中国チベット南部地熱地域の構造と熱水系の関する研究

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中国チベット南部地熱地域の構造と熱水系の関する研究

フォーマット:
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
タイトル(他言語):
Structure and hydrothermal system of south Tibet, China
責任表示:
江原 幸雄(九州大学・工学部・教授)
EHARA Sachio(九州大学・工学部・教授)
本文言語:
日本語
研究期間:
1993-1994
概要(最新報告):
本研究では中国チベット羊八井地熱地域の地熱系に関する研究を行った。チベット地域を含む長さ3000km,幅150kmのヒマラヤ地熱地帯には多くの地熱地域が存在するが、この羊八井地熱地域はその代表的な地熱地域の1つであり、またヒマラヤ地熱地帯の中でも最も調査研究が進んでいる地域でもある。従って、羊八井地熱地域に関してはすでに多くのことが明らかにされ、それらの成果をもとに、すでに合計24MWに達する2つの地熱発電所が稼働されている。しかしながら、熱源など基本的な問題も含め、まだまだ未解明な点も多い。それらのうちの1つが羊八井地熱地域を含めた「ヒマラヤ地熱地帯の熱源は何か」ということであり、また羊八井地熱地域固有の問題として「熱水系形成のメカニズムは何か」ということである。本研究ではこれらの問題に対して、現地での既存資料の収集、現地での各種調査の実施とその解析、そして、それらのデータを総合化して数値的な熱構造モデリングを行った。 調査の内容としては、比較的浅部の地下構造解明のためのAMT探査、深部地下構造解明のためのULFMT探査を行った。この探査結果に対し、1次元解析さらには2次元インバージョン解析を行い地下比抵抗断面図を作成した。その結果、地殻浅部(数km深)に異常に低い低比抵抗ゾーンが検出され、本地域の地熱活動の熱源として貫入岩体の存在が推定された。また、深部からの熱水の上昇ゾーンを特定するため、浅層地温探査および地化学探査(土壌水銀中の水銀およびCO_2濃度測定)を行った。その結果、地温調査および地化学探査結果ともに、本地熱地域の北部地域に深部からの熱水の上昇の可能性が強いことを明らかにした。さらに、地表から流出している温泉水の化学分析や熱水変質土壌のX線回析分析を行い、本地熱地域が火山性である可能性が強く示唆された。 これらの調査結果および従来同地域で得られている調査結果を総合化し、まずはじめに本地熱系の概念モデルを作り、つぎにこれに基づいて、コンピュータによる数値モデリングを行った。 その結果、地熱活動を維持する熱源に関しては、地表には新しい火山活動は見られないが、地殻浅部(5km深程度)に存在するであろう貫入岩体的(冷却が進んだものではなく、現在でも溶融状態に近い高温状態が維持されているものと推定される)なものが推定された。広範囲にわたる高地殻熱流量の存在を考えると、地殻中部(10-15km深)にはヒマラヤ地熱地帯の幅に相当する150km程度の範囲に普遍的に浅部貫入岩のオリジンすなわち花崗岩質岩石の溶融層があるのではないかと推定される。このように考えると、ヒマラヤ地熱地帯の地熱活動の熱源は深部火山活動起源と考えられる。しかし、ヒマラヤ地熱地帯では、プレートの沈み込み地域やプレート生産地域のように、何故に地表に火山活動が見られないかという問題が生じる。これに関しては深部から供給される熱量には大きな差はないが、応力場の違いから(張力場ではなく圧縮場にある)、マグマが地表近くまで到達できなかったことが考えられる。 一方、羊八井地熱地域の熱水系に関しては以下のように考えられる。北部地域のいずれかの場所に深部の花崗岩の基盤中の断裂を通って熱水が上昇し、それが側方流動に転じ、透水性のよい厚さ500m程度の氷河堆積物中を南方に向かって流動している。そして、開発前には、水理学的環境からその大部分は地表に流出し、活発な地熱活動を呈していた。しかしながら、開発の進展に伴い、最終的には流動する熱水のほとんど大部分を生産したため、地熱活動はほとんど消失してしまった。このような事情を考慮すると本地域における地熱流体の生産を今後増加させることには困難があると考えられる。むしろ、高い地殻熱流量にもたらされている花崗岩質高温岩体の熱エネルギー利用に将来性があるのではないかと考えられる。 続きを見る
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