kDaの蛋白質を分離した。またYI系統の中腸組織には低分子量のカロチノイドを結合した蛋白質の存在を明らかにしたが、分離することができなかった。一方Y+^Iでは低分子量の蛋白質は検出できなかった。 2.体液カロチノイド結合蛋白質に対する抗体と中腸組織から分離した600kDa蛋白質と反応したが、低分子量の蛋白質とは反応しなかった。この結果中腸組織には600kDaカロチノイド結合蛋白質以外にカロチノイド結合蛋白質が存在することが明らかとなった。 3.中腸組織からcDNAライブラリーを作成し、カロチノイド結合蛋白質遺伝子のクローニングを行い数個のクローンを得ることができ、現在分析を行っている途中である。 4.カイコ中腸皮膜細胞におけるCBPの分泌と絹糸腺細胞への取り込みの解析をCBPに対するポリクロナール抗体を用いた金コロイド免疫電顕法で行った。カロチノイドが中腸皮膜細胞に取り込まれ、体液中に透過することができるY+系統のカイコを用いて、中腸皮膜細胞における観察を行った。金コロイドは分泌・吸収機能を行っている円筒細胞に特異的に観察された。金コロイドは粗面小胞体上や粗面小胞体に近接した小胞体内部および滑面小胞体に接した小胞中に観察された。また体液に面した基底膜側の原形質膜が細胞質に深くの陥入した襞状構造の近く並びにそれに沿って存在する小胞中に、さらに陥入部位ならびに基底膜に多くの観察された。この結果、消化液から円筒細胞中に吸収されたカロチノイドは滑面小胞体に移行し、滑面小胞体から、これに接した粗面小胞体で合成されたCBPを含む小胞体へ移行し、ここでカロチノイドCBP複合体を形成し、この小胞体が基底膜から細胞質中に陥入した襞状構造からエキソサイトーシスで体液に放出されるものといえる。体液中のカロチノイドCBP複合体は黄色の繭を作るC系統の絹糸腺細胞では、金コロイドが体液に面した基底膜に多く、また基底膜に面した原形質膜の陥入部位、さらに陥入部位近くの細胞質中と小胞体中に観察された。金コロイドはよく発達した粗面小胞体周辺並びにそれに接した小胞体中に観察された。セリシン分泌小胞には金コロイドが観察されたが、腺腔に分泌されたセリシン中には認められなかった。一方白繭の+^Cの絹糸腺細胞では金コロイドが観察されなかった。すなわち白繭絹糸腺細胞はカロチノイドCBP複合体を取り込む機構に異常のあるといえる。すなわちカロチノイドはカロチノイドCBP複合体の形で絹糸腺細胞に取り込まれ、カロチノイドのみがセリシン移行すると考えられる。 5.カイコの幼虫体液を密度勾配超遠心すると、黄色いバンドが密度1.17g/mlと1.21g/mlに2本形成される。低密度の黄色バンドはリポホリンであることがわかったが、高密度のものは新たなリポ蛋白質であると考えられた。黄色を目印にKBr密度勾配超遠心法、イオン交換クロマトグラフィーとSdphacryl-300法で精製した結果、この蛋白質はMr350k,85K,60Kの3つのサブユニットから構成され、ガスクロマトによる脂質分析の結果、脂質の重量%はphospholipid54.5%,monoacylglycerol8.3%,diacylglycerol17.0%,free fatty acid 14.3%,triacylglycerol 5.9%,hydrocarbon0.4%とからなり、蛋白質79%、脂質21%で構成されるリポ蛋白質であることがわかった。この蛋白質はlipid transfer proteinと類似していたことから、特にリポホリン間の脂質移動を触媒する機能について実験した。このリポ蛋白質は、高密度リポホリンの運んでいる脂質を低密度リポホリンへ移し、またこの逆方向にも脂質を移す触媒の働きを持ち、さらに高密度リポホリンからビテロジェニンへの脂質の移動にも関与することがわかった。 続きを見る
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