細菌感染におけるストレス蛋白反応性γδ型T細胞の役割の検討

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細菌感染におけるストレス蛋白反応性γδ型T細胞の役割の検討

フォーマット:
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
タイトル(他言語):
The role of stress protein-reactive gammadeltaT cells in infection
責任表示:
松崎 吾朗(九州大学・生体防御医学研究所・助手)
MATSUZAKI Goro(九州大学・生体防御医学研究所・助手)
本文言語:
日本語
研究期間:
1993-1994
概要(最新報告):
γδ型T細胞がリステリア菌腹腔内感染により誘導されることを、私たちは報告してきた。また、非感染マウスより得られたリンパ節細胞でも、自己リンパ球混合培養によりγδ型T細胞が増加することを私たちは報告した。さらに、これらの細胞にはストレス蛋白HSP60に反応する細胞が含まれることから、細菌感染で増加するストレス蛋白反応性γδ型T細胞は生体内に恒常的に存在しており、自己ストレス蛋白と細菌由来ストレスに交叉反応性を示す細胞であると予想した。このような細胞は、非感染状態では自己ストレス蛋白の発現量が少ないために活性化されないが、いったん感染が起こると、炎症により自己ストレス蛋白が大量に誘導され、また食細胞内でストレスを受けた病原菌によりストレス蛋白が大量に産生されるため、細胞活性化の閾値を越えた刺激が入り細胞増殖および機能発現が行われると考えられた。そこで、本年度は、正常マウスのリンパ節より存在するストレス蛋白反応性γδ型T細胞の抗原認識に関して解析を行った。 私たちは、BALB/cマウスのリンパ節細胞を自己リンパ球培養により刺激し、その培養後に得られたγδ型T細胞から、胸腺腫細胞融合法を用いてT細胞クローンを10クローン樹立した。具体的には、リンパ節細胞を刺激細胞(放射線照射同系脾細胞)と5日間培養し、それにより得られたリンパ芽球からγδ型T細胞を磁気ビーズ法により分離した。そのγδ型T細胞をBW5147胸腺細胞腫細胞とポリエチレングリコール法により融合させ、HAT選択の後にクローニングした。これらの細胞の抗原認識による活性化をIL-2産生を指標として検討した。また、これらの細胞と刺激細胞の培養に抗ストレス蛋白(HSP60)抗体ML30を加え、その活性化に対する抑制効果について検討した。さらに、これらのγδ型T細胞の発現するT細胞レセプターの遺伝子をPCR法で増幅し塩基配列を決定した。 私たちの樹立した10クローンのうち8クローンが自己反応性(同系脾細胞に対するIL-2産生)を示した。自己反応性クローンのうち、4クローンがVδ5を、4クローンがVδ6を発現していた。 Vδ5陽性クローンは、同系脾細胞のみならず同系繊維肉腫細胞MethAに対しても反応を示した。この4クローンのうち、3クローンはDδ1遺伝子およびN領域を含まない塩基配列であったが、1クローンのみはDδ1、Dδ2遺伝子両者を含んでいた。Vδ5陽性Dδ1陰性クローンの自己反応性は抗HSP60抗体ML30により強く抑制されたが、Vδ5陽性δD1,2陽性細胞のみはML30によってその自己反応性は抑制されなかった。 自己反応性Vδ6陽性細胞は、同系脾細胞の刺激には反応するが、同系繊維肉腫細胞MethAには反応を示さなかった。これは、Vδ6陽性T細胞が、Vδ5陽性T細胞と異なった抗原特異性を持つことを示唆している。また4クローンとも抗HSP60抗体ML30により反応が抑制されたが、T細胞レセプターのVDJ結合部の塩基配列の上では、特に共通のモチーフは認められなかった。 私たちの作製した自己反応性γδ型T細胞8クローンのうち7クローンまでが、抗ストレス蛋白(HSP60)抗体ML30によりその反応性が抑制された。この結果は、HSP60がγδ型T細胞の抗原認識に深く関わっていることを示している。一方、ML30という、HSP60の特定のエピトープに特異的な抗体により、異なった特異性を持つγδ型T細胞(Vδ5陽性細胞対Vδ6陽性細胞)の反応が抑制されたことから、ML30のエピトープがγδ型T細胞により認識されると考えるより、HSP60分子全体が抗原認識に関わっている可能性が強いものと考えられる。これらの結果から、γδ型T細胞はHSP60それ自体あるいはHSP60に提示された分子を認識する可能性、HSP60がγδ型T細胞上のT細胞レセプター以外のレセプター分子に結合して副刺激を伝達するする可能性、この二つが考えられた。 続きを見る
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