血管内血管新生における内皮細胞・平滑筋細胞相互反応に関する分子病理学的研究

閲覧数: 5
ダウンロード数: 0
このエントリーをはてなブックマークに追加

血管内血管新生における内皮細胞・平滑筋細胞相互反応に関する分子病理学的研究

フォーマット:
助成・補助金
Kyushu Univ. Production 九州大学成果文献
責任表示:
居石 克夫(九州大学・医学部・教授)
本文言語:
日本語
研究期間:
1991
概要(最新報告):
血管内皮細胞と平滑筋細胞の相互反応は、血管の生理的機能を維持してゆく上で極めて重要であり、血管病変の成立、進展における両者の形態的、機能的変化とともにこれら相互反応の病態生理学的意義が注目されている。 本研究は、動脈硬化巣内に認められる内膜内新生血管に着目し、以下の問題点を明らかにすることを目的としている。即ち、1)ヒト冠状動脈の動脈硬化巣内に認められる新生血管の臨床病理学的特徴、特にそれら血管が内膜、外膜のいずれの血管内皮細胞増生に由来するのか、又、血管増生部の病理形態学的特徴について、2)心筋梗塞の責任冠状動脈に見られる閉塞性血栓形成の原因として注目されている硬化内膜の線維性被膜の破綻における硬化内膜内新生血管の病因論的意義、3)硬化内膜に見られる新生血管の形成機序における血管内皮細胞と、平滑筋細胞、浸潤マクロファ-ジとの相互反応の意義についてである。これらの問題点の解決は、更に動脈栄養血管の新生機序に関する以下の基礎的研課題に発展する。即ち、1)内膜由来血管新生における血栓の意義、2)外膜由来血管新生における血管壁低酸素、pHの変化、その他の代謝産物の血管新生誘導作用の意義、3)動脈内膜内に浸潤したリンパ球、マクロファ-ジと平滑筋細胞相互反応におけるサイトカインを介したネットワ-クの血管新生機序における意義についてである。 剖検時に摘出した31心臓(心筋梗塞症例11を含む)の透徹標本を用いて、マイクロフィルにて死後アンジオを行い、三次元的観察により以下の結果を得た。1)内膜内血管新生の多くは区域性に複雑な網目を形成して認められ、これらの多くは、光顕的に連続切片を作製して検索した結果より、外膜由来の新生血管であった。2)一部の新生血管には内腔に近接する巣状の内膜内新生血管を認め、これらの多くには光顕的に内腔に直接、連続する交通血管の存在を認め、内腔由来の血管新生であることを示唆した。3)極めて少数であるが、分枝動脈から壁内で分枝した血管に由来するものも認められた。4)これら新生血管の組織学的特徴として、壁は菲薄で、しばしば蛇行、拡張し不規則な血管網を形成していた。5)血管新生の程度と内膜病変の質的関係を光顕的に検討すると、血管新生は(1)内腔の狭窄度、(2)マクロファ-ジやリンパ球の浸潤の程度、(3)粥腫形成、(4)出血の程度と正の相関を示した。逆に石灰化や硝子化が顕著な部では新生血管の密度は低かった。 以上の結果より、内膜内血管新生は動脈硬化発生の原因とは考え難く、寧ろ動脈硬化性障害に対する修復反応の一つと考えたい。又、内腔の狭窄度と血管新生の程度が相関することは、肥厚内膜の深部が低酸素状態にあるとする生理学的研究の結果とも併せて、低酸素状態に陥った内膜内に浸潤、増生したマクロファ-ジや平滑筋細胞由来の血管新生因子がヒト冠状動脈の動脈硬化性病変における血管新生に関与している可能性が考えられる。 続きを見る
本文を見る

類似資料: