微生物の新規化合物分解・変換機能の高度化

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微生物の新規化合物分解・変換機能の高度化

フォーマット:
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
タイトル(他言語):
The enhancement of microorganisms for chemical modification
責任表示:
古川 謙介(九州大学・農学部・助教授)
FURUKAWA Kensuke(九州大学・農学部・助教授)
本文言語:
日本語
研究期間:
1992
概要(最新報告):
芳香族炭化水素資化菌は原油による海洋汚染に対するバイオリメデイエーション,また新規有用化合物の生産の面からもきわめて重要で,近年国内外で研究が活発化している。本研究はロンドン大学,生化学研究との共同研究により環境中に広く分布しているビフェニル資化菌とベンゼン/トルエン資化菌を対象に分解代謝機能の解析を行い遺伝生化学的手法により微生物の高度化を図ることを目的とする。本年度の研究成果を以下に要約する。 1.ビフェニル資化菌の代表菌株Pseudomomas Pseudoaligenes KF707のbphABCXD遺伝子クラスター(ビフェニルから安息香酸への代謝をコード)の構造と機能を明らかにした。bphAはビフェニルジオキシゲナーゼをコードしビフェニルをジヒドロジオールへ変換する酸素添加酵素である。本酵素は4つのサブユニットから構成され,大小2つのターミナルジオキシゲナーゼ(bphA1及びbphA2によりコード)フェレドキシン(bphA3)及びフェレドキシンレダクターゼ(bphA4)がNADHからの電子伝達系を構築し,ビフェニルに分子状酸素を導入する。bphBはジヒドロジオールデビドロナーゼ遺伝子,bphCは2,3-ジヒドロキシビフェニルジオキシゲナーゼをコードしビフェニルの環開裂を行う。bphDはヒドロラーゼ遺伝子で環開裂化合物から安息香酸と2-ヒドロキシペント2,4-ジエノイックアシッド(HPDA)を生成する。bphX領域には3つの読み枠が存在した。これら3つの酸素系はフェノール代謝遺伝子との類似性からHPDAからアセチルCoAへの代謝に関与するものと考えられる。 2.ベンゼン/トルエン資化菌P.putida F1のtod遺伝子群はGibsonらによりクローン化され,その塩基配列が決定された。これをビフェニル資化KF707株のbph遺伝子と比べると非常に類似しており,todC1/bphA1,todC2/bphA2,todB/bphA3,todA/bphA4,todD/bphB,及びtodE/bphCの遺伝子産物のアミノ酸レベルでの相同性は53-65%の間にあった。ビフェニル資化菌KF707株はベンゼン/トルエンを全く分解できない。そこでtodC1C2BADE遺伝子群を含む組換えプラスミドpDTG351をKF707株に導入するとベンゼン/トルエン資化活性が現れた。更に興味あることにはtodC1C2のみの導入によっても上記活性が現れた。一方,トルエン資化菌F1株はビフェニルに増殖できない。そこでbphD(ヒドロラーゼ)を含む組換えプラスミドpMFB8を導入するとビフェニルに旺盛に増殖した。上記の結果からKF707株のbph遺伝子群とF1株のtod遺伝子群はターミナルジオキシゲナーゼとヒドロラーゼの違いにより,それぞれの基質に対する資化性の違いが生じることが明らかとなった。本実験ではビフェニル資化菌にトルエン代謝遺伝子を,逆にトルエン資化菌にビフェニル代謝遺伝子を導入することで,ビフェニル及びベンゼン/トルエンを同時に資化できる菌株の造成に成功した。 3.ビフェニル資化菌KF707株は上記のごとくbphABCXD遺伝子群より構成されいてる。そこでKF707株染色体bph遺伝子上にトランスポゾンを部位特異的に導入した変異株を造成した。即ち,Tn5-B21(Tc^r)をbphA上にもつKF733株,bphB上にもつKF748株,bphC上にもつKF744株を取得した。bphA変異株はビフェニルを全くアッタクできず,bphB変異株はビフェニルからジヒドロジオールを,bphC変異株はジヒドロキシ化合物をそれぞれ蓄積した。また,bph変異株を用いる実験により,bph遺伝子にコードされている酵素系はビフェニルのもならず,PCBを含む多くのビフェニル誘導体,ビフェニルメタン,ジベンジル,ビフェニルエーテル,ベンザルアセトフェノンなどのビフェニル関連化合物に対しても広い基質特異性をもつことが明らかとなった。各種のトランスポゾン変異株を用いて上記化合物から中間代謝物を蓄積生産することが可能となった。 続きを見る
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類似資料:

10.
植物内生細菌の機能解析と利用技術の開発 by 古屋 成人; NARUTO Furuya