赤道域・アジアモンスーンの降水機構の研究

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赤道域・アジアモンスーンの降水機構の研究

フォーマット:
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
タイトル(他言語):
A study of Precipitation Mechanisms of Asian Monsoon
責任表示:
Takahashi T.(九州大学・理学部・教授)
TAKAHASHI Tsutomu(九州大学・理学部・教授)
高橋 劭(九州大学・理学部・教授)
本文言語:
日本語
研究期間:
1993-1994
概要(最新報告):
本研究は地球上の水循環のより良い理解のために、いまだ未解決なアジアモンスーンの降水機構の研究を行うことを目的としている。初年度のタイ・ソンカラ市(7°N,101°E)での観測に引き続き、今回はタイ・スラタニ市(9°N,99°E)で観測を行った。降水機構の研究には降水粒子の空間分布の知見が必需であり、そのため我々のグループで新しく開発したビデオゾンデを雲内に飛揚した。ビデオゾンデはビデオカメラを内蔵しており、直径0.5ミリより大きい降水粒子が取り入れ口から入り赤外線束をさえぎるとストロボが作動、降水粒子の映像を静止させ、その画像を1680メガサイクルの搬送波で地上に送信するものである。ビデオゾンデは降水粒子の映像の他電荷、気温、湿度、気圧の情報も送信する。 初め研究分担者であるタイ・ソンカラ気象台長のクリンクライ氏を7月日本へ招へい、日本側研究分担者の石原正仁氏、守田治氏と研究代表者とでアジアモンスーンの降水機構についてのワークショップを九州大学で開催した。初年度でのソンカラ市で得られた結果についての討論と本年度のソラタニ市での観測の詳細について詳細な打ち合わせが行われた。8月、研究代表者は米国を訪問、アメリカ海洋気象局のGage博士を訪問した。彼等のグループはインドネシアのBiak島でウインドプロファイラーにより降水機構の研究を行っているのでアジアモンスーンの総合的な理解のため情報交換を行った。9月には日本のドップラーレーダ観測の第一人者である当研究分担者の石原正仁氏をタイ・スラタニ市に派遣、タイ気象局に属するドップラーレーダについての技術上の打ち合わせを行わせた。同時期、研究代表者はバンコク気象庁を訪問、ドップラーレーダ使用許可をタイ気象局から得た。観測は10月22日〜11月21日の1ヶ月間行われた。観測は研究代表者他大学院学生5名で行われた。受信機を含む約1トンの観測機材を空輸、税関の手続等、タイ気象局が全面的に協力してくれた。スラタニ市は北緯9°、東経99°にあり、北東モンスーンに面した海岸線に位置している。スラタニ気象台はドップラーレーダ観測地点の東方25kmにあり、気象台に受信機、ポ-タブルレーダ、地上電場計を設置するとともに新しく気球格納庫を設置、この地点から気球放球が行われた。観測に際してはドップラーレーダ班と電話で密接に連絡を取りながら種々の仰角でCAPPI図を作成、ビデオゾンデ飛揚方向でのエコー断面図を作成した。このエコー断面図にビデオゾンデ飛揚の軌跡をプロットし降水粒子空間分布との比較を行った。この他ドップラーレーダは真上での風速測定も可能でこれから雲システムの発散・収束場も得られる。観測期間中ビデオゾンデ計14台を飛揚することができた。モンスーン時には異なる降水システムが観測され低い雲からの温かい雨、南からのレインバンド、海岸で急速に発達する雨システム等があった。11月6日は高気圧がインドシナ半島に南下、フィリピン東方に台風があり、北東風が強まり、高層200mbでは強い発散場が検出された。雲は東方海上で生成、次々と上陸雨を降らせながらドップラーレーダ地点に集積、ここではエコー強度45dBZの強雨が観測された。この日ビデオゾンデ3台を次々と飛揚モンスーン雨システムのドップラーレーダ観測とビデオゾンデによる雲内での降水粒子空間分布同時測定が初めて行われた。上層では氷晶・霰が高度6kmより12kmまで厚い層内に観測され氷晶数は40コ/1にも達していた。霰数密度も3コ/1と多かった。エコー強度35dBZ域では雨滴と凍結氷が多く温かい雨型対流の活発さを示している。最も興味のあることはこの対流域への上層からの霰供給についてである。雨滴粒度分布は霰の融解により直径1mm程度の雨滴が温かい雨型で成長した雨滴群に新しく加わり併合プロセスを加速、大きな雨滴形成が行われていた。ドップラーレーダでの風の場からはこの霰供給域まで上昇域がのび、この温かい雨型雨滴との合流域で雨滴成長が加速され降雨を強め、その下降流による下層収束が風上側の降水セルを活発化させていた。 本研究観測の結果、モンスーン雨は上層での霰形成と下層での温かい雨形成との強い相互作用で強い降水をもたらしていることが初めて明らかになり、東南アジア域の水循環の理解に大きく貢献すると考えられる。 続きを見る
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