日本昆虫相の多様性の起源と中国との相関に関する研究

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日本昆虫相の多様性の起源と中国との相関に関する研究

フォーマット:
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
タイトル(他言語):
Evolutional correlation of insect fauna in Japan and China
責任表示:
三枝 豊平(九州大学・大学院・比較社会文化研究科・教授)
SAIGUSA Toyohei(九州大学・大学院・比較社会文化研究科・教授)
嶌 洪(九州大学・大学院・比較社会文化研究科・教授)
本文言語:
日本語
研究期間:
1993-1994
概要(最新報告):
1993年〜1995年の2年間3回にわたって、中国四川省及び雲南省において行った調査の結果、概略以下のような成果が得られた。 1.半翅類昆虫については、雲南省東南部での調査により約500種2500個体以上が得られた。このうち同翅亜目のキジラミ類は約60種580個体に及んでおり、日本産のキジラミの種数の3分の1を超える。標高1000米を超える地点では、わが国の照葉樹林(主として西南日本)のフォーナとの強い関連が認められた。南部低地では亜熱帯系の種が多く発見され、奄美から沖縄にかけての種、あるいは熱帯にまで分布する種との強い関連が認められた。 2.オトシブミ類は、四川省の調査では数種について詳細なユリカゴ形成行動の観察・記録が行われた。雲南省での調査は乾期の終盤に行われたため、若葉をつけている植物の一部の種で、8種のユリカゴが発見されたのみであった。Euscelophilus属の1種で、ユリカゴ形勢活動期に入る直前の特異な習性が観察できた。さらに、若い葉の限られたステージのものだけを利用しているDeporaus属の1種のユリカゴ形成行動を観察できた。 3.ガ類は四川省の調査で約2400頭の成虫が得られている。この中の小蛾類には未記録・未記載種が多くふくまれている。また日華区系の数種で、日本と四川省において成虫の発生時期がかなり異なることが判明し、形態のみならず生態面の調査が必要であることが痛感された。 4.蝶類は四川省西部および雲南省の西北部と東南部で調査された。全体として約200種3000個体が収集された。一連の調査によって、雲南省と四川省の蝶相は互いに類似しており、基本的には日華区系要素を中心とするが、雲南省南部の低地には、東洋区系の蝶類が著しく進出していることが判明した。周日本海的性格をもつスジグロシロチョウが、雲南省南部では2000米の高地からベトナム国境の標高50米の河口まで広範に分布していることが判明し、日華区系蝶類の中国南部における複雑な亜熱帯環境への適応の問題を考察する上で重要な資料が得られた。 5.ハバチ類は四川省西部で3科約205種、雲南省西北部で5科約45属約150種がえられ、約100種について染色体プレパラートを作成した。雲南省のハバチの約3分の1は四川省との共通種であるが、残りの100種は今回初めて採集されたものである。この中には日本との共通種は数種しかなく、ヒマラヤ東部及び東洋区の要素もみられたが、この地域で独自に分化したグループが多いことがうかがわれた。 6.ハラボソバチ類は、雲南省東南部の調査により、2属4種が確認された。また、胚・前蛹・蛹を用いて核型の検出を行った。Parischnogasterの2種は標高約500米以下の人家およびその周辺で多数の営巣が見られた。コロニーの構成から判断すると、分布の北限に当たるこの地域では、冬季に休眠はしないものの、活動が低下していることが示唆された。Eustenogasterは雲南省東南部の江城近くの林内でのみ確認された。またこの地域はこの亜科の分布の北限であるにもかかわらず、1000米を超す地点で、本種の完成された巣が見つかったことは興味深い。 7.無額嚢及び無弁類のハエについては、ショウジョウバエは四川省と雲南省でその他の双翅類については2-3月に雲南省西南部で調査を行った。雲南省では、150〜1000米の低地では東洋区系のグループが繁栄しているが、オドリバエ科のHilara,Trichoclinocera属のように全北区的な温帯要素も、少数ながら進出している。1000米以上の高地には全北区的要素の双翅類が目立つ。また、日華区系的及び東亜北米型分布要素とみなしうる双翅類が、ある程度発見された。これらの結果から、雲南省南部の双翅類の調査が、日本列島の双翅類の起源と分布を考察する上で極めて重要であること、晩春〜夏季の調査が必要であることが痛感された。 8.寄生性のヤドリバエ科は、四川省で成虫約150種2000個体、雲南省東南部で約30種200個体が採集された。これまでの調査で、雲南省で約200種が確認されていることからすると、今年度の調査は、時期的にヤドリバエの発生にはかなり早すぎると考えられる。雲南省でも標高1000米を超えると、温帯系や日華区系の種が多くみられ、この地域の動物相の複雑さをうかがわせる。 続きを見る
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類似資料:

7
1994-1995年に九州大学伊都キャンパス建設予定地において確認された昆虫目録 by 野村, 周平; 紙谷, 聡志; Nomura, Shûhei; Kamitani, Satoshi
6
進化心理学入門 by Cartwright, John, 1953-; 鈴木, 光太郎; 河野, 和明
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